若手研修でモチベーションを引き出す:押しつけない、削がない、主体性を育てるアプローチ
社員研修・人材育成

若手研修でモチベーションを引き出す:押しつけない、削がない、主体性を育てるアプローチ

若手社員のモチベーション、本当の問題はどこにあるのか

「最近の若手はやる気がない」 「何を考えているのかわからない」 「すぐに辞めてしまう」

人事担当者や管理職から、こういう声を聞くことが増えた。若手社員のモチベーション低下は、多くの企業が抱える共通の課題になっている。

でも、ちょっと待ってほしい。本当に若手はやる気がないのだろうか。入社前は目を輝かせていた新入社員が、数ヶ月後には覇気を失っている。何かがおかしい。もしかすると、問題は若手の側ではなく、組織の側にあるのではないか。

人は本来、主体的で成長を求める存在だ。好奇心を持ち、挑戦したいと思っている。それが損なわれているとしたら、何かがその芽を摘んでいる。

この記事では、若手社員のモチベーションを「上げる」のではなく、モチベーションを「削ぐものを取り除く」という視点から、研修のあり方を考えていく。押しつけるのでもなく、放置するのでもなく、若手が自ら動き出したくなる環境をどうつくるか。人事・研修担当者、経営層、組織開発に携わる方々と一緒に、そのヒントを探っていきたい。

若手社員のモチベーションを理解する

なぜ若手のモチベーションは低下するのか

若手社員のモチベーション低下には、いくつかのパターンがある。

入社直後は期待に胸を膨らませていた新入社員が、配属後に「思っていたのと違う」と感じる。任される仕事は雑務ばかり。質問しても「忙しいから後で」と返される。失敗すれば叱られるが、成功しても特に何も言われない。

あるいは、上司から細かく指示され、自分で考える余地がない。マニュアル通りにやることを求められ、改善提案をしても「前例がない」と却下される。自分が何のために働いているのか、よくわからなくなってくる。

別のケースもある。周囲に相談できる雰囲気がなく、わからないことがあっても聞けない。ミスをすれば人格を否定されるような言い方をされる。職場に居場所がないと感じる。

こうした状況が続くと、当然モチベーションは下がる。それは若手の資質の問題ではない。環境の問題だ。

コントロール感の欠如が無力感を生む

モチベーション低下の根本原因を一言で表すなら、「コントロール感の欠如」だ。

自分で選べない。自分で変えられない。自分の意思が反映されない。こうした状態が続くと、人は無力感を学習してしまう。これを「学習性無力感」という。

心理学者のセリグマンが行った実験がある。犬を2つのグループに分け、一方には電気ショックから逃れる方法を与え、もう一方には何をしても逃れられない状況に置いた。その後、両方のグループに逃げ道のある状況を与えたところ、前者の犬はすぐに逃げたが、後者の犬は逃げようとしなかった。「何をしても無駄だ」ということを学習してしまったのだ。

若手社員が置かれている状況も、これに似ている。自分の意見を言っても聞いてもらえない。改善しようと動いても邪魔される。そうした経験が積み重なると、「どうせ何を言っても無駄だ」という諦めが生まれる。

逆に言えば、コントロール感を取り戻すことが、モチベーション回復の鍵になる。自分で選べる。自分で変えられる。自分の行動が組織に影響を与えられる。そういう実感を持てたとき、人は再び動き出す。

内発的動機と外発的動機の違い

モチベーションには2種類ある。内発的動機と外発的動機だ。

外発的動機とは、外部からの報酬や罰によって生まれる動機づけだ。給与、ボーナス、評価、叱責。これらは確かに人を動かす。ただし、その効果は一時的で、しかも副作用がある。

心理学者デシが行った実験では、パズルを楽しんでいた人たちに報酬を与えたところ、かえってパズルへの興味を失ってしまった。活動そのものが楽しかったのに、報酬をもらうための手段に変わってしまったからだ。これを「過剰正当化効果」という。

一方、内発的動機とは、活動そのものから得られる喜びや満足感によって生まれる動機づけだ。「面白い」「やりがいがある」「成長できる」。こうした感覚が、持続的なモチベーションを生む。

