
デザイン研修とは?目的・内容・種類・効果・カリキュラム例まで徹底解説【2025年最新版】
ビジネスの現場では今、デザインの力が「問題解決」や「価値創造」の中心に据えられています。
かつては専門職だけの領域だったデザインも、近年では職種を問わず必要とされるスキルとなりました。
その背景で注目されているのが「デザイン研修」です。
本記事では、デザイン研修の基本的な仕組みや種類、受講目的、得られる効果、そして実際のカリキュラム例までをわかりやすく解説します。デザイナー志望者はもちろん、ビジネスパーソンやマネージャー層にとっても、自分や組織を変える“学びのデザイン”のヒントになるでしょう。
デザイン研修とは
デザイン研修の定義と目的
デザイン研修とは、デザインに関する知識や考え方、スキルを体系的に学ぶための研修プログラムです。対象はグラフィックやWebデザイナーだけでなく、マーケティング担当者、商品企画、営業、マネージャーなど、幅広い職種に及びます。
近年では、企業の競争力を高めるために「デザインを経営に活かす」動きが広がっており、デザイン研修は単なる制作技術の習得ではなく、問題解決力・創造力・共感力を育てる場として位置づけられています。
研修の目的は主に次の3つです。
- ビジュアル表現力の向上(資料・プレゼン・広告などの品質改善)
- デザイン思考の理解(課題発見から解決までのプロセスを体系化)
- チーム間の共通言語づくり(デザイナーと非デザイナーの連携強化)
単に「見た目を整える」スキルではなく、相手に伝わる構成・体験・価値の設計力を学ぶことが、現代のデザイン研修の中心にあります。
ビジネスにおける「デザイン思考」との関係
デザイン研修の中核にあるのが「デザイン思考(Design Thinking)」です。
デザイン思考とは、ユーザー中心で物事を考え、課題を発見し、創造的に解決するための思考法のこと。AppleやGoogleなどの世界的企業が取り入れたことで、ビジネスの現場でも注目を集めています。
一般的なデザイン研修では、次のような流れでデザイン思考を学びます。
- 共感(Empathize):ユーザーや顧客の立場に立って本質的な課題を理解する
- 定義(Define):問題を整理し、解決すべきゴールを明確化する
- 発想(Ideate):自由な発想で複数のアイデアを生み出す
- 試作(Prototype):アイデアを形にして検証する
- テスト(Test):実際の利用者の反応を確認し、改善を重ねる
このプロセスを通じて、デザインを「見た目」ではなく「体験の設計」として理解できるようになります。
その結果、デザイナーでなくとも「どうすればユーザーに伝わるか」「より良い体験を生むには何を変えるべきか」を自ら考えられるようになるのです。
ノンデザイナーに求められるデザインリテラシー
デザイン研修が広く注目されている理由のひとつが、ノンデザイナー(非デザイナー職)にもデザインリテラシーが求められる時代になっていることです。
プレゼン資料、SNS投稿、企画書、採用ページ――あらゆる場面で「伝える力」「見せる力」が問われるようになりました。
デザインリテラシーとは、単にツールを使いこなすスキルではなく、
- 情報を整理し、構造的に伝える力
- 配色・余白・フォントなどの基本原則を理解する力
- 目的や文脈に応じて表現を選択する力
を指します。
デザイン研修では、こうした基礎を学ぶことで、**「なんとなく良さそう」ではなく「論理的に良いデザイン」**を判断できるようになります。
つまり、全員がデザイナーになる必要はなくても、全員が“デザインを理解する人”になることが重要なのです。
デザイン研修の主な種類
デザイン研修と一口にいっても、学ぶ分野や目的によって内容は大きく異なります。ここでは、代表的な研修の種類と特徴を紹介します。
Web・UI/UXデザイン系
Webやアプリの分野で活躍するためのデジタルデザインスキルを学ぶ研修です。
HTML・CSS・Figma・Photoshopなどのツール操作に加え、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)設計を体系的に理解することを目的としています。
主な内容は以下の通りです。
- Webサイトやアプリの構成・レイアウト設計
- 配色・タイポグラフィ・情報設計(IA)の基礎
