クレド作成のすすめ
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クレド作成のすすめ

最近、やたらとリッツ・カールトンやジョンソン&ジョンソンのクレドに代表されるミッションステートメントや行動規範を作る仕事が多いのです。

なぜ、今クレドなのでしょうか?

背景として考えられる原因は以下の3つと思われます。

・ VUCAな時代で、情報過多。ブレずに進む指針が欲しい。

・ Z世代の出現、世代間ギャップの広がり等、価値観が多様化する中、全員をまとめる共通価値観が欲しい。

・ パワハラ、モラハラ等にビビり、上司の部下指導力が下がった。

クレドは上記の問題の解決に大いに役立ちます。

クレドは会社における憲法です。その正否を疑うのは御法度。

人は会社を選べます。クレドを掲げている会社に入社したのならば素直にそのクレドを尊重するだけです。

逆に会社が掲げるクレドに合意しないのならば入社してはいけません。

ちなにみ、ワークハピネスのクレドにあたるミッションステートメントは以下の通りです。

「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」

働くことを通じてワクワクした毎日を生きる人たちを増やしたい。使命感を持って人生を歩む人を増やしたい。生き生きと働いている人たちが集まる、組織づくりをサポートしたい。

そんな思いがこのミッションに現れています。

でも、このワークハピネスを否定する人がいることも確かです。

仕事は仕事。生活の糧を得る手段なのだからそこにワクワクや使命感など必要ない。そう考える人もいて、私たちはそういう人を否定しません。

「善い」と思う「行い」や「サービス」は人によって異なり、「善い」と思う「行い」や「サービス」に絶対的な正解はないのです。

クレドはその会社やチームにとっての「善い」ことの総意の宣言。

会社が掲げる「善い」と自分の考える「善い」が近い会社に入社すべきです。

クレドを掲げると、そのクレドに共感する人々に熱狂的に愛され、逆に共感しない人から避けてもらえます。

クレドに共感する顧客との関係はとても良好。従業員は余計な葛藤を抱えることなく快適に働くことができます。

クレドが人を選別して従業員と顧客にWin-Winをもたらすのです。

例えば、高級ホテルであるリッツ・カールトンのクレドの2行目にはこうあります。

「私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。」

リッツ・カールトンの考える「善い」サービスとは一人ひとりによって異なる「パーソナル・サービス」であるとの宣言です。

前回宿泊した時の会話で吉村さんが巨人ファンだと知れば、それがデータベースに登録されていて、次回泊まったときにスタッフから「巨人、勝ちましたね!」と声をかけられたりします。

前回宿泊時に居室のスツールの位置をベット脇に動かしていれば、次回宿泊時にはあらかじめスツールをベット脇に移動されてたりします。

これぞ「パーソナル・サービス」

ただ、この「パーソナル・サービス」が嫌いな人もいます。

ホテルではとにかくリラックスしたいのでスタッフから話しかけないで欲しい。

人に気を遣うたちなのでスタッフの接客は無機質な方が好き。

そんな人は、リッツ・カールトンを嫌います。

クレドを掲げると、そのクレドに共感する人々に熱狂的に愛され、逆に共感しない人から避けてもらえるのです。

従業員は余計な葛藤を抱えることなく快適に働くことができます。

情報過多なVUCAな時代。クレドは迷わず進む指針となります。

そして、Z世代の出現、世代間ギャップの広がり等、価値観が多様化する中、全員をまとめる共通価値観をくれます。

次にクレドがもたらす効果として、新人やスキルの低い社員に対する指導ツールとして威力を発揮します。

リッツカールトンのクレドに「サービスの3ステップ」という項目があります。

サービスの3ステップ

  1. あたたかい、心からのごあいさつを。
  2. お客様をお名前でお呼びします。一人一人のお客様のニーズを先読みし、おこたえします。
  3. 感じのよいお見送りを。さようならのごあいさつは心をこめて。お客様のお名前をそえます。

これなら新人でもやるべきことが明確です。

要約すれば、「心からのごあいさつ」、「先読みのサービス」、「お名前でおよびする」の3つ。

3つなら覚えやすいし、迷った時は常にこの3つに戻れば良いのです。

高級ホテルの業務には数限りなくやるべきことがあるわけですが、それを全て最初から完璧にこなせる人はいません。

学ぶにつれてやれることが増えてくると仕事の優先順位がわからなくなる時があります。

そんな時「サービスの3ステップ」はやるべき一番大切なことを教えてくれ、チーム全体のサービス・クオリティーを安定させます。

指導する立場の先輩や上司も、指導の指針として常にこの「サービスの3ステップ」を掲げれば良いのです。

自社にフィットした「サービスの3ステップ」を作れれば教える側と教わる側のストレスが減って仕事のクオリティーが安定するのです。

「サービスの3ステップ」という基本行動を示した上で、リッツカールトンのクレドはその先の目指すべき理想として12個の「サービスバリューズ」を掲げています。

最初の3つは以下の通りです。

  1. 私は、強い人間関係を築き、生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得します。
  2. 私は、お客様の願望やニーズには、言葉にされるものも、されないものも、常におこたえします。
  3. 私には、ユニークな、思い出に残る、パーソナルな経験をお客様にもたらすため、エンパワーメントが与えられています。

