2024年の新入社員の傾向は?Z世代を取り巻く環境や育て方を解説
2024年の新入社員の傾向を知るには「Z世代」と呼ばれる世代について理解しておくことが大切です。令和における新入社員は、すでに会社で働いている従業員とはまったく違う環境で育ってきました。Z世代にはこれまでに受けた学校教育や、めまぐるしく変化する社会経済のなかで得た価値観や特徴があります。
本記事では新入社員の傾向や育て方を解説します。企業が新入社員を活用するために、社員教育のポイントも紹介しますので参考にしてください。
まずは新入社員を取り巻く環境をチェック
新入社員の世代が持つ傾向を知るために、育ってきた環境や社会情勢はどのようなものであったかをチェックしましょう。
学校教育
ゆとり教育は2002年から始まっているため、2024年の新入社員は小学校からゆとり教育を受けていることになります。ゆとり教育は従来の詰込み型の教育を見直して個々の個性を伸ばすために設けられた制度です。導入された当初は、学習指導要領を削減すれば子どもの生活にゆとりが生まれるのではないかと期待されていました。
しかし実際には、例えば運動会で「仲良く一緒に」ゴールさせるなど、個性を発揮しにくい場面が増えてしまったことも否定できません。目立つことを避けてみんなと同じように行動しないと、いじめの対象になりやすいといったケースもあるようです。小学生のときからSNSを利用している世代のため、いじめが陰湿で表面化しにくい特徴もあります。
親子関係
2024年の大卒新入社員の親は、主に「新人類」とも呼ばれてきた世代です。競争意識が強い「団塊世代」とは異なり、バブルや激しい受験戦争などの経験から個性重視の傾向があると言われています。そのため子どもとは友だちのような関係を持つケースも多くなりました。
また自らが受けてきた管理教育への反発から、子どもの自由を尊重する傾向もあります。従来からの親子関係とは異なる面も出てきたことで、モンスターペアレンツなどの新たな言葉も生まれました。
社会経済
これまで不安定な社会経済の中で育ってきた新入社員は、一般的に働くことに夢を見る傾向が少ないのも特徴です。バブル崩壊やリーマンショック後の不景気を知っているだけに、経済は不安定なものと捉えています。従来の年功序列や終身雇用の仕組みから能力重視の雇用が見直されるなど、大きな変化を体感してきました。阪神淡路大震災や東日本大震災などの大きな災害、テロの台頭などの不安からは、自分が生きる意味を問うこともあったでしょう。
またスマートフォンやSNSが普及して、コミュニケーションの方法が間接的になっている点も新入社員に見られます。対面でリアルタイムに伝えるのではなく、周りの空気を読むことを優先し、本当に言いたいことは気の知れた一部の人にだけ伝える傾向もあります。
令和の新入社員の傾向とは
ここでは新入社員に見られる主な傾向を紹介しますので、把握しながら新入社員への理解を深めていきましょう。
報連相に苦手意識を持っている
報告・連絡・相談の「報連相」は社会人としての基本とされていますが、苦手意識を持つ新入社員が増えています。他人から自分はどう思われているのかを気にし過ぎると、自発的に相手に働きかけることができません。つまらないことを言っていると相手に思われるのではないか、間違えていたらどうしようなど、考え過ぎてしまうためです。報連相がスピーディーにされず時間が経ってしまうと、周囲との行き違いだけでなく間違った方向へ進んでしまう可能性もあります。
また検索スキルが高く情報収集が得意なので、自分に一定の自信を持っているのも特徴です。相談しないことで周囲の意見を聴く機会は減り、自分の偏った見方で進めていく可能性もあります。
受け身の傾向がある
令和の新入社員には、自発的に行動するよりも相手からのアクションを待つ傾向があります。そのため仕事においても指示されるのを待ってから動くことが多いことも特徴です。人よりも目立たないようにしてきたため、頑張って認められた経験が少ないことも影響しています。周囲を気にし過ぎるあまり、余計なことをしないように言われた範囲だけをしている可能性もあります。
仕事に慣れないうちは仕方がないともいえますが、指示されてからも次の指示がないと行動できない傾向があるともいえるでしょう。その場合、先輩や上司の社員は細かく指示を出さなくてはなりません。多忙なときには指示を出すにも限界があるうえに、対応し過ぎると新入社員の自発性が育たなくなる可能性もあります。
関連記事:受け身な新入社員を変えるには?NGな指導と主体性の引き出し方を解説
心を開く人の範囲が狭い
自分の本心を話せる人の範囲が狭いのも新入社員の傾向です。新入社員のコミュニケーションは、対面よりもSNSを媒介とする方法へと大きく変化してきました。そもそも他の人と違う意見を述べると目立ってしまうため、新入社員は苦手な人や意見の異なる人とのコミュニケーションを避ける傾向があります。スマートフォンやSNSは、対面と違って自分がコンタクトを取らなくても済むこともあるでしょう。
しかし仕事をする際には自分と同じ考えを持つ好きな人とだけ関わるわけにはいきません。
さまざまなコミュニケーションを取る経験が少なかった場合、好きな人以外の相手への接し方に不安を持つようになります。心を開かずに周囲と表面的な接しかたに終わってしまうのも新入社員の傾向です。
プレッシャーに弱い