- ユーザー視点でのプロトタイプ作成と改善
- アクセシビリティやレスポンシブ対応の基礎
初心者向けではツール操作から、実務者向けでは「デザインレビュー」「A/Bテスト」「コンバージョン設計」など、成果に直結する内容を扱うことが多く見られます。
サービスデザイン・デザイン思考系
「デザイン=課題解決の手法」として活用するための研修です。
顧客体験の設計(CX)や業務改善、商品企画など、ビジネス全体にデザイン思考を応用することを目的としています。
代表的なテーマは以下の通りです。
- 顧客のインサイト発見・ペルソナ設計
- カスタマージャーニーマップ作成
- アイデア創出ワークショップ
- 試作・検証プロセスの実践
経営層・企画職・営業職などにも人気が高く、**「共感→定義→発想→試作→検証」**というデザイン思考の5ステップを実践形式で学びます。近年はDX推進や新規事業開発研修とも結びついています。
キャリア・ライフデザイン系
自身のキャリアや人生設計を「デザイン」する研修です。
ビジュアル的なデザインではなく、自分の価値観・強み・将来像を構築する内省型プログラムとして位置づけられています。
主な目的は次の通りです。
- キャリアの棚卸しと方向性の明確化
- 理想の働き方・生き方を描くワーク
- ミッション・ビジョン・バリューの設計
- 組織内での役割再定義
新入社員から管理職まで幅広く実施され、個人の主体性や自律的キャリア形成を促すことを狙いとしています。学校・自治体で行われる「キャリアデザイン研修」や「ライフプラン研修」もこのカテゴリーに含まれます。
ユニバーサルデザイン・社会的デザイン系
社会的課題に対して、誰もが利用しやすい・理解しやすいデザインを学ぶ研修です。
バリアフリー、ジェンダー配慮、多文化共生など、多様性を尊重する視点が重視されます。
内容例:
- 色覚多様性に配慮した配色設計
- 高齢者や障がい者にも使いやすいUI
- ピクトグラムや情報伝達の最適化
- 公共施設・教育現場でのユニバーサルデザイン実践
「見た目の美しさ」だけでなく「使う人の多様性」を意識することで、社会的価値を創出するデザインを学べます。公共機関や教育現場で導入が進んでいる分野です。
空間・プロダクト・工業デザインなどの専門分野
実際の「モノ」や「空間」を対象に、形状・機能・素材・構造などを総合的に設計する専門型デザイン研修です。
建築・インテリア・プロダクトデザイン・ファッションなど、多岐にわたります。
研修内容の一例:
- 造形・スケッチ・CADモデリング
- 素材研究・色彩計画・人体工学
- 展示空間・店舗ディスプレイ設計
- サステナブル素材や循環型デザインの基礎
アート思考やクリエイティブ発想を磨くために、美大・専門学校・企業研修などでも広く取り入れられています。
オンライン研修・集合研修の違いと特徴
デザイン研修はオンライン型と集合(対面)型の両方で開催されています。
目的や習熟度に応じて形式を選ぶことが重要です。
| 形式 | 特徴 | 向いている対象 |
|---|---|---|
| オンライン研修 | 時間・場所に縛られず参加可能。録画視聴・個別課題が中心。実務者や多拠点チームに適する。 | 忙しい社会人・全国展開企業 |
| 集合研修(対面) | ワークショップやディスカッションを通して、体験的に学べる。即時フィードバックが得られる。 | 新入社員・企画職・リーダー層 |
| ハイブリッド型 | オンラインで理論学習+対面で実践演習。効率と体験を両立できる。 | 全層向けの総合研修 |
ツールを使った制作系の研修ではオンラインが主流ですが、発想力・共創・議論型の研修では集合形式が効果的とされています。
デザイン研修を導入する目的
デザイン研修の導入目的は、単に「デザインスキルを学ぶ」ことにとどまりません。
近年では、組織全体の創造性・課題解決力・共感力を高める人材育成施策として注目されています。
ここでは、企業・個人・組織文化の3つの観点から目的を整理します。
企業がデザイン研修を行う背景
企業がデザイン研修を導入する背景には、次のような社会的・経営的要因があります。
- 市場や顧客ニーズの多様化
スマートフォン・SNS・ECサイトの普及により、顧客の接点が増加。
製品・サービスの“体験”全体を設計する力が求められるようになりました。