ダニエル・ピンクは著書「モチベーション3.0」の中で、内発的動機を高める3つの要素を示している。

  • 自律性:自分で選び、自分で決められること
  • 熟達:スキルが向上し、成長を実感できること
  • 目的:意味のあることに貢献できていること

若手研修でモチベーションを引き出すには、この3つを意識する必要がある。

関係性の質がすべての出発点

組織開発の分野では「成功循環モデル」という考え方がある。MITのダニエル・キム教授が提唱したものだ。

関係性の質→思考の質→行動の質→結果の質

このサイクルは、どこから始めるかで全く異なる結果を生む。

多くの組織は「結果」から入ろうとする。「もっと成果を出せ」「売上を伸ばせ」。でも、信頼関係のない状態で結果だけを求めても、人は動かない。むしろ、対立や疲弊を生んでしまう。

成功循環モデルでは、まず「関係性の質」から始める。お互いを尊重し、安心して意見を言える関係。そうした関係性があると、人は前向きに考えるようになる(思考の質)。前向きな思考は、主体的な行動を生む(行動の質)。そして、主体的な行動が、良い結果につながる(結果の質)。

若手のモチベーションを考えるとき、この順番を間違えてはいけない。まず、安心して働ける関係性をつくる。そこからすべてが始まる。

なぜ若手研修でモチベーションが重要なのか

若手の定着と成長が組織の未来を決める

若手社員の早期離職は、多くの企業が直面している課題だ。厚生労働省の調査によれば、新卒入社から3年以内の離職率は約3割。せっかく採用し、育成しようとした人材が、組織に定着する前に去ってしまう。

採用コスト、育成コスト、そして何より組織の活力という面で、これは大きな損失だ。若手が辞める理由を見てみると、給与や待遇への不満よりも、「成長が感じられない」「やりがいがない」「人間関係」といった声が多い。

つまり、若手の定着には、モチベーションが決定的に重要なのだ。

エンゲージメントは業績に直結する

従業員エンゲージメントと企業業績の関係については、多くの調査で実証されている。エンゲージメントの高い組織は、生産性が高く、離職率が低く、顧客満足度も高い。

ギャラップ社の調査では、エンゲージメントの高いチームは、低いチームと比べて、生産性が17%高く、離職率が24%低いという結果が出ている。

若手のエンゲージメントを高めることは、単なる人事施策ではない。経営戦略そのものだ。

組織文化は若手から変わり始める

組織文化を変えるのは難しい。長年積み重なった慣習や価値観は、簡単には動かない。でも、若手は違う。まだ組織の色に染まっていない若手は、新しい文化の担い手になれる。

若手が主体的に動き、意見を言い、挑戦する。そんな姿を見て、先輩社員も変わり始める。「若手でもあんなことができるんだ」「自分も挑戦していいのかもしれない」。

組織変革は、トップダウンだけでは起こらない。現場から、特に若手から始まる変化が、組織全体に波及していく。だからこそ、若手研修でモチベーションを育てることは、組織の未来への投資なのだ。

変化の激しい時代に必要な主体性

VUCA時代と言われる現代。変化が速く、不確実性が高く、複雑で曖昧な状況が続いている。こうした環境では、上からの指示を待っているだけでは対応できない。

一人ひとりが状況を判断し、主体的に動く。そんな組織でなければ、生き残れない。特に、これから組織の中核を担う若手の主体性は、組織の競争力を左右する。

主体性は、命令では生まれない。「やらされている」と感じている限り、人は受け身のままだ。主体性を育てるには、自分で選び、自分で決める経験が必要になる。若手研修は、そうした経験を提供する絶好の機会なのだ。

若手のモチベーションを削ぐもの、育てるもの

やる気を削ぐ5つの要因

若手のモチベーションを考えるとき、「どう上げるか」ではなく、「何が削いでいるか」を見る視点が大切だ。

① 意味が見えない仕事

「なぜこの仕事をするのか」が見えないと、人は動機を失う。単純作業を延々とやらされ、それが何につながるのかわからない。誰の役に立っているのかもわからない。そんな状態では、やる気は湧かない。

仕事には必ず意味がある。でも、それが伝わっていないことが多い。特に若手は、全体像が見えていないから、自分の仕事の位置づけを理解できない。意味を伝えることは、管理職の重要な役割だ。

② 選択の余地がない

すべてが決められていて、自分で選べるものが何もない。この状態は、コントロール感の欠如を生む。人は自分で選んだことには責任を持つが、押しつけられたことには責任を感じにくい。

