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レールから外れる幸運

私は遊びすぎて大学1年生で留年が決まりました。期末試験を寝飛ばすという失態。今は偉くなってルクセンブルグにいる悪友の茂雄が、私の目覚まし時計のアラームを止めたのが原因です。バブル崩壊で就職氷河期。就職活動して大企業に入社するという、皆が乗っかっているレールから意図せずして早々と外れてしまったのです。自分の意思に反してであっても、世間並みのレールから外れるというのは若者にとっては大変な試練です。大いに悩みました。同級生の多くが進む人並みのレールが無くなり、自力で、ゼロベースで「どんな人生にしたいのか?」「どんな仕事を選ぶべきか?」必死に考える日々でした。この苦悩の時期が私の思考力を高めてくれました。今ではアラームを止めてくれた茂雄に大変感謝しています。


先日テレビのニュースで、最近の大学生はコロナ禍によって、就職活動が困難、先行き不安で大いに悩んでいるという特集を見ました。「いかに生きるか?どんな仕事をしたいか?考えることが多くなり本を読む機会が増えました、、、」と。
意図せずして当たり前の日常や予定していたレールが消滅したのです。大学はオンライン、コロナでバイトも解雇され、狭い部屋で一人で過ごす毎日。有り余る時間の中で「幸せとは何か?」「人生にとって大切なものは何か?」、本質的な問いに向き合わざるを得ないでしょう。


気の毒ですが、実はこれは大変幸運な事かもしれません。
スイスイとレールに乗って大企業へと就社した諸先輩方は、「いかに生きるか?」「どんな仕事をしたいか?」という重大な問いを考えるチャンスを奪われてきたのです。中年となって会社が傾き、早期退職の募集を目にしてはじめて「いかに生きるか?どんな仕事をしたいか?」という人生の一大事を突きつけられるのです。これはちょっと不利です。若い頃の様な無尽蔵のエネルギーも、根拠の無い自信も翳っています。自然、考えることは保守的となり、何かにしがみつく道を選びがちです。


毎年、成人式の日にニュースで見る若者のコメント。
昭和の頃は、
「成人を迎え、社会人としてどんな貢献ができるのかを考えると身の引き締まる思いです。」
最近の成人式では、
「イエーイ!」
多感な時期に当たり前の日常を奪われ、レールを外された「コロナ世代」の若者は思慮深く、真に大切なものを見分けるでしょう。
成人式のニュースが今からとっても楽しみです。


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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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