対談インタビュー

2020.04.06

【WORK HAPPINESSお悩み相談室】人と組織の課題をコンサルティング!第3回「イノベーション推進部がうまく機能しない」

組織で働いていると、「会社でいま何が起きているの?」「なぜこんな問題が発生しているの?」「こんな時どうすればいいの?」など、悩みや疑問を持つときがあるのではないでしょうか。そんな悩みや疑問を解決するためのヒントになるのがこの 「WORK HAPPINESS お悩み相談室」です。
「WORK HAPPINESS お悩み相談室」では実際のクライアント様のお悩みに、弊社人材開発&組織開発のスペシャリストである吉村慎吾によるご相談をさせていただきます。ブログでは皆さんの様々な人や組織に関するお悩みにお答えしていきたいと思います。

◆相談テーマ「イノベーション推進部がうまく機能しない」


■業界:機械部品メーカー
■従業員数:約800名
■主なクライアント:自動車関係
■相談者:新規事業部長


■吉村:今日はお時間いただき、ありがとうございます。どういったお悩みがありますか?

●相談者:今、大手の自動車メーカーの注文が売上の大半を占めています。しかし、その自動車メーカーの発注も減っていますし、自動車そのものの売上が減少しています。このまま他の製品を生み出していかないと、我が社はジリ貧になってしまいます。特に国内生産が縮小し、海外へ部品調達が増えている。国内基盤だけだと不安に思っています。

技術面では大手発注の要望に忠実に応え、コスト削減していくことが求められていました。新しい発想を持つことよりも、営業も新規開拓の経験がない。マーケティングの意識もない。国内生産の縮小、国内基盤だけでやっています。しかし、それが社長が何を言ってもなかなかメンバーが動かないんです。

■吉村:今まではメーカーの御用聞きが多かったということですね?それで、今、新たな取り組みをされているのですか?

●相談者:色々と勉強し、弊社もイノベーション推進室を作りました。しかし、それがなかなかうまくいってません。

「会社が変わるのは企業文化が変わること」

■吉村:どの会社も同じ悩みを抱えていて、どの会社も同じ過ちをおかしているんですよ。実はイノベーション推進室を作るだけでは何も変わらないんです。組織図を変えても何も変わっていない。最後に変えるもの。社員の物事の考え方を変わることが会社が変わったということ。

「受け身の従業員」を「攻めの従業員」に変えることです。
例えば銀行は自然と金利が入ってくるが、証券会社では何も入ってこないので、提案して取引をしてもらって、手数料が入る。だから、その銀行に積極提案部を作ったとしても、すぐ変わらない。

●相談者:そうなんですよね。弊社はどうしても受け身になっているところが多いかもしれませんね。

「小さな変革事例で社員の行動パターンを変える」

■吉村:そのためにはメーカーからの指示待ちから能動的に変える。
人間は、見て感じて変わるのです。例えば、大手の商社さんでチャレンジする社員が多いのは、隣の人もチャレンジしているから。それではじめて自分もできると思うようになる。隣の彼もチャレンジして成功したら、変わる。そのために、1個、2個小さな事例を重ね、変えていいんだと示すことが必要です。会社は変わっていいことを示す。たとえば、仕事の服装を私服にしてみるなど、ちょっとしたことを変えることで文化も変わってきます。

●相談者:そのささいなことでも変えてみることが大事なんですね。ただ、みんな失敗を恐れてチャレンジしないんです。

「失敗を恐れずチャレンジする」

■吉村:いいえ、失敗というのはありません。学習があるだけです。そのためには、イノベーション推進室のような新規事業の場合は、社長直轄にして守る必要があります。

例えば、ソニーのウォークマン。ラジカセは当時はスピーカーと録音機能があるもの。最初ソニーは否決したが、当時の創業者の井深さんが飛行機の移動中にクラシックを聞きたいだけなんだといって作って、盛田さんがこれはいけると作った。みんな売れないよって言われたが、フタを開けたら大ヒットだった。世界初の試み、ただ聞けるだけ。我が社初の試みにはデータがないんです。

