ストーリーで売る時代
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ストーリーで売る時代

AIやロボットに仕事を奪われる未来で重要なのはストーリーです。未来の製品やサービスは2極化します。お寿司屋さんなら、客単価3万円以上の白木のカウンターのお寿司屋か完全自動化された客単価3千円以下の回転寿司に2極化しか生き残れません。
なぜ、人は客単価3万円のお寿司を食べるのか?そこにはストーリーがあるからです。

ストーリーが人の心を動かす

「今日のマグロは今年初めての大間のマグロです」
「1週間、熟成させているんで旨味が増してますよ」という説明とセットで、鋭く輝く刀のような包丁で綺麗にマグロを切りつける。鮮やかな手捌きでシャリを握っって、仕上げに”煮切り”のタレを刷毛で塗ってから目の前に差し出す。
ピンクに光る大間のマグロの握り。よだれが出てきます。
「大将はどこで修行したの?」
「はい、私は銀座の○○で18年修行して、3年前にこの店を出しました」なんて、会話もセットでますます気分が盛り上がり美味しさも倍増。

食材の産地、調理法、面前での手技、職人の経歴といった様々なストーリーと共に、白木のパリッと清潔なカウンターで味わう鮨。
食事というよりも劇場。ストーリーとともに味わうエンターテイメントです。
薄型テレビの値段がこの十数年で10分の1になりました。AI&ロボット化が進むと工業製品の値段はますます下落しています。

そんな時代に値段が年々高くなっていく工業製品があります。ご存知ですか?
それはワインです。

フランスのボルドーやブルゴーニュのワインの製造工程は世界中の工場のロボット化や無人化を嘲笑うかのように、今も数百年前と変わらない完全手作業。ぶどうの剪定作業や収穫も全て人海戦術。そこに機械はありません。雨が少ない年に水を撒くこともありません。

品質を安定させる気がそもそもないのです。日照りの年、長雨の年、その年の天候は様々ですが、ワインはその年の天候をしっかり表現するべきものなのです。これがボルドーやブルゴーニュといった高級ワインの産地が世界に約束しているストーリーです。

このブランドストーリーを守るための細かい法律があります。ブルゴーニュのグラン・クリュ(特級)を名乗りたかったら機械化も灌漑も許されないのです。時代に逆行するように機械化を廃することで数百年続くブランドストーリーが守られ、1本数万円の値段が許容されます。
金余りの現代、世界の投資マネーがブランド価値の高いボルドーやブルゴーニュのワインに流れ込んで値段が年々高騰しています。

ところで、世界で一番高いワインをご存知ですか?
”ロマネ・コンティ”といいます。
”ロマネ・コンティ”はそのあまりの美味しさと評判の高さから太陽王ルイ14世が愛飲していました。そして、ルイ15世の愛人だったポンパドール夫人との争奪戦の末にコンティ公の所有となったのが現在の名前の由来です。
”ロマネ・コンティ”を飲むとはあの「太陽王ルイ14世の愛飲したワイン」というストーリーをセットで味わっているのです。私は飲んだことがありませんが、大量のストーリーを知っているが故に、飲んだらさぞ感動するであろう事は想像に難くありません。

一方で、オーストラリアやチリのワインは何でもありです。灌漑はもちろん、工業製品として品質を安定させるために補糖も補酸もします。これによって毎年同じ味のワインが楽しめるのですが、値段は1本数千円です。そこには大金を払っても飲んでみたいと思わせるストーリーがありません。
高級寿司も高級ワインも楽しんでいるのは、ストーリーという感動体験なのです。

無味乾燥な工業製品はAI&ロボットの独壇場となるでしょう。我々人間の仕事は、ストーリーという感動体験を創造することです。


株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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