コミュニケーションの核となるダイアローグとは?
変革と多様化の時代を背景に、組織におけるコミュニケーション方法として「ダイアローグ」の必要性が高まっています。ダイアローグとは何か。なぜ今求められているのか。そしてどう身に付けていけばよいのかを紹介します。
ダイアローグとは
ダイアローグ(dialogue)を直訳すると、対話、問答、会話、対談となり、小説や演劇などにも使われる言葉です。
組織における人事用語として使う場合、一番意味が近い訳は「対話」になり、「会話」のような単なる情報のやりとりではなく、そこに創造性のあるコミュニケーションが発生するという意味合いが込められています。話し手と聞き手の一対一でのやりとりが主体になることから「雑談」「議論」とも違います。
ここでいうダイアローグは、話し合いによりお互いの立場や意見を尊重して理解を深めるとともに、意識や行動の変化につながるような創造的なコミュニケーションを指します。
なぜダイアローグが注目されているのか
ではなぜ今、ダイアローグが注目されているのでしょうか。
多様化の時代が背景
ダイアローグが注目されている背景には、まず雇用形態や人材が多様化しつつあることが挙げられます。能力や立場、勤務場所や時間も違う人々を1つにまとめて組織の生産性を高めるためには、個々の状況や考えをそれぞれ理解していく必要があります。
また、人手不足によりそれぞれが目の前の仕事に追われ、他人の立場を考える余裕がない状況、そしてIT化が進みメールで連絡が可能になり対面で話す機会が失われつつある状況。これにより、人とのつながりが薄れ、コミュニケーションに問題が生じてきたのです。
なぜダイアローグが重要なのか
会社が成長するために、ダイアローグは重要です。
まず対面して話すことで、誤解を避けることができます。言葉だけではなく表情や声、場面など多角的に情報を共有しているからです。メールの短い文面で誤解を生んだり、電話で相手の心理を図りかねたりする経験は誰にも思い当たるものだと思います。予想していなかったアイデアが生まれる可能性が高いのも、ダイアローグの特徴です。
用件を伝えるだけになりがちなコミュニケーションに広がりを与え質を高めるには、直接顔を合わせて話をすることが必要なのです。何より「人とのつながり」は仕事へのモチベーションを高めます。会って話をした相手には、より「協力しよう」と思う気持ちが生まれるのではないでしょうか。
さらに理解が深まるのは相手だけでなく、今まで気づかなかった自分自身についてもダイアローグを行うことで知ることができます。
そして、問題解決を可能にしてくれるのもダイアローグです。お互いの立場や状況、知恵を共有することで、多様な視点からの情報が得られるからです。
研修でダイアローグを学ぶには
ダイアローグに必要な能力は、相手の話を「聞く力」と相手に伝える「話す力」です。では、それを組織でどう身に付ければよいのでしょうか。人事としてできることのひとつに研修がありますが、研修でダイアローグを学ぶために必要なポイントを紹介します。
研修でダイアローグを学ぶには、少なくとも以下の4つのポイントを押さえておくべきでしょう。
- ダイアローグの意味と重要性を理解する
- ダイアローグをするにあたり気をつけておくべきポイントを知る
- さまざまな状況を想定したダイアローグの方法を知る
- ロールプレイングで体験する
研修の冒頭で、ダイアローグについて学ぶ理由、つまりその意味と重要性をしっかりと理解してもらうことが前提です。グループで研修を行う場合には、ものの捉え方や意見が人それぞれ違うことを認識する機会を設けるのもよいでしょう。例えば会社の理念が「人々に貢献する」といった内容の場合、「人々」が顧客なのか社会全体なのかが違ったりします。どちらが正しいかではなく、人によってさまざまな捉え方・考え方があることを認識し、自分と違った考えを理解・尊重することが目的です。
ダイアローグをする際、重要なのは前述した「聞く力」と「話す力」です。話を聞くことは、ただ聞くのではなく耳を傾けてよく“聞き”深く理解することです。相手の話に集中して能動的に聞く、という姿勢が大切です。話すときは決して相手の意見を否定するのではなく、ものごとを前向きに捉えて話すとよいでしょう。ポイントは、安心して話しやすい雰囲気で行うことです。ダイアローグは結果を出すための話し合いではありません。話し合うテーマの意味を探求し、お互いの信頼関係を築きながら進めていきましょう。
ダイアローグを行うべき状況はさまざまです。「複雑な問題を抱えていて答えが出ない」「同じ問題が何度も起こる」「思考が固まってしまう」など、具体的な状況別にダイアローグを体験してみるとよいでしょう。ロールプレイングを行う際、初めは違和感を覚えるかもしれませんが、次第にダイアローグを行う意味の実感がつかめてくるはずです。
ダイアローグつまり対話は人とのコミュニケーションの基本ともいえます。組織の人材が多様化しコミュニケーションツールも多様化するほど、その重要性は高まるといえます。効果的なダイアローグの方法を身に付けるためには、研修だけでなく日常的に機会を設ける必要もあるでしょう。
株式会社ワークハピネス
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