働く時間と場所を自由にしても業績は下がらない! ユニリーバ・ジャパン取締役 島田由香さん
今回の”リーダーズインタビュー”は、自分らしく働き、生産性を高められるよう、働く時間・場所を社員が自由に選べる新人事制度「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)を導入された島田由香さんです。「WAA」をやろうと思ったきっかけ、経緯や起きている変化などについてお話しいただきました!
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長
島田 由香さん東京都生まれ。慶応義塾大学総合政策学部(SFC)卒業後、パソナに入社。2002年米国ニューヨーク州コロンビア大学大学院にて組織心理学修士取得、日本GE(ゼネラル・エレクトリック)にて人事マネジャーを経験。2008年ユニリーバ入社後、R&D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを経て2013年4月取締役人事本部長就任。その後2014年4月取締役人事総務本部長就任、現在に至る。
学生時代からモチベーションに関心を持ち、キャリアは一貫して人・組織にかかわる。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLP?トレーナー。
日本の人事部HRアワード2016 個人の部・最優秀賞受賞。中学1年生の息子を持つ一児の母親。
インタビュアー:さっそくですが、島田さんが取り組んでいらっしゃる「WAA」について、これをやろうと思ったきっかけ、経緯、実際に起きている変化など簡単にお聞かせ頂いてよろしいですか。
島田:改めてお伝えしたいのですが、WAAのアイディアを出したのは私かもしれないけれど、社長や役員が協力して一枚岩になってやっているということです。これがなかったら、一年間続いていないと思うんです。私が勝手に一人でやっていたら、ここまでは出来ないので。
一年間やって、ものすごく良い結果が出ています。同時に課題も非常にクリアなので、2年目はこういうところにフォーカスしてやろうねというアナウンスを出しました。あっという間の1年でした。よく苦労したところを聞かれるのですが、苦労なんかないんです(笑)。
今までやったことないことだから、反対する人、不安に感じる人はいますが、違うことをする時に皆怖いのは当たり前ですよね。何をやっても色々な見方があって、良かれと思ってやっても違う風にとらえる人もいる。そこは苦労というよりも、「そうか、そういう見方をするのか!ではこういう風に言ってみよう!」「なるほど、こんな風になるのだね」と捉えることで、よりいろんなことが見えてくるので、素晴らしいフィードバックだと思っています。
そんなたくさんのフィードバックから課題と感じていること、もっと強化したいなというところは、いくつもあります。その最大のものは、マネージャーの力量を上げていくこと。この制度自体、上司がどういう風に活用しようと思うかによって、すごく状況に差が出る。つまり、その上司の下にいる社員への効果が変わってくると感じています。基本的に「やり方は任せる」けれども、制度のことをしっかり理解してもらわなくては、会社からのメッセージが違う風に伝わってしまう可能性があります。
そういう意味で会社が意図しているものをもう少しコミュニケーションをとって伝えていくということはもっと出来ることがあるのではないかと考えています。また、上司側が本当に効率的に良いコミュニケーションを取れる手法をトレーニングすることももっとやっていきたいと思っています。
WAAをスタートした後でもビジネスの売上も利益も上がっています。WAAをやったから業績が上がったとかは言えないですが、『これをやったからといって業績は下がらない!』とは言えると思います。よく聞かれることの一つにこういうのやると業績が下がるのではないですか?という質問があります。これに対しては、下がっていません!とはっきり言えます。これは、この先こういう取り組みをやろう!と思う方々に絶対に伝えたいことです。
インタビュアー:すごいですよね。売上、利益の成長がそのまま継続していて、しかもどこでも、どんな時間でも働けること自体が本当にすごいです。
島田:私もそう思うのです。この取り組みで売上が上がるよ!とは言い切れないですけれど、でも少なくともこれをやっても下がっていないんです。 そして、社員に4回定期的にサーベイを取っていて1、3、6、10か月後に取った結果、67%の社員が『毎日生活が良くなった』と答えており、75%の人が『生産性が上がった』と思っている。平均30%生産性が上がったとの結果がでています。
この「生産性はどうやって計るのか」は皆さん一番気になっているところだと思うのですが、私も色々考えて、今はっきり言っているのは、『感覚値でいい』ということです。時間、コスト、人員数など、あまりにたくさんの変数がありすぎて、計りようがないんです。
インタビュアー:感覚値が30%上がったってことですね!?
