人を育てる

2019.08.15

その研修、役に立ちますか?より良い研修を行うための、効果測定について

人的資源の活用が課題となっている現在、人材育成の手段としての研修の重要性が見直されています。しかし、どのような研修が本当に効果的で、企業目標の達成に役立つのか、判断するのは難しいところです。

その判断基準として、最近日本でも注目されているのが、研修の効果測定です。欧米では数十年前から広く実施されており、受講者にアンケートで感想を聞く、というような簡単なものにとどまらず、研修前から周到に準備を行い、さまざまな角度から研修の効果を測定するというものです。

なぜ、研修の効果測定をすることが大切なのか、またどう測定すればよいのか、今回はご説明したいと思います。

研修の効果を測定する目的

なぜ研修の効果を測定するのでしょうか。その目的としては、次のようなものが挙げられます。

より効果的な人材育成をするための改善点を洗い出す

時間も資金もかかる研修なのですから、実施するなら本当に役立つものを行いたいものです。そのためには研修を実施することだけに満足せず、研修後にその効果を測り、研修の目標は達成されたか、問題点はどこか、どこを改善すればよいのかを洗い出し、次につなげる必要があります。

研修を行う価値があると経営陣に証明する

どの企業にとっても人材育成は重要課題であり、そのための投資をしたいと考えている経営陣も少なくないと思います。そうはいっても、資金と手間がかかる研修を本当に行う価値があるのか、経営陣に納得させなければ投資は期待できません。
研修の計画段階から効果測定のことを頭に入れ、「どのような部分でどのような結果を出したいのか」について明確で具体的な目標を掲げ、研修後の効果測定でそれが達成されたことを目に見えやすい形で提示することにより、経営陣に研修の価値が証明できることになります。

研修効果の評価モデル

研修効果の評価モデルとして最も代表的なものは、アメリカのウィスコンシン大学の名誉教授、ドナルド・カークパトリックによるものです。このモデルでは、研修の成果を4段階で評価します。

Reaction(反応)「受講者は研修内容に満足したのか」
研修の受講者が、その研修についてどう思ったか、満足度を測定します。
Learning(学習)「その研修で受講者は何を学んだのか」
研修で学んだ知識や技術などについて、その定着度を測定します。
Behavior(行動)「研修で学んだことにより、受講者の行動は変わったか」
受講者の行動が研修前から変化したか、研修で身に付けた知識や技術などが
実際に職場で生かされているかを測定します。
Results(結果)「受講者の行動の変化により、企業に良い影響が表れたか」
受講者の行動の変化により、業績アップや生産性の向上、コストダウンなど、
企業にとってプラスになる影響が表れたかどうかを測定します。

研修の効果を測定する方法

前述のカークパトリックの評価基準に従って研修の効果を測定するには、具体的にどのような方法を用いたらよいのでしょうか?
例として、以下に各段階に適した測定方法をご紹介します。

1.Reaction(反応)の測定 → 受講者へのアンケートやヒアリング
研修の内容は満足できるものだったか、研修後に受講者にアンケートやヒアリングを実施します。有効なデータを得るためには、できるだけ具体的な質問を設ける方がよいでしょう。

2.Learning(学習)の測定 → 受講者への実力テストやレポート
研修で学習したことがどれだけ身に付いているかを測定するために、研修後に実力テストを実施したり、レポートを作成させたりします。場合によっては、研修前にも試験を行って試験後の結果と比較したり、非受講者(コントロールグループ)と比較したりして評価するのもよいでしょう。

3.Behavior(行動)の測定 → 受講生および周りの人物(上司・同僚・部下など)へのサーベイ
研修を受けたあとに、どれだけ受講生の行動が変化したかを測定するため、受講生本人に自己評価をしてもらうほか、上司・同僚・部下など周りの人物に他己評価を行ってもらいます。アンケートやヒアリングなどの形式が適しており、一度だけではなく、一定の期間にわたって数回実施してもよいでしょう。

4.Results(結果)の測定 → 具体的な目標設定とそれに対する達成度の調査
研修の結果はすぐに出るとは限らず、また目に見えにくいものも多いため、欧米でもこのレベルまで測定を行っている企業は多くないようです。
「企業にとってどうプラスになったか」を本当に知るためには、長期間にわたり、広い視野(生産性の向上、顧客の満足度、業務の質の向上などの視点)から観察するほかに、方法はないでしょう。
例えば「コスト削減」「就業態度の向上」や「特定の技術をある期間内に、特定のレベルまで向上させる」など、研修の目的をできるだけ具体的に設定することで、研修後の目標達成率も測定しやすくなると考えられます。また、結果が出るまでに時間がかかるものは、そこに至るまでのプロセスがうまく進行しているか、という部分でも測定することができます。
いずれにせよ、研修の目的が何であるか、目的達成にはどのくらい時間がかかり、どのようなプロセスを経ていくのかを、研修前からよく検討して予測しておく必要があるでしょう。

企業にとって人材は宝です。良い研修を行い、人材を育成していくのは、企業の将来にとって大きなプラスにつながります。そのためにも、研修の計画段階から効果測定を視野に入れ、研修後には適切な測定を行って、次により良い研修を行うための糧としたいものですね。

この記事を書いた人この記事を書いた人

ワークハピネス

株式会社ワークハピネス

「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」をミッションに、人材開発、組織開発、事業創造支援を主に行うコンサルティングファーム。人の意識を変え、行動を変え、組織を変えることに強みを持つ。

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