Z世代新入社員の心理的安全性を作る重要性とは? 効果的な解決方法も提示
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Z世代新入社員の心理的安全性を作る重要性とは? 効果的な解決方法も提示

25歳以下の若い世代を総称するZ世代。この世代の新入社員と円滑なコミュニケーションを図るのに重要なのが、職場の心理的安全性です。新入社員の早期離職を防ぐには、Z世代の傾向を知るとともに、社内における心理的安全性を確保する必要があります。

本記事では、心理的安全性の概要やZ世代が感じやすい不安と心理的安全性の関係を解説します。心理的安全性を確保するための方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

Z世代の新入社員が重視する「心理的安全性」とは

心理的安全性とは、自分の意見や考えを誰に対しても安心して発言し、行動できる状態を指す心理学用語です。

心理的安全性が達成された組織では、上司や同僚に自身の意見を述べても、人間関係に問題が起きたり、孤立したりする心配はありません。つまり、周囲の反応や評価に怯えず、誰もが自然体で働ける環境が整っている組織といえます。

心理的安全性は、1999年にアメリカ・ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授によって提唱されました。エドモンドソン教授は、組織における心理的安全性を図る指標として、次の7つの質問を挙げています。

チームの中でミスをしても、たいてい非難されてしまう チームの中で起きている問題に対して、自由に意見が言える チームメンバーの中に、考えの相違を理由に他者を拒絶したり非難したりする人がいる チームにとってリスクのあるチャレンジが許容されている チームの他のメンバーに容易に助けを求められない チームのメンバーは誰も、意図的に他者の意見を貶める行動はしない チームのメンバーと一緒に仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる

※それぞれ「あてはまる」から「あてはまらない」を5段階で評価する
※Q1・3・5は「あてはまらない」が多い方が良い/Q2・4・6・7は「あてはまる」が多い方が良い

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なぜ心理的安全性が重要なのか? Z世代の新入社員が感じやすい不安

Z世代の新入社員は、下記のような悩みを抱えることが多いです。

  • 上手く人間関係が構築できない
  • 仕事が覚えられない
  • 不明点や疑問の報連相ができない
  • ミスや失敗をするのが怖い

このような不安は心理的安全性に関係していることが多いため、その背景をしっかりと理解することが大切です。それぞれの不安について、詳しく見ていきましょう。

上手く人間関係が構築できない

インターネットが当たり前に存在する環境で育ってきたZ世代は、SNS上でのコミュニケーションは得意ですが、対面でのコミュニケーションを苦手としています。そのため、社内での人間関係に不安を持っている人が多いです。

悪目立ちするのを避けるため、考え方の違う人とはそもそもコミュニケーションを取ろうとしない傾向もあります。

新入社員の受け入れ態勢やサポート体制が整っていない組織だと、気軽にコミュニケーションが取れないことで孤独感が生まれ、離職につながりかねません。

仕事が覚えられない

Z世代の多くは、すぐに答えが見つかるインターネットが身近にあったことで、物事にはっきりとした正解を求めます。また、動画を早送りで見るなど、時間帯効果や効率性を非常に重視しています。

そのため、従来行われてきた「先輩の背中を見て覚えろ」、「効率良く正解にたどり着けない」状況に、抵抗感を持ちがちです。

さらに、リアルなコミュニケーションが苦手なので、上司や先輩へ気軽に疑問や悩みを相談できません。なかなか仕事が覚えられないと、新入社員自身が成長を感じにくくモチベーションが下がってしまいます。また指導者への負担が大きくなれば、組織内での当たりが強くなってしまい、人間関係が悪化する悪循環に陥る恐れがあります。

Z世代の新入社員の物覚えが悪いという訳ではなく、指導方法や業務の進め方がZ世代の価値観や経験にマッチしないことで、結果的に仕事を身につけるのが遅れるケースがあるのです。

不明点や疑問の報連相ができない

SNS上でのコミュニケーションを主としてきたZ世代は、周囲からの評価を気にして保守的になる傾向があります。そのため、ビジネスで大切な報告・連絡・相談の報連相を上手くできないことで悩む人は少なくありません。

