CEO BLOG

脱炭素のためにサーキュラーエコノミーを加速させよう!

ワクチン接種が進み、欧米では新型ウイルスに対応した規制がほぼ撤廃され、多くの人々が外食や旅行を楽しみ、経済活動が活発となっています。

コロナ禍で忘れがちでしたが、今も刻々と進む地球温暖化。

新型コロナはワクチンで乗り越えましたが、2050年までのカーボンニュートラルに関しては、その道筋は誰にも見えていません。

GDPが成長軌道を取り戻すという事は、同時に炭素排出量も増えるということです。

先進国が取り組まなければならないのは、経済成長と炭素排出量を反比例させるデカップリングです。

デカップは果たして可能なのか?

再生可能エネルギーの導入促進によって、エネルギー部門のデカップリングは可能でしょう。運輸部門も電動化や水素化を進めることでデカップリングが進みむでしょう。

ところが、炭素排出量が最も多いのはモノを生み出す製造部門です。

製造部門のデカップリングは果たして可能なのでしょうか?

製造部門は地球から様々な資源を掘り起こし、多くのエネルギーを消費して素材を作り、また大きなエネルギーを消費して製品を作ります。多くのエネルギーを消費する物流も付帯して生じます。出来上がった製品は人々によって利用され、最終的には廃棄されて埋め立てられます。

エコな印象があるEVであっても、その製造時にかかる地球への負荷は莫大です。

ボディーとなる鉄板を作るためには地球から鉄鉱石を掘り起こし、大量の石炭コークスを使う高炉で莫大なエネルギーを消費する必要がります。

大容量の蓄電池を作るためには大量のリチウムやコバルト、ニッケル等のレアメタルが必要です。リチウムの精製には大量の地下水の汲み上げが必須。コバルトの採掘は大量の児童労働によって支えられています。

走行時には二酸化炭素を排出しないEVですが、その製造工程においてはガソリン車を遥かに上回る地球環境への負荷がかかっているのです。

バッテリーは充放電を繰り返すと性能が劣化しますが、やがて大量に廃棄されることとなるバッテリーの処理に関してはまだ何も対策が立っていません。

資源を掘り起こして、製造して、最終的に廃棄する。このような一方通行で直線的な態様をリニアエコノミーと言います。

リニアエコノミーを続けていては資源は枯渇し、地球は人が住めない温暖化したゴミの星になってしまいます。

このリニアエコノミーからの脱却を目指すのがサーキュラーエコノミー、循環型経済です。

地球からの資源採集を限りなく減らし、何も廃棄せず、再生可能エネルギーを使って循環させるのです。

車で例えれば、まずはリデュース(削減)

公共交通機関を活用したり、シェアをすすめることで自動車の総量を減らす努力をする。

次に、リペア(修理)して長く使う。

社会主義国のキューバでは新車が手に入らないために、いまだに1950〜60年台のアメ車が現役です。

最新の車に比べたら燃費が悪くて環境性能は劣りますが、新車製造にかかる地球環境への負荷に比べれば修理して長く使うことのほうがエコです。

やがて、修理不能なほどに壊れたり、環境性能が明らかに衰えてきたら、リサイクル(再生)

鉄、銅、アルミ、プラスチック、ゴム、ABS等の素材に分解して再利用する。

リペアやリサイクルの過程で必要となるエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うのならば理想的なサーキュラーエコノミーです。

サーキュラーエコノミーをビジネスとして成立させる実践はすでにヨーロッパで始まっています。

スウェーデンの家電メーカー、エレクトロラックス社はロボット掃除機を売らずに、掃除するサービスを売っています。

ネットで繋がったロボット掃除機を消費者にレンタルし、掃除面積に応じて課金します。掃除機の所有者はエレクトロラックスなので、壊れたり、サービスが終了したならば、同社が回収してメンテナンスして次のユーザーへと引き渡されます。

メーカーは、大量生産・大量販売することで売上と利益を増やしますから、「計画的製品陳腐化戦略」を常套手段として、毎年新製品を投入して消費意欲を煽ってきました。耐久性能が高すぎると買い替えが起きないので、部品の耐用年数を適度に設定して、程々の期間で壊れるように設計します。買い替えを前提としているので、メンテナンス性も考慮されていません。

