採用面接の技術
あなたが採用の面接官になったとき、候補者にどんな質問をしますか。
就職活動にあたっては、皆さん色々と自分をよく見せるために準備してきていることが多いので、
「当社への応募動機は?」「あなたの性格上の長所と短所は何ですか?」「あなたの強みと弱みは何ですか?」「当社があなたを採用するメリットはなんですか?」等の典型的な質問に関しては大変上手に答える傾向があります。
「私は何事に対しても積極的で前向きに取り組みます!」という言葉を信じて採用したのに、入社してみたら「指示待ち」で「何事に対しても慎重」な人でびっくり!なんてことも。これ、私の実体験です。
短時間で真の人物像を見抜くのは本当に難しいです。
今日は、私が数々の採用面接体験を通して効果を実感している有効な質問を共有します。
それは次の二つの質問です。
・子供の頃、一番辛かった体験は何ですか?
・子供の頃、時を忘れて没頭してしまったことは何ですか?
「三つ子の魂、百まで」です。人間の基本的な特性は子供の頃に固まって、以後はそれほど変化しません。
人は辛い体験を乗り越えたとき、もう2度とこんな思いはしたくないので、「〜すべし!」という強固な教訓や価値観を無意識に刻みます。そして、以後、その価値観がその人の行動パターンとなります。
例えば、「家が貧乏で両親が共働きしていたので、長男として四人の兄弟の面倒を見ていました」という人は、無意識に「人に頼ってはいけない」「何事も自分で決断すべし」という価値観を持っていることが多いです。
彼の行動パターンは独立独歩。忍耐力があってガンガン決めて前に進みます。一見、頼もしいのですが、リーダーになると、周囲の意見に耳を傾けないので、「独善的で一方的な人」となってチームが崩壊しがちです。
幼い頃に親や兄弟等の肉親を失った経験がある人は「時間を限られている。無駄にしてはいけない。何事も一生懸命やろう」というような価値観、スポーツに打ち込んで挫折した経験がある人は「努力は裏切らない。辛いことから逃げてはいけない」というような価値観を持っていることが多いです。
「あなたの性格上の長所と短所は何ですか?」という一般的な質問の後に、「子供の頃、一番辛かった経験は何ですか?」と聞きます。この二つの質問の答えに整合性を感じた時、この人は正直に話しているなと思います。「長所は協調性です!」と答えたのに、辛かった体験で、「家が貧乏で両親が共働きしていたので、長男として四人の兄弟の面倒を見ていました」と言われたら何だかしっくり来ませんよね。その場合、本人が自分をよく見せようと取り繕っている可能性が高いです。そこはツッコミどころです。まれに、「その後の大学時代にリーダー体験で挫折して、コミュニケーションスタイルを『協調型』に変貌させました!」なんていう人もいます。
もしそうならば、決断力と協調性を併せ持った素晴らしいリーダーとして活躍する可能性が大です。
人間はかなりの部分、体験の産物です。特に子供の頃の家庭環境や親との関係がその方の性格やコミュニケーションスタイルに大きな影響を与えます。
次に重要となる質問が、
「子供の頃、時を忘れて没頭してしまったことは何ですか?」です。
これは、その方の才能を訊いています。
才能のある事をやっている時、身体が喜んでいるので時の感覚がなくなります。
「レゴブロックで遊んでいました」「チラシ広告の裏に絵を書いていました」というような答えをする人は何かを創造するのが得意です。
「友達と鬼ごっこしていました」「秘密基地をつくっていました」という人は人間関係の構築が得意です。
「〇〇を集めていました」と言う人は収集癖があって何かを整理したり、隅々まで学習する才能があります。
「あなたの強みと弱みは何ですか?」という一般的な質問の後に、「子供の頃、時を忘れて没頭してしまったことは何ですか?」と訊きます。この二つの質問の答えにはほとんどの人で整合性を感じます。「強みと弱み」に関してはみんな取り繕わずに正直に答える傾向が強いです。
重要な「価値観」と「才能」が掴めれば、あとは自社にとっての適正や必要性の問題です。
短時間でもしっかりと候補者を理解してミスマッチを減らしましょう。
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。