「どうやるか」を自分で決められる。複数の選択肢から選べる。そうした小さな自由が、オーナーシップを育てる。

③ 成長の実感がない

毎日同じことの繰り返し。新しいことに挑戦する機会がない。スキルが向上している感覚がない。こうした状況では、モチベーションは維持できない。

人は成長を求める生き物だ。昨日の自分より今日の自分が少しでも前に進んでいる。その実感が、やる気を支える。

④ 承認されない

頑張っても誰も見ていない。成果を出しても評価されない。あるいは、失敗したときだけ注目される。こうした環境では、自己効力感が育たない。

承認には2種類ある。成果への承認と、存在への承認だ。「よくやった」という評価も大切だが、「あなたがいてくれて助かる」という存在そのものへの承認が、人の根源的な欲求を満たす。

⑤ 心理的安全性の欠如

質問すると「そんなこともわからないのか」と言われる。意見を述べると否定される。失敗すると人格を攻撃される。こうした環境では、人は萎縮してしまう。

心理的安全性とは、対人関係のリスクを取っても大丈夫だと感じられる状態のことだ。わからないと言える。失敗を報告できる。反対意見を述べられる。そんな安全な場があってこそ、人は挑戦できる。

モチベーションを育てる環境づくり

では、どうすれば若手のモチベーションを育てられるのか。鍵は環境にある。

① 仕事の意味と全体像を共有する

この仕事が何のためにあるのか。顧客や社会にどんな価値を提供しているのか。自分の業務が全体の中でどう位置づけられるのか。

こうしたことを丁寧に伝える。若手は経験が浅い分、自分では気づけない。だからこそ、周囲が意識的に伝える必要がある。

② 選択の機会を増やす

すべてを決めてあげるのではなく、選ばせる。「この業務、AとBどちらのやり方がいいと思う?」「次はどんなスキルを身につけたい?」

小さなことでいい。自分で選んだという実感が、オーナーシップを育てる。

③ 挑戦と成長の機会を提供する

少し背伸びすれば届く目標を設定する。新しい業務にチャレンジさせる。失敗を許容し、そこから学ぶ文化をつくる。

人は能力と挑戦のバランスが取れているとき、フロー状態に入る。簡単すぎても難しすぎてもダメだ。適度なストレッチが、成長を促す。

④ 承認とフィードバックを日常化する

成果だけでなく、プロセスや姿勢も認める。「頑張ってたね」「この部分、工夫してたよね」。こうした言葉が、若手の自信を育てる。

フィードバックも大切だ。ただし、評価ではなく成長支援としてのフィードバック。「ここをこうすると、もっと良くなるよ」という前向きな伝え方を心がける。

⑤ 信頼関係と心理的安全性を築く

これがすべての土台になる。お互いを尊重し、安心して意見を言える関係。失敗を責めず、学びに変える文化。

上司や先輩が、「わからないことがあったら何でも聞いて」と本気で思っていること。そして、実際に聞いたときに丁寧に答えてくれること。こうした日々の積み重ねが、心理的安全性を生む。

若手研修の設計思想:押しつけない、削がない

従来型研修の問題点

多くの企業で行われている若手研修には、共通する問題がある。

一方的な講義形式。詰め込み型のカリキュラム。「これを覚えなさい」「こうすべきだ」という押しつけ。そして、研修後のフォローがない。

こうした研修は、短期的には知識を伝えられるかもしれない。でも、行動変容にはつながりにくい。なぜなら、受講者が受け身だからだ。「やらされている」という感覚のまま受けた研修は、記憶に残らない。

さらに問題なのは、こうした研修が内発的動機を損なう可能性があることだ。本来、学ぶことは楽しいはずなのに、義務として押しつけられることで、学ぶこと自体が苦痛になってしまう。

主体性を引き出す研修設計の原則

若手のモチベーションを育てる研修は、従来型とは発想が違う。

① 教えるのではなく、気づかせる

答えを与えるのではなく、自分で考える機会を提供する。ケーススタディ、グループディスカッション、振り返りのセッション。こうした手法を使って、参加者自身に気づきを得てもらう。