島田:導入前のあなたの生産性を50とした時に今のあなたの生産性は0から100のどれですか、と聞いていて、数字を入れてもらっているのです。今その平均点が65ですので。50から割り戻して、30%と出しています。
インタビュアー:社員がそうやって回答しているということは、本人としても相当生産性上がっている感覚があるんでしょうね。
島田:人によっては90とか75など、51以上を入れている、つまり生産性が上がったとしている人が75%います。一方、下がった、つまり49以下を入力した人ももちろんいます。49%以下を入力した人は5.5%います。その人達がなぜ下がっているのかなと見ると、だいたい理由が2つです。
1つは『テクノロジー』です。スカイプが切れるとか、リモートでネットが繋がりにくいなど。2つめは『コミュニケーション』です。この2つめがより重要だと思っています。「コミュニケーション」というのはすごく便利な言葉ですよね。何のコミュニケーションなのか?ということをもっと徹底して見ていく必要があると考えています。互いがもう少し尊重・尊敬しあったらできるようなことも、WAAの取り組みによってコミュニケーションが悪くなったみたいになってしまう。
インタビュアー:WAAが理由ではなくて、そもそものコミュニケーションが悪いでしょ、ということですね。
島田:そうなんですよね。そのようなところを今年はより強化したいと思っています。
インタビュアー:逆に言えば、WAAによってコミュニケーションが促進される効果の方が大きい気もしますよね。
島田:そういう聞き方は特にしていないですが、そういう言葉を書いている社員もけっこういます。より気を付けるようになった、より意識をするようになったという言葉が多く出てきています。
“自分が何を成し遂げたいか?を意識すること”、“自分に向き合い続け自分を深めること”にリーダーシップの真髄がある
インタビュアー:少しお話を聞いただけでも島田さんの生き方というか、エネルギーの出し方がすごく前向きで、すごく楽しそうに感じたのですが、もとからそうなのですか?
島田:そうです(笑)
インタビュアー:このエネルギーがプロジェクトをうまく進めていく上でも非常に重要なのだろうなという気がしました。
島田:近くにいる人はウザいと思っているのでは?今度、私の近くにいる人に聞いてみてください(笑)。一緒にやっている人は大変かもしれないけど、これは私としては普通なので、そんなこと言われてもしょうがないですね。
インタビュアー:昔から意識しているとかでもなく、昔からそんな感じでやられていらっしゃるんですか?
島田:そうですね。だから逆に具合が悪い時は同じフロアの人皆が分かるくらいわかりやすいです。落ち込むとかはあるけれど、基本的にあまり落ち込まないです。というか、落ち込んでもしょうがないなと思うのですよね。そして「じゃあどうする?」というほうをすぐに考えます。転んだら絶対タダじゃ起きないんですよ!
いろんなことをやってみて自分を知る、深める、見るということが、リーダーシップの真髄だと思っているんです。良いパフォーマンスを上げていく、生産性とか切り口は色々あるけれども全てのものが自分を知る事につながるな、とここ3、4年、ものすごく思っているのです。自分を知るアクティビティには積極的に色々な人を巻き込んでやっています。その場が皆さんにとって自分を知ってもらうきっかけになることが、世の中がよりよく変わることに繋がるし、世の中が良い方向に変わっていくスピードが速くなると感じています。
インタビュアー:すごく納得しました。WAAの根底にも流れている考え方ですよね。
島田:そうです。WAAによって出た結果を伝えていただくことも嬉しいのですが、それよりも、「なぜこれをやったのか?」にフォーカスいただきたいのです。WAAはツールに過ぎない、手段に過ぎない。制度を作ったり導入することが目的ではないですから、WAAを通じて「何を成し遂げたいのか?」ということがカギです。「世の中の人に生き生きと働いてほしい、健康でいてほしい、全ての人に違うニーズがあるのだから、それぞれ自分の好きなように働いて、生きてほしい。楽しく、豊かな人生を送って欲しい」これが目的です。
これをビジョンに掲げて、これを達成する方法の1つの手段が「新しい働き方、WAAですよ」と言っているだけなのです。このビジョンを達成する為に他にもやれることがあるわけです。WAAはその為の1つの手段だということです。ビジョンからスタートしているといいうことがWAAの成功要因の一番大きいところだと思っています。残業代を減らそうとか、長時間労働を無くそう、というところから始めてないのです。
島田:自分からブレーキをかけているなって、話を聞いていると感じることも多いですね。誰にでも何でもできるし、やりたければそれをやる権利がある。「やりたいと思っているならやればいいじゃん!」というと、「でも・・・」って。やはり日本の教育って自分で決めないで済むし、意見も言わなくていいし、しかも人前で話す時には、正しいことを言わなければいけないみたいな教えになっている。
ただ、今のミレニアム世代の方々は変わってきていますよね。自分の色を出せるとか、カスタマイゼーションとか、主張出来るとか、自分らしくあることをすごく大事にしています。そしてそれはすごくユニリーバの文化にフィットするのだろうなと思っています。
Missionは、“人事から世界を変えることで一人ひとりが自分らしくいられる世界へ”
インタビュアー:島田さんの周りには、変化していく方々が多いのですか?
