
人材育成×チームビルディング完全ガイド|人事部が“強いチーム”を育てるための設計・運用・評価ポイント【2025年最新版】
組織における人材育成は、個人のスキル向上だけではなく、チームとして成果を発揮できる“集団の力”を育てることが不可欠です。
近年は、リモートワークの広がり、プロジェクト型組織の増加、人的資本経営の加速などにより、「チームビルディング」は人事部が取り組むべき重要テーマとして位置づけられています。
チーム内の関係性、心理的安全性、役割設計、コミュニケーションの質は、育成施策の成果を左右します。
本記事では、人材育成とチームビルディングを体系的に結びつけ、人事部が現場で実践できる具体策をまとめてご紹介します。
なぜ“人材育成 × チームビルディング”が重要なのか
人材育成は、単に知識やスキルを身につけさせるだけでは機能しません。
実際の現場で成果を生み出すためには、社員同士が協力し、役割を補完しあえる“強いチーム”が不可欠です。近年、多くの企業で 人材育成とチームビルディングを同時に設計する重要性 が高まっています。
人材育成とチームの成果の関係性
人材育成が成果につながるかどうかは、個人だけの力ではなく、個人単体ではなく、チーム全体の土台に左右されます。
- 育成で学んだスキルが職場で発揮されるかは“チームの心理的安全性”に依存する
- フォローし合える関係性があると、新しい行動が定着しやすい
- 個人の成長スピードは、周囲のメンバーの支援・助言の量で大きく変わる
つまり、人材育成を効果的に進めるには「個人」と「チーム」の両軸を整える必要があります。
チームビルディングが人材育成効果を高める理由
チームビルディングは、単なるレクリエーションではなく 育成の定着率を高めるための仕組み です。
人材育成効果を高める主な理由
- メンバー間の信頼関係が強まり、意見交換や挑戦が活性化する
- 業務に関する情報共有がスムーズになり、学習の速度が上がる
- チームの目的・価値観が揃うことで、育成の“方向性のずれズレ”がなくなる
支援し合う文化が強まるほど、若手の離職リスクが低減しやすい傾向がある支援し合う文化が形成されると、若手の離職率も低下する
下記は「育成単独」と「人材育成 × チームビルディング」の違いを整理した表です。
| 項目 | 育成のみ | 育成 × チームビルディング |
|---|---|---|
| 行動定着率 | 低い | 高い |
| 現場での協力体制 | 弱い | 強い |
| 若手の心理的安全性 | 低い | 高い |
| 育成効果の持続期間 | 短い | 長い |
| 離職リスク | 高い | 低い |
育成投資を最大化するには、チームの関係性を整えることが不可欠です。
人事部が担う役割の変化
昨今の人事部には、従来の「研修の企画・運営」に加え、
“組織全体の学習環境をデザインする役割” が求められています。
- 部門をまたいだチーム作りの支援
- 育成と組織文化をつなぐ施策の設計
- マネジャー層の育成力を引き上げる仕組みづくり
- 研修後のフォローアップや行動変容のモニタリング
人事部がチームビルディングを取り入れることで、
育成が「単発イベント」ではなく、職場で継続する“成長の循環”へと変わります。
人材育成におけるチームビルディングの基礎理解
チームビルディングは、社員同士の関係性を整え、協働によって成果を生み出す“組織づくりの技術”です。
人材育成の効果を最大化するためには、スキル教育の前提として「強いチームの土台」をつくることが欠かせません。
チームビルディングとは
チームビルディングとは、メンバーが協力し合い、目標達成に向けて高いパフォーマンスを発揮できる状態をつくる取り組みです。
単なるレクリエーションではなく、組織行動論・心理学をベースにした「チームの生産性を高める仕組み」です。
主な目的
- 信頼関係の構築
- 役割・期待値の明確化
- 情報共有の活性化
- チームの目的・価値観の統一
- 共同で成果を出すための協働基盤づくり
健全なチーム環境を整えることは、人材育成の効果を職場で“定着させる”ための必須要素となります。