そのため、デザインを「見た目」ではなく「価値の創造」として捉える企業が増えています。 - DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速
デジタル化が進む中で、システムやデータを「人が使いやすい形」に落とし込む力が不可欠です。
UI/UXデザイン研修やサービスデザイン研修を導入する企業は、“人中心設計”による業務効率化や顧客満足度の向上を狙っています。 - 企業ブランディング・採用強化
統一感のあるデザイン言語やブランドビジュアルを社員全員が理解していることは、企業価値を高めるうえで大きな強みとなります。
「社内資料・提案書のデザイン品質を底上げしたい」「全社員がブランドを体現できるようにしたい」といった理由で研修を導入するケースも多く見られます。
個人が受講する意義とキャリア形成への効果
個人にとってのデザイン研修は、キャリアを広げるための“汎用スキル”習得の場となります。
デザイン職以外のビジネスパーソンにとっても、次のような効果が期待できます。
- 論理的思考と創造的発想の両立
デザイン研修では、感覚的な表現だけでなく、目的・構造・伝達を意識した論理的な設計を学びます。
その結果、資料作成・プレゼン・企画立案など、日常業務全般で「伝わる表現力」が向上します。 - ユーザー視点の思考定着
デザイン思考を学ぶことで、「相手がどう感じるか」「どうすれば体験が良くなるか」を自然に考えられるようになります。
これは営業・広報・人事などあらゆる職種に活かせる共感力と課題発見力の強化につながります。 - キャリアの多様化・価値向上
デザインリテラシーは、マーケティング・商品企画・ブランディングなどの領域でも重視されています。
将来的に**「デザイン×ビジネス」型の人材**として活躍できる可能性が広がる点も、大きな魅力です。
組織文化・コミュニケーション改革としてのデザイン研修
デザイン研修は、組織の文化改革やチームの関係性改善にも効果を発揮します。
その理由は、デザインが本質的に「対話」「共創」「共感」を前提としたプロセスだからです。
- 部署間の共通言語をつくる
企画・開発・デザイン・営業など、異なる職種が連携する際に“デザイン視点”が共通言語となります。
「なぜこの構成にするのか」「誰にどう伝えるのか」といった議論がしやすくなり、意思疎通が円滑になります。 - 共感とフィードバック文化の定着
デザイン研修では、アイデア出しや作品講評など、他者の意見を尊重し合う対話型ワークが多く行われます。
その体験を通して、上司・部下・チーム間での建設的なフィードバック文化が育ちます。 - 組織のイノベーション力向上
“正解のない課題”に挑むデザイン的アプローチは、組織の柔軟性と創造力を高めます。
継続的にデザイン研修を行うことで、変化に強く、アイデアが生まれやすい組織風土を形成できるのです。
デザイン研修の効果と成果
デザイン研修を導入することで得られる成果は、単なるスキルアップにとどまりません。
創造性の向上・顧客理解の深化・チームの共創促進・組織文化の変革など、幅広い領域に波及します。
ここでは、代表的な4つの効果と、現場に根付かせるためのポイントを紹介します。
創造性・課題発見力の向上
デザイン研修の最も大きな成果の一つが、創造的に課題を発見し、解決策を導く力の向上です。
多くの研修では、デザイン思考やアイデア発想法(ブレインストーミング・SCAMPER・KJ法など)を用い、
「正解のない課題」に対して自ら考え、形にするプロセスを体験します。
これにより、
- 問題を“定義”する力(何が本質的な課題かを見極める)
- 制約の中で新しい発想を生み出す柔軟性
- ロジックと感性の両立による創造的思考の習慣化
が育まれます。
単なる「発想力」ではなく、実現可能なアイデアを組み立てる構築力が身につく点が大きな成果です。
ユーザー視点・顧客理解力の強化
デザイン研修の多くは「ユーザー中心設計(Human-Centered Design)」の考え方を基盤としています。
つまり、顧客・利用者・現場スタッフの“体験”を軸に考える習慣を定着させるのです。
研修では、
- ペルソナ設定・カスタマージャーニーの作成
- インタビュー・観察を通じたユーザー理解
- “顧客の声”をデザインへ反映する方法
