「会社に対するエンゲージメントが希薄になっていること」が課題でした。ヒアリングの結果、会社のミッション、存在意義が自分事になっていないという状態に陥っていることがわかり、まず社員全員で目指すミッションを新しく創りました。その全社員を巻き込んでの活動で、社員の会社へのロイヤリティを高め、退職率減少や社員エンゲージメント・サーベイの大幅改善という効果をもたす結果となりました。
- 課題
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- 会社のミッション、存在意義が自分事にならず、本質的な求心力が欠如
- 実施策
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- 管理職全員で新しいミッション・バリューを策定
- 全社員を巻き込んだ、新ミッション発見活動
- 効果
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- 全社員が経営の主体として、積極的に経営に参画し、自律的にプロジェクトに参加するようになった
- マネージャーがそれぞれ自らのビジョンを自らの言葉でチームに語るようになった
- 退職率の減少や社員エンゲージメントの大幅な改善が見られた
社員の声からの課題発見
メンバーズ社は「消費者起点の豊かな社会の創造に貢献する」というミッションを掲げてインターネット黎明期の1995年に創業した。一貫して企業のデジタルマーケティングを支援し続け、近年はFacebookを代表とする実名インターネットの国内普及を牽引し、メガバンクや大手飲料メーカー、大手衛星放送会社をはじめとした国内大手企業のWebサイト構築・運用、ソーシャルメディア活用支援等を行っている。
そんなメンバーズの剣持社長は刻々と流れ行く時代の中で「ミッションが時代に合わなくなってきているのではないか?」という疑念を抱くようになっていた。その疑念は社内アンケートから見受けられた。社歴の長い社員や中堅社員が会社でのキャリアパスに疑問を抱き、会社に対するエンゲージメントが稀薄になっていることがわかったのである。そして、弊社(WorkHappiness)に声が掛かった。
会社のミッション・存在意義の現状
弊社が依頼を受けて、最初に実行したことは課題点を明確にするための現場のヒアリングである。課長4名と、その部のメンバー4名、計8名にヒアリングを実施した。
ヒアリングから課題点を抽出した結果、『会社のミッション、存在意義が自分事になっていない』という状態に陥っており、「本質的な求心力が欠如」していたのである。要するに「これを成し遂げるために皆が集っている」という部分が欠けてしまっていたのだ。
メンバーズには『消費者起点の豊かな社会の創造に貢献する』という1995年の創業以来掲げてきた先進的なミッションがあった。しかし、デジタルインフラの普及やテクノロジーの進歩によって急速にソーシャルメディアが台頭し、すでに消費者起点の世の中が実現しつつある現代、メンバーズとして一番大切な会社のミッション、バリューが薄れつつあることに気付いたのである。
組織のミッション・バリューの土台を作る
まず、剣持社長が下した決断は、創業以来掲げてきたミッションを改め、社員全員で目指すミッションを新しく創る!というものであった。この勇気ある決断が経営陣、マネージャー陣を引っ張った。
社長を含む経営陣、課長以上のマネージャー陣が、全員参加でミッション・バリューを探求するワークショップを開催。自社の過去20年の歴史を振返り、本当に大切なものは何なのか?自分達は何を成し遂げたいのか?社会にどんな貢献をしたいのか?そして未来永劫変わらない存在意義は何なのか?を繰り返しディスカッションし、新しいミッションの土台と自社のコアバリュー(貢献・挑戦・誠実・仲間)をつくった。
新ミッションの決定
マネージャー以上でつくったミッションの土台を全社員に伝え、全社員が新しいミッション策定に参加するプロジェクトを立ち上げた段階で、各部署から参加する総勢11名の「Members Way委員会」を設置した。「Members Way委員会」とは、新しいミッションに対する全社員からの意見を取りまとめ、新たなミッションを策定するための中心組織である。部長を委員長に、メンバー2名を副委員長に置き、半年間活動を行なった。そして2014年4月初旬の全社総会でその成果となる新しいミッションを発表。総会での発表は委員会に任せ、剣持社長は解説をする役割に徹した。全社員で決定したという意識を共有するためだ。
キーマンには、弊社からヒアリングという体で時間をいただきつつも、実は、現場の一人ひとりが、主体的に組織の将来を作っていくべきだというボトムアップの考え方を浸透させることを目的としていた。
