日本は詰んでいる?のは悪いことなのか?
CEO BLOG

日本は詰んでいる?のは悪いことなのか?

最近、「日本は詰んでいる」とか「日本はオワコン」だなどという諦めムードな発言をよく聞きます。

経済規模ではまだかろうじて世界第3位ですが、一人当たりGDPに関してはOECD加盟国の最下位近辺まで落下して、ついに韓国にも抜かれた模様です。

この30年間、金融政策や財政出動等、いろんなことをやったけどGDPは見事に横這い。

経済成長というゲームに関して言えば、間違いなく「日本は詰んでいる」と言えるでしょう。

なぜ、ここまで経済成長というゲームで負けてしまったのか?

それは、家電や自動車に次ぐ新産業が生まれていないないからです。

なぜ、新産業が生まれないのか?

原因は既得権益者を守る規制の存在と大きな変化を好まない日本人のマインドです。

既得権益者を守る規制で一番わかりやすい例はUberをはじめとしたライドシェアです。

米国は当然としてヨーロッパの各国やアジアの各国を旅してもUber等のライドシェアが使えない国はありません。

そしてこのライドシェアという新産業が人々の往来を増やし経済を活性化させているのです。

海外の知らない街に行った時、タクシーに乗るのは「ぼったくられるかも?」「遠回りされるかも?」「知らない場所に連れて行かれるかも?」等々、ちょっと緊張します。

でも、Uberアプリがあれば大丈夫。

ドライバーの顔写真も出て評価も出ています。行き先は、住所を入れるか、マップにピンを刺すだけ。会話も必要ありません。乗車すれば、ダッシュボードに置かれたスマホの地図にルートが表示されていて、車はルート上をしっかりと進んでいきます。決済もクレジットカードで安心。

ライドシェアアプリの登場で、海外の知らない街を観光するストレスは大幅に減りました。

Uber車両はどんな田舎町でも走っていますから、気軽にどこへでも出かける気になります。

人々の往来が増えれば飲食や物販も増え、同時にドライバーの収入も増えるので地元経済は潤います。

こんな便利で経済活動を活発にするライドシェアが日本ではタクシー業界の猛反対で未だに利用できないのです。

「ライドシェアは白タクで禁止されている」

「訓練されていないドライバーは危険だ」

「事故が起きたらどうするんだ」等々問題点をあげつらって反対します。

ちなみに、統計では一般車両よりもタクシーの方が事故率は高いし、

評価に晒されていないから横柄な態度のタクシードライバーも多いです。

ライドシェアの無い日本はインバウンド観光客にとってはとっても不便で不評です。

東京はまだしも地方に行ったら簡単にタクシーなどつかまりません。

ちょっと田舎では駅前でもタクシーは皆無。さらに、タクシー会社が無いから電話でも呼べないなどということもザラ。

東京でも、コンサートがあったり、雨が降ったらほとんどタクシーは捕まりません。

Uberなら、雨や混雑している時間帯は単価が上昇するので、効率よく稼ぎたい個人がここぞとばかりにUberドライバーに参戦するので需給ギャップが解消します。

もしUberをはじめとしたライドシェアが日本で解禁されれば、もっと多くの人が気軽に移動し、地方のお年寄り等の移動弱者も救われることから、経済に間違いなくプラスです。

でも、悲しいかな日本では既得権益者を守るためにライドシェアは禁止なのです。

そこにはタクシー業界を管轄する国土交通省とそこからの天下りを受け入れるタクシー業界との癒着が見え隠れします。

オンライン診療もエリアで商圏を守られている町のお医者さんが困るから全面解禁とはなりません。

薬もネットでは簡単に買えません。

民泊も、部分的に解禁されていますが、そこには面倒な手続きや制限があります。

既得権益者を守る規制の最たるものは、安定的な地位を約束されている正社員制度です。

ほぼ解雇不可能なので企業の大胆なリストラや構造転換の妨げとなっています。

産業の新陳代謝による経済の活性化を考えたならば、斜陽な産業がどんどん人をリストラして、新産業に労働力が移動していくことが望ましいのですが、日本ではこの労働移動はとてもとてもゆっくりにしか進みません。

