コロナが教えてくれた「丁寧な暮らし」の価値
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コロナが教えてくれた「丁寧な暮らし」の価値

緊急事態宣言が解除されましたが、自分の気持ちも街の様子もあまり変化がないように見えます。

私も含め、多くの人がソーシャルディスタンスを保ったwithコロナな生活スタイルを好ましく思っている気がします。

今思えば、コロナ前の生活は人間として異常?だったかもしれません。

典型的な1日は鮨詰めで新聞も読めない満員電車での通勤から始まります。

日中は、都内を忙しく移動して、多くの人と会議を重ねる。

移動の合間、移り行く四季の変化を味わうこともなく、電車やタクシーの中でインターネットで情報収集。

そして毎晩、誰かと会食して深酒。

時に大人数で宴会して、大声で騒ぎ、二次会でカラオケに行く。

大量の情報と大量の刺激に煽られて、常に何かに追い立てられているよう。

ドーパミンとアドレナリンが大噴出していて、常に興奮状態で寝不足。

そして、あっという間に1週間が過ぎていきます。

毎週、毎月、毎年、同じことの繰り返しで特徴がありません。

立ち止まって変化を味わう時間のゆとりもありませんから、毎年がものすごいスピードで過ぎて、「この前正月だったと思ったら、もう大晦日」です。

しかし、今は全く真逆な「丁寧な暮らし」をして日々色々な変化を味わっています。

毎日8時間しっかり睡眠をとり、早起きをして、ジョギング等の運動。

朝日や風の変化から季節の移ろいを感じます。

帰宅したらコーヒーの香りを味わいながら、新聞読んで、9時からゆるゆると仕事を開始。

複数のZoomミーティングをこなし、合間に読書やブログの執筆。

ランチタイムは、ご近所を散歩しながら気になったお店で定食を味わいます。

夕方になったらTVで今日のニュースを見ながら夕食の準備。

毎晩、子供たちの今日の出来事や感想を味わいながら家族で食事。

以前は、毎晩誰かと会食をしていないと「サボっている?」ような気がして、何か悪いことが起きるような不安な気持ちがありましたが、1年以上ビジネスでの会食を絶っていますが、何も問題は起きていません。

人付き合いのソーシャルディスタンスは気疲れが少なくてメンタルヘルスも良好。

全ては惰性の慣習。今まで過剰な数の人々と過剰に密に交わっていたことに気づきました。

戦後の復興に始まった経済成長の中でちょっと「無理をする」のが日本の標準になっていた気がします。

「無理をする」が慣習だった昭和

「無理をする」が慣習だった昭和

高度経済成長期からバブル時代までは仕事での徹夜は当たり前でした。

サラリーマンのお父さんたちは「深夜まで働いてから朝までお酒を呑んで、そのままゴルフの接待に行った!」なんて話を武勇伝のように自慢していました。

モーレツ社員。

世界から見たら当時でも異常な光景です。

深夜残業、週末出勤、単身赴任等々、「無理をする」のが日本のサラリーマンの常識。

追い立てられるように仕事をして、複雑な人間関係に悩み、ストレスを抱えて心身ともに疲弊する。

辛いけど、周囲を見渡せばみんな同じ様な状況なので「こんなもんだ!」と安心する。

みんなで「無理をする」という慣習は時代の要請でもありました。

戦争で破壊された国土を復活させて、人々の生活の水準を引き上げるためには、みんなでちょっと無理をして大量生産することが善でした。

3Cと呼ばれた自家用車(Car)、クーラー(Cooler)、カラーテレビ(Color TV)は一般家庭にはありませんでした。無理をして働いて、これらのモノ一つ一つを手にする事は確実に便利を体感できてわかりやすい喜びでした。

「無理をする」ことは幸福と結びついていたのです。

でも、今はどうでしょう?

私たちはスマホやコンビニを筆頭に、便利なモノに囲まれています。

新なモノやブランドを手に入れても、簡単には幸福は増えません。

モノに満たされた時、私たち日本人の多くは、幸福はモノではなく自分のココロが作り出すものだと気づきました。

でもビジネス界では相変わらず「無理をする」という昭和生まれの慣習が惰性で継続していました。

今回、新型コロナによって「無理をする」という慣習が強制停止しました。

心身を健全に保ち、免疫力を高めるためには「無理をしない」で丁寧に生活することが必要です。

睡眠時間をしっかりととって、適度な運動とバランスの良い食事を心がける。

大切な人々とのコミュニケーションを欠かさず、一方で不特定多数の人々とはソーシャルディスタンスを心がける。

コロナ禍で在宅勤務となり、時間のゆとりを得た多くの人は「無理をする」という慣習から解放されて

「何のために生きているのか?」

「自分の幸福は何によってもたらされるのか?」

といった根源的な問いに向きあいました。

幸福をもたらすのはモノではなくココロだということを、さらに多くの日本人が強制的に気付かされたはずです。

幸福は、追い求めていつか手に入れるモノではなく、毎日の暮らしの中に転がっています。

無理をして慌ただしく生きていたら日々の暮らしの中の幸福には気づけません。

「丁寧に暮らす」必要があります。

木漏れ日の美しさ。

花の甘い香り。

美味しい空気。

運動する爽快感。

親密な人との触れ合い。

そして、好きな仕事での貢献感。

気づきの「一瞬」の中に幸福は潜んでいます。

慌ただしく「無理をする」ことに埋没していたら気づけない「一瞬」を「丁寧な暮らし」の中で見出したいものです。

一時、「無理をする」ことが必要なこともあるでしょう。

でも、「無理をする」ことを習慣にすることは不健全です。

毎日を丁寧に暮らして「一瞬」を味わいましょう。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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