チームワーク・心理的安全性・チームダイナミクスの基本
1. チームワーク
チームワークとは、メンバーが互いの強みを活かしながら共通の目標に向かう協働行動です。
「全員で補完し合う仕組み」があるかどうかが生産性を左右します。
2. 心理的安全性
心理学者エドモンドソンが提唱し、Googleの調査で重要性が示された概念で、Googleが提唱した概念で、
「メンバーが不安なく意見を言い合える・挑戦できる状態」を指します。
心理的安全性が低い職場では、学びも行動変容も進まず、育成効果は定着しません。
3. チームダイナミクス
チーム内の力関係・コミュニケーション・暗黙ルールなど、
「チームを動かす目に見えない力」のことです。
例えば:
- 一部の声が強く、他が沈黙する
- 個人同士の不信感で情報共有が滞る
- 役割の曖昧さから業務が属人化する
こうしたダイナミクスが悪化すると、研修で学んだスキルが現場で使われなくなるため、人事は注意が必要です。
人材育成施策とチームビルディングの連動ポイント
チームビルディングは、研修やOJTと組み合わせることで効果を最大化できます。
人事が押さえるべき連動ポイントは以下の通りです。
1. 研修前:チーム課題の診断
- 目標不一致・役割の曖昧さ・心理的安全性の低さなどを事前に把握
- 研修内容とチームの課題を紐づける
2. 研修中:協働を促すプログラム設計
- グループワークを通じ、実務に直結する協働スキルを育成
- 意見交換・相互理解を深めるワークを効果的に配置
3. 研修後:現場で行動定着を支援
- 上司・マネジャーとの1on1やフォロー面談
- チーム単位での振り返りミーティング
- 役割分担の再設計や目標再定義を行う
人事部が設計すべき人材育成・チームビルディングの3つのフェーズ
チームビルディングは「イベント実施」で終わるものではなく、
設計 → 実行 → 継続化 の3フェーズを通じて初めて成果が現れます。
人事部はこの流れを体系的にマネジメントし、育成効果が現場に定着する仕組みをつくることが重要です。
フェーズ1:設計(目的・役割・評価指標の明確化)
チームビルディングの効果を最大化するには、最初の“設計”が最も重要です。
方向性が曖昧なまま実施すると、単なるレクリエーションで終わってしまいます。
1. 目的設定
- 「何のために取り組むのか」を明確にする
- 離職防止、生産性向上、心理的安全性向上、若手の定着など
- 経営・現場の課題と接続させることで成果が出やすくなる
2. チームの役割定義
- チームのミッション・成果責任を明確化
- チーム内の役割(リーダー・サブリーダー・担当領域)を割り振る
- 属人化を減らし、育成内容がチームに浸透しやすくなる
3. 評価基準・KPIの設定
- 目的と連動した「行動指標」「成果指標」をセットする
- 定性的評価(コミュニケーション量・心理的安全性)
- 定量的評価(改善提案件数・離職率・業務スピード)
- チームで追う指標と、個人で追う指標を分けて設計する
フェーズ2:実行(研修とチーム活動の連動)
設計した目的や役割を、現場の行動に落とし込むステージです。
人材育成とチームビルディングを“同時並行”で進めることが成果につながります。
1. ワークショップ/研修/OJTの設計
- チームでの課題解決ワーク
- 役割理解・情報共有を促すグループワーク
- OJTでの協働場面を明確にする
2. チーム活動とコミュニケーション促進
- 週次・隔週の短いチームミーティング
- 業務共有の透明化(タスク整理・進捗共有)
- 雑談や相互理解の時間を設け、関係性を強化
3. リーダーシップ育成との連動
- マネジャー・チームリーダーの育成スキル向上
- 1on1やフィードバック面談の品質を高める
- 若手が挑戦しやすい心理的安全性をリーダーがつくる
フェーズ3:継続化(行動が“続く仕組み”へ)
チームビルディングは一度の実施では定着しません。
継続的な振り返りと改善サイクルを回すことで、チームの状態は安定し、育成効果が長期化します。
1. 定着のための振り返り手法
- チーム単位での定期振り返り(What/Why/How)