「強い人間関係を築いて生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得する」って具体的にどんな行動をすること?

それは書かれていません。

「サービスの3ステップ」とは大違いです。

「言葉にされないニーズ」

「ユニークな、思い出に残る、パーソナルな経験」

これも、具体例が書かれていないから何をしたら良いか?すぐにはわかりません。

なので、クレドは作成するだけでは意味がありません。日々の朝礼や実践の共有を通してクレドに沿った具体的な行動をチームで共有して考え続けるしかないのです。

リッツ・カールトンでは、毎朝のラインナップと呼ばれる朝礼でこの12個の「サービスバリューズ」を含めクレドの項目のどれか一つを取り上げてディスカッションをします。毎日違うテーマをディスカッションするので年間を通すと同じテーマを時間をおいて10回以上考えることになります。

5年前、仕事上の研究も兼ねてハワイのリッツ・カールトンホテルに宿泊した時のことです。

エントランスでのスタッフの挨拶はとてもフレンドリーで気持ちよく、小さな子供を二人連れている私たちに対する気配りも完璧で、まさに第二の我が家のような安心感で滞在していました。

たまたまエントランスにいた支配人のダグにその話をするととても喜んでくれて、会う度に挨拶を交わす仲になりました。

ある日、私はダグに思い切ってお願いをしてみました。

大阪のリッツ・カールトンホテルでもらった日本語のクレドをダグに見せて、

「前々からリッツカールトンのクレドに興味がある。そしてクレドの実践ができているスタッフの素晴らしさにも感動している。一度、ラインナップに参加させてくれないか?」

リッツカールトンのバックステージを見せてくれ!という厚かましいお願いです。

答えは、なんと、、、、、

“Yes”

翌日の朝、スタッフに敬意を表そうと正装した私たち家族4人はリッツカールトンのバックステージに招かれました。

その日のラインナップのテーマはサービスバリューズ

No.1 ”I build strong relationships and create Ritz-Carlton guests for life.”
(私は、強い人間関係を築き、生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得します)

ダグが私たち家族を大勢のスタッフに紹介しました。

「紹介します。吉村ファミリーです。リッツカールトンのラインナップに参加した初めてのお客様です」

大勢のスタッフが拍手で歓待してくれて、ダグから挨拶を促されました。

何を話したか覚えていませんが、リッツカールトンのラインナップに参加できて光栄です。皆さんの素晴らしい笑顔とサービスでとても楽しい滞在になっています。ありがとう。最後に、家族で手を繋いでそれを掲げ、

”I Love Ritz-Carlton Waikiki”

と締めくくりました。

すると、支配人のダグが言いました。

Service Values No.1 “Ritz-Carlton guests for life”

「私は、強い人間関係を築き、生涯のリッツ・カールトン・ゲストを獲得します。今、まさに吉村ファミリーは生涯のリッツ・カールトン・ゲストになったのです」

やられました。

ダグは自分の行動を通してスタッフに “Ritz-Carlton guests for life”の実践のお手本を示したのです。

その後、ラインナップは続き、大切な伝達事項、各チームの今日の目標等々、日常のリッツカールトンのバックステージが繰り広げられました。

とても貴重な体験で、家族も興奮していました。

まさに、Service Values No.3 ”I am empowered to create unique, memorable and personal experiences for our guests.”

(私には、ユニークな、思い出に残る、パーソナルな経験をお客様にもたらすため、エンパワーメントが与えられています)

VUCAな時代。

Z世代の出現。

価値観の多様化。

チームのクレドを作り、クレドのディスカッションを続けることをお勧めします。


WorkHappinessでは、大きく変化する時代の中での組織づくりをサポートしています。
現在、代表吉村によるマンツーマンの無料相談会「カフェワークハピネス」を実施しております。「組織風土を変えていきたいが、どこから手を付けていいかわからない」、「上層部の意識変革を行うにはどうすればいいのか」などお悩みなんでも受け付けております。お気軽に申し込みください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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