エンゲージメントクライシスが大企業を襲う
ヘッドハンター業界の格言に、「会社の器と社長の器以上の人は採用できない」というのがあります。それはそうですね。大企業は、多くの人財や資本をもっているため、「会社の器」>「社長の器」になってしまうのです。 採用力の高い会社は、会社のブランドや人気の製品があるかどうかで決まりがちです。今の若者の会社を選ぶ基準は、親や友達に説明して「いいね!」がもらえるかがどうかなのです。
大企業の組織のエンゲージメントが変わる
乱暴な言い方すると、どんな大企業の社長であっても、「社長は誰だか知らないけど、会社の知名度が高いから」、、みたいな感じで新卒は会社を選びます。 一方、ベンチャー企業はほとんどが「会社の器」<「社長の器」ではないでしょうか。
一般的には、誰も知らない会社だけど、社長が魅力的で、社長が語る会社のミッションやビジョンに共感して、入社を決めます。 これをエンゲージメントに置き換えると、従業員は「会社の器」と「上司の器」の両方でエンゲージメントを高めます。
●大企業:「会社の器」>「上司の器」
●ベンチャー企業:「会社の器」<「上司の器」
一般的に「会社の器」には7つあります。
1 知名度の高いブランド(例:ソニー、トヨタなど)
2 知名度の高い製品やサービス
(例:プレステ、スーパードライ、食べログなど)
3 履歴書に書くと転職に有利(例:マッキンゼー、BCGなど)
4 給料が高い(キーエンス、外資系金融、一部不動産会社など)
5 仕事内容が魅力的(マスコミ、広告代理店、旅行代理店など)
6 雇用が安定してる(多くの大企業)
7 立派な社屋とオフィス(多くの大企業)
実は、1から5までの器がある大企業は、上場4,000社の中でも数えるくらいしか無いんです。ほとんどの大企業は、「何をやっているのか、どんな仕事か、よく分かんないけど、安定してそうだから入社しました」というのが社員さんの本音です。 つまり、6と7の「雇用が安定している」「立派な社屋とオフィス」で選ばれているのが実情なんです。 コロナショックで大不況が来ると、大企業でもリストラは必須となります。テレワークで「立派な社屋とオフィス」も無用の長物。過大な負担となります。エンゲージメントを高めるために使えるツールが減ってしまうんですね。
一方、ベンチャー企業の場合、もともと「会社の器」に頼ってなかったので、テレワークになってもエンゲージメントは大した問題にならないでしょう。
ところが、大企業の場合、「会社の器」があるので、たとえ上司が雑なマネジメントをしても問題ありませんでした。これから大企業のマネージャーは、丁寧で手抜きのないマネジメントが必要となります。 ベンチャー企業では、部下に仕事を任せるとき、「君の強みを見込んでこれをまかせたい」とお願いします。
部下に、「なぜ、こっちじゃダメなんですか?」と問われると、「うちのミッションは〇〇だろ。こっちの方がミッションに沿っているからだ」と答えることができます。
小さい会社なので、マネージャーには自社のミッションやビジョンがしっかり共有されているのです。
大企業の場合、極端な話、「これやっといて!」と言ったときに、部下に「なぜ、こっちじゃダメなんですか?」と問われると、「昔からウチではこうやってきたから!」と答えます。
長年つちかった顧客との信頼関係があるので、たとえ、前例踏襲であっても、仕事が回ってしまうんですね。社員も「終身雇用で安定しているし、定年まで波風立てずに言われたことだけやろう」となってしまうのです。
Withコロナ時代、私たちは前例の無い未開の大地に突入します。様々な変化に対して、現場での臨機応変な対応が必要となります。エンゲージメント高く、主体的に判断するチームでなければ乗り越えられません。 もし、「雇用の安定」と「立派な社屋とオフィス」を失い、加えて「雑なマネジメント」を続けたら、、、、部下の不満が爆発、チーム崩壊し、面従腹背(めんじゅうふくはい)の社員ばかりになります。
ワークはほどほどにして、ライフを楽しむ社員が増大。会社はテレワーク社員監視ツールを入れて、上司と部下の信頼関係は崩壊など、テレワークが進むとともに、エンゲージメントクライシス(従業員の組織への愛着が失われる危機)が大企業を襲うのです。
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。