- チェックイン・チェックアウトの導入
- 小さな成功体験の共有
2. モニタリングと改善サイクル
- KPI・行動記録の定期チェック
- ミーティングの質/協働の度合いを観察
- 必要に応じてOJT計画や役割分担の見直しを行う
3. 行動変容を促す仕組みづくり
- 上司によるフィードバック習慣の定着
- 行動が変わった社員をきちんと評価する制度設計
- 成功ストーリーを社内に共有し、継続意欲を高める
3フェーズの比較表(要点整理)
| フェーズ | 人事の主な役割 | 成果につながるポイント |
|---|---|---|
| 設計 | 目的・役割・KPIの明確化 | 「何を目指すか」を言語化し、全員で共有する |
| 実行 | 研修・OJT・チーム活動の支援 | 学んだ内容を“チームで使える形”に落とし込む |
| 継続化 | 振り返り・モニタリング・改善 | 行動が続く仕組みを作り、チーム文化として根づかせる |
人材育成・チームビルディングの各フェーズで使える人事向けチェックリスト
チームビルディングを効果的に進めるには、フェーズごとに“押さえるべきポイント”を漏れなく確認することが重要です。
ここでは、人事が実務でそのまま活用できるチェックリストとして、設計・実行・定着の3段階に整理しました。
設計チェックリスト(目的・方針・役割の明確化)
施策の成否を左右するのは、初期設計の精度です。
以下の観点が整っていれば、実行フェーズのブレを最小化できます。
目的と方向性の明確化
- 取り組む理由(離職防止、生産性向上、心理的安全性向上 など)が明確
- 経営課題・現場課題とロジックがつながっている
- ゴール(理想のチーム像)が共有されている
チームの役割・構造の整理
- チームのミッションが定義されている
- 役割分担(リーダー/サブリーダー/担当領域)がクリア
- 属人化を排除する業務フローが設計されている
評価基準・KPIの設定
- 行動指標(例:発言量、情報共有頻度)が定義されている
- 成果指標(例:改善提案件数、生産性指標)が設定されている
- チームと個人で追う指標を分けている
- 評価の測定方法が明確になっている
実行チェックリスト(研修・OJT・コミュニケーションの促進)
設計した内容を現場で行動に落とし込むためのチェックポイントです。
研修・ワークショップの運営
- 研修目的が事前に全員へ共有されている
- チーム課題に沿ったグループワークが設計されている
- OJTでの協働場面が明確化されている
- 現場の上司・リーダーが研修内容を理解している
チーム活動・コミュニケーション
- 週次・隔週でのチームミーティングが定期運用されている
- 情報共有ツール(Slack, Teams, Notion など)が整備されている
- 業務進捗が透明化されている
- 雑談・相互理解の場を意図的に設置している
リーダーシップ育成との連動
- リーダーが心理的安全性づくりを実践できている
- フィードバック方法(1on1)の基準が整っている
- メンバーの強み・弱みが把握されている
- チーム内で挑戦が奨励される雰囲気がある
定着・評価チェックリスト(振り返り・改善・行動変容の支援)
実施後の“フォロー”がなければ行動は続きません。
チーム文化へと根づかせるための継続チェックリストです。
振り返りの運用
- 定期的な振り返り(What / Why / How)が実施されている
- チーム全体での成功体験が共有されている
- 振り返りの結果が次の行動に反映されている
モニタリングと改善サイクル
- KPI(行動/成果)が定期的に更新されている
- 課題が出た時に、チームで改善案を話し合う習慣がある
- チームの状態変化(信頼/コミュニケーション量)を把握している
行動変容を促す仕組み
- 行動が変わったメンバーを評価する仕組みがある
- 成果が出た事例を社内に共有し、再現性を高めている
- 上司がフィードバックを継続できるよう支援している
人材育成・チームビルディングのよくある失敗と人事部が避けるべき落とし穴
人材育成とチームビルディングは、多くの企業で導入が進む一方、形だけの取り組みになり、効果が出ないケースも少なくありません。