自分で気づいたことは、記憶に残る。そして、行動に移しやすい。

② 選択の余地を残す

研修の中でも、選択の機会をつくる。テーマを選べる。グループを選べる。取り組む課題を選べる。

すべてをコントロールするのではなく、参加者に委ねる部分を意識的につくる。

③ 実践と振り返りのサイクル

知識のインプットだけでは不十分だ。実際にやってみて、うまくいったこと・いかなかったことを振り返る。そのサイクルを回すことで、学びが定着する。

研修後も、職場で実践し、定期的に振り返る機会を設ける。継続的な学習環境をデザインする。

④ 関係性の質を高める仕掛け

研修は、知識やスキルを学ぶ場であると同時に、同期や先輩との関係を築く場でもある。心理的安全性の高い場をつくり、お互いに支え合える関係を育てる。

グループワーク、ペアワーク、雑談の時間。こうした関係性を築く時間を、意識的に確保する。

⑤ 内発的動機を刺激する

自律性、熟達、目的。この3つを意識したプログラムを組む。

自分で選べる自由(自律性)、成長を実感できる機会(熟達)、仕事の意味や社会への貢献を考える時間(目的)。これらを研修の中に織り込んでいく。

効果的な若手研修プログラムの実践例

自律性を育てるキャリアデザイン研修

若手社員が自分のキャリアを主体的に考える機会を提供する研修だ。

プログラムの流れ

  • 自己理解:強み、価値観、興味の棚卸し
  • 将来像の描写:3年後、5年後、10年後の自分
  • ギャップ分析:現在地と理想のギャップ
  • アクションプラン:具体的な行動計画の策定

重要なのは、会社が用意したキャリアパスを押しつけるのではなく、本人が自分で考えることだ。「あなたはどうなりたいのか」「そのために何をするのか」。この問いに、自分なりの答えを出していく。

ある企業では、この研修後に若手社員の離職率が20%減少した。自分のキャリアを自分で選んでいるという実感が、会社へのコミットメントを高めたのだ。

熟達を促すプロジェクト型学習

実際のビジネス課題に取り組むプロジェクトを通じて学ぶ研修だ。

プログラムの特徴

  • 実在する課題に取り組む(机上の空論ではない)
  • チームで協働する(関係性を築く)
  • 自分たちで計画し、実行する(自律性)
  • 経営層にプレゼンする(目的意識)
  • 振り返りを通じて学びを言語化する(熟達の実感)

あるメーカーでは、若手社員チームに「新商品のアイデア提案」というテーマを与えた。3ヶ月間、市場調査、アイデア創出、プロトタイプ作成、経営陣へのプレゼンまでを行った。

参加者からは「これまでで一番学びが多かった」「自分たちで考え、形にできたことが自信になった」という声が上がった。提案の中には実際に商品化されたものもあり、若手社員の主体性とモチベーションが大きく向上した。

目的を見出すビジョン共有研修

会社のビジョンや存在意義を、若手社員が自分ごととして理解する研修だ。

プログラムの内容

  • 経営層からのビジョン共有(トップの想いを直接聞く)
  • 顧客の声を聞く機会(自分たちの仕事の価値を実感する)
  • 社会的意義を考えるワークショップ
  • 自分の役割と貢献を言語化する

ただビジョンを伝えるだけでは、若手の心には響かない。「で、それが自分とどう関係あるの?」となってしまう。

大切なのは、会社のビジョンと自分の価値観をつなげることだ。「この会社で働くことが、自分の人生にとってどんな意味があるのか」。その問いに向き合う時間を持つ。

ある企業では、入社3年目の若手社員を集めて2日間の合宿研修を行った。経営層との対話、先輩社員の体験談、グループでの深い対話。研修後、参加者の多くが「この会社で頑張ろうと思えた」と語っていた。

関係性を築くメンター制度との連携

研修だけでなく、日常的な関係性も重要だ。メンター制度と研修を連動させることで、効果が高まる。

制度設計のポイント

  • メンターは直属の上司ではない先輩社員
  • 月1回程度の定期的な面談
  • 業務の相談だけでなく、キャリアや悩みも話せる関係
  • メンターにも研修を実施(傾聴、コーチング、心理的安全性)

メンターとの関係は、若手にとって心理的な拠り所になる。安心して相談できる相手がいることが、挑戦する勇気を生む。

効果的な若手研修プログラムの実践例(続き)