などを実践形式で学びます。
その結果、社員一人ひとりが「顧客の立場で考える力」を身につけ、
商品企画・接客・広報・採用など、あらゆる領域でUX(体験価値)の質を高めることができます。
この「共感ベースの思考」は、従来の数字重視・効率重視の文化を補完し、
企業の競争力を根本から強化する要素となります。
チームの共創力・コミュニケーション力の改善
デザイン研修は、チームコミュニケーションの改善にも効果的です。
ワークショップ形式で行うことが多く、対話・共有・共同制作を通して信頼関係が自然と形成されます。
研修を通じて得られる主な変化は以下の通りです。
- チーム内での意見交換が活発化する
- 上下関係にとらわれずアイデアを出し合える文化が生まれる
- デザイナーと非デザイナー間の意思疎通がスムーズになる
- プロジェクト全体で“目的共有”が進む
このように、デザイン研修はチームを「協働型」に変える文化装置として機能します。
特に近年では、オンラインコラボツール(Miro、Figma、Notionなど)を使ったリモート共創研修も増え、
多拠点チームの一体感づくりにも効果を発揮しています。
学んだ内容を現場に定着させるポイント
研修で得た学びを一過性にせず、日常業務に浸透させることが最も重要です。
定着化のためには、次の3ステップが効果的です。
- 即実践の仕組みをつくる
研修後すぐに「自部署の資料を改善する」「顧客体験マップを作ってみる」など、
小さな実践課題を設けて行動に移します。成功体験が定着を促進します。 - フィードバック文化を根づかせる
成果物をチーム内で共有し、互いに意見を交わすことで、
学びが「個人の経験」から「組織の知見」へと発展します。 - 継続研修・内製化による運用
年次・職種別にテーマを変えて継続的に実施することで、
デザインが組織文化として根づきます。
特に「デザインリーダー」や「社内デザインメンター」を設けると効果的です。
研修プログラムとカリキュラムの例
デザイン研修は、単にツールや理論を学ぶ場ではなく、実践を通じて“考える力”と“伝える力”を育てる学習設計が求められます。
ここでは、研修プログラムの基本構成と、レベル別のカリキュラム例、そして効果を定着させるための工夫を紹介します。
研修設計の流れ(目的設定〜振り返り)
効果的なデザイン研修を行うためには、明確な設計プロセスが欠かせません。
一般的には、以下のような流れで構築されます。
- 目的設定
- 「何のために実施するのか」を明確化
- 例:社内資料の品質向上/顧客体験の改善/チームの創造性強化 など
- 現状分析と対象者設定
- デザイン経験や職種構成を把握し、研修レベルを調整
- 例:ノンデザイナー向け・新入社員向け・管理職向けなど
- カリキュラム設計
- 理論・実践・共有の3要素をバランスよく配置
- インプット(講義)とアウトプット(演習)を組み合わせる
- 実施(演習・発表)
- グループワークやワークショップ形式で実践中心に進行
- 他者との意見交換を通じて発想の幅を広げる
- 振り返りとフォローアップ
- 成果共有・自己評価・上司フィードバックを行い、業務活用へつなげる
このように、研修は「学ぶ→使う→定着させる」の循環を意識して設計することが成功の鍵です。
代表的なカリキュラム例(初級・中級・上級)
目的や対象に応じて、デザイン研修のレベル構成は段階的に分かれます。
以下は一般的なカリキュラム例です。
【初級:デザイン基礎・リテラシー習得】
- デザインとは何か/ビジネスとの関係
- 配色・レイアウト・余白・フォントの基本原則
- 情報の整理と視覚化のコツ
- 実践:PowerPoint・Canvaを用いた資料デザイン演習
- 成果発表:自分の業務資料を改善して共有
👉目的:ノンデザイナーが「見やすい・伝わる」デザインの基礎を理解する。
【中級:デザイン思考・体験設計】
- デザイン思考の5ステップ(共感・定義・発想・試作・検証)
- ユーザーリサーチとペルソナ作成
- カスタマージャーニーマップ・ストーリーボード作成
- チームワークによる課題解決ワークショップ
- 成果発表:新サービス・プロダクトの体験設計をプレゼン
👉目的:ユーザー視点での課題解決力と創造的発想を育てる。
【上級:ブランド・組織デザイン応用】
- ブランド戦略とデザインマネジメント
