傾聴力を高めて 1 on 1上手になろう!
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傾聴力を高めて 1 on 1上手になろう!

テレワークが日常となって、何気ない部下との会話が減り、コミュニケーション不足を感じている上司が増えています。

そこで大変重要となってきているのが「 1 on 1」による部下との対話の機会です。

でも、この「 1 on 1」、皆さんとっても苦労しています。

「最近どう?」という質問をしても、部下から返ってくるのは「まあまあです」と言ったそっけない返答。

話が盛り上がらず、会話が続かないのです。

なぜ、会話が盛り上がらないのか?

答えは、「傾聴力」の不足です。

「傾聴力」はあらゆるマネジメントの基礎であるのに、その重要性があまりにも知られていません。

上司として豊富な経験がある人でも、「傾聴力」のトレーニングを受けると、次のような感想が出てきます。

「私は人生で一度も『傾聴』を行ったことがなかった」

そう。

「傾聴」は自然にできる行為ではないのです。

「傾聴」は、コーチングやカウンセリングで使う、とても高度な技術です。

コーチングやカウンセリングで行う「傾聴」の目的は、クライアントとの信頼関係の構築。

「聴く」という行為だけで、コーチやカウンセラーからクライアントに対する「好意」や「信頼」を伝達するのです。

一方で、わたしたちは常日頃、何の為に人の話を聴いているか?

その多くは情報収集と興味関心の充足です。

上司が部下に「最近どう?」と問いかけた場合、知りたいのは部下の仕事の調子です。

「仕事は順調です」と聞けば、安心する。

「色々と困っています」と聞けば、業績に悪い影響があるかもと考え、課題解決のために「何に困っているの?」と追加の情報収集が始まります。

そこにあるのは、安心したい、自分の欲求を満足させたいというエゴです。

部下の話を聞きながら常に自分の価値観で「良い」、「悪い」の評価をする。

自分の価値観で人の話をジャッジしながら聞いているのです。

「私は人の話を聞く力がある」という人は、情報収集のヒアリング力が高かったり、人からの提案を受け入れる柔軟性が高いだけで、「傾聴力」が高いわけではないのです。

部下は上司のエゴに気付きます。忖度して、話す内容も上司対応となります。嫌がる話は避け、喜ぶ話を探って伝えます。

本音を語らないので真の対話になりません。

一方、コーチングやカンセリングでの「傾聴」では、コーチやカウンセラーは自己管理して一切のエゴを捨てます。

自分の興味関心や価値観を封印し、クライアントの興味関心と価値観をそのまま良いものとして受け止めます。

例えば、「先週末はどんな感じで過ごしたの?」という質問から対話が始まったとします。

「一日中、ぼーっとしていました」とクライアントが話したら、コーチやカウンセラーは、

「『ぼーぅと』していたんだね」とおうむ返しをして微笑みます。

声のトーン、おうむ返し、そして表情から、「あなたのその週末の過ごし方は素晴らしい」というメッセージを伝えるのです。

週末のどんな些細な話であってもコーチやカンセラーが、そのまま肯定的に受け止めて楽しそうに聴いてくれて、特に質問もしてこない。

するとクライアントは完全なる安全安心を感じます。

安全安心が満たされると人は開放的になります。

「一日中、ぼーっとしていました」という話から始まって、最近とてもハマっている小説や映画の話を楽しそうに語り始めるのです。

ところが、この週末の話を自分の価値観を通してエゴ丸出しで聴いているとどうなるか?

