「あなたの会社は活性化されていますか?」と聞かれてイエスと答えられるでしょうか? そもそも組織が活性化しているとはどんな状態のことなのか、曖昧に感じている人も多いかもしれません。しかし、組織が活性化しているかどうかは、会社の成長に大きく関わる大事な要素です。そこで、今回は組織の活性化についてその意味と取り組み内容について考えてみましょう。
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組織の活性化とは何か
活性化している組織とは、具体的にどういう状態にあるのでしょうか。ブリタニカ国際大百科事典では、「組織を構成する者が生き生きと働き、目的遂行が効率的に行われている状態」と解説されています。しかし、この「生き生き」というのがわかるようで曖昧な気もします。東京大学准教授の中原淳氏の見解では、主に以下の2つの要件が定義されているようです。
- 職場メンバーが相互に意志をコミュニケートしつつ、目的・価値観を共有できること
- 職場メンバーが能動的に新しいことに挑戦し、成長を実感できること
(出典)基調講演「組織活性化」を問い直す:経営学習論・組織論の知見から|日本の人事部カンファレンス
つまり、従業員が忙しく働いている状態や、ただ従業員同士の仲がいいことは活性化といえません。コミュニケーションが活発に行われ、皆が目指す方向が明確であり、上からいわれなくても従業員が自ら活発に動き、高いモチベーションで成長を遂げている状況が「活性化している状態」といえるでしょう。
組織が活性化しないとどうなるか
逆に組織が活性化していない状態、つまり停滞しているとどのようなことが起こるのでしょうか。
業務の形骸化による、無駄の発生
停滞した組織では、業務が形骸化することにより多くの無駄が発生します。例えば、時間をかけて会議の資料を作成したことに満足してしまい、新しい意見を交わしたり、これまでにない画期的な方法を見出したりすることを忘れてしまうといったケースです。
アイデアの枯渇
特に商品開発のようなクリエイティビティが必要とされる職場では、常に新しいアイデアを生み出すことが生命線です。個人でアイデアを生み出すには限界がありますが、周囲の人や環境の刺激によって生まれやすくなるものです。停滞している組織では、各々の考えが固まっており、アイデアは枯渇してしまうでしょう。
個人の孤立
コミュニケーションが活発に行われていない状況では、個人は孤立していきます。近年のIT化により、対面でのコミュニケーションも失われがちななか、1人で仕事を完結するので、他人のことより自分さえ良ければいいという考えに陥りがちになります。こうした独りよがりの考えは、チームワークが重要な組織においては致命的ともいえます。
モチベーションの低下
他人と価値観を共有したり、同じ目的を持って協力したりすることで、チームの一体感が生まれます。それは仕事のモチベーションにもつながります。停滞した組織では、一体感も刺激もなく、モチベーションは低下していくでしょう。
優秀な人材の流出
優秀な人材ほど、自分を成長させる環境に身を置きたいと思うものです。活性化されていない企業で、他者からの影響も少なく成長できないと感じれば、当然離れていきます。優秀な人材が流出することにより、職場はますます停滞するという負のスパイラルに陥るかもしれません。
取り組みの具体策
以上からもわかるように、活性化してない組織では生産性も低下します。逆にいうと、活性化ができれば組織の生産性は向上します。では活性化のためにはどのような取り組みがあるでしょうか。具体策を考えてみましょう。
ビジョンの明確化
具体的なイメージを思い描くことで、行動に移しやすくなります。会社が目指すビジョンを明確にし、共有することができれば、従業員はそれをイメージして実行に移していくことができます。ビジョンを描く際は、全員が共感できるビジョンとなるよう、なるべく多くの従業員を巻き込むことが大切です。そして、ビジョンは描くだけでなく、管理職が体現することで浸透させていかなければなりません。
コミュニケーションの活性化
コミュニケーションが活性化すれば、組織全体が機能し始めます。コミュニケーションの手法は1つでなく、多様な方法があるため上手く使い分けましょう。現代のITツールは、今やEメールだけでなく社内SNSや掲示板、チームで共有するグループウエアなど、気軽にやりとりができるものも多いです。とはいえ、ITツールに頼ってしまうと対面で話す機会が減ってしまうので要注意。定期的な対話の機会を設ける、懇親会を実施するなど、生身の人間同士の交流を図ることも、コミュニケーションの質を高めるために欠かせない要素となります。
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やりがい・モチベーションのアップ
モチベーションをアップさせるには、チームの一体感が必要であることは述べました。つまり、個人間の活性化を図るだけでなく、組織全体として取り組むということです。表彰制度や社内公募制度を設け、調整する機会を与えることで、モチベーションの向上につなげている企業の例も多くあります。制度とともに「褒める文化」を醸成していくことも、モチベーションの向上、組織の活性化の第一歩です。
組織を活性化させることで、無駄がなくなり、組織の生産性は向上します。また、活性化した組織のもとで従業員は成長し、ひいては自社の成長につながります。業務の効率化が進む時代にこそ、積極的な働きかけが必要になったともいえるでしょう。ぜひ自社の活性化という点を重視して、見直してみてはいかがでしょうか。
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▼参考
株式会社ワークハピネス
「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」をミッションに、人材開発、組織開発、事業創造支援を主に行うコンサルティングファーム。人の意識を変え、行動を変え、組織を変えることに強みを持つ。