典型的なリニアエコノミーです。

ところが、家電メーカーがサーキュラーエコノミーを目指すには、考え方を大きくかえる必要があります。

掃除機の使用サービスを提供するのならば、壊れない耐久性のある製品の方が収益性が高くなります。

環境性の高いモーターやバッテリーへのアップデートを容易にするためにはモジュール化した設計が必要です。

また、最終的にリサイクルするためには、リサイクルが容易な素材や製造方法にも工夫が必要となります。

デザインも、流行に左右されづらい、普遍的でシンプルなものが選ばれるでしょう。

今は掃除機だけですが、この利用サービスモデルはやがては洗濯機や冷蔵庫等へと対象が広がっていくでしょう。

筐体は頑丈で滅多に壊れません。修理と性能のアップデートを続けたら冷蔵庫や洗濯機を廃棄する理由はなくなります。

アパレルでもサーキュラーエコノミーへの取り組みは始まっています。

オランダの「マッド・ジーンズ(Mud Jeans)」社では、ジーンズを売らずにリースします。ジーンズの所有者はマッド・ジーンズで、リース使用期間が終了すると同社はジーンズを回収し、素材としてリサイクルして新たなジーンズを製造します。

サーキュラーエコノミーは設計の段階から始まります。

リデュースという観点で、一般的なジーンズによく見られる革のラベルを廃止し、ブランドロゴはリサイクル容易な印刷を活用しています。

また、ジッパーはリペアやリサイクルが難しいことから、ボタンを採用しています。

アディダスの「フューチャークラフトループ(FUTURECRAFT.LOOP)は、リサイクルしやすいように接着剤を使用せず、ソールから靴紐までを単一素材だけで製造したシューズです。履き続けて劣化したシューズはリペアにも限界があり、やがては廃棄されます。接着剤を使用して複数の素材でできているシューズを分解してリサイクルするためには莫大なコストがかかるので、結局ゴミとして処理するしかありません。しかし、単一素材だけて作られているならば、経済的にリサイクルが可能なのです。

サーキュラーエコノミーをビジネスとして成立させるためには、製品の開発段階での綿密な経済設計が重要なのです。

企業としての取り組みは始まっていますが、サーキュラーエコノミーが広がるためには私たち消費者の意識の変革も大変重要です。

基本となるのが、5Rです。

5Rとは

5Rとは

Reduce(リデュース)・・資源や製品の利用自体を減らす

Refuse(リフューズ)・・不要ならば買わない、使わないという選択

Rethink(リシンク)・・生産や消費の在り方を再考する

Reuse(リユース)・・製品を再利用する

Repair(リペア)・・製品を修繕して使い続ける

今、私たちにできる一番の貢献は、本当に必要な少数のモノだけを買って、修理しながら長く使う。

ペットボトルを買わずにマイボトルを活用する等、ゴミが減る方を選ぶ。

使用頻度の低いものは、意識してシェアを利用する等の意識変革です。

ただ、この意識変革を邪魔するものがいます。

大量の広告です。

人々はなぜ新車を買いたくなるのか?

それは、新車の広告を見るからです。

ところが喜ばしいことに、ヨーロッパでは、この広告にも規制の動きが始まっています。

フランスでは新車の広告に、「自転車や徒歩での移動を呼びかける」事項を追加する義務が法律で定められました。

かつて、ヨーロッパで始まったタバコの広告規制を彷彿させますね。

タバコは、健康被害をもたらすという科学的な根拠が積み上がり、民意を反映して広告が規制されるようになりました。

ヨーロッパでは始まった新車広告の規制。

やがては、日本にもそのトレンドがやってくるでしょう。

タバコの広告が規制されて、喫煙者は大幅に減ったように、広告が人々の価値観や行動に与える影響は甚大です。

大量生産・大量消費といったリニアエコノミーが地球環境にとって有害であるという民意が高まれば、新品の消費を促す広告に規制がかかる日が来ることでしょう。

広告が規制されることによってサーキュラーエコノミーは加速します。

でも、その広告規制を促すのは私たち一人ひとりの民意、つまり5Rの実践です。

ちなみに、鎖国をしていた江戸時代の日本は実は完全なサーキュラーエコノミーでした。

新品の着物を買えるのは殿様か大商人くらいなもので、多くの人々は洗い張り等のメンテンナンスサービスを利用して何世代にも渡って古い着物を受け継ぎました。

鍋も釜も修理して使い続けました。

布団も、打ち直して何世代も受け継ぎました。

家具も修理を続け、桐ダンスは、カンナをかけて新品のように蘇らせました。

「もったいない」の精神で、何一つ廃棄することなく、着物は最後は雑巾として活躍しました。

大量生産・大量消費社会は、戦後、戦勝国の米国の生活に憧れて始まったものに過ぎません。

「もったいない」は、環境分野でノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリー・マータイ氏が使ったことで「MOTTAINAI」として国際言語化しています。

おじいちゃん、おばあちゃんに教わった「もったいない」を、ありがたく思い出して実践したいものです。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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