リスキリングはコネクティング・ザ・ドッツ
CEO BLOG

リスキリングはコネクティング・ザ・ドッツ

向こう5年間で1兆円をリスキリング支援に使うと岸田首相から発表がありました。

国がリスキリングに期待しているのは、今後大幅な需要増加が見込まれるAI人材やDX人材を増やすこと。

同時に、今後大量失職が懸念されるホワイトカラー人材の職種転換の支援です。

でも、ITに関して苦手意識を持っている文系の人々や中高年にとってはAIやDXというテーマは気が重いですよね。

毛嫌いせずに初級コースは学んだ方が良いですが、さらにプログラミングやデータ解析等の上級に進んでいくのはちょっとハードルが高いかもしれません。

人生100年時代。

この先、70歳を過ぎても働き続ける可能性が高い老後のない社会が待っています。

環境もどんどん変わりますから、労働市場で求めらるスキルも数々変化するでしょう。

活躍を続けたかったら学び続けるしかありません。

これからの社会、学ぶことは特別なことではなく、学ぶことは生きることと同義。

学ぶことが苦しみならば、生きることが苦しみ。

そんな人生は嫌ですよね。

ならば、私たちが心がけ、そして子供たちにも気づかせるべきなのは、学ぶことは楽しいという体験です。

まずは毛嫌いせずにAIやDXを学んでみて、そして楽しくないのならばそれ以上続ける必要はありません。

楽しくなければ続きませんし、学ぶべきことはAIやDX以外にもたくさんあります。

私は4年前の50歳の時に、何となく興味のあった「コピーライティング」を学ぶために株式会社宣伝会議の「コピーライター養成講座」に通うことになります。

きっかけは「コピー力はコミュ力である」という「コピーライター養成講座」のコピーにまんまと心動かされてしまったからです。

CMやポスターで毎日目にするキャッチコピーの数々が、実は論理的な手法と感性の両方を駆使して作られていることを知りました。

日本最古のコピーは、あのエレキテルで有名な発明家、平賀源内が生み出した「土用の丑の日」だと知りました。

かつて鰻は油っぽくてくどいので夏になると鰻屋は売上げが下がって困っていました。

鰻屋に相談された平賀源内は、鰻はスタミナ食、夏バテ対策で食べるべし!というアイデアを生み出し、そのアイデアを「土用の丑の日」というキャッチコピーで伝えたのです。

以来、日本人の行動習慣は変わり、鰻は年間を通して食されるようになりました。

武田薬品の風邪薬、ベンザエースのCMでの「風邪は社会の迷惑です」というコピーで、人々は風邪で会社を休むようになり、マスクが常用されるようになったのです。

優れたコピーは国民の行動パターンまで変えてしまいます。

さて、このコピーを学んで私がどうなったか?

まずは、半年間学んだことを私なりに要約してエッセンスを抽出し、独自の数時間の「コピー講座」を作り、ワークハピネス社員に伝播しました。

日々のマーケティングや提案活動でこの「コピー講座」は役に立っているはず?です。

そして、2020年の春の新型コロナによる緊急事態宣言を受けて、デジタルマーケティングの重要性が急上昇した時、この「コピー講座」は再登場します。

デジタルマーケティングにおいて最重要となるのが、広告やランディングページに表示されるキャチコピーです。キャッチコピーに惹かれれば、その先へとスクロールしてくれます。

コピーライター養成講座がダイレクトに役に立った瞬間です。

コピー講座と同時並行で学んでいたのが、「シナリオライター養成講座」です。

50歳を過ぎて、人生を振り返った時、大学時代に憧れていた職業は「小説家」だったと思い出し、「小説家講座」を検索していたら、それよりも「シナリオライター養成講座」に惹かれてしまい、学ぶことになりました。

結論、「シナリオライター養成講座」は続きませんでした。

毎回、宿題でテーマに沿った短編シナリオを作らなければならないのですが、これが大変に苦痛なのです。

一番の理由は何か?

フィクションに価値を見出せませんでした。

長いコンサルタント生活を経て、私は小説等のフィクションよりもドキュメンタリー等の実話に興味関心が大きい人間へと変わっていたのです。

本は毎日読みますが、そのほとんどは実務書やノンフィクション。

「シナリオライター養成講座」は初級編で終了して、やめてしまいました。

おそらく、この先、小説を書くこともないでしょう。

コピー、シナリオときて、次に学んだのがワインです。

ワインが好きで、よく飲んでいたのに、詳しくないから毎回ソムリエに薦められるままにボトルを空けていました。

時にはグラスで高いワインを薦められて大金を取られたり。

無知な客はソムリエの格好の餌食です。

リーズナブルな値段で、自分好みの美味しいワインを選べるようになりたい!

