組織文化の重要性、良い組織文化に必要な要素とは?
組織文化が定着している企業は、迅速な意思決定が可能で社員は自発的に行動する傾向があります。しかし組織文化に興味があるものの、自社に置き換えた場合に、どのように形成していけばいいのか分からない方もいるでしょう。
本記事では組織文化の概要、企業が組織文化を形成する重要性などを解説します。組織文化を形成する上で、重要とされる要素も紹介しているので、ぜひ役立ててください。
組織文化とは
組織文化とは組織内で共有されている行動原理、思考様式を意味する言葉です。組織が大切にしている価値観や信念とも言えます。企業では組織文化と社風を同等の意味で用いられることがあります。
組織文化を理解する上で参考にされているのが、1997年にデービッド・A・ナドラーとマイケル・L・タッシュマンの2人によって提唱された「コングルーエンス・モデル」です。コングルーエンス・モデルでは、組織文化は組織が正しく機能し、成果を生み出すために不可欠な要素の一つと定義しています。
つまり、組織文化とは良い組織をつくる上で重要な価値観と考えることができるでしょう。
組織風土との違い
組織文化は一見、組織風土と似ているように思えますが、実際には明確な違いがあります。組織風土とは、組織に自然に定着した価値観を意味する言葉です。組織が行ってきた取り組みや伝統などによってつくられるため、短期間で変えるのはむずかしいでしょう。
一方で組織文化は、組織のあるべき姿を明確にするためにつくられるルールや規則などを指します。自然に定着していく組織風土と異なり、組織文化は意図的に構築されます。
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組織文化を形成する重要性
本章では企業が組織文化の形成を重要視すべき理由をくわしく解説します。
社内で共通の価値観を持てる
社内で組織文化の形成が重要視されるのは、全社員が同じ価値観を共有できるようになるからです。共通の認識を持つことで、社員は同じ価値観や考え方に基づいた行動を取ることが可能です。また経営側は社員が取るべき行動基準などの指針を浸透させやすくなるため、情報伝達を迅速に遂行できます。
コミュニケーションが取りやすい
組織文化が形成されると、社内のコミュニケーションが円滑に行えるようになります。組織文化が浸透している企業でコミュニケーションが取りやすくなる理由は、立場に関係なく、共通の価値観や考え方が前提にあるからです。
一方で組織文化が浸透していない企業では、社員ごとに考え方が異なるため、コミュニケーションコストがかかってしまいます。組織文化を形成できれば仕事に対する考え方などを共有でき、意思疎通が取りやすくなるため、コミュニケーションコストを減らせます。
組織文化を浸透させるメリットとは
組織文化を浸透させると、企業はさまざまなメリットを得ることができます。
スピーディな意思決定がしやすい
組織文化の浸透によって得られるメリットは、意思決定を迅速に行えるようになることです。たとえ議論の場で意見が分かれた場合でも、共有している価値観に基づいて結論を出すことが可能です。
また組織文化を前提に行動するため、意見のとりまとめや課題の解決などをスムーズに行えます。優先順位なども付けやすくなるため、意思決定が必要な場でもスピーディに進めることができます。
企業に対するイメージが形成されやすい
組織文化を社内外に浸透させられれば、社外からの企業イメージを意図的につくり上げることも可能です。例えば社員満足度が高い会社、クオリティーと独自性を大切にしているなどの企業イメージが社内外に浸透すると、顧客に良い印象を与えられるだけでなく、社員の帰属意識の向上も期待できます。
会社に人材が定着しやすい
企業に組織文化が浸透すると、優秀な社員の離職を未然に防ぐことができます。組織文化が浸透した企業に適応できる人材は、会社への愛着度が高く、不満を抱く社員が少ない傾向にあります。
人材を採用する際に、組織文化を表すキャッチーなスローガンを発信すれば、組織文化に馴染みやすい人材を集められるでしょう。
社員が自発的に行動できる環境になりやすい
組織文化の浸透によって得られるメリットは、社員が共通意識に基づいた自発的な行動を取りやすくなることです。組織文化が明確に示されていると、社員は組織の中で自身の役割を意識するようになるため、自分にできる行動を自らの意思で行います。
また自ら考えて行動する社員が増えることで、自発的な行動がしやすい環境が整備されます。
組織文化を定着させるデメリットとは
組織文化が浸透すると、さまざまなメリットが得られる一方で、以下のようなデメリットが生じる場合があります。
組織を客観視しにくくなる
組織文化が強まりすぎると、自社を客観視できない社員が増えてしまいます。さらに、異なる価値観や考え方を排除しようとする動きが生まれやすくなります。
時代に即した組織をつくり上げるためには、客観的な視点を持つことが重要です。
新しい発想が生まれにくくなる
組織文化を共有した社員は、似たような思考パターンを持ちやすくなります。結果的にイノベーションを起こすような、従来にない発想が生まれにくくなってしまいます。異なる視点を持つ人材も採用し、議論を深めることが大切です。
組織文化には4つの種類がある
組織文化は以下の4つに分類できます。
- 家族文化
- 階層文化
- マーケット文化
- イノベーション文化
以下でそれぞれの特徴、傾向を詳しく解説します。
家族文化
家族文化の特徴は組織全体が一つの家族のような、仲間意識を持っていることです。家族文化が浸透する企業では、社内でのコミュニケーションやチームワークを重視する傾向にあります。部署間の軋轢がなく、協働でのプロジェクトも円滑に進めることができます。