そのミッションとは『“MEMBERSHIP”でマーケティングを変え、心豊かな社会を創る』※“MEMBERSHIP”とは、自発的貢献意欲を持って何らかの組織活動に参加すること。
剣持社長がメンバーズという社名に込めた想いのひとつは、全社員が経営の主体として、積極的に経営に参画し、自律的な意志を持ってプロジェクトに参加する組織づくりにある。
振返ってみれば、いままでもクライアントに貢献することに真摯に向き合ってきた。例えば東北大震災のとき、東京にいる社員はほぼ全員出社し、クライアントに連絡して、自分達に何ができるのかを考え、クライアントのサポートをし続けた。大手企業であるクライアントは非常時でもユーザーにタイムリーかつ正確に情報を提供しなければならない。クライアントがユーザーに最新の情報を発信し続けられる情報インフラを支えるのが我々メンバーズである、と全員が主体的に動き、クライアントが本当に望んでいることを叶える会社こそがメンバーズなのである。
その後、仙台に東北復興支援を目的としたWeb制作拠点「ウェブガーデン仙台」を設立し、雇用を生み出し、現在も社員数を増やし続けている。クライアントのみならず、自身が関わっている全ての人に誠実に向き合ってきたことがメンバーズ足る所以である。
新ミッション発見による効果
新たなミッション、バリューを策定したことで、経営会議を始めとした各階層の会議での意思決定が迅速化された。
また、マネージャー陣が「自分のミッション」と「会社のミッション」の重なりを見いだしたことで、メンバーズを偉大な会社にしていくのだ!という決意を固めたのである。
その効果は各所で出ている。各部長が部内のメンバーを巻き込むための合宿を開き、「俺たちの部署はどうなっていきたい?」と問いかけ、それをメンバーで突き詰めていくようになったのである。
このような全社員を巻き込んでの新ミッション発見活動(変革への取り組み)は、社員達の会社へのロイヤリティーを高め、退職率減少や社員エンゲージメントサーベイの大幅改善という効果ももたらした。
これからもメンバーズはより多くのクライアントの経済的成功を支援すると同時に、「心豊かな社会」の実現に大きく貢献していくことだろう。
執行役員 経営企画・人材開発室担当 髙野明彦様のコメント
メンバーズはインターネット黎明期の1995年に「消費者起点の豊かな社会の創造に貢献する」という理念のもとに創業して以来、顧客企業のWebマーケティングを支援してまいりました。2010年に発表した中期経営計画で「ソーシャルメディア時代をリードし顧客と共にビジネスを創造するネットビジネスパートナー」というコンセプト・戦略を打ち出し、今ではFacebookマーケティングや大規模Web制作・運用などで業界を代表する存在となっています。
メンバーズはインターネット黎明期の1995年に「消費者起点の豊かな社会の創造に貢献する」という理念のもとに創業して以来、顧客企業のWebマーケティングを支援してまいりました。2010年に発表した中期経営計画で「ソーシャルメディア時代をリードし顧客と共にビジネスを創造するネットビジネスパートナー」というコンセプト・戦略を打ち出し、今ではFacebookマーケティングや大規模Web制作・運用などで業界を代表する存在となっています。
そのような折に出会ったのがWorkHappinessさんでした。まず初めに実施したのが、全マネージャーが参加したミッション・ビジョン探求の2日間のワークショップ。それまでの他社で実施したマネジメント研修とは全く違う多くの気づきを得られました。会社の歴史への誇り、会社を作ってきた仲間に対する尊敬、自分たちが共有している価値観、そして「何を・どうやるべきか」という戦略・戦術ではなく10年後、20年後を見据えて「どうなりたいのか」「社会にどんな価値を提供したいのか」というミッション・ビジョンが根幹であることなど。そしてそのミッション・ビジョンを自分事として「やりたい」と皆が思えるようになったことと、マネージャーがそれぞれ自らのビジョンを自らの言葉でチームに語るようになったことが一番の成果でした。
その後さらに半年をかけて、WorkHappinessさんにサポートしていただきながら、全社員のワークショップなどを通じて新ミッション・新ビジョンを策定しました。我々のコアバリュー「貢献・挑戦・誠実・仲間」が反映されたメンバーズらしい、そして10年、20年かけて追い求めるにふさわしいものが出来上がり、我々は何のためにここに集まっているのか?どこを目指しているのか?という迷いが一切なくなりました。これからもWorkHappinessさんと共にミッション・ビジョンの実現に燃えるチームを作っていきたいと思います。