視野を広げるビジネスシミュレーション研修

若手社員は目の前の業務に集中するあまり、自分の仕事が全体の中でどう位置づけられているのか見えなくなることがある。視野が狭いまま固定化されてしまうと、指示待ちの姿勢から抜け出せない。

こうした課題に対して効果的なのが、ビジネスシミュレーションゲームを活用した研修だ。

バリューチェーン バードビュー研修

株式会社ワークハピネスが提供する「バリューチェーン バードビュー」は、宇宙船製造メーカーの経営を疑似体験するビジネスシミュレーションゲームだ。

プログラムの特徴は、ゲームという体験を通じて気づきを得られること。各チームが異なる部署の役割を担い、限られた時間の中で成果を競う。最初は自分のチームだけで頑張ろうとするが、次第に全体を俯瞰しないと成果が出ないことに気づいていく。

ゲーム後の振り返りでは、バリューチェーン(価値連鎖)という考え方を学ぶ。企業活動は価値連鎖の連続であり、各部署が生み出す価値がつながって、最終的に顧客への提供価値になる。自分の仕事を全体の中で捉え直すことで、仕事の意義を再確認できる。

「鳥の視点」を持つ。これがこの研修の核心だ。虫の目線(目の前のことだけ)から鳥の目線(全体を俯瞰)へ。視点が変わると、行動が変わる。

導入企業の実例:株式会社シード様

コンタクトレンズメーカーのシード様では、入社3年目の若手社員を対象にこの研修を実施した。

研修担当者の石井様は、当初は不安もあったという。「お道具箱に入っているようなものを使うゲームが、27歳の社会人に合うだろうか」と。しかし、体験会に参加してみると、全員が参加せざるを得ない設計になっており、時間内にどう行動するか自分で考えなければならない状況が生まれていた。

実際の研修では、受講者が最初は戸惑いながらも、すぐにゲームに入り込んでいった。印象的だったのは、早い段階で「他のチームも巻き込んだほうがいい」と気づいた人がいたにもかかわらず、なかなか実行に移せなかったこと。振り返りで「もっと早く巻き込めば良かった」と強く後悔する発言があり、感情にインパクトを与えられたと感じたという。

ゲーム中に状況が変わる仕掛けがあり、各チームの対応が試される。現実の業務でも状況は刻々と変わる。その場に応じて考え方を変えることの重要性を、ゲームを通じて体感できた。

研修後、受講者からは「情報を共有し合ったことで、さらに知識が増えた」「自分でどうにかするという考え方ではなく、誰かの力も借り、余裕を持って作業をするという考え方に変わった」という声が上がっている。

石井様は、ワークハピネスの研修について「受け身の気持ちで参加した社員であっても、いつの間にか夢中になって参加しており、その後の行動を変えるきっかけになる」と評価している。

研修の成果

この研修を受けた若手社員には、以下のような変化が見られる。

  • 全体を俯瞰し、一手先を見ながら自ら進んで仕事ができるようになる
  • 仕事の意味付けを自分で考えて行動できる自律型社員になる
  • 他部署と連携しながら成果を上げる意識が芽生える

ある受講者は「普段の業務が、他部署とどのような関わり方をしているのかを考えるきっかけになった」と語っている。別の受講者は「1つのグループができていれば良いということではなく、各々できることや量には違いがあり、その中でどう連携をとっていくかが全体としての利益を考えた時に大切だという事を学んだ」と振り返った。

ゲームという体験型のプログラムは、講義形式では得られない深い気づきを生む。自分が実際に取った行動を振り返ることで、普段の仕事での課題が浮き彫りになる。そして、その気づきは行動変容につながっていく。

若手研修を成功させるためのポイント

経営層のコミットメント

若手研修は人事部門だけの問題ではない。経営層が本気で若手育成にコミットしていることを示す必要がある。

研修への参加、メッセージの発信、予算の確保。こうした具体的なアクションが、「会社は本気で若手を大切にしている」というメッセージになる。

シード様の事例でも、経営層がバリューチェーンや会社のビジョンについて直接語る機会を設けることで、若手社員が自社で働く意味を再確認できている。トップの言葉は、人事担当者の言葉とは重みが違う。