- ビジュアルアイデンティティ(VI)・トーン&マナー設計
- 組織文化をデザインする(社内報・空間・ユニフォームなど)
- デザインレビュー・フィードバック実践
- 成果発表:自社課題に対するブランド改善提案
👉目的:デザインを「経営・組織変革の手段」として活用できる人材を育成する。
実践ワーク・グループ演習の活用方法
デザイン研修では、“手を動かして学ぶ”体験型ワークが重視されます。
単なる講義ではなく、参加者が「考え・つくり・共有する」プロセスを通して理解を深めます。
代表的なワーク例:
- リデザイン演習:既存資料やポスターを分析し、より伝わる形に再構築
- アイデアスプリント:短時間でチーム発想→プロトタイプ作成→発表まで行う
- UX体験観察:実際のサービスを体験し、改善点を提案するフィールドワーク
- グループレビュー:互いの成果物を評価・講評し合うセッション
これらのワークを通じて、「正解を探す研修」から「創造的に学ぶ研修」へと変化させることができます。
研修後フォローアップの重要性
研修の学びを現場で活かすためには、継続的なフォローアップ体制が不可欠です。
多くの企業では、以下のような取り組みを行っています。
- 実務応用課題の設定:研修で学んだ内容をもとに、自部署の課題を改善
- オンラインコミュニティ運営:受講者同士で情報共有・質問・発表を継続
- 上司やデザインリーダーによるレビュー制度:業務での成果物をフィードバック
- 定期再受講・レベルアップ研修:学びのアップデートとスキル深化
こうした仕組みを設けることで、研修が“イベント”で終わらず、
デザイン思考が息づく企業文化の一部として定着していきます。
研修を設計・運営する際のポイント
デザイン研修を成功させるには、内容の質だけでなく「設計・運営」の質が極めて重要です。
目的・対象・環境に応じて最適な形式を選び、効果を最大化するための進行や評価を工夫することで、学びが組織に定着します。
ここでは、設計・運営の4つの主要ポイントを解説します。
目的に合った形式の選び方(オンライン・対面・ハイブリッド)
まず検討すべきは「どの形式で実施するか」です。
デザイン研修にはオンライン・対面・ハイブリッドの3パターンがあり、目的や内容に応じて使い分けることが効果的です。
| 形式 | 特徴 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| オンライン研修 | ・全国・海外の受講者も参加可能 ・ツール(Miro、Figma、Zoom等)で共同作業ができる ・録画・チャットでフォローが容易 | デザインツール習得、座学、個別演習、リモートチーム向け |
| 対面研修 | ・空間共有による一体感・集中力が高い ・アイデア発想や実制作に向く ・非言語コミュニケーションを活かせる | チーム共創、発想ワークショップ、体験学習型研修 |
| ハイブリッド研修 | ・オンラインで理論、対面で実践を組み合わせる ・時間効率と没入体験を両立可能 | 継続学習・大規模研修・拠点間連携 |
選定のポイントは、研修目的 × 学習内容 × 参加者環境のバランスです。
たとえば、「デザイン思考」など体験重視のテーマは対面形式が効果的ですが、ツール操作や知識習得ならオンライン形式が適しています。
研修資料・スライド・ワークブック作成のコツ
デザイン研修の資料は、内容理解だけでなく“デザインそのものの教材”にもなります。
視覚的なわかりやすさと構造的な整理を意識しましょう。
作成のポイント:
- 情報を3階層で整理する
→ 「章(目的)→ セクション(内容)→ スライド(要点)」の構造で、1枚=1メッセージを徹底。 - 余白・フォント・配色に統一感を持たせる
→ デザイン原則を体現する資料にすることで、自然と学習効果が高まる。 - 図解と実例を多用する
→ 文字よりも「構造図」「比較表」「ビフォーアフター」で理解を促進。 - ワークブックには書き込み余白を確保
→ 自分の思考を書き出すスペースを設けることで、研修後の振り返りにも活用可能。
加えて、オンライン配布資料はスマートフォンでも見やすいように**16:9・大きめフォント(18pt以上)**を意識すると効果的です。
参加者の満足度を高める進行・ファシリテーションの工夫