ここでは、人事部が特に避けるべき典型的な失敗を整理し、実務で注意すべきポイントを明確にします。
研修実施だけで終わってしまう
最も多いのが「研修を実施した=育成は完了」と見なしてしまうケースです。
実際には、研修はスタート地点であり、定着させるための設計が不可欠です。
よくある失敗例
- 研修後にフォローアップが存在しない
- 現場に戻ったら“いつもどおり”に逆戻り
- 学んだ内容が業務と結びつかない
人事が取るべき対策
- 研修 → 実践 → 振り返り のサイクルを制度化
- 現場リーダーとの連携を強化
- 行動定着を評価制度にも反映させる
チーム構成や役割が曖昧で機能不全に陥る
チームビルディングの効果を阻害する大きな要因が「役割の曖昧さ」です。
誰が何を担当し、どこまで責任を持つのかが不明確だと、学びが活かされません。
典型的な問題
- 期待役割がメンバーごとにバラバラ
- 得意・不得意を把握しないままタスク配分
- 責任の所在があいまいで業務が属人化
人事が取るべき対策
- チームのミッション・役割・責任範囲を明文化
- リーダーの役割を研修で強化
- チームの目的と個人育成計画を紐づける
管理職が巻き込まれない(現場が動かない)
研修の設計がどれだけ優れていても、管理職が変わらなければチームの行動は変わりません。
よくある失敗
- 管理職が研修内容を理解していない
- “育成は人事の仕事”と丸投げされる
- 部下の心理的安全性をつくる行動ができていない
人事が取るべき対策
- 管理職研修(1on1・フィードバック・コミュニケーション)の強化
- チームビルディングの重要性を管理職にも浸透
- リーダーと人事が一体で支援する運用フローを設計
管理職を巻き込むかどうかで、施策の成功率は大きく変わります。
振り返り・改善が制度化されない
「実施して終わり」になってしまう最大の原因は、振り返りの習慣化がないことにあります。
こんな状態が起きやすい
- 研修後の振り返りシートのみで終了
- KPIが更新されない
- 現場で“改善サイクル”が回っていない
人事が取るべき対策
- チーム単位での振り返りミーティングを定期運用
- 小さな成功体験の共有を文化にする
- 改善点を次の研修・OJT計画に反映させる
振り返りが制度化されることで、チームは長期的に学び続ける組織へと変化します。
人材育成・チームビルディングの失敗と対策の一覧表
| よくある失敗 | 起こる理由 | 人事部が取るべき対策 |
|---|---|---|
| 研修だけで終了する | 現場での実践・フォローが不足 | 研修後のフォローと行動定着の仕組み化 |
| 役割が曖昧で機能しない | ミッションや責任範囲が不明瞭 | 役割定義・期待行動の明文化 |
| 管理職が巻き込まれない | 育成が人事任せになっている | 管理職育成と現場巻き込みの仕組み |
| 振り返りが制度化されない | PDCAが回っていない | 定期振り返り・KPI更新・改善サイクル |
人材育成・チームビルディングの活用事例
チームビルディングは、特定の場面だけに使うものではありません。
人事部が戦略的に活用することで、チームの立ち上げから既存組織の再構築、リモート環境への適応まで幅広い場面で効果を発揮します。
ここでは、代表的な4つの活用シーンを紹介します。
新設チーム・プロジェクト立ち上げ時
新しいチームは、立ち上がりのスピードと生産性が成果に直結します。
このフェーズでのチームビルディングは「チームの基礎設計」として非常に重要です。
主な効果
- ミッション・KPIの早期共有
- 役割分担が明確になり、混乱や属人化が防げる
- 信頼関係の基盤ができ、業務スピードが上がる
- プロジェクト全体の方向性が揃い、無駄な軋轢が減る
よく使われる施策
- 立ち上げキックオフワークショップ
- チーム目標づくり・価値観共有セッション
- 行動指針・コミュニケーションルールの策定
既存チームの再構築(関係性改善・生産性向上)
既存チームは、慣れや解釈のズレによって関係性が悪化したり、業務が停滞するケースがあります。
