昔も今も職場環境と言えば上司との人間関係がほとんどです。
相性の悪い上司に当たれば、最悪な職場。
上司が大好きならば、職場も大好き。
オフィスワーク時代には上司のことが嫌いでも、同僚とランチに行って上司の悪口を言ったり、休憩室で隣の課の先輩に相談に乗ってもらったり、色々とストレスを軽減できるルートがありました。
ところが、テレワークとなると嫌いな上司から受けるストレスの逃げ場がありません。
テレワークでは、「上司との人間関係」≒「職場環境」
上司の皆さんはこの構図をよく理解して、部下から信頼される良い上司になるように努めましょう。
「仕事なんだから、与えられた仕事をしっかりこなすのは当たり前。部下に媚びて好かれる必要はない!」
そんな硬派な意見も出てきそうですが、チームのパフォーマンスという観点では、上司が信頼されていることはとても重要です。
仕事に対するモチベーションはどこから生まれるのか?
もちろん、お金のため、出世のため、目の前の仕事が面白いから等々、色々とモチベーションを生み出す源泉はありますが、とても重要な要素として「人からの信頼に応えたい」という想いがあります。
誰しも、親や先生に褒められたいという外発的な動機で勉強を頑張った記憶があるはずです。
勉強は本来、自分の将来のためという内発的な動機で行うことが美しく見えます。そして知識の習得の楽しさという、勉強という行為自体にも内発的な動機を見出せます。
でも、子供の頃、楽しい遊びを我慢して勉強を頑張った理由として、親や先生から褒められたい、信頼に応えたいという外発的な動機もとても助けになっていました。
勉強同様、仕事も、本来は自分のためという内発的な動機で行うべきでしょう。
でも、上司からの信頼に応えたいという外発的な動機も仕事を頑張る上でとても役に立ちます。
ところが、上司が嫌いだと、この信頼に応えたいという外発的な動機が消滅、もしくはマイナス動機として働いてしまいます。
上司が嫌いだと、チームのためにより高い目標を自分に課してチャレンジしたり、難しいテーマを解くために四六時中思考を続けて週末に答えが出たり、そういった努力が馬鹿馬鹿しく思えてしまうのです
特に、困難な場面ではこの上司との信頼関係がパフォーマンスに大きな影響を与えます。
困難な場面でのパフォーマンスという観点で分かり易いのが軍隊です。
上官が「突撃!」と号令して、飛び出した時、信頼関係で結ばれている兵は、上官を守るために一緒に飛び出します。
全員が一糸乱れず一斉に飛び出して弾幕を張るのでチームは活路を見出します。
一方で、上官との信頼関係が無い隊では、「突撃」の号令で足並みが揃わず、一人ひとりが個別撃破されたり、時には上官が部下に背中から撃たれる事態も発生したとか。
軍隊のように生命を賭する場面は極端すぎるかもしれませんが、仕事においてもサラリーマン人生が掛かっている究極の勝負どころがあったりします。
そんな時、上司との信頼関係が強いチームは一丸となって知恵を絞り、果敢に行動するので奇跡的なパフォーマンスを発揮します。
あなたの「突撃」の号令で、チームメンバーはあなたを守るために一緒に飛び出してくれるでしょうか?
よもや、背中から撃たれたりはしませんよね?
では、部下との信頼関係を構築するために何をすれば良いのでしょうか?
キーワードは、
スポンサーシップと一貫性です。
まずは、上司としてのあなたが部下一人ひとりにスポンサーシップを発揮する。
スポンサーシップとは、本人以上に本人の成功と成長を信じて支援することです。
人には心理学でいう「好意の返報性原則」があります。
人は好意を寄せられると好意を返したくなるのです。
自分の成功と成長を心から信じてくれる上司のことを好きになり、何かお返しをしたくなります。
上司が部下にスポンサーシップを発揮することが、好業績への努力だったり、チームへの献身を生み出します。
人ですから好き嫌いもあるでしょう。
全ての部下に対して等しくスポンサーシップを発揮するのは不可能と感じる人もいるかもしれません。
でも、スポンサーシップは生理反応ではなくて、行動です。行動は努力で変えられます。
まずはあなたが最初にスポンサーシップを発揮して、部下を好きになり、その人の無限の可能性が花開く姿をイメージしてください。
彼(女)の良いところをたくさん発見する。
そして、一見、ダメに見える部分も環境によってはプラスに働く良い特徴だと捉えてください。
例えば、大雑把でミスが多いならば、それは何か新ことを始める時に重要な行動力です。適材適所で任務を与えれば、素晴らしい成果を出すでしょう。
考え込んで行動が遅いならば、重要な契約を結ぶときに大活躍するでしょう。
あなたが最初に発揮したスポンサーシップは部下の積極的な活動として現れ、まずはあなたを喜ばせてくれます。
好意の返報性原理の好循環が始まれば、チームは活気づき、やがてあなたは、当初の予想を遥かに超えた業績を目の当たりにすることになるでしょう。
そして、次に重要となるのが一貫性です。
「誠実であれ!」と日頃メンバーに語っておきながら、業績が悪くなると顧客に対して不誠実な対応を取ったらどうでしょう?
あなたの信頼は地に落ちます。
挑戦しよう!と促しながら、自身が保身を図っていたら、、、誰も鼓舞されないでしょう。
自分が人生で大切にしている価値観をメンバーにしめし、それを一貫した行動で貫く。
失敗することは問題ではありません。メンバーは、結果ではなく行動の一貫性を見ています。
失敗してもまた立ち上がる上司の姿を尊敬し、信頼します。
そして、上司の一貫性は、チームに安全安心をもたらします。
「誠実」、「挑戦」を守っていれば、上司は褒めてくれる。
「不誠実」、「保身」を図れば、上司は怒る。
とても分かり易い人です。予測可能性が高いので、安心して働けます。
最も付き合いづらくて、ドキドキするのが、一貫性の無い上司です。
同じことをしたのに、昨日は「よくやった!」と褒められ、今日は「なんでこんなことしたんだ!」と叱られたら、怖くて仕事に集中できません。
一貫性を貫くためには、本当に自分が人生で大切にしている極めて少数の価値観だけを掲げるべきです。
「時間を守ろう」、「人の目を見て話そう」、「身だしなみに気を配ろう」等、仔細な価値観まで掲げると、窮屈で柔軟性に欠けます。
多様な価値観を持ったメンバーの共感を得られないこともあります。
とても大切な人として根源的な少数の価値観を掲げるから、多くのメンバーの共感を集め、環境変化に柔軟に対応できるのです。
「職場環境」≒「上司との人間関係」
テレワークでこの構図はますます強化されています。
スポンサーシップから始まる好意の返報性原理の好循環で楽しく楽に好業績を生み出しましょう。
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。