どんなに良い内容でも、進行の仕方次第で理解度や満足度は大きく変わります。
参加者が主体的に学べる“ファシリテーション型の運営”を意識しましょう。
主な工夫ポイント:
- 冒頭で「目的とゴール」を明確に共有する
→ 参加者が「なぜ学ぶのか」を理解していると、集中力が高まる。 - アイスブレイクで場の空気をほぐす
→ 「好きなデザイン事例を共有する」「身近な課題を出し合う」などで発言しやすい雰囲気を作る。 - 発表・共有タイムを必ず設ける
→ 自分の考えを言語化し、他者の視点を取り入れることで学びが深まる。 - 講師主導ではなく“対話中心”に進行
→ 参加者同士の意見交換やフィードバックを重視する。 - 適度なテンポと休憩を確保する
→ 集中とリラックスを交互に入れることで、長時間でも飽きさせない。
特にデザイン研修では、**“考えを引き出す問い”**が重要です。
例:「誰のためのデザインですか?」「どんな体験を提供したいですか?」など、参加者の内省を促す質問を投げかけましょう。
成果を可視化する評価・フィードバック手法
研修の効果を定量・定性の両面で可視化することで、次回以降の改善にもつながります。
主な評価・フィードバック手法は以下の通りです。
| 分類 | 方法 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 定量評価 | アンケート・スコアリング | 満足度・理解度・活用意欲を数値化し、トレンドを把握 |
| 定性評価 | ワーク成果レビュー | 成果物の完成度や改善プロセスを講師が評価・コメント |
| 360度フィードバック | 上司・同僚・チームからの評価 | 研修後の行動変化・実務応用の度合いを可視化 |
| フォロー面談・再課題提出 | 研修後1〜3か月で実施 | 定着度を確認し、継続的な支援を実施 |
さらに、**研修ポートフォリオ(成果記録)**を作成することで、
受講者自身が「どのように成長したか」を可視化できます。
これは、評価だけでなくモチベーション維持にも非常に効果的です。
年代・職種別のデザイン研修導入事例
デザイン研修は、デザイナー職に限らず、あらゆる年代・業種・職種で効果を発揮する人材育成プログラムとして活用されています。
ここでは、代表的な導入事例を年代・職種別に紹介します。
若手社員に向くデザイン研修
若手社員向けのデザイン研修では、基礎的なデザインリテラシーと課題解決思考を早期に育成することが目的です。
社会人としての「伝える力」や「考える力」を磨く導入研修の一環として実施されるケースが増えています。
主な内容例:
- デザインの基本原則(配色・構図・情報整理)
- PowerPoint・Canvaなどを使った資料デザイン演習
- チームでのアイデア発想ワーク(ポスター・サービス企画など)
- プレゼンテーションと相互フィードバック
導入のねらい:
- 社内外への報告資料や提案書のクオリティ向上
- 思考の整理力・論理的構成力の強化
- 若手層に“自分で考えて形にする”習慣を根づかせる
特に「デザイン=感覚的なもの」という固定観念を解きほぐし、
ビジネススキルの一部としてのデザイン思考を身につけることが成果につながります。
中堅社員・マネージャー層への応用
中堅社員やマネージャー層向けのデザイン研修では、チームマネジメントや企画推進にデザイン的思考を応用することが重視されます。
単なる制作技術ではなく、組織全体の課題を「設計」する力を養う内容です。
主な内容例:
- サービスデザイン・カスタマージャーニーマップ作成
- 部署横断プロジェクトのデザイン思考実践
- 組織ブランディングや業務プロセス改善の設計
- 部下育成・会議運営へのデザイン的アプローチ
導入のねらい:
- チームの共通認識をビジュアル化し、意思疎通を円滑にする
- 業務改善・新規事業開発などで創造的な発想を取り入れる
- マネージャー自身が“デザインで考えるリーダー”となる
この層への導入によって、組織文化としてのデザイン思考の定着が進み、
若手・経営層をつなぐ中間層が変革の起点となります。
公務員・教育・福祉業界での実施例
近年は、民間企業だけでなく公共・教育・福祉領域でもデザイン研修の導入が進んでいます。
特に「住民や利用者の視点を取り入れたサービス設計」や「組織内コミュニケーションの改善」を目的とした研修が増えています。
