ハイブリッドワークで重要な上司の聴く力
ワークハピネスが新型コロナの緊急事態宣言が出された2020年の4月に100%テレワークに移行した時には、多くの方から「大丈夫?」、「うまく行くの?」と心配されましたが、やってみれば全て杞憂。
社員一同、100%テレワークを大いに楽しんでいます。
コロナ禍を経て私たちの働き方はニューノーマルに移行しました。
あれから2年が経って2022年7月にはNTTグループが原則テレワークに移行する等、テレワークはもはや働き方の主流です。
100%テレワークという会社は少数かもしれませんが、これからもテレワークと出勤を組み合わせたハイブリッドワークの会社が増えていくでしょう。
ハイブリットワークだと上司はメンバーの働きぶりを日常的に見ていることができません。
そこで重要となるのが上司と部下の信頼関係。
見ていなくても、部下はサボらずに良い仕事をしていると上司が信じることがテレワークでの高い生産性に繋がります。
信頼は心理的安全性を生み出しますので、部下は挑戦的で創造的になります。
上司からの信頼に応えるべく部下はモチベーション高く働くのです。
さて、皆さんは、チームメンバーの方と信頼関係を構築できていますか?
信頼関係の有無を測る一番簡単な方法があります。
それは、
「最近どう?」の一言で会話が成り立つか否かです。
信頼関係があると、「最近どう?」と問いかけて上司が微笑んでいるとメンバーは今の公私における様々な状況を率直に語ってくれます。
仲の良い友人と食事に行って会話が盛り上がっているイメージです。
信頼関係がない場合、「最近どう?」と尋ねられたメンバーは、ただ「まあまあです」とか、「普通です」、「順調です」と答えて黙ります。
会話は続かず、終了。
気まずいので、仕事の事務的な話が始まります。
これでは上司として知りたい、仕事の調子が良いのか、悪いのか?問題を抱えているのか、いないのか?
プライベートは順調なのか?等、大切な情報が全く入って来ません。
場合によっては、突然の退社なんてことも。
なぜ、こんな状態になってしまうのか?
それは、メンバーが上司に対して素直な気持ちを話しても無駄だと感じているからです。
仕事の調子を尋ねられて、苦戦していることを伝えたら
「まだそんなことが出来ないんだ」と残念な顔をされた。
週末の過ごし方を聞かれて、一日家で映画を見ていたと伝えたら
「若いうちは様々な場所に行って見聞を広めた方がいいよ。私が若い時は、、」と上司の価値観を押し付けられた。
こんな体験を繰り返すうちに、メンバーは自分の素直な気持ちやありのままの状況を話す気がなくなってしまうのです。
ありのままの自分の能力や価値観を受け入れてくれない上司を信頼することはできません。
この上司のために良い仕事をしようという気持ちは湧き上がりませんから、メンバーはその能力の半分も発揮していないかもしれません。
一方で、日頃からありのままの自分の能力や価値観を完全に肯定して受け入れてもらえたら、メンバーは上司に素直に何でも話します。
感情や状況を正確に伝えてもらえたら上司としても適切な支援ができます。
完全に自分を受け入れてくれる上司に対してメンバーは好感と尊敬を抱きますから、その持てる能力の100%を発揮して良い仕事をしようと努力します。
では、どうすれば、上司部下との理想的な信頼関係を作り出せるのか?
はじめの一歩は、、
「傾聴」です。
普段、皆さんはメンバーの話をどのようなスタンスで聞いていますか?
多くの方は、メンバーの話を情報収集として聞いています。
そして、その内容を自分の価値観軸で「良い」、「悪い」、「面白い」、「つまらない」、「役に立つ」、「役に立たない」等とジャッジしながら聞いています。
メンバーが週末の話をしている時でも「良い」、「悪い」、「面白い」、「つまらない」等とジャッジして、時にはそれを感想として述べたりします。
ジャッジされているのを感じると話し手は、相手が喜ぶ「良い」、「面白い」話をしなければならないとプレッシャーを感じるので、だんだんと言葉につまります。
「傾聴」とは、人の話をジャッジすることなく、そのまま楽しく受け止めることです。
自分の価値観や興味関心を完全に捨てて、相手の価値観を100%尊重してそのまま受け止めて聴くのです。
何を話しても楽しそうに受け止めてもらえると、話し手は心地よくなってたくさん話してしまいます。
人の話を聞いていて「どうしてそんな事するのかな?」とか「具体的にどんな感じなのかな?」といった疑問が湧いてきたら、それは自分の価値観や興味関心が発動した証拠。
「傾聴」ができていない証です。
「週末、家族でキャンプに行ったんです」と聞いて、「虫とか出て嫌じゃないのかな?」とか「どこのキャンプ場だろう?」という疑問が湧いたら「傾聴」ではありません。
「週末、家族でキャンプに行ったんだね」と、楽しそうに語る相手の様子をありのまま受け止めて微笑むのが「傾聴」です。
「傾聴」するのは「キャンプ」という内容ではなくて「楽しそう」な感情です。
自分の価値観を捨てて人の話を聴くなんて難しい!と思うでしょう。
その通り、難しいのです。
私たちは常に自分の興味関心といったエゴを満たすために人の話を聞いています。
「傾聴」とはそのエゴを捨てて相手をそのまま受容する「愛」が必要なので努力がいるのです。
キーワードは自己管理。
本当に相手に対して「愛」があると自己管理は不要で、皆さんは「傾聴」ができます。
例えば、保育園に通う3歳の子供に、
「今日は楽しかった?」と聞いて
「ブランコに乗って、、滑り台を滑って、ヒロシくんは、後ろ向きに滑って、、、そしたらヒロシくんがコロコロ転がって、キャッ、キャッ(笑)」
大好きな子供の話はジャッジする事なく、内容ではなくて、楽しそうな感情をただただ味わって聴きますよね。
そして、保育園に馴染んでいることが嬉しいから笑顔も溢れます。
仮に、自分が推しているアイドルと話していたら、やはり自己管理の必要はありません。
「週末、家族でキャンプに行ったんです」と聞いて、「どこのキャンプ場だろう?」という疑問が湧いたりしません。
家族とキャンプに行ったんだー、楽しそうでよかった〜とそのまま感情を味わい、微笑むだけです。
この、ただただそのまま受け止めて聴くという態度を、大好きな子供や推しているアイドルではない人に対しても行うのが「傾聴」なのです。
自分の価値観や興味関心といったエゴを自己管理して捨てるのです。
皆さんがメンバーの話を自分のエゴを自己管理して聴けば、メンバーはありのままの素直な気持ちや状況をたくさん語ってくれます。
情報が増えれば、適切に支援できます。
自分のありのままの感情や状況を100%受け入れてくれた上司に対してメンバーは好意を抱いてその信頼に応えるべく良い仕事をします。
とても気持ち良い信頼関係。
全ては「傾聴」から始まります。
「最近どう?」でメンバーとの会話が盛り上がる気がしない、あなた。
今からでも遅くありません。
エゴの自己管理をして、勇気を持って「最近どう?」と話しかけてみましょう。
微笑みを忘れずに!
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。