新入社員の世代には間違ってはいけないという思い込みから、自分に強いプレッシャーをかけてしまう傾向があります。これも育ってきた社会の状況や学校教育などからの影響を受けているのではないかと考えられています。間違えた経験が少なく精神的に成長しない場合、自分は何でもできるという根拠のない自信「万能感」を持つ原因にもなりかねません。子どもの発達過程にある万能感は、本来は少しずつ消えていきます。
またSNSでは人が失敗すると炎上や謝罪する場面もあるため、絶対に失敗できないと自分にプレッシャーをかけてしまう可能性もあります。間違った万能感を持っている限り、人は誰でも失敗することがあると知るまでは、自分にプレッシャーをかけ続けることになるでしょう。
はっきりした正解を求める
子ども時代からSNSに親しんできたZ世代には、物事には必ず正解があると思い込む傾向もあります。インターネットは分からないことを検索するだけでスピーディーに答えが得られる世界です。検索によって得られたものを正解と信じている場合は、それ以上自分で考えることはありません。
しかし現実社会には明確な答えのないものも多くあります。そのため新入社員は、仕事を始めてから正解のない不安にかられる可能性もるでしょう。
強い承認欲求を持っている
ゆとり教育の学校生活やSNSの中で育ってきたZ世代は、自分を認めてくれるのが当然と考える傾向が強まっています。SNSに投稿すると「いいね」と承認された経験があると、さらに認められたい欲求が高まります。
そのため相手に自分を承認するように求める気持ちが強くなるのも新入社員の特徴です。人に認められるために頑張りますが、認められないと働く意欲を失いがちになることもあります。強い承認欲求が満たされないと不満を抱えやすい点には注意が必要でしょう。
Z世代の新入社員を育てるコツとは
一般的に1990年代後半から2012年頃の世代を指すZ世代は、アメリカで使われ始めた言葉で、1960~1980年代前半を指す「X世代」に続く世代です。個人主義や強い独立心のあるX世代に対して、日本では就職氷河期にあたるY世代(ミレニアム世代)、Z世代と続いています。Z世代は、スマートフォンやSNSなどソーシャルメディアが進歩した社会で育っていることが特徴です。
日本におけるZ世代の人口比よりも高いアメリカでは、Z世代が大きなマーケティングの対象として注目されています。
価値観の理解に努める
Z世代に分類される新入社員の価値観は、すでに社会に出て働いてきた世代とは異なります。世代ごとに価値観は違うという認識を持ち、自分の価値観を押し付けるなどの強制は避けましょう。新入社員の持つ価値観などの傾向を理解した上で、一人ひとりにあった新人教育の方法を探ることが大切です。仕事に必要なスキルにしても、相手が何を考えているのかを理解してから、その必要性を論理的に説明していくなら、互いの信頼関係を築いていけるでしょう。
意識的に承認の機会を増やす
承認欲求の強いZ世代の新入社員は、仕事においても周囲からの承認が得られるかどうかで意欲の持ちかたが変わってきます。結果だけを承認するのではなく、頑張ってきた過程や仕事に対する姿勢を前向きに評価するのも新人教育のポイントです。
ただし単に何でも承認すれば良いというものではありません。承認がなければ仕事への意欲が低下してしまう可能性もあるため、新入社員の仕事がやりがいのあるものであることに気付けるような教育も必要です。
新入社員自身に考えてもらう機会を設ける
Z時代の新入社員には、自身に考えてもらう機会を設けるのも育成のポイントです。それには、計画から実行、評価、改善を繰り返すPDCAサイクルが重要であることを新入社員に伝えます。マネジメントにおいて明確な正解はないため、自分で試行錯誤するほうが成長を期待できるでしょう。はじめから指示するなど正解を教えなければ、新入社員は自分で考える習慣が身に付きます。自分なりの仮説を立てて実行した結果を自分で改善していくには、考える力が必要です。
新入社員研修を実施する
Z世代の新人教育には、世代の持つ傾向を理解することが欠かせません。従来の価値観とは異なる点は何か、SNSが及ぼす影響などを踏まえながら一人ひとりに合わせた対応が必要になるでしょう。新入社員が仕事をするために必要な力は、適切な研修を実施して身に付けさせることをおすすめします。
自社で研修を実施するのが難しい場合は、人材育成を専門とする会社へ依頼するのもひとつの方法です。Z世代の新入社員向けの研修プログラムのある研修を実施している会社なら、より効果が上がります。ビジネスに必要なスキルを身に付けるなら、今後の活躍も期待できるでしょう。
答えのない問いに向き合い、自己と他者の価値観理解を深める新入社員向けマインドセット研修はワークハピネスが最も得意とする新入社員研修です。
まとめ
2024年の新入社員には、受け身の姿勢や承認欲求の強さ、明確な答えを求めるなどの傾向があります。学校教育やSNSなどの影響が表れているのが特徴です。受け入れる側は、価値観の違いを理解しながら新人教育をする必要があります。
ワークハピネスでは、Z世代の新入社員に対応する「自律型新人育成研修」をご提供しています。創業20年の弊社は、心理学や発達理論をもとにしたオリジナルの人材開発アプローチを使い、集団研修でも一人ひとりに合わせた研修が可能です。ワークハピネスの研修なら、Z世代の新入社員も納得感が深めながら成長していけるでしょう。
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大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。
医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。