情報処理の利き手
皆さんが何か新しいスポーツを始める時、人は自然と利き手を使いますよね。私は左利きなのですが、バスケットボールやテニスなどのように道具に左右差がないスポーツは気付くと左手で始めてました。
人は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、身体感覚といった五感を使って世界を認識しています。スポーツの世界に利き手があるように、情報処理に関しても利き手があります。大きく分けると、人によって視覚優位、聴覚優位、体感覚優位(嗅覚、味覚を含む)の3つに利き手に分かれます。
自分の優位感覚を確認するのは簡単です。
質問です。
夏の海はどんな感じですか?
視覚優位の人はサンサンと降り注ぐ太陽と青い海、白い砂浜を思い浮かべます。聴覚優位な人は、波音や人々がビーチで楽しむ声、そして蝉の鳴き声などが聞こえてきます。体感覚優位の人は砂浜の足の裏の暑さや海の水の冷たさ、海水の塩辛さを思い出します。
また、視覚優位な人は「未来は明るい」「視界は良好」「視点を変える」などの言葉をよく使い、例えば洋服を選ぶときはデザインや色使いを重視します。
聴覚優位な人は「響きが良い」「リズムが悪い」「仕事のテンポが良くない」「話の流れがわからない」などの言葉をよく使い、論理展開を大切にします。例えば洋服を選ぶときは生地や機能の説明を聞いたり読んだりして論理的に納得して購入します。
体感覚優位な人は「手応えがある」「気持ちいい」「しっくりこない」「腑に落ちる」などの言葉をよく使い、例えば洋服を選ぶときは肌触りや着心地を重視します。
もちろん、実際にはこの全ての感覚を人は駆使しています。ただ、得意な感覚が人によって違うのです。そして、優位感覚に優劣はありません。利き腕の違いと同じ、単なる特徴です。
自分の優位感覚を知っていると学習効率が上がります。
例えば英語を勉強する時、視覚優位の人は大好きな外国映画を何度も繰り返してみることが有効です。映像シーンとセリフがセットで良く記憶できます。
聴覚優位の人は英会話の教材のリスニングを繰り返し、会話に重ねてシャドウィングすることが有効です。体感覚有意な人は何度も英語を手で書いていくことによって英語をマスターします。
英語学習に様々なメソッドがあるのは教授者の優位感覚の違いから来ているんです。どれが1番良い方法ではなく、あなたにとって1番向いてる方法があるだけです。
自分の優位感覚を知ると他人の優位感覚も尊重できるようになります。視覚優位の人は映像が次々と浮かんでいるので話すスピード早い傾向があります。
一方で体感覚優位の人はじっくりと言葉の意味を身体で感じ、味わってから判断するので反応が遅くなりがちです。人によって優位感覚が違うことを知らないと、視覚優位の人は体感覚優位の人を「レスポンスが遅くてイライラする!」となって関係が悪化します。
視覚優位な親と体感覚優位な子供との関係も問題となりがちです。
子供が何か悪さをして、親が叱った時、体感覚優位な子供はしっかりと身体で感じて納得します。身体感覚にアクセスする時、人は伏し目がちになります。
視覚優位な親はその態度とレスポンスの悪さがイライラして、「どう思ってるの。顔を上げてはっきり答えなさい!」と、無理な要求をしてしまいます。これではうまくいきません。
様々な優位感覚の人が一つのチームにいて尊重し合っていると長期的なパフォーマンスが高まります。
視覚優位な人はビジョンを描くのが得意です。
聴覚優位な人は論理的で順序立てた説明が得意です。
体感覚優位の人は、場の空気に敏感です。
相互尊重があれば、視覚優位なリーダーが思い描いたビジョンを周囲の人が共感できる論理展開で説明し、多くの共感を生み出すことができます。
人間はみんな違っているから支え合えるのです。
ダイバーシティーを推進して素晴らしい価値を生み出しましょう。
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。
ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。
公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。