そう思って、ワイン入門講座に通いました。

入門講座に通い、ワインの奥深さにハマりました。

ワインはその畑の土壌と気候風土、そしてその国の文化の産物だったのです。

フランスのワインは、ボルドーもブルゴーニュもその格付けは権威者の官能評価で決まり、しかも数百年前の格付けが今も変わらず続いています。

一方で、ドイツのワインは、格付けが、誰が測定しても結果が変わらない「糖度」という客観指標で決まり、毎年変動します。

伝統や感性を大切にするフランスと合理性を大切にするドイツのお国柄が出ていて面白いですよね。

何事に関してもアバウトなイタリヤ人の特性はワインにも出ていて、イタリアワインの格付けは全く当てになりません。工業製品のように品質の均一なワインを量産するチリ。ケチャプ好きなアメリカ人が作るワインは総じて甘いのですが、時に大金持ちが力技ですごいカルトワインを作ってしまったり。

ワインにはお国柄が出ていて興味がつきません。

歴史や文化が好きな私の価値観にドンピシャです。

入門コースが終了すると同時に、ソムリエ資格獲得を目指す上級コースへと進みました。

1年間、数時間毎日勉強し、筆記試験が終わってからの数ヶ月間は毎晩ダイニングテーブルに大量のグラスとボトルを並べてブラインドテイスティングの練習。

妻や子供から「パパ、ボトルが邪魔!」と迷惑がられ、週末の家族サービスも疎かになりがちで、パパのワインは家族から大不評。

学習を始めて1年、さまざまな困難を乗り越え最終的にはソムリエと同等資格のワインエキスパートという資格を取得しました。

資格取得によって当初の目論見通り、レストランでソムリエと話し合いながらリーズナブルな価格で自分好みの美味しいワインが選べるようになりました。

経営者仲間と食事をするときもワイン選びは私の役割です。

セレクトした理由とそのワインにまつわる歴史や製法に関するうんちくを話してあげるとより一層ワインが美味しくなるので大変喜ばれます。

仲間がワイン好きの人にワインを贈る時もチャットで相談がきます。

相手の好みと予算に合わせて適切なワインを選んであげると大変重宝されます。

ワインの知識は交友関係を良好にし、仕事にも大変役立つという事を知りました。

資格取得直後、たまたま家族でフランスのパリに行きました。ちゃんとしたレストランに子供連れで行くのはちょっと敷居が高く、私たち東洋人家族は居心地悪く感じていたのですが、ソムリエと対等にワインの会話ができるとお店の態度が一変。普段はグラスでは出さないような珍しいワインをグラスで提供してくれたり、子供に特別なアミューズを出してくれたり等、途端にサービスがよくなりました。

家族はアウェイなパリのレストランでリラックスして食事を楽しめ、パパの地位は爆上がり。

家族から虐げられながらも耐えて勉強した1年間の苦労が報われました。

コロナ禍となって、自宅で家族揃って食事をする機会が増えたことで学び始めたのはBBQ料理です。

学習チャネルは主にYouTube。

お肉を上手なミディアムレアで焼くことから始まり、パエリア、そして薪窯焼きのナポリピザへと学習は進んで行きました。

発酵させた生地を上手に手で丸く伸ばし、トマトソースとモッツァレラチーズ、バジル、そして最後にエキストラバージンのオリーブオイルを回しかけて、500度に熱したピザ釜にシャベルでさっと流し込む。

20秒ごとに120度回転させて、1分少々で完成。

適度に焦げて外パリパリ、中モチモチのピザは家庭料理の域を遥かに超える絶品です。

先日、高校生の娘が英検の面接で「ご家族と何か仕事をするとしたら誰としたいですか?」と言う質問をされて、とっさに

「パパ」

続けて

「パパとどんな仕事をしたいですか?」

と尋ねられ、

「パパと一緒にピザ屋を開きたいです。パパはワインにも詳しくて、ピザも上手に焼けるので、私がウェイトレスをしてお店を繁盛させます」

と答えて話が盛り上がったとか。

高校生の娘は「ママ」じゃなくて「パパ」を選んだのです。

この瞬間、私は人生の勝者でした。

故スティーブ・ジョブスがスタンフォードの卒業式で話したコネクティング・ザ・ドッツ。

直感に従って様々なことを手掛ければ良い、やがてその点がどこかで線となってつながる日が来るというおはなし。

学習の価値はコネクティング・ザ・ドッツです。

前もって計画的に設計できないけど、振り返った時、線で繋がります。

なんとなく直感で選んで学んで公認会計士となり、直感で上場審査部に飛び出して学んで株式上場のスペシャリストとなり、アルバイト時代の先輩と起業して上場。

経営して人と組織の面白さに目覚め、未経験ながら人材組織開発のコンサル会社を立ち上げて、コーチングや臨床心理学を学び、毎日楽しみながら今年でワークハピネスは創業20周年。

さらに、コピー、シナリオ、ワイン、ピザ、、、と学んで、、これらのドットがやがてどんな線で繋がるのか?

顧客心理をよく理解し、コピー等の宣伝が秀逸で、社員教育が行き届いたピッツェリアチェーンで上場する?

ちょっとピンと来ません(笑)

この先も興味の赴くままに学習によってドットは追加されていきます。

このドットがいつどんな線で繋がるかわかりませんが、人生100年時代なので楽しみに待ちたいと思います。


WorkHappinessでは、大きく変化する時代の中での組織づくりをサポートしています。
現在、代表吉村によるマンツーマンの無料相談会「カフェワークハピネス」を実施しております。「組織風土を変えていきたいが、どこから手を付けていいかわからない」、「上層部の意識変革を行うにはどうすればいいのか」などお悩みなんでも受け付けております。お気軽に申し込みください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

人材・組織開発に携わる方必見!サービス資料や、お役立ち資料をダウンロードはこちら
ONLINE セミナーダイジェスト 人気のセミナーを3分程度の無料動画にまとめダイジェスト版をご用意致しました。セミナー受講の参考に、ぜひご覧ください。SEE ALL DIGEST MOVIE

INDEX

サービス資料・お役立ち情報満載!

資料ダウンロード

まずはお気軽にご相談ください!

フォームから問い合わせる