【WORK HAPPINESSお悩み相談室】人と組織の課題をコンサルティング!第4回「ベンチャーをM&Aしたが合併した企業とウマが合わない」
対談インタビュー

【WORK HAPPINESSお悩み相談室】人と組織の課題をコンサルティング!第4回「ベンチャーをM&Aしたが合併した企業とウマが合わない」

組織で働いていると、「会社でいま何が起きているの?」「なぜこんな問題が発生しているの?」「こんな時どうすればいいの?」など、悩みや疑問を持つときがあるのではないでしょうか。そんな悩みや疑問を解決するためのヒントになるのがこの 「WORK HAPPINESS お悩み相談室」です。
「WORK HAPPINESS お悩み相談室」では実際のクライアント様のお悩みに、弊社人材開発&組織開発のスペシャリストである吉村慎吾によるご相談をさせていただきます。ブログでは皆さんの様々な人や組織に関するお悩みにお答えしていきたいと思います。

◆相談テーマ「ベンチャーをM&Aしたが合併した企業とうまがあわない」


■業界:IT業界(エンジニア)
■従業員数:約100名(正社員約1500名)
■売上:約30億円
■相談者:社長

相談テーマ「ベンチャーをM&Aしたが合併した企業とうまがあわない」

■吉村:先日、ビジネスは順調に言っているというは話を聞きましたが、何かお悩みでもありますか?

●相談者:クライアントはネットビジネスで伸ばしている企業が多く、会社も比較的安定的に成長してきました。クライアント数は最初50社くらいでしたが、150社くらいまで拡大しました。そこで、そのタイミングで同じ業界で勢いが合ったアメリカのベンチャー企業を買収することになりました。それが自社のエンジニアと合併した企業のエンジニアがうまくかみあわないんです。そのため、一向に技術提携が進みません。どうやって、お互いの強みを活かして、エンジニア同士で協力体制を築いていくことができますでしょうか。

「日米のそれぞれのマネジメントの特徴」

■吉村:そうなんですね。 一般的なアメリカの企業なのですが、ミッション・ビジョンや予算計画などがしっかりしていて、それぞれの部署に目標がふられていて、何をすれば評価するかが、目標をどれくらいクリアしたら報酬はどれくらいになるなど、マネジメントのルールが明確なんです。

一方で日本のマネジメントは、海外から見ると、ミステリアスマネジメントと言われていて、目標はジョブスクリプション(職務記述書)が不明確ですが、御社はいかがでしょうか?

●相談者:みんなで目標に向かって頑張ろうと最初は勢いはあったのですが、技術の壁があったので、シリコンバレーと提携しようと考えました。しかし、実際、仕事を進めていこうとしたら、エンジニアの協力関係がうまくいかない。これは文化の壁なのか?仕事のスタイルの違いなのか?と悩んでいました。しかし、アメリカの企業の方は、自分のやり方を崩したくないと主張してくるんです。

■吉村:日本では、明確な目標を示さなくてもおもんばかって仕事をしてくれた。しかし、アメリカの会社はいついつまでにこれを達成しなさいという明確な目標を与えられたらちゃんとする。与えられた目標を達成したら評価すると、目標設定がちゃんとしていないと動かないのが一般論なんです。そのため、今回の買収を期に、日本側のマネジメントスタイルを変えていく必要があるかもしれないですね。

「個人の目標や業務プロセスを明確にしていく」

●相談者:特に日本の役員のやり方とアメリカの経営者のやり方がぶつかっている感じがします。

■吉村:働き方改革で問題となっているのが、日本企業は終身雇用が前提となったメンバーシップ型雇用で、一生面倒を見るから、忖度しながら、周囲に気配りをして、阿吽の呼吸でやる信頼ベースの仕事。それに対してアメリカは、ジョブ型雇用でこの業務を任せたから、明確な契約関係で成り立っており、会社に対する忠誠心が違います。

では、今からどちらがglobalに通用するかというとアメリカ型経営です。ジョブ型のマネジメントスタイルに切り替え、日本の働き方改革も実現する。いいきっかけとして、社員にも目標も評価も明確にしていく業務プロセスも明確に必要ですね。

●相談者:他社の成果主義を導入したけれども失敗してしまったという話を聞き、個人の目標よりも、チームで仕事を一緒にやることを重視して個人の目標でしばらないようにしてきましたがもっと個人の目標を明確に指示した方がいいのでしょうか。

■吉村:通常の日常業務、クライアントから受託して行うオペレーション業務はルールを作り、プロセスを見える化して、一定のクオリティでできるように設計し直す必要があります。

●相談者:過去、アメリカの優秀な技術者から社内のエンジニアを学ばせようとして、トレーニーとしてアメリカに送り、で修行して半年たったら、彼らは役に立たないとなったんです。

■吉村:アメリカのマネジメントスタイルを直接日本で学んでもらうほうが良いかもしれません。あるチームを任せて成功モデルをつくって、日本のチームに広げていく。日米の共通のミッション・ビジョンをもつ必要がありますね。