公務員分野の例:
- 行政サービスのUX改善(申請書・案内ページの見やすさ向上)
- 住民参加型ワークショップのデザイン
- 地域課題解決のためのデザイン思考活用
教育分野の例:
- 教員向けインストラクショナルデザイン研修
- 生徒の主体性を引き出す授業設計・ワークショップデザイン
- 学校広報・ポスター・イベント運営のデザイン活用
福祉・医療分野の例:
- 利用者体験(UX)を重視した施設案内・説明資料改善
- スタッフ間コミュニケーションを支える情報デザイン
- 視覚的にわかりやすい掲示・マニュアルの設計
これらの現場では、「誰にでも伝わる・届くデザイン」を通じて、
公共サービスの質向上・チームの一体感・利用者満足度の向上につながる事例が多く見られます。
女性・キャリアチェンジ層への展開
女性社員やキャリアチェンジ層に対しても、デザイン研修は再キャリア形成や新しい働き方支援の手段として注目されています。
特に在宅勤務・副業・フリーランス志向が高まる中で、「デザインスキル+思考力」は汎用的な武器となっています。
主な内容例:
- Webデザイン・SNSデザインの基礎研修
- Canva・Figmaなどのツールを使った実践ワーク
- 自分の強みを可視化する「パーソナルブランディング」研修
- ライフデザイン・キャリアプラン構築ワーク
導入のねらい:
- 働き方の選択肢を広げ、自己表現力・創造性を伸ばす
- キャリアブランクを埋め、即戦力スキルを獲得する
- 組織内での発信力・リーダーシップを高める
また、女性の管理職登用やキャリア再構築支援として、
「キャリアデザイン×デザイン思考」型のハイブリッド研修が人気を集めています。
感性と論理の両面から自己理解を深めることで、柔軟で自律的なキャリア形成が可能になります。
デザイン研修導入時の注意点とよくある課題
デザイン研修は、導入すれば自動的に効果が出るものではありません。
「目的の不明確さ」や「単発実施で終わる構成」など、設計・運営段階の課題によって成果が限定的になるケースも多く見られます。
ここでは、導入時によくある失敗とその対策、そして継続的に効果を出すための仕組みづくりを紹介します。
成果につながらない原因と対策
原因①:目的が曖昧なまま実施している
デザイン研修の目的を「デザインスキルの向上」とだけ捉えると、効果が限定的になります。
実際は、「顧客体験の改善」「社内資料の品質向上」「チームの創造力強化」など、具体的な成果目標を設定することが重要です。
対策:
- 事前に「何を変えたいのか」「どの行動を促したいのか」を明文化する
- ゴールを「成果物」ではなく「行動変化」で設定する(例:会議でのビジュアル共有を取り入れる、顧客視点の議論を増やす など)
- 研修開始前に、経営層・参加者・講師の三者で目的を共有する
原因②:実務と結びついていないカリキュラム
座学中心で実務との関連性が薄いと、「研修は良かったけど現場で使えない」と感じる参加者が増えます。
対策:
- 自社課題や実案件をテーマにした「プロジェクト型研修」を設計する
- 自社資料・サービスを題材にしたリデザイン演習を組み込む
- 研修後に「職場で実践→再共有」する流れを明確化する
原因③:一度きりの単発開催で終わってしまう
デザインは習得後の継続実践が重要です。単発のイベント形式では、スキルも意識も定着しません。
対策:
- 年間スケジュールを立て、「初級→応用→実践→共有」の循環型研修にする
- 定期的に成果発表や振り返り会を設ける
- 社内に“デザイン推進チーム”や“アンバサダー”を設置し、学びを横展開する
予算・期間・講師選定のチェックポイント
デザイン研修を導入する際は、費用対効果と持続可能性を考慮することが大切です。
次の3点をチェックしておきましょう。
① 予算の考え方
- 一般的には1回あたり数十万円〜数百万円規模(内容・人数・講師経験により変動)
- 単発コストよりも、成果の持続性で判断する
- 「制作外注費を減らせる」「ブランド価値を高める」などの定量効果を可視化
② 期間・スケジュール
- 1日集中型:デザイン基礎・体験ワーク中心
- 2〜3日型:思考・実践・発表まで含む
- 3か月〜半年型:プロジェクト伴走型(定着・成果重視)
長期的なプログラムでは、**業務時間内に組み込みやすい形(週1〜隔週)**にすることで無理なく継続できます。