例えば、上司や先輩に聞きたいこと・伝えたいことがあっても、「邪魔をするのではないか」「間違ったことを言っていないだろうか」といった不安感を抱いてしまい、迅速な報連相ができません。

また、インターネット検索を利用した情報収集能力には優れているため、周りに相談しないまま、自分で調べた情報だけを基にして仕事を進めていくこともあります。

適切なタイミングで報連相ができる環境がないと、ミスや失敗へのリカバリーが遅れたり、コミュニケーションエラーにつながったりと、問題が大きくなりかねません。

ミスや失敗をするのが怖い

プレッシャーに弱く、ミスや失敗への不安が強いのもZ世代が持つ特徴です。

Z世代は、個性や自由を重視する環境で育ってきており、SNSでの炎上などを見てきた経験から、他人から叱られたり嫌われたりすることへの恐怖を感じています。また、これまで大きなミスや失敗を起こした経験も強く叱られた経験も少ない人が多く、ミスや失敗を極度に恐れ、「絶対に失敗はできない」と強くプレッシャーをかけてしまいがちです。

周囲から否定されるという不安が強くなり、自分から声をかけられない状態が続くと、ミスや失敗をしても隠すようになってしまいます。すると、新しい仕事に取り組んだり高い目標に挑戦したりすることも難しいでしょう。

新入社員の心理的安全性を確保する方法

新入社員が抱える多くの不安を解決し、職場における心理的安全性を確保するためにはどうすればよいのでしょうか。

  • 上司やメンバー間の相互理解を深める
  • 立場にかかわらず発言しやすい環境を作る
  • ネガティブな要素はポジティブな言葉・思考に置き換える
  • 多様性を認める組織を構築する
  • 将来的なキャリアの安全性を確保する

職場の心理的安全性を高めるため、重視すべき5つのポイントについて解説します。

上司やメンバー間の相互理解を深める

上司や同僚など、一緒にチームで働くメンバーと相互理解を深めて信頼関係を構築するのが、心理的安全性を確保するための大切な一歩です。お互いをよく知れば、コミュニケーションに対する漠然とした不安感が軽減され、相手とどう接すればよいかも分かるようになります。

「報連相ができない」「仕事の不明点を相談しにくい」といった、新入社員が抱く不安感の多くは、メンバーとの信頼関係構築によって解決が可能です。ただし、表面的なコミュニケーションの回数を増やすだけでなく、価値観や仕事に対するスタイルなど、相手の深い部分まで理解する必要があります。

関係構築を社員だけに任せず、上司と部下の1on1ミーティングやメンター制度、フォローアップ面談など、企業として相互理解を深められる制度作りが必要です。

立場にかかわらず発言しやすい環境を作る

職場の心理的安全性を高めるには、立場にかかわらず、どのような意見でも言いやすい環境作りが重要です。従来の日本型企業は、はっきりした上下関係を特徴とするピラミッド型構造になっており、新入社員が上司や先輩など目上の人に対して発言しづらい雰囲気があります。

特に、対面でのコミュニケーションに苦手意識があり、周囲から悪く思われたくない気持ちの強いZ世代だと、空気を読んで自分の意見を飲み込んでしまうことも多いものです。発言しやすい職場環境を作るには、上司や先輩側による配慮が欠かせません。

定期的なチームミーティングを開いて発言の機会が与えられる場を設けると同時に、平等な意見の聴取や緊張を解きほぐすアイスブレイクの採用など、新人が話しやすい雰囲気作りに心がけましょう。他に、SNSなど新入社員が使いやすいツールをコミュニケーションに採用したり、部活動など同期生が参加できる場を提供したりする方法も有効です。

ネガティブな要素はポジティブな言葉・思考に置き換える

新入社員とコミュニケーションを図る際のポイントとして、押さえておきたいのがポジティブ変換です。新入社員を指導する際は、次のように、ネガティブな要素をポジティブな思考や発言に言い換えてみましょう。