新産業創出に関して大きな変化を好まない日本人のマインドが邪魔している最大の事例が、移民を受け入れないことです。

移民を受け入れれば、その旺盛な労働意欲と消費意欲で経済が活気付きます。

アメリカを見るとスタートアップ創業者の過半は挑戦意欲に溢れた移民たちによるものです。

移民の受け入れは社会経済の活性化にとてもプラスなのですが、治安の悪化や住民との軋轢等の様々な懸念が心配されています。

大きな変化を好まない日本人のマインドは、経済よりも社会の安定を選ぶのです。

既得権益者を守る規制の存在と大きな変化を好まない日本人の特性が今日の日本の30年にわたる経済低迷をもたらし、「日本は詰んでいる」状態にしたのです。

でも、大きな変化を好まない日本人の特性にも良い点があります。

それは、世界一安全で世界一格差が少ない安定した社会だということです。

経済成長において米中と比べると日本の凋落ぶりは悲しいですが、絶対的な水準で見た時、日本人は何も困っていません。

全ての人が冷蔵庫とエアコンのついた快適な家に住み、スマホさえあればエンタメも楽しみ放題です。

世界一安全で安定した社会に暮らしている私たち。

わざわざ周囲と摩擦を起こしてこの安全と安定を壊す気にはなりません。

世界と比較すれば気になるGDPの横ばいですが、摩擦を起こし、安全と安定を捨てて経済成長してまで欲しいものなんてあるでしょうか?

経済成長甚だしい1980年代には多くの日本人は自家用車を買って、毎シーズン新しいウエアと板を買ってスキー場に繰り出し、さらに年に2回は海外旅行をしていました。

今の若者は車もスキーも海外旅行も全く興味がありません。

休みの日は家でゲームするかネットフリックス見てまったりしていたいのです。

大人たちはマラソンとキャンプです。

さらに最近は将棋や俳句もブームだとか。

どれもこれも、地球に優しい趣味ばかり。

シンガポールに行くと驚くほど多くのランボルギーニとフェラーリが走っていますが、日本の若者は、そんなにたくさんのCO2を排出しなくても十分に幸せです。

これから世界が目指す脱炭素なライフスタイルにいち早く移行した文化水準の高い人々が日本人なのではないでしょうか?

休みにみんながマラソンしていたら、経済成長には全く貢献しませんが、幸福と健康にはとてもプラスです。

GDPが伸びることが幸福とは直結しません。

GDPが伸びればCO2も増えます。

地球環境への貢献を考えたらGDPを追求するのではなく、国民の健康と幸福を追求すべきです。

明治維新前の日本では、お花見、お月見、季節ごとのお茶会等、豊かな自然の中で四季の移ろいを感じて心穏やかに暮らしていました。

江戸時代、鎖国した経済の中でほとんど経済成長することなく、全てを自給自足して、何も捨てることなく循環させてサスティナブルな社会をつくっていました。

変化は少なく、とても社会が安定していて、犯罪も少なく安全。

明治維新による西洋化前、安全と安定は日本人のお家芸だったのです。

有限な地球で全ての国が無限に経済成長することは不可能です。

すでに日本を含め、多くの国で人口の減少が始まっています。もうすぐ中国も人口減少が始まり、程なくGDPの成長も頭打つでしょう。

人口も、経済も、いずれは成長が鈍化して縮小に向かうのです。

世界最先端で先進国を進み、世界最先端で超高齢化社会を進んでいる日本で人口減少と経済停滞が進んでいることは地球がサスティナブルに向かっている良い兆候です。

経済成長のゲームでは「日本は詰んでいる」けれども、成長しない経済のもとで幸せに暮らすゲームで世界の模範となりたいものです。


WorkHappinessでは、大きく変化する時代の中での組織づくりをサポートしています。
現在、代表吉村によるマンツーマンの無料相談会「カフェワークハピネス」を実施しております。「組織風土を変えていきたいが、どこから手を付けていいかわからない」、「上層部の意識変革を行うにはどうすればいいのか」などお悩みなんでも受け付けております。お気軽に申し込みください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

人材・組織開発に携わる方必見!サービス資料や、お役立ち資料をダウンロードはこちら
ONLINE セミナーダイジェスト 人気のセミナーを3分程度の無料動画にまとめダイジェスト版をご用意致しました。セミナー受講の参考に、ぜひご覧ください。SEE ALL DIGEST MOVIE

INDEX

サービス資料・お役立ち情報満載!

資料ダウンロード

まずはお気軽にご相談ください!

フォームから問い合わせる