「一日中、ぼーっとしていました」と聞くと、外向的な価値観を持っている人は心の中で「貴重な週末をぼーぅと過ごすなんて勿体無いな!」とか、「天気良かったんだからどこか外へ行けよ!」などという考えが浮かびます。

また、探究心旺盛な人なら「一日中、ぼーっと過ごすって、暇すぎて辛くないのかな?」「ぼーっとしている時って何を考えているのかな?」などといった自分の興味関心を満たすための質問が湧き上がったりします。

聞き手のこのようなジャッジや興味関心は声のトーンや表情を通して話し手に伝わります。

批判的な態度が伝われば、それ以上話す気持ちは萎えます。

興味関心で質問をされれば、自分が話したかったことではないけど相手の欲求を満たすためにうまい答えを探しに行ってしまったりします。

上司と部下の雑談が盛り上がらない理由は概ねこのパターンです。

「傾聴」において最も重要なのは相手の価値観を尊重するスタンスです。

コーチングやカウンセリングの世界ではクライアントに対する時、一番重要な原則は次のとおりです。

「間違っている人はいない」

全ての人は正しいのです。その正しさをコーチやカウンセラーが全面的に尊重するので、対話を続ける上での信頼関係の基礎が出来上がるのです。

人を殺めるテロ行為は正しいでしょうか?

もし、カンセラーがテロリストと対話を始めるのならば、カウンセラー個人の価値観は全て棚上げして、テロリストの行った行為を全て肯定して微笑んで聴くでしょう。

全てを肯定された時、テロリストは安全安心を感じ、開放的になってさまざまな本音や事情を語り始めることでしょう。

対話を通して信頼関係が生まれれば、やがてはこちら側の提案を聞き入れてくれる可能性も高まります。

「傾聴力」は自分のエゴを捨てて、ただただ相手の価値観を讃える、与える力なのです。

自分のエゴを棚上げする自己管理が鍵となります。

一日中、全て価値観を棚上げして自己管理していたら疲れてしまいますから、コーチやカウンセラーは、今から仕事をするぞ!とスイッチを入れて自己管理をしてクライアントの話を「傾聴」します。

そして、夜にお酒を飲んでいる時やTVを見ている時には、エゴ丸出しで人の話を「面白いね!」「つまんないね!」とジャッジしてストレス発散していたりします。

上司も、今から仕事をするぞ!とスイッチを入れて、 1 on 1で部下の話を「傾聴」する必要があります。

「傾聴」によって安全安心が満たされたならば、部下は安心して上司からの提案を受け入れるでしょう。

 1 on 1で部下が、「実は最近やる気がなくて、昨日は得意先に行くふりをして喫茶店でサボって漫画を読んでいたんです」と言ったネガティブな話をしてくれるようになったら大成功です。

本音を語ってくれれば、部下が本当に必要としている支援ができます。

「傾聴」は、「間違っている人はいない」というクライアントを全肯定するスタンスから始まります。

そして、次に重要となるのがペーシングとミラーリングという技術です。

人間は動物なので、似ているモノに安心を覚えます。

まずは呼吸のペースをそろえる。身なりや動作もそろえる。

相手がゆっくり話すのならば、相槌をゆっくりにしてペースをそろえる。

テンポ良く話すならば、相槌や頷きのテンポを速くする。

相手が前のめりならば、こちらも鏡写しのように前のめる。

相手が、頬に手を当てたなら、こちらも頬に手を当てる。

単純な行為なのですが、このペーシングとミラーリングは相手の無意識に多大な影響を与えて、無意識レベルで安心安全を感じさせます。

「傾聴」のトレーニングは、「お箸」のトレーニングに似ています。

初めて「お箸」を持った時、とてもぎこちなくて、毎回、形を確認しながらトレーニングしたはずです。

最初は意識してもできない。

やがて、意識してできる。

そして今は、無意識でいつでも完璧に「お箸」を操れるようになりました。

「傾聴」も、最初は意識してもうまくできない。やがて、意識してできるようになり、最終的には無意識でいつでも完璧に「傾聴」できるようになります。

「傾聴力」を高めることは、部活との信頼関係だけでなく、子供や夫婦間での信頼関係の構築にも大変効果的です。

すべての人のとのコミュニケーションにおいて、人間関係を円滑にするとても素晴らしい技術です。

テレワーク社会で益々重要となる「傾聴力」

これを機にトレーニングを受けてみてはいかがでしょうか。


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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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