先日、テレビを見ていたら、あるお笑い芸人が、
「With コロナ社会の方が心地よい」と発言。
以前は、打ち合わせのために、複数のテレビ局を忙しく移動していた。
でも、今なら簡単な打ち合わせは全てオンラインでOK。
また、以前は仕事終わりに頻繁に呑みに誘われた。でも、仕事終わりは直帰したいタイプ。
今は、呑みのお誘いを断りやすいからとても「快適」。
お笑い芸人は濃厚接触好きだと思っていたので、この発言は意外でした。
人の性格は5つの因子によって構成されているというビックファイブという学説があります。
世界で最も信憑性のある性格分析と言われており、この理論をベースとした心理テストは世界中で活用されています。
その中の一つに「外交性/内向性」という因子があります。
「外交性」の高い人は、たくさんの人々と関わりを持つことを好み、押しが強くて、リスクやスリルを好みます。
外交性は多くの経営者に当てはまるでしょう。また、西麻布や六本木に生息する、オラオラ系のパリピも外交性が高い人々の典型です。
外交性の高い人々は、ソーシャルディスタンスを求められるwithコロナ社会を不自由に感じ、不満を高めています。
そして、SNS等で、頻繁に過度な自粛不要論を発信しています。
一方で、「内向性」が高い(外交性が低い)人は、一人の時間を好み、思慮深く、慎重に考えて行動します。
冒頭に紹介したお笑い芸人は、発言から推察するにどうもこの「内向性」が高いようです。
「内向性」が高い人は、ソーシャルディスタンスが求められるwithコロナ社会をむしろ、心地良い、快適、と感じているようです。
コロナ禍前、社会や経済は「外交性」の高い人々がリードしていました。
たくさんの人と交わるのが好きで、リスクやスリルを楽しむわけですから、会社においても、エネルギッシュに行動します。
人と交わるのが好きなので、多くの人と接触することで、取引先を開拓したり、新事業を推進させてきました。
私生活においても、アクティブに行動し、どこかに出かけて、誰かと交わり、それをSNSに投稿して多くの「いいね!」を獲得してエネルギーを充填してきました。
その露出の高さからSNS社会では、「外交性」の高い人々が主役のように見えます。
一方で、「内向性」の高い人々も会社では重要な存在です。慎重に計画して思慮深く行動するので、派手な業績を頻発することは無いのですが、堅実に実績を積み上げてくれます。
多くの人と交わるのは好きではないので、慎重に分析・計画をして、少数の適切なターゲットを確実に獲得する行動パターンを取ります。
「外交性」の高い人々から見ると、「内向性」の高い人たちの行動パターンは熟慮している時間が多いので、消極的に映ってしまいます。
私生活においても多数の人と交わるのは好きでは無いので、滅多にSNSに投稿することもありません。
週末は、自宅で映画をみたり、一人カフェで読書をすることでエネルギーを充填します。
コロナ禍によって「外交性」の高い人々は活躍する場を奪われました。
人と直接対面して、身振り手振りを踏まえてコミュニケーションを取って信頼を獲得するのが得意なのに、オンラインでは、そのフレンドリーな空気感を伝えきれません。
以前だったら、顧客を会食に誘い出して、持ち前のコミュ力で相手を楽しませて、商談を有利な状況に持っていくことができました。
ところが、Zoom等のオンラインでの営業では、時に押しが強すぎると「ポチッ」と、「退出」ボタンを押されてしまいます。
「外交性」が高い人々は、得意技を封じられて羽をもがれた鳥の様に意気消沈。
鬱憤を溜めています。
一方で「内向性」の高い人々は、ソーシャルディスタンスを求められる社会で主役に躍り出ました。
オンラインミーティングで重要なのは、入念な資料等の準備と、慎重な進行管理です。
説明に対する相手の納得度等はオンラインの画面越しからは伝わってきません。
事前に資料をメールで送付する等の準備を行い、説明に入ってからも、頻繁に
「ここまでよろしいでしょうか?」
「ご不明な点はございますでしょうか?」
と、慎重に商談を進めることが有効です。
商談が終了したら、しっかりと議事録をメールして、懸念点の解消等の次のアクションを明示する。
「外交性」の高い人からすると、とても面倒臭い、これらの慎重な行動がオンライン商談世界では大変重要となります。
「内向性」の高い人々は、入念な準備と慎重な行動が苦になりません。
コロナ前に頻繁に行われていた、人との濃厚接触が好きではありませんから、仕事においてもソーシャルディスタンスを保てるwithコロナ社会はストレスが少なくてむしろ「快適」なのです。
性格に良し悪しはありません。ただ、環境適応に有利な性格があるだけです。
ソーシャルディスタンスを求められるwithコロナ社会では、どうも「内向性」の高い性格の方が有利なようです。
さて、緊急事態宣言が解除されて、経済界の重鎮から
「海外との往来を再開すべきだ。国境を閉ざしたままでは、政治や経済の国際舞台から日本の存在感が低下してしまう」
「商談は対面しなければ進まない」
そうした、声が上がっています。
果たして、それは本当でしょうか?
デジタルネイティブのミレニアル以降の若者は、「対面」をコスパの悪い旧弊だと感じています。
特に、SNSネイティブのZ世代の若者は、リアルに一度も「対面」したことがない、でも趣味等の世界を通して知り合った仲の良い友達が大勢います。
Z世代は、人と人がわかりあうのにリアルな「対面」は不要だと知っています。
昨年、「蕎麦屋タナベ VRのススメ」というNHKの番組がありました。
本郷で蕎麦屋を営むタナベさんは4年前にソーシャルVRを始めて才能が開花。
VR空間に、謎のテーマパークなど、アバター同士で遊べる世界を次々創作した彼はグローバルに「創造神」と崇められます。
そして、VRの世界でロボットアバター姿で出会ったシンガポール在住のシェリーさんと恋に落ちて結婚に至るのです。
タナベさん曰く、
「相手の顔が見えないから、しゃべりかたや言葉使いに集中して聴く。考え方とか、長く話しているとピュアだってわかるんです。ちょっと話せば偽装は見破れます」
コロナ禍が長期化したことによって世界のビジネス界の常識が変わりました。
オンラインミーティングは、以前は一部の特殊な人々のお話でしたが、全世界が一斉にロックダウンしたことによって世界中のビジネスパーソンは強制的にオンラインミーティングを強いられました。
老若男女、デジタルリテラシーに関わらず、全ての人がZoomをはじめとしたオンラインミーティングのスキルを身につけたのです。
年老いた親と同居していたり、小さな子供がいる等、家庭の事情によって不特定多数の人との濃厚接触に対する警戒感は異なります。
取引先にオンラインミーティングを要求するのは、以前は手抜きで失礼な行為に映りましたが、今は社会のエチケットです。
取引先を気軽に会食に誘える日はまだまだ先になりそうです。
主役が変わる予感がします。
どうやら、最強なのはSNSネイティブなZ世代で「内向性」が高い方になりそうです。
さて、あなたはどうでしょうか?
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。