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激動の時代。柳のようにしなやかに

「最近の若者は・・・」と、年長者が若者を嘆くのは世の常です。

この「最近の若者は・・・」という嘆きは、古代エジプトやギリシャの遺跡からも発見されています。

なぜいつの時代も年長者は「最近の若者は・・・」と嘆くのか?

答えは、それが人類のDNAだからです。

私たち人類は、その20万年の長い歴史のほとんどを狩猟採集民として森の中で生きてきました。

森を歩いてきて、笹が擦れる音が聞こえたら、それは熊等の猛獣が現れる予兆です。

不意に襲われないように、素早く槍を構えるのが得策です。

寝ている時に飼い犬が吠えたら、これも何か侵入者が訪れる予兆です。

飛び起きて闘争、もしくは逃走する準備をしなければならないでしょう。

危険の兆候を察知してそれを回避するパターンをたくさん学習すれば生存確率が高まります。

複雑な世界で生きていくとき、身の危険を感じるたびに、毎回新鮮無垢な瞳で事象を眺めて意思決定をしていたのでは回避行動が遅くなって命に関わります。

犬のような高度な嗅覚や馬のような高度な聴覚も持たない人間が大自然の中で生きる伸びるためには、様々な危険回避のパターンを学習する必要がありました。

人類は世界をパターン化して捉えるのが好きで得意なのです。

そして、若者が自分と違うパターンで行動していると危機を感じて「最近の若者は・・・」と嘆くのです。

また、自然界には日々たくさんの変化があります。この変化を全て理解するのは不可能なので、世界を自分なりにパターン化して単純化しておかないと情報が多すぎて疲れてしまいます。

「雷が鳴ったら雨が降る」

「鮮やかな模様のキノコは食べると危険」等々

現代人は、危険がいっぱいある森に住んでいるわけではありませんが、その身体の能力は20万年前とさほど変わっていません。

そして、私たちのDNAは原始時代を生き残るために最適化された体質のままです。

進化心理学によると、原始時代と全く環境が異なる現代を生きているのに、DNAが原始時代環境に最適化していることが私たちを苦しめているようです。

飽食の時代なのに、私たちは甘いものが目の前にあると、ついつい食べてしまいます。

これは、飢餓を何度も経験してきた人類の名残りのDNAです。

人にバカにされると、腹が立ちます。

これも集団内の序列が下がると、食事にありつける確率が低下して危険だった原始時代の記憶のDNAです。

複雑な世界をパターン化して捉えることで、日々のストレスを減らし、生存確率を高めてきた人類は

自分が若い時に体験したり見たりした成功パターンを永遠の真理と信じて心を安らかにします。

時代が変わり、環境が変われば成功パターンも変わります。

若者は環境変化に適応して、先輩たちとは違う思考行動パターンをとります。

自分が安住してきたパターンを否定された先輩は、不快と危険を感じて「最近の若者は・・・」と嘆くのです。

人間がほとほと世界をパターン化して捉えたがる生き物であることを証明する新聞記事があります。

以下は「日本経済新聞」からの引用です。

「いよいよ日本経済は先の見えない時代に突入したという感がある。今こそ激動の時代だという認識が必要だ。これまでのやり方はもはや通用しない。過去の成功体験をいったん白紙に戻すという思い切った姿勢が経営者に求められる・・・」

VUCAと呼ばれる時代。この記事の文章は至極真っ当なことを言っているように感じますよね。

ところが、この記事は私が生まれる前の「1964年9月の日経新聞」からの引用なのです。

私が生まれる前から日経新聞は「激動の時代」を叫び続けているのです。

世界は万物流転。諸行無常。環境は常に変わり続けます。

いつだって世界は「激動の時代」なのになんでそんな当たり前のことを声高に叫ぶのか?

そんな当たり前の真実をわざわざ記事に書いて危機感を煽るのは何故なのか?

過去の成功パターンが通用しなくなることはDNAに刻まれている恐怖だからです。

過去の成功パターンが未来にも継続することを強く望む。

そしてそのパターンが通用しないと感じると、危険を感じて激しく反応する。

原始時代のように自然法則が支配する森で暮らしているならば、幼少期から青年期までに身につけた危険回避や成功のパターンを死ぬまで保持することが有効だったでしょう。

でも、現代社会は複雑な人間の欲望が渦巻き、森よりも迅速に激変します。

そこを生き抜くための危険回避や成功のパターンも短期間で変化します。

青年期までに身につけたパターンを金科玉条のごとく大切に抱き続けているならば「頑固者」や「偏屈者」と呼ばれて傍に追いやられ、隠遁生活することになるでしょう(それもありですが)。

「最近の若者は・・・」という嘆きが浮かぶなら、それは危険な兆候。

年長者が好む「石の上にも三年」や「働かざる者食うべからず」という成功法則の逆を行って大成功しているパターンがたくさん出てきているのです。

今まで自分が信じてきたパターンを捨てて、世の中をもう一度、先入観のない無垢な目で眺めるのは大変難しいことです。

また、自分が培ってきた世界観を再構築するのは自分の過去の否定にも繋がりますから辛いことです。

でも、今は人生100年時代。

65歳まで延長された定年も少子高齢化に伴う年金財源等を考えるといずれ70歳に到達するでしょう。

「最近の若者は・・・」と嘆いて老害となるのか。それとも変わり続けて最後まで周囲と楽しく働くのか。

鍵となるのが「柔軟性」。

自分の信じている成功パターンを疑い、自分を変えていく能力です。

世界をパターン化して単純化したがる人間のDNAとの戦いです。

自分という人類の特性を理解して、思考の力で硬直化を指向するDNAに抗い、「柔軟性」を手に入れる。

理想の姿は「」です。

「柳」は幹がしっかりと大地に根を張って、枝は風に逆らわずに柔軟に変化します。

絶対に変えない守るべき人生の幹を確認する。

人生の幹を確認すれば、それ以外のことは柔軟に変えられるようになります。

守るべきものが少なければ少ないほど幹は強くなります。

台風が来たってへっちゃらです。

楽しく生きていくためだったら、最低限の衣食住と友人が大事でしょう。

楽しく働くためだったら、上記にプラスして、働くことから感じたい誇りが必要です。

皆さんは働くことでどんな誇りを感じたいですか?

貢献、挑戦、創造、信頼、感動、、、

少数の守るべきものを確認すれば、しなやかな「柳」になれます。

強くなる必要はありません。

「柳」のようにしなやかに。


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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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