このようにメリットが多く見られる家族文化ですが、一方で、人任せになる社員が一定数生まれてしまいやすいというデメリットもあります。また、個人の努力で得た成果はチームの評価になるため、評価に不満を抱く社員が離職する可能性もあるでしょう。
階層文化
階層文化とは組織内の秩序、安定性に重きを置いている組織文化のことです。役所などのような縦割り組織に似た志向性を持っているため、官僚文化と呼ばれることも多いです。また効率性や各自の役割を果たすことを大切にする傾向があります。
階層文化が根付いた企業では、秩序を乱しかねないリスクを冒すようなチャレンジは行わず、不変的な組織の継続を目指しています。個人の成長を重視する人は馴染めない可能性があります。
マーケット文化
マーケット文化は競争意識が高く、目標の達成や収益性などを大切にしている組織文化です。業界No1や市場シェアなど、業界を牽引するような存在になることを目指す傾向にあります。
マーケット文化が浸透している企業では、リスクを冒してでも新たなチャレンジや高い目標を目指せる環境が育まれています。ただし成果や目標の達成率などの明確な成功・勝利を高く評価するため、チームワークよりも実力主義に偏った人事評価になりやすいという懸念もあります。
イノベーション文化
イノベーション文化とは変化にも対応できる柔軟性を持つ組織文化を指します。イノベーション文化では変革や創造性を求めるため、チャンスをつかみ取り、積極的にチャレンジする傾向にあります。
イノベーション文化を形成している企業では、さまざまなチャレンジや課題に取り組める機会が多いため、向上心の高い人や好きなことを仕事にしたい人が集まりやすいです。一方で安定志向にある人には向いていません。
組織文化の形成に必要な5つの要素
企業で組織文化を形成するためには、5つの要素を満たす必要があります。どのような要素が必要なのか、以下で解説します。
創業者の行動・意志
組織文化を形成するためには、創業当初に大切にされていた創業者の思いを受け継ぐことが重要です。創業者がどのようなことを考え、何をするために会社を設立したのかなどの創業者の行動や意志が引き継がれるからこそ、独自の組織文化が形成されていきます。
経営者・リーダーの行動
組織文化を社内に浸透させるためには、経営者や部下の模範になる立場にあるリーダーが行動で示すことが大切です。リーダーが組織文化に基づいた行動を取れば、部下の意識を高めることができ、自然に組織内に浸透していきます。
社員は普段の経営者やリーダーの社内外における言動をよく見ています。組織のリーダーの言動は極めて重要です。
採用活動
組織文化が企業成長に良い影響を及ぼしていないと感じた場合は、採用活動を行い、新たな人材を獲得しましょう。新しい人材を採用するだけにとどまらず、組織文化を新たに形成する意識を持つことも必要です。
評価制度
組織文化を形成するためには、評価制度を連動させることも考慮しなければなりません。組織文化に基づいた評価制度の基準を設けることで、社員の行動は変わっていきます。
さらに組織文化に沿った行動を取る社員を評価すれば、組織文化に共感する社員を増やすことができます。成果だけでなく、成果に結びついた行動をした社員も評価するようにしましょう。
組織内でのエピソードの共有
組織文化を社員に浸透させる上で、エピソードを用いて共有するのも大切なことです。エピソードは社員の記憶に残りやすく、組織を活性化させるトリガーになる場合があります。
エピソードの一例は、過去に実際に起きた危機を乗り越えた話や、創業当初に苦労した話などがあげられます。共有するエピソードは、組織文化に合うものを選びましょう。
小野薬品工業株式会社における、ミッションステートメントを実現する会社風土を醸成した事例はこちらでお読みいただけます。
組織文化を形成した事例を紹介
部長の意識変革を機に、新たな組織文化の形成に成功した「公益財団法人 日本漢字能力検定協会」様の事例を紹介します。協会は部長同士の一体感がないことや、前例踏襲・保身主義が強いなど、多くの課題を抱えていました。
総務部の人事労務チームは部長研修を提案し、異なるバックボーンを持つ部長とコア・バリューの共有を図りました。部長研修でコア・バリューを共有したことで、部長同士の一体感が高まり、研修後にも主体的な取り組みを始めるなどの意識の変革に成功しています。
例えば人事異動が活発に行われるようになりました。さらに組織文化を共有しながら、組織は現在も継続的に変化しています。
その他の組織文化を変革した事例はこちらでお読みいただけます。
まとめ
組織文化が形成されると、スピーディな意思決定や人材の定着率アップなどのさまざまなメリットが得られます。ただし組織を客観視しにくくなる、新しい発想が生まれにくいなどのデメリットもあります。
良い組織文化を形成するには、人材育成にも力を入れることが大切です。特にマネージャー・リーダー層の振る舞いは組織文化の浸透には大きく影響します。ワークハピネスでは、マネージャー・リーダーの役割意識を高める研修ラインナップがございます。意識変革を得意とするワークハピネスに一度ご相談ください。
また、現状の組織文化に合わせて社員の成長を促すだけでなく、従来の組織文化を壊して新たな文化を醸成するためのご提案も可能です。
「組織の目指す方向が不透明で社員に一体感がない」「変革プロジェクトを社内で立ち上げたがうまくいかなかった」「組織文化が昔のままで社員の不満が溜まっていると感じる」というような課題・お悩みをお持ちの場合はぜひお気軽にお問い合わせください。弊社事例やノウハウから、貴社の課題を解決する最適な組織文化の変革プロセスをご提案いたします。
大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。
医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。