無敵の人
バブル時代に若者が憧れたのは、トレンディードラマで繰り広げられている生活でした。おしゃれな部屋に住んで夏は海、冬はスキーを満喫し、毎晩のようにカフェバーで友人と語らう。そんな生活に憧れて、お給料の良い都会の大企業への就職を目指しました。
私たちは何を目指すのか？
今も、構造は変わっていません。憧れの生活を提示するのがトレンディードラマからSNSに変わっただけ。私たちが追い求めるのは自分が憧れる誰かの暮らしです。
人間は悲しいかな、他人と比較して自分の幸せを実感する生き物です。江戸時代の殿様よりも美味しいものを食べ、エアコンに囲まれた快適な暮らしをしているのに私たちは他人と比べて不幸を感じてしまいます。
毎年、数百人もが１億円を超える宝くじに当たっているのに、自分の親戚が宝くじに当たると、途端に自分が「不幸」に感じてしまいます。
「幸せは心次第」と昔から言われてきて、自分でも「その通り！」と思っているのですが、ネットやSNSで日々流れてくる他人の暮らしぶりの情報を目にすると、やっぱり比較して「みじめ」な気分になります。
人間は社会的な生き物。努力せずして他人との比較から抜け出すのは難しいのです。そんな状況をコロナが一掃してくれる予感がします。
良い給料をもらって、年に数回は海外旅行に行けて、週に一回は友人や家族と外食パーティーする。それができている自分を省みて「私は恵まれているな」「これが幸せってやつかも？」と感じていた人が多いのではないでしょうか？
一方で、給料が少なくて、海外旅行に行く余裕や外食の機会が少ないと、他人と比較して自分を「みじめ」に感じている人も。
コロナ禍で何が起きたか？お金を持っていようが持っていまいが、自由に海外旅行に行けないし、大手を振ってパーティーできるわけではなくなりました。
「レールなき時代」というけど、SNSが提示するそれなりの幸せのレールがあったわけです。「自分は恵まれているな」「これが幸せってやつかも？」と感じるためのベンチマークがコロナによって消えてしまいました。
海外旅行に行く人もパーティーで大騒ぎする人も消滅しました。withコロナでの新しい幸せのスタンダードを全員が探している状態です。
私たちが取るべき態度は３つに分かれます。
・誰かから新しいスタンダードが提示されるのを待つ
・コロナが消滅する日を心待ちにして耐える
・自分で自分の幸せの基準を発見する
私の公認会計士の友人は、忠実勤勉に長時間労働に耐えて働いていたある日、電車のホームで倒れ九死に一生を得ました。これをきっかけに人生観が変わりました。転職して仕事の量を調整し、家族と過ごす時間や旅行を第一に置いた生活に変わりました。
リーマンショックの後にアメリカではタイニーハウス（小屋）ブームが起きました。
アメリカではいわゆる「プール付の一戸建て」が夢だとされていましたが、リーマンショックが起きて多くの人が職と家を失いました。
本当に豊かな暮らし方ってなんだろう？と考えた時、大きな家のローンに縛られて、ローンのために人生の選択肢が狭まる暮らし方に疑問が突きつけられたのです。
年に数度は海外旅行に行ける生活を考えると働く場所も職も限られてきます。結局、都心で働くことになり、高い家賃を払って満員電車に揺られる生活に耐える選択肢しか残りません。
海外旅行に行ける生活は自由に見えて実は大変不自由なのです。海外旅行、大きな家、頻繁な外食という選択肢を消すと、住む場所、働く場所、そして職の選択肢が無限に広がります。
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。
ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。
公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール（現東証1部上場）は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、３年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。
