安定した職業?
20年前に起業してから、毎年新入社員の採用をしてきました。最初の5年位、会社説明会で大学生に話してきた内容は大体いつも一緒。
「企業の平均寿命は30年。30年後に必ず存続していると私が太鼓判押せるのは、東京電力、トヨタ、JR東海の3社くらいです。皆さんの人生を豊かにできるのは、皆さん自身が身につけたスキルと経験だけです。早く成長できる会社を選んでください!」
これからビジネスパーソンに残るものは
東日本大震災と原発事故によって、東京電力は実質的に国有化されてしまいました。テレワーク前提社会で、出張需要に支えられていたJR東海も黄色信号。さらに数兆円規模の投資が必要となるリニア新幹線の工事をゴリ押しするならば赤信号です。
自動運転と電動化によって、自動車はコモディティー化し、所有から利用への流れが一段と加速します。自家用車の稼働率は3〜5%。スマホネイティブのスマートな若者が稼働率数%の車を大金払って維持するとは思えません。トヨタの社長が「終身雇用を維持するのは難しい」と発言するのも頷けます。
就活生に話す内容を最新データーでアップデートするなら、「企業の平均寿命は20年。皆さんの定年はおそらく75歳以上。平均的な勤め人は3〜4回勤め先を変える必要があります。皆さんの人生を豊かにできるのは学び変わり続ける力だけです。」となるでしょう。
「手に職を」と思って私が選んだ公認会計士の監査業務も、AIに取って代わられる仕事の筆頭です。AIはデータ、統計、ルールが大好きです。会計ルールで過去の決算データを解析する監査の仕事は人間よりもAIの方が得意で迅速。弁護士、税理士、内科医等の高額所得者の仕事もやがてはAIに代替されていきます。
今、需要が旺盛で年俸が高騰しているデータサイエンティストや、AIエンジニアの仕事も、業務システム開発プログラマーがSaaSの出現で消滅したように、程なくAI化による自動化で消滅していくでしょう。
今は人間がやっている契約書の処理、受発注処理、経理処理等の仕事も、業務処理に関するルールがあってマニュアルが作れるならばやがてAI&ロボットに代替されていきます。
しかし、AI&ロボットにも弱点があります。AI&ロボットは過去のデータに依存する指示待ち族です。主体的に新しい製品やサービスを生み出したり、既存ビジネスをイノベーションすることは苦手です。
企業に勤める人間に最後まで残る仕事は、新サービスや新製品を生み出す企画業務や、新しい売り方や、新しい作り方を考える企画業務、つまり全てはイノベーションです。
イノベーションは、異質の掛け合わせです。異なる複数の分野に精通していると製品やサービスのイノベーションに貢献できる可能性が高まります。
不動産の専門家、飲食業の専門家、フィットネスの専門家等、専門家は危険です。専門家の豊富な知識や経験はAIに代替されやすいからです。ところが不動産、飲食業、フィットネスの3つのスペシャリストだったらどうでしょう?とたんにイノベーション力が高まります。
私自身、公認会計士から初めて、上場支援のスペシャリスト、ホテル経営、人材系上場企業経営、人材組織コンサルタント等を経て、今はYouTuberまでやっています。精通する分野を加え続けて、クライアントのイノベーション支援力を高めてきました。
結果論ではありません。20代から意識的に異質分野に飛び出す努力をしてきたからです。
今の仕事の中でも、得意分野をどんどん広げて行ったり、異質なチームとのコラボレーションを仕掛ける事で異質な体験をする事は可能です。意識的に異質な経験やスキルを身につける努力をすることで、企画力とイノベーション力を高めて変化する時代を楽しく泳いでいきましょう。
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。
ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。
公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。