このような時、チームビルディングは“再起動”の役割を果たします。
課題の例
- 報連相の滞り
- 意思疎通のズレ
- 業務の属人化
- 新人や若手が孤立しやすい
チームビルディングによる改善効果
- コミュニケーション量が安定し、関係性が改善
- 役割・責任の再定義により業務効率が向上
- チーム内で自律的に助け合う文化が強まる
- 離職リスクが下がり、若手が育ちやすくなる
リモート/ハイブリッドチームへの応用
リモートワーク環境では、対面時のような自然なコミュニケーションや非言語情報が不足しがちです。
そのため、意図的なチームビルディングがより重要になります。
リモート特有の課題
- 孤独感や心理的距離の拡大
- 情報共有の遅延
- メンバーの状況把握が困難
- 新人や若手のオンボーディングが難しい
効果的なアプローチ
- オンラインワークショップ(価値観共有・目標設定)
- バーチャル朝会・短いチェックイン導入
- オンラインOJTの設計(画面共有・ロールプレイ)
- 雑談や“非業務コミュニケーション”を意識的に作る
ハイブリッド環境では、対面とオンラインの特性を掛け合わせ、
“関係性の強化”と“業務の透明化”を同時に進めることがポイントです。
研修・OJTと組織開発をつなぐ実践例
人材育成を単発で終わらせず、組織開発と連動させることで、企業の成長サイクルは大きく加速します。
実践例の流れ(人事部視点)
- 研修前:チーム課題を診断し、学ぶべきテーマを明確化
- 研修中:チーム単位の課題解決ワークを実施
- 研修後:OJT・1on1で行動をフォローし、振り返りで改善
- 組織開発:成功事例を横展開し、全社で仕組み化
メリット
- 行動変容が“その場限り”で終わらず、職場に定着
- 部門間でのナレッジ共有が進み、全社的な生産性向上につながる
- 育成施策が組織文化へと昇華し、長期的な競争力につながる
人材育成・チームビルディングの活用事例の比較表
| 活用シーン | 主な課題 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 新設チーム立ち上げ | 方向性不一致・役割不明確 | ミッション共有・協働基盤の構築 |
| 既存チーム再構築 | コミュニケーション低下・属人化 | 関係性改善・生産性向上 |
| リモート/ハイブリッド | 情報共有不足・心理的距離 | 信頼醸成・透明性向上 |
| 研修×組織開発連動 | 行動が続かない・施策の短命化 | 定着・継続・組織文化の強化 |
成果測定とKPI:人材育成×チームビルディングの効果を可視化する
人材育成とチームビルディングは、“実施すること”が目的ではありません。
最終的には 組織パフォーマンスの向上 に結びつく必要があります。
そのため、人事部は定量・定性両面のKPIを設計し、施策の効果を可視化することが重要です。
定量指標(離職率/生産性/成果指標など)
定量指標は、組織全体の「数字の変化」を捉えるために不可欠です。
実際の効果が明確に示されるため、経営層への説明にも有効です。
主な定量KPI
- 離職率
チームの心理的安全性・関係性の改善が定着すると下がる傾向がある - 生産性指標
業務処理スピード/プロジェクトの達成率/売上・成果創出量 - 改善提案件数
自発的行動が増えるほど改善のアイデアが増加 - OJT実施回数
育成活動が現場で回っているかの重要指標 - 1on1実施率
管理職が関係性づくりに関わっている割合
指標の設計ポイント
- “研修だけ”で完結せず、現場行動とリンクさせる
- 部門ごとの差異を見ることで改善のヒントが得られる
- 期間比較(前期→今期)で変化を追う
定性指標(心理的安全性/チーム力調査など)
定性指標は、定量だけでは把握できない チームの状態変化 を評価するために重要です。
代表的な定性KPI
- 心理的安全性スコア(質問票で数値化可能)
- チーム満足度/関係性スコア
- コミュニケーション頻度・質の向上
- 研修後の行動変容(具体エピソード)
- メンバー間の信頼度・協働度
定性評価が必要な理由
