フローと経営
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フローと経営

私、お笑い番組を見るのが大好きなのですが、特に明石家さんまさんの番組が大好きです。

さんまさんはお笑い番組づくりを心から楽しんでいることが伝わってくるので、見ていてこちらもとても楽しい気持ちになります。

明石家さんまさんを知る人によれば、さんまさんは私生活でも全く変わらずに四六時中しゃべり続けて周囲を笑わせているとのこと。新幹線で一緒になろうものなら、話しかけ続けられて一睡もさせてもらえないそうです。

楽しむとフロー

2500年以上も前に書かれた「論語」に、

「子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」

という金言があります。

物事を知っている人はそれを好きな人には敵わない。その物事を好きな人も、それを楽しんでいる人には到底及ばない、という意味です。

明石家さんまさんは、お笑いを心から楽しんでいるので無敵です。

それが、40年以上も休むことなく元気に第一線で活躍している理由でしょう。

フローとは何か

行為を心から楽しんでいる状態をポジティブ心理学では”フロー”と言います。

物事が淀みなく流れるように進み、時の感覚が消滅し、心地良い状態が続きます。”フロー”状態の時、脳内からはドーパミンやエンドルフィンといった快感物質が出ていることがわかっています。

お笑い番組を仕切っている時の明石家さんまさんは間違いないくこのフロー状態に入っています。よく番組の収録中にさんまさんが「もうこんな時間か!」と時の流れの早さに驚いているのがその証です。

フロー状態に入るための主要な環境条件は次の3つです。

1 意義ある目的

2 適度な難易度

3 タイムリーなフィードバック

お笑いでみんなを楽しませるという「意義ある目的」があり、

「多くのお笑い芸人やタレントを巻き込んで話を盛り上げる」という、明石家さんまさんにとって、簡単すぎず、難しすぎない「適度な難易度」の設定で、彼の一挙手一投足で、ドカン、ドカン、と笑い声が上がる「タイムリーなフィードバック」がある。

”フロー”状態に入る条件がバッチリ整っています。そして、さんまさんは、心地良くて、時を忘れて没頭してしまうのです。

どんな時にフローは起こる?

私たちが身近で感じる”フロー”体験はスポーツやゲームをしている時です。テニス、サッカー、ゴルフ等をしている時、流れるようにプレイして、高度に集中しているのに、心と身体は大変にリラックスしていて、何もかもがうまくいく状態。スポーツ選手は”フロー”を”ゾーン”と呼ぶことが多いですが、同じ体験です。

スマホ等でゲームをやっている時も”フロー”に入りやすいです。スマホのゲーム等は、「適度な難易度」への調整が上手なので誰でも容易に”フロー”状態になってしまいます。

「力を合わせて敵を倒す!」や「地球を救う!」等の「意義ある目的」があり、自分の腕前にちょうど良い「適度な難易度」のゲーム設定で、自分の操作によって点数が上がったり、敵が倒れたりする「タイムリーなフィードバック」があります。

流れるようにゲームを進め、”フロー”状態に入って、ドーパミンやエンドルフィンが出てきて、心地良くて朝までゲームを続けてしまいます。

”働く”においても、「意義ある目的」、「適度な難易度」、「タイムリーなフィードバック」の3つが整っている時、私たちはフローを体験しています。

フローと経営

企画系の仕事であれば、”フロー”状態になると、高度に集中し、流れるようにアイデアが湧き上がり、高い生産性で独創的な創作物を生み出せます。

接客系の仕事であれば、お客様と流れるように心地よい会話を重ね、自然と様々な提案を差し上げてお客様に受け入れてもらえます。とても気持ちが良くて働く喜びを感じます。

”フロー”はこれからの経営において大変重要なテーマとなります。

その理由は以下の二つです。

1 創造性やホスピタリティーの発揮が競争力

2 ”フロー”体験が仕事の報酬

まず、「創造性やホスピタリティーの発揮が競争力」の時代がやってきます。

現在、世界中で様々なAIとロボットの開発が進んでいます。タクシードライバーが消滅して自動運転のロボタクシーの時代がもうすぐ到来します。飲食店に入れば非接触でオーダーし、厨房でロボットが調理し、スマホでキャッシュレス決済です。小売店では、AIを搭載したカメラがあなたとあなたの手が掴んだ商品を認識し、お店を出ると同時に支払いが終了します。