一方、イノベーションのジレンマ、取るに足らない金額だからと思ったものが産業を壊していく。例えばIBMが14万人を大リストしたのは、パソコンなんかおもちゃだから、取るに足らないといってマイクロソフトに売ったら、パソコン時代がきて、IBMのメインフレーム事業が破たんした。イノベーションというのは取るに足りないものが、突然、巨大化して、既存のビジネスを壊してくれます。御社を変えてくれるものは、最初は取るに足らないもの。いくつか数を売った中で大ヒットが生まれて、次の会社の屋台骨になるのです。

●相談者:小さな成功事例の種みたいなものを許容すること、私自身が守っていかないといけないんですね。

「イノベーションは失敗ではなく、挑戦」

■吉村:それと同時に、いまメインビジネスをやって頑張っている人たちに理解してもらう啓蒙活動をすることが大事です。ある日一夜にして本業が入れ替わる事業がうまれるわけではないのです。失敗ではなく学習。高速で失敗して、高速で学習していく繰り返していきます。エジソンは「私は失敗したことがない。1万回のうまくいかないことを試しただけだ」と言いました。

このようなプロトタイプ思考でどんどん学んでいく。早く試して、どんどんそこから学んでいく。PLAN・DO・SEEではなく、BUILD・MESURE・LEARNというリーンスタートアップの物事の進め方。高速で失敗を繰り返して高速で学習するのがイノベーションチームの行動規範。これは高品質を求められる企業文化ではないので、イノベーション推進部を作ったのであればイノベーション推進部は社長の直轄にして守る。同時に本業の人にイノベーションとはなんたるかの教育をして外野からの批判を減らしてあげる。イノベーション部門の人は結果に時間がかかります。どれだけ利益を上げたかで見られると報われません。既存の企業のプロフィットで評価したら報われないのです。

まずは会社の環境を理解してもらう。このままいったら、大手メーカーでさえ存続が危ぶまれています。我々部品メーカーが生き残るためには、どんどん顧客を多様化して、イノベーションを起こして、新しい売り方、新しいマーケットを作っていかなければいけないことを理解してもらわなければなりません。一番辛い仕事をイノベーション推進部がやっていることを理解してもらわなければならないのです。

●相談者:ただ、経営陣が社員に自動車産業の暗い未来を伝えると落ち込むのではないでしょうか?

■吉村:いいえ。正直な現実を見せた方が良いのです。その現実を踏まえて、危機感をみんなで共有し、全社でイノベーション推進部を応援する体制をつくることが大事なのです。

●相談者:そういうことなんですね。やはり、イノベーションは遊びからでしか生まれないんでしょうね。失敗の恐怖を乗り越えることで、私たちの組織もまだまだ成長することができそうなんでしょうね。貴重なヒントありがとうございました。

ワークハピネスお悩み相談室では、人や組織に関する皆様のお悩みや疑問を 募集しています。 ぜひ、悩み事など、気軽にお寄せください!

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村 慎吾

世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて公認会計士として活躍し、世界最年少マネージャー記録を更新。上場審査官として世界初の日米同時株式公開という金融業界のイノベーションを起こす。
2000年、企業変革支援アウトソーサーである株式会社エスプールを創業。100年の伝統ある老舗ホテルを1年でV字回復させ、栽培農業を活用した障がい者雇用支援サービスを立ち上げるなど、サービス業界にも数々のイノベーションを起こす。同社2006年2月に株式上場。
2006年、組織・人材開発コンサルティングサービスを行う株式会社ワークハピネスを設立。人材と組織の変革によって、大企業からのイノベーションの創出を支援を行う。年間、数十の事業立ち上げを支援。
同時に多数のベンチャー企業の育成や事業戦略コンサルティングを手がける等、ベンチャーの育成にも豊富な実績を有する。著書『イノベーターズ~革新的価値創造者たち~』は、日経新聞ビジネス書ランキング1位、図書館協会選定図書に選ばれ、多数の企業で「次世代幹部育成の課題図書」として扱われている。
 
著書:イノベーターズ~革新的価値創造者たち~、日本流イノベーション、AI時代に輝く経営の教科書

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