「チームビルディングで目標と相互理解を深める」

●相談者:チームがいったいとなるミッション・ビジョンを今まで語り合う場はなかったですね。

■吉村:世界ではチームビルディングというのがあります。チームビルディングのキモは明確なミッション・お互いを理解し合うことで信頼関係が生まれるというものです。 ダニエルキムの成功循環モデルがあり、「関係の質」を高めるところから始めます。「関係の質」は、相互理解を深め、お互いを尊重し、一緒に考えることで高まります。ここから始めると、メンバーは自分で考えるようになり、「思考の質」が向上します。さらに、自分で考え、自発的に行動するようになることで、「行動の質」が向上します。その結果として「結果の質」が向上し、成果を出すことができ、信頼関係が高まり、「関係の質」がさらに向上するという良い循環を繰り返すのです。

関係性の質のスタートは「共有した目標」と「相互理解」です。お互いの理解が足りない、共通の目標を持っていないのが問題かもしれません。

成功循環モデル

●相談者:そうなんですか。弊社では、結果をすぐ求めすぎるところがあります。それが、なかなか成果が上がらないのでお互いが対立が深まり、「関係の質」が悪化しているのかもしれません。特に技術者はすぐ結果が出ない開発もありますからね。

「技術を磨けるチャンス」と「ワクワクする仕事」をビジョンで示す

■吉村:そこでポイントがあります。技術者はお金も重要なのですが、それ以上に「ワクワクする仕事があるか」を気にかけるところがあります。ここにいると面白いプロジェクトに関われるということをビジョンで示せばいいですね。技術者には、「仕事で自分の技術が磨けるチャンス」や「ワクワクする仕事」そのものが仕事のやりがいになるのです。

●相談者:では、どうやったらチームがミッション・ビジョンを共有できるのでしょうか?

■吉村:以前、私は企業を上場させるプロジェクトで日米の合同チームで働いていたことがあります。そのとき、アメリカから優秀なマネージャーやパートナーを招いて上場させようとしたのですが、最初は日本の企業に懐疑的で、仲たがいが続きました。しかし、深く話し合いを重ねることで、日本の情熱や知識や技術があるとわかったとき、ONE TEAMになることができました。

チームビルディングには4段階あります。Form,が形成期、Stormが混乱期、Normが統一期,、Performが機能期です。最初、新たなチームがうまれ、メンバー同士が期待と不安を持ちながら、様子見の段階があります(Form)。次に目標などが決まって、チームが動き出すと、お互いの仕事の進め方や意見の違いが生まれます(Storm)。それぞれのメンバーの違いを乗り越え、共通の目的やミッションに向かって、各自の役割を担っていきます(Norm)。その結果、チームが1つになって仕事やタスクに集中し、成果を出していくことができるのです(Perform)。

このつらい時期を耐えきることです。日本の企業も、「そっちがわかってないじゃないか」、「そっちの目標が正しくない」などの争いが起きますが、やがてぶつかった末に、互いが理解し合って、収束し、成果を上げていく。

御社はまさに、このForm、Stormが起きている状況です。このつらい時期を耐えきること、対話から逃げないこと、日本の技術者もいい仕事をしたい、成長できるプロジェクトをつくっていきたいと思っているのは間違いない。お互い同じ目標であることを理解し、チャンスを与える必要があります。

●相談者:日本の現場にはこのStormを避けようとするところがあるかもしれません。まずはその対話が必要ですね。その設計について話し合ってみます。ありがとうございました。

ワークハピネスお悩み相談室では、人や組織に関する皆様のお悩みや疑問を 募集しています。ぜひ、悩み事など、気軽にお寄せください!


株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村 慎吾

世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて公認会計士として活躍し、世界最年少マネージャー記録を更新。上場審査官として世界初の日米同時株式公開という金融業界のイノベーションを起こす。
2000年、企業変革支援アウトソーサーである株式会社エスプールを創業。100年の伝統ある老舗ホテルを1年でV字回復させ、栽培農業を活用した障がい者雇用支援サービスを立ち上げるなど、サービス業界にも数々のイノベーションを起こす。同社2006年2月に株式上場。
2006年、組織・人材開発コンサルティングサービスを行う株式会社ワークハピネスを設立。人材と組織の変革によって、大企業からのイノベーションの創出を支援を行う。年間、数十の事業立ち上げを支援。
同時に多数のベンチャー企業の育成や事業戦略コンサルティングを手がける等、ベンチャーの育成にも豊富な実績を有する。著書『イノベーターズ~革新的価値創造者たち~』は、日経新聞ビジネス書ランキング1位、図書館協会選定図書に選ばれ、多数の企業で「次世代幹部育成の課題図書」として扱われている。
 
著書:イノベーターズ~革新的価値創造者たち~、日本流イノベーション、AI時代に輝く経営の教科書

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