③ 講師・ファシリテーター選定
- 実務と教育の両方に精通している講師を選ぶ
(デザイン現場経験+研修設計経験がある人材) - 研修後のフォロー体制(添削・オンライン相談など)の有無を確認
- チームワークや議論を促す「ファシリテーション力」を重視
デザイン教育では“教える”よりも“引き出す”姿勢が重要であり、講師の力量が成果を左右します。
継続的に効果を出すための仕組みづくり
研修効果を長期的に維持するには、仕組み化と文化定着が欠かせません。
一過性のイベントで終わらせず、学びを「組織の資産」として残す工夫をしましょう。
1. 社内共有の仕組みをつくる
- 受講者が作成した成果物を社内ポータル・報告会で共有
- 成功事例を「ナレッジライブラリ」として蓄積
- 新入社員や他部署にも横展開できる形で保存
2. メンター・デザイン推進者を育てる
- 研修受講者から社内講師やメンターを選抜
- 新規プロジェクトでの“デザイン思考リーダー”として活躍させる
- 外部講師に依存しない内製化を目指す
3. 定期的なフォローアップと再評価
- 半年・1年ごとに効果測定とアンケートを実施
- 業績指標(顧客満足度・業務効率・資料品質など)と連動して成果を可視化
- 結果を次年度研修に反映し、改善サイクルを回す
デザイン研修を「組織変革」の起点に
デザイン研修の本質は、見た目を整えることではなく、考え方と文化を変えることにあります。
デザインを学ぶとは、「課題を観察し、本質を捉え、人に届く形で解決する力」を養うこと。
それは、すべてのビジネスパーソンに求められる“創造的思考”そのものです。
デザインを学ぶことの本質的価値
デザインを学ぶことで得られるのは、単なるスキルではなく、課題を構造的に捉え、より良い体験をつくり出す力です。
この力は、商品企画・マーケティング・経営・教育など、あらゆる分野で応用可能です。
つまり、デザイン研修は「個人の感性を磨く場」ではなく、「組織の思考を刷新する場」なのです。
組織全体にデザイン文化を根づかせる意義
デザイン文化が根づく組織では、
- 部署を超えた共創が進み、
- 意見がフラットに交わされ、
- ユーザー視点が自然と意思決定の軸になる。
このような変化は、イノベーションを継続的に生み出す土壌となります。
デザイン研修は、その文化を定着させるための**“ファーストステップ”**です。
一人ひとりが「デザインで考える」ようになることで、組織はより柔軟で、創造的なチームへと進化します。
今後のトレンド:AI時代のデザイン教育と共創型人材育成
AIが生成・自動化を担う時代だからこそ、
人間にしかできない「観察力」「共感力」「発想力」が再び注目されています。
今後のデザイン研修では、
- AIツールを活用したクリエイティブ思考トレーニング
- オンライン×オフラインを組み合わせたハイブリッド研修
- 部署・業界を超えて共創する“コレクティブデザイン(協働型デザイン)”教育
といった取り組みが主流となっていくでしょう。
これからの時代に必要なのは、“デザインができる人”ではなく、**“デザインで考え、共創できる人”**です。
デデザイン研修は、未来を創る“組織文化の投資”へザイン研修は、未来の組織をつくる投資である
デザインを学ぶことは、単なるスキル習得ではなく、組織の思考と文化を変える戦略的な取り組みです。
一人ひとりが「観察し、考え、形にする」力を持つことで、
組織は自律的に進化し、AI時代の不確実性をしなやかに乗り越えていけるでしょう。
デザイン研修は、変化に強い“創造する組織”への第一歩なのです。
社員研修でお困りならワークハピネスへご相談ください
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。
ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。


株式会社ワークハピネス
「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」をミッションに、人材開発、組織開発、事業創造支援を主に行うコンサルティングファーム。人の意識を変え、行動を変え、組織を変えることに強みを持つ。






