  • 経験不足→伸び代がある
  • ミスや失敗をした→成長するチャンス
  • 仕事をするのが遅い→丁寧に進めている
  • 自己主張が強い→自分の意見を持っている、今までにない斬新なアイデアを出してくれるかもしれない

言葉が潜在意識に及ぼす影響は思っている以上に大きく、ポジティブな発言が増えれば、受け取り手の印象は大きく変わります。ネガティブな発言が減れば、新入社員だけでなくチーム全体の雰囲気も良くなり、職場全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。

多様性を認める組織を構築する

組織の中でさまざまな意見が認められれば、周囲との違いに対する不安も軽減されます。Z世代は、小さい頃からインターネット環境に親しんでおり、国内外の多様な価値観を持った情報に触れてきました。そのため、多様性を受け入れる気持ちが高く、逆に自分も他者との違いを受け入れてほしいと考えています。

所属する組織が画一的な価値観しか認めないと感じれば、周囲に嫌われたくないとの不安からコミュニケーションを避けてしまいます。多様性が認められる組織の構築には、年齢や性別などにかかわらず全ての従業員が平等に評価される仕組みが必要です。また働く時間、場所、働き方の多様性を認めるルール作り、従業員の意識改革なども求められます。

将来的なキャリアの安全性を確保する

心理的安全性とともに、新入社員に対してプラスに作用するのがキャリア安全性です。コミュニケーションが苦手で受け身だといわれるZ世代ですが、決して仕事に積極性がない訳ではなく、仕事を通じた自らのキャリア形成や成長にも期待しています。

反対に「このまま今の会社にいても成長できない」「同期や学生時代の友人たちに比べて差をつけられている」などと感じると、将来を不安に抱いて仕事を辞める原因になる可能性があります。

将来に渡ってキャリア安全性を確保するには、異動希望の積極的な受け入れや副業の解禁、継続して学べる環境・機会作り、多様な働き方の採用などの施策が挙げられます。

Z世代とのコミュニケーションのポイント

Z世代と円滑なコミュニケーションを図るためには、集団で評価せず個別の存在や価値観を尊重する姿勢が重要です。

自分らしさや多様性を重視するZ世代は、周囲からも自分の個性を認めてほしいと感じています。そのため、相手に寄り添って傾聴を心がけつつ、仕事の目的や評価基準は明確に伝えましょう。メンターのように仕事上で良かった点や成長を感じた点などをフィードバックする細やかなコミュニケーションを図ることで信頼関係を構築できます。

またむやみに過去の価値観を押し付けると、拒否感が生まれてしまいます。例えばプライベートを大切にする現代の新入社員の価値観や考え方を受け入れ、相手の考えを尊重しましょう。

話しやすい環境作りは大切ですが、深い関係を強要するのは控え、適度に距離を置きましょう。

まとめ

新入社員の早期離職を防止するためには、誰に対しても安心して発言できる職場構築が重要です。特にZ世代の新入社員は、対面でのコミュニケーションや報連相が苦手で、ミスや失敗を恐れるという特徴を持つため、心理的安全性の確立が働きやすさや活躍に直結します。

よく受け身といわれるZ世代ですが、キャリア安全性への関心は高く、仕事を通じた成長への大きな期待も持っています。彼らが早く戦力になれるよう、心理的安全性を確保し、主体性や仕事への自信を引き出していきましょう。

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この記事を書いた人この記事を書いた人

滝澤 正教

人材アウトソーシングのベンチャー企業㈱エスプール(ワークハピネスの親会社)の創立3年目に新卒にて入社。新規現場、プロジェクトの立ち上げから不採算支店を売上日本一の支店に再生するなど、同社の株式上場に貢献してきた。

多数のプロジェクトを通じ、多くのスタッフと携わる中で「人間の無限の可能性」を知り、「人の強みを活かすマネジメント」を広めるべく、2006年よりワークハピネスに参画。

中小企業を中心とした人材開発、組織風土変革コンサルティングPJを推進している。

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