人を育てる

2019.11.01

「ストレスコーピング」を知って、ストレスと上手につき合う方法

昨今、職場でのメンタルヘルスへの関心が高まっています。職場では働く環境や人間関係、仕事の内容などによりさまざまなストレスが生じます。

それらとうまく付き合うことができなければ、うつ病やバーンアウトといった心理的な症状、また不眠や過呼吸や高血圧など、身体的な症状も現れることがあります。さらには過食や過飲、注意力散漫など行動面で問題が出てくる可能性もあるでしょう。

今回は、ストレスと上手に付き合って心身共に健康で働くために、「ストレスコーピング」の考え方をご紹介したいと思います。

ストレスコーピングとは?

ストレスコーピングとは、「ストレスにうまく対処すること」を言います。

ストレスという言葉はもともと物理的な「圧力」を意味していましたが、1936年にカナダの生理学者セリエが、はじめて医学的・生物学的な意味で使用しました。セリエは、動物や人間が外界から刺激を受けたとき、自分の身を守るために起こる生体反応について説明するのに「ストレス」という言葉を用いました。

その後、1984年にラザルスが心理学の分野でもこの言葉を使い始め、現在では外部環境からの刺激(ストレッサー)により、心身に有害な反応(ストレス反応)が起こる過程をストレスと呼び、それにうまく対処していくことを「ストレスコーピング」と呼ぶようになりました。

心理的ストレスモデルとストレスコーピングの種類

それでは、心理学的ストレスモデルとストレスコーピングの種類について、もう少し詳しく見ていきましょう。

心理学的ストレスモデル

最も有名なのは、ラザルス「認知評価理論」に基づいたものです。

ラザルスの説では、ストレスは単に生理的な反応ではなく、外部環境と人の心の相互関係により起こるのだとされています。つまり、ストレスが生じる要素としては、外部環境からの刺激に遭遇したとき、人がそれをどう受け止め認知するかということが、最も重要だとしているのです。

ラザルスの心理学的ストレスモデルによると、人が外部環境からの刺激(ストレッサー)を受けたとき、まず「ストレッサーが自分に害をなすものである」という一次的認知評価がなされます。その後「ストレッサーにどう対処(コーピング)したらいいのか」という二次的認知評価が行われ、選択したコーピングを行うことになるのです。

ストレスコーピングの種類

それでは、次にストレスコーピングの種類について見ていきます。コーピングにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると「問題焦点型」と「情動焦点型」の2種類になります。

  • 問題焦点型コーピング
    「ストレッサーに直接働きかけ、問題そのものを解決しようとする方法」
  • 情動焦点型コーピング
    「ストレッサーそのものではなく、それに対する自分の考え方・感じ方を変えようとする方法」

問題焦点型コーピングは問題の根本的解決になるため、まずはこれから行うのが一番であるとされています。ただ、ストレッサーの種類や個人の性質によっては、ほかのコーピングのほうが適している場合もあるので、状況に応じて適切なコーピングを選んだり、組み合わせたりするのが効果的とされます。

ストレスコーピングの例

次に、ストレスコーピングの具体的な例を見ていきましょう。

●問題焦点型コーピングの例
上で述べたように、問題焦点型ではストレスの原因になる物・人・状況などに直接働きかけ、根本的な問題解決を図ります。

  • 職場の物理的環境を改善(暑さ・寒さが厳しい→空調を調整してもらう/作業の効率を上げたい→古い機器を入れ替えてもらう)
  • 当事者との話し合いによる解決(過多な仕事量、時間的制限→上司と話して適切な状態にしてもらう)
  • 周辺から状況を変える(上司や同僚・部下とうまくいかない→配置換えをしてもらう)

●情動焦点型コーピングの例
問題焦点型コーピングがうまくいかないとき、または行えないときなどに、情動焦点型コーピングを行います。このコーピングでは、問題を直接取り除くのではなく、ストレッサーに対する自分の考え方・感じ方を変えることで、ストレスを軽減させようとします。ポジティブ・シンキングと呼ばれることもあります。

  • 相手への接し方を変える(後輩が言うことを聞かない→わかりやすい指示の方法を考えてみる)
  • 相手への考え方を変える(上司の指示が不親切→忙しくて時間がないのかもしれないと考える)
  • 仕事への考え方を変える(業務の締め切りがきつい→効率的な仕事の進め方を模索するチャンスととらえる)

気晴らし型コーピングの例

問題焦点型、情動焦点型ではすぐに問題解決ができない場合、一時的に問題から離れ、自分が快いと感じるもの、リラックスできるもので気分転換をすることを言います。

  • スポーツで汗を流す、好きなスポーツを観戦する
  • 好きな音楽を聴く、好きな本を読む、長期休暇の旅行の計画を立てる

自分が好きなもの、気分が好転するものを、できるだけ細かくリストアップしておきましょう。例えば「このアーチストのこの曲を聞いて勇気をもらう」「この入浴剤で風呂に入って温泉気分に浸る」「この映画のこの部分を見て感動する」など、具体的にすることで行動につながりやすくなります。

ストレスはどのような状況でも発生しますが、ストレスコーピングを意識的に行い、ストレスと上手につき合っていくことで、心身共に健康を保つことができます。企業においても、従業員のメンタルヘルスに強い関心を持ち、深刻な状況になる前に手を差し伸べられるよう、サポート体制を整えていきたいものですね。

この記事を書いた人この記事を書いた人

ワークハピネス

株式会社ワークハピネス

「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」をミッションに、人材開発、組織開発、事業創造支援を主に行うコンサルティングファーム。人の意識を変え、行動を変え、組織を変えることに強みを持つ。

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