- “雰囲気の変化”が行動変容の前触れとなる
- 若手の定着率や自発性と密接に関係する
- 定量変化の背景要因を読み解くことができる
人事データとの連動(HRデータドリブン運用)
チームビルディングと人材育成は、単体で評価するのではなく、
既存の人事データと掛け合わせて分析することで、効果検証の精度が大幅に高まります。
連動可能なデータの例
- 人事評価(成長曲線・行動特性)
- 離職データ(時期・理由・部門ごとの差)
- OJT・研修受講履歴
- エンゲージメントサーベイ
- 勤怠データ(残業・出勤パターン)
- プロジェクト成果データ
データ連動によるメリット
- 成長スピードが速いチームの特徴が可視化できる
- 管理職の育成力の強弱が分かる
- 組織課題の“根本原因”を特定しやすくなる
可視化ダッシュボードの活用(人事が押さえるべき運用ポイント)
人材育成・チームビルディングの成果を社内で共有するには、
ダッシュボード(BIツール)による可視化 が有効です。
活用イメージ
- KPI(離職率・1on1実施率・心理的安全性スコア)を自動更新
- 部門別のチーム力の比較
- 時系列で成果推移を確認
- 効果の高い施策・チームの共通点を発見
よく使われるツール例
- Tableau
- Power BI
- Looker Studio
- HR向け可視化ツール(エンゲージメント診断系など)
運用のポイント
- “一度作って終わり”ではなく継続更新が前提
- 経営・部門長が見やすい指標に絞る
- 行動につながるインサイト(示唆)を必ず添える
人材育成・チームビルディングのKPIまとめ表
| 指標区分 | 代表指標 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 定量指標 | 離職率、生産性、改善提案件数、1on1実施率 | 施策の“数字としての成果”を把握する |
| 定性指標 | 心理的安全性、関係性スコア、行動変容エピソード | チームの状態変化を可視化し、改善の方向性をつかむ |
| 人事データ連動 | 評価データ、研修履歴、勤怠・離職データ | 組織課題の原因特定と施策の精度向上 |
| 可視化ダッシュボード | BIツールによる自動更新 | 経営層・部門長にわかりやすく成果を示す |
人材育成・チームビルディングの今後のトレンドと人事部が備えるべき視点
人材育成とチームビルディングは、従来の「研修・関係性向上」だけの領域を超え、
今後は DX・人的資本経営・多様性・AI などの変化と密接に結びついていきます。
人事部はこれらの潮流を理解し、自社の状況に合わせて施策をアップデートしていく必要があります。
DX・HRテックによる育成の高度化
DXやHRテックの普及により、育成施策はデータドリブン化・個別最適化が進む傾向にあります。DXやHRテックの進展により、育成施策はよりデータドリブンかつ個別最適化が進みます。
代表的な変化の方向性
- 学習進捗・行動データの可視化
個人・チームの成長度合いが数字で把握できる - オンライン研修プラットフォームの活用
スキル習得のスピードが早まり、属人的な教育を脱却 - エンゲージメント計測ツールの普及
チーム状態をリアルタイムで把握し、早期介入が可能 - ナッジ理論による行動促進
小さな通知やリマインドで行動変容が継続しやすい
人事が備えるべき視点
- ツール導入だけでなく、運用設計まで含めて“仕組み化”する
- データ分析を育成・配置・評価に連動させる
- 内製教育と外部サービスを組み合わせたハイブリッド運用へ移行
人的資本経営との接続(育成を“投資”として扱う時代)
人的資本経営が求められる現在、人材育成とチームビルディングは 「費用ではなく投資」 として扱われます。
背景となるトレンド
- 人材関連の開示が企業価値に直結
- チーム力の向上が生産性やイノベーションの源泉
- “学び続ける組織” が競争優位の条件になる
人事が備えるべき視点
- 育成の成果をKPI(行動/成果)で可視化し経営と接続
- チーム単位のデータで“成長する組織構造”をつくる
- 部門横断で育成施策を標準化・体系化