現場の理解と協力

研修で学んだことを実践するには、現場の協力が不可欠だ。上司や先輩が研修の意図を理解し、職場で支援する。

「研修で学んだことを試してみたら?」という声かけ。挑戦を見守る姿勢。失敗しても責めずに、一緒に振り返る。こうした日々のサポートが、研修効果を定着させる。

逆に、現場が研修の内容を知らず、「研修で何を学んできたんだ」と否定的な態度を取ると、若手は萎縮してしまう。研修と現場をつなぐ仕組みが重要になる。

継続的なフォローアップ

研修は1回やって終わりではない。定期的なフォローアップで、学びを定着させる。

3ヶ月後、半年後のフォローアップ研修。オンラインでの学習コミュニティ。同期同士のネットワーキング。こうした仕組みが、継続的な成長を支える。

シード様の事例でも、研修後の行動変容を追跡し、効果を検証している。研修がゴールではなく、スタートだという認識が大切だ。

効果測定と改善

研修の効果を測定し、改善につなげる。

参加者アンケート、行動変容の観察、上司からのフィードバック、エンゲージメントサーベイ。こうしたデータを集めて分析し、次の研修に活かす。

ワークハピネスのバードビュー研修では、研修1ヶ月後の受講者の声を集めている。「周囲を見る意識が増え、仕事の優先付けがしやすくなった」「自分の得意を生かして動くようにしたところ、周囲から相談されることが増えた」といった具体的な変化を把握することで、研修の効果を確認している。

PDCAを回すことで、研修の質は確実に向上していく。完璧な研修などない。常に改善し続ける姿勢が、研修を進化させる。

体験型プログラムの活用

講義形式だけでなく、体験型のプログラムを取り入れることで、学びが深まる。

ビジネスシミュレーションゲーム、グループワーク、ロールプレイング。こうした手法を使うことで、受講者は自分の行動を客観視できる。

シード様の石井様が「ワークハピネスの研修は体験型のプログラムもあり、受け身の気持ちで参加した社員であっても、いつの間にか夢中になって参加している」と語るように、体験型は参加者を巻き込む力が強い。

特に若手社員は、「やってみて、振り返る」というサイクルを通じて学ぶことが得意だ。知識のインプットだけでなく、実践と振り返りを組み合わせることで、学びが定着する。

まとめ:若手のモチベーションは、組織の未来をつくる

若手社員のモチベーションは、「上げる」ものではない。もともと持っている主体性や成長意欲を、削がないことが大切だ。

人は本来、やる気を持っている。自分で選び、成長し、意味のあることに貢献したいと思っている。その芽を摘んでいるのは、コントロールを奪う環境、成長の機会がない状況、心理的安全性の欠如だ。

若手研修の役割は、そうした障害を取り除き、若手が自ら動き出したくなる環境をつくることにある。押しつけるのでもなく、放置するのでもなく、信じて支援する。

関係性の質を高め、選択の機会を増やし、成長を実感できる場をつくる。視野を広げ、仕事の意味を再確認する機会を提供する。そうした研修が、若手のモチベーションを育て、組織の未来をつくっていく。

シード様の事例が示すように、ビジネスシミュレーションゲームのような体験型プログラムは、若手に深い気づきを与える。自分の行動を振り返り、全体を俯瞰する視点を獲得することで、指示待ちから自律型社員への変化が始まる。

若手社員向けビジネスシミュレーションゲーム研修「バリューチェーンバードビュー」

「バリューチェーン バードビュー」は、企業活動は価値連鎖の連続であることを学習します。「鳥の視点」を持ち、最終顧客への提供価値を最大化するという組織全体の目的から考えて、自分の仕事を捉え直し仕事の意義を再確認することで、仕事への前向きな姿勢を獲得し、若手社員から自律的に動く中堅社員へとトランジションを図る研修です。

プログラムの詳細は下のバナー画像からご覧いただけます。

バリューチェーンバードビュー

この記事を書いた人この記事を書いた人

滝澤 正教

人材アウトソーシングのベンチャー企業㈱エスプール(ワークハピネスの親会社)の創立3年目に新卒にて入社。新規現場、プロジェクトの立ち上げから不採算支店を売上日本一の支店に再生するなど、同社の株式上場に貢献してきた。

多数のプロジェクトを通じ、多くのスタッフと携わる中で「人間の無限の可能性」を知り、「人の強みを活かすマネジメント」を広めるべく、2006年よりワークハピネスに参画。

中小企業を中心とした人材開発、組織風土変革コンサルティングPJを推進している。

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