定型仕事、繰り返しの仕事、作業マニュアルが作れる仕事、ルールが決まっている仕事等がAIとロボットに代替されていきます。

レントゲン写真から病気を診断するという高度な判断も、すでに人間よりもAIの方が上手です。

近い将来、人間に残される仕事のジャンルは、大きく分けて、新しいものを生み出す創造的な仕事と、人と接し、人の心を豊かにするホスピタリティーを発揮する仕事の二つです。

高度に集中した”フロー”状態に入った時、流れるようアイデアが湧き上がり、信じられないほどの短時間で驚くほど創造的な仕事を成し遂げることができます。

新しいサービスや製品をマーケットに投入することで成功するクリエィティブ系企業にとっては、できる限り多くの従業員をできる限り長い時間”フロー”状態に保つ環境整備が競争力となります。

経営者の仕事は、従業員一人ひとりに「意義ある目的」を与え「適度な難易度」に目標を設定し、業務内容に応じた「タイムリーなフィードバック」を行い続けることです。同時に、集中できるテレワーク環境の整備も必要です。

人の心を豊かにするホスピタリティー系の企業においては、従業員が心から仕事を楽しんでいる状態が重要です。一人ひとりが”フロー”状態でおもてなしを楽しんでいると顧客も楽しくなります。楽しいから続けられる。楽しんでいるからお客様が集まってくる。ホスピタリティー系の企業においては従業員一人ひとりの”フロー”からはじまる楽しさの好循環が成功への近道です。

フローを与えられる会社が生き残る

”フロー”がこれからの経営において大変重要なテーマとなる二つ目の理由は、近い未来に「”フロー”体験が仕事の報酬」となるからです。

コンピューターとインターネットが世界に普及した第三次産業革命によって、私たちの労働生産性は毎年上昇を続けてきました。さらにAI&ロボットにより第四次産業革命を迎えたことで、今後、労働生産性は爆発的に上昇することが予想されています。

AI&ロボットによって工場が無人化する。小売や飲食の現場が無人化する。労働生産性の分母は人間の労働投入時間です。無人化≒労働投入時間0、つまり、分母が限りなく小さいので労働生産性は無限大です。

労働生産性が限りなく上昇するという事は、私たちの労働時間が限りなく少なくなっていくということです。すでに週休3日の会社も現れていますが、今後は週休4日の企業なども登場するかもしれません。

一方で、AI&ロボットによる極端な労働生産性の上昇は大量の失業者を生み出すとの懸念もあります。それに対する答えが、全ての国民を区別することなく等しく対象としたユニバーサルベーシックインカム(”UBI”)の給付です。北欧等ではすでに実験が始まっていますが、例えば老若男女、一律に無条件で毎月10万円を給付するという国家制度です。

”UBI”が実現した時、人は生活のために働く苦役から解放されます。

苦役から解放された時、”働く”はエンタメに変わります

すでに多くの若者は、”働く”においてお金よりも”やりがい”を重視しています。

”UBI”の実施を待たずに、お金のために”働く”のではなく、「楽しいから」、「快感だから」”働く”というパラダイムシフトは始まっているのです。

この時重要となってくるのが”フロー”です。

スマホでゲームをやっても”フロー”は体験できます。朝まで続けてしまうほどドーパミンもエンドルフィンも出るのですが、明け方、空が白んでくるのを見たときに何か虚しくなるのです。世を徹して行為を続けたけど、誰の何の役にも立っていないからです。身体は気持ち良かったけど、心が満たされないのです。

一方で、”働く”ならどうでしょう?

”働く”とは、必ず人や社会の役に立っているものです。”働く”ことで”フロー”を感じることは身体も心も健全にしてくれます。

”働く”ことで”フロー”を体験できる会社は人気企業となります。優秀な人材がワンサカやってきて大繁盛です。

お笑いを心から楽しんでいる明石家さんまさんは無敵。

”働く”を心から楽しんでいる企業も無敵。

「これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」

2500年を超えて、この金言が数字で証明されつつあります。


株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村 慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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