育成と組織開発が、経営戦略レベルで求められる時代です。
多様性・リモート時代における新しいチーム像
働き方の多様化が進む中、チームビルディングは「全員が同じ場所にいる」前提では機能しません。
これからのチームの特徴
- リモート × 対面のハイブリッドモデルが標準化
- 国籍・ジェンダー・バックグラウンドの多様性が増加
- 個人の強みや価値観を尊重するマネジメントが求められる
- 物理的距離があっても“つながり”を感じられる仕組みが重要
求められる人事のアクション
- 個別最適化されたオンボーディング
- オンラインでも深い関係を築けるワークの導入
- 異文化理解研修・コミュニケーション研修の刷新
- 役割・タスクを明確化し、透明性を確保する仕組み
ハイブリッド環境では、「働く場所」ではなく
“協働する仕組み” を設計できるかがチームの強さを決定します。
AI時代の人材育成・チームビルディング(人とAIの協働を前提とした組織設計)
AIの進化により、チームワークの構造そのものが大きく変わりつつあります。
予測される変化
- AIによる業務自動化で“人が担うべき仕事”が変化
- AIを使いこなせるチームと、使いこなせないチームの差が拡大
- データ活用・クリエイティビティがより重視される
- 個人だけでなく“チームのAIリテラシー”が評価されるようになる
人事が備えるべき視点
- AIツールのリテラシー研修をチーム単位で実施
- AIとの協働ワーク(文章生成・分析・企画検討)を日常化
- AIで可視化されたデータに基づくマネジメントルールの整備
- 「人が担う価値領域」を再定義し、それに沿った育成を設計
AI時代のチームに必要な3要素
- テクノロジー活用力
- 創造性(企画・対人コミュニケーション・価値創出)
- 協働力(AIを活用しながらチームで成果を出す力)
人材育成・チームビルディングで人事部が今日から取り組む3つのアクション
人材育成とチームビルディングは、単なる研修メニューではなく、組織の未来を左右する「戦略施策」です。
変化の大きい時代だからこそ、人事部が主体となり、現場を巻き込みながら“持続的に育つ組織”をつくることが求められています。
今日から取り組めるアクションは、次の3つです。
1. チーム育成の優先事項を決める
まずは、自社・部署における課題を明確にし、
「今どの力が不足しているのか」「どの行動を強化すべきか」を特定することが重要です。
優先順位を決めることで、研修・OJT・組織開発の施策が一貫性を持ち、成果が上がりやすくなります。
2. リーダーと人事が協働する体制づくり
人事だけでは育成は進まず、リーダーだけでも定着しません。
両者が役割を分担しながら連携することで、チーム内の行動変容がスムーズに起こり、
育成施策が“現場で使われる仕組み”へと変わります。
3. チームビルディングを“単発”で終わらせない仕組み化
ワークショップや研修を実施して終わりにせず、
振り返り・モニタリング・改善サイクルを継続させることで、
学びは文化として組織に根づいていきます。
チームビルディングを継続運用できる仕組みこそ、組織の競争力を高める土台となります。
人事部が主体的に動き、現場と一体でチーム育成を進められれば、
組織は確実に強くなり、社員一人ひとりの成長も加速します。
“人が育つチーム” をつくるために、ぜひ今日から一歩を踏み出してみてください。
チームビルディング研修の導入をご検討の際は、ぜひワークハピネスにご相談ください。貴社の課題に、一緒に取り組んでいきましょう。

人材アウトソーシングのベンチャー企業㈱エスプール(ワークハピネスの親会社)の創立3年目に新卒にて入社。新規現場、プロジェクトの立ち上げから不採算支店を売上日本一の支店に再生するなど、同社の株式上場に貢献してきた。
多数のプロジェクトを通じ、多くのスタッフと携わる中で「人間の無限の可能性」を知り、「人の強みを活かすマネジメント」を広めるべく、2006年よりワークハピネスに参画。
中小企業を中心とした人材開発、組織風土変革コンサルティングPJを推進している。






