島田:そういう人ももちろんいますが、身内の言うことは聞かないという人もいるかもしれませんね。時々ジレンマを感じるのは、社外の方々とたくさんお話したり、気づきや学びの機会をたくさん作っても、そこに社員が参加してくれる機会がなかなかなく、ふと「私は誰のために何をやっているのだろう」と思うことも正直あります。
でも私のミッションは「人事から世界を変えること」。私がやりたいことをやれているのはユニリーバのおかげ。だからこそもっとユニリーバの社員に伝えたいと思うこともあります。でも、身内だと難しいこともある。親のいうことを子供は全然聞かないし、親に言われると面倒くさいという構図なのかもしれませんね。だから社外講師とかスピーカーに来ていただくことは意味があるので、そういう機会を設けるようにしています。私が社員と関わっているのは1対1のコーチングですね。それで変化を感じる瞬間はとてもうれしいです。
インタビュアー:島田さんは、社外的な人事関連の人々に対する影響力がすごいですよね。島田さんからエネルギーもらえる。それで行動を起こしてみる方々も多いと思います。おっしゃっていることがずっと一貫していて、しかも言い続けられているのは本当にすごいと思います。
島田:それは社長とか役員もそうだけれど、うちのチームもそうだし、周りのおかげです。本当に。色々思うことはあると思うのですが、それが私だと受け入れて応援してくれている。それがなかったら、歯を食いしばって孤軍奮闘みたいになってしまっていたかもしれません。
インタビュアー:最近すごく思うのは、昔でいう大企業の経営陣の方々がとても気さくに色々なところに行って発信をすることが増えてきていますよね。そういう意味ではすごく良い世の中になってきていると感じます。
ところで島田さんは、ずっとユニリーバにいらしたんですか?
島田:ユニリーバは3社目になります。その前はパソナ、GEにいました。ユニリーバに入った時はこれをやるぞ!とは思っていないです。中に入ってみて、こういう風にしたいなということを感じたことを発信してやらせてもらっています。このフィールドに本当に感謝です。パソナもそういう会社だったし、GEでもNOと言われたことは基本的にはあまりないですね。だから本当にありがたいです。上司と周囲の方に恵まれたと思います。難しい人もいましたけど、それもまた振り返れば勉強になりますし。
インタビュアー:周りの人が断りきれなかったというのもあるかも知れないですね。そのエネルギーにやられて・・
島田:あるかも知れないですね、やられちゃったみたいな。カルビーの松本会長が島田さんに言われると断る方が大変だから来ましたってあるカンファレンスでおっしゃっていました・・。
インタビュアー:そんなエネルギーの濃さは感じますね。やりたいのは、一人ひとりが本当に自分のやりたいことをやっていくような環境を会社の中で作っていくことですか?
島田:そうですね。やりたいことをやる前に、一人ひとりが自分らしくいられるということをサポートしたいのです。そういう世界を作っていきたいです。ユニリーバをどうしていこうかなとか、日本をどうしていきたいか、そういうことを考えている感じです。
インタビュアー:本当に一人ひとりですよね。私たちのワークハピネスの考え方と一緒です。まさにそういうのを作っていきたいなと思っていて。企業という枠を超えて、そういう取り組みで横と連携していったほうが、世の中全体に対しての影響力がある。共に行動していきたいですね!?
少しだけ話がそれますが、私たちが組織を表現するときに表す図がこれです。スクエアホイールという四角いタイヤという意味なのですが、先頭の人は前向いて引っ張っているけど、押している人は辛そうな顔をしている、丸いタイヤを積んでいながら、四角いタイヤで走っている。
島田:確かに超無駄ですね。無駄に無理していますね。
インタビュアー:引っ張っている人が「しっかり押せ!スピード遅いぞ!」って言っているのだけれど、なぜこんなにガタガタ揺れて進みにくいワゴンを自分たちが押しているのだろう?と思っている。
島田:引っ張っている人は誰ですか?
インタビュアー:リーダーです。
島田:まだリーダーが引っ張っているからいいですよね。ここに乗っかっている場合が・・・
インタビュアー:多いです。上に乗っているだけで、早くしろと。方向性すら示していないなんてこともあります。
島田:早くしろって言っているだけで、どっち行っていいか分かりません、みたいなこともありますよね。
インタビュアー:ここ数年はそういう話も出ています。うちのリーダーは引っ張ってもいないのです、というような話。この絵は、リーダーは方向性が見えていて、あそこまで行きたいという欲求があるという前提なのですが、今皆さんと話をすると、リーダーがどこへ行きたいかわからず悩んでいる。逆に押している方は割り切って、楽しく押している人達が増えてきている。引っ張っているリーダーの方が困っている場合が増えてきている。
島田:なるほど、面白い!
インタビュアー:ワゴンを運んでいる関係者全員が活き活きワクワクしている社会を実現したいですよね!
イノベーションを起こすために必要なもの
チャレンジに伴う一人ひとりの恐怖、“枠(既成概念)”を外し“ワクワク”をつくること
インタビュアー:ダイバーシティ、イノベーションというテーマについても少しお話を頂けたらうれしいのですが。先程島田さんもおっしゃっていましたが、人間はそもそも個別であり、それを活かしていくことですけれども、ここはイノベーションが起きやすくなっている、こんなイノベーション起きているなど、ありますか?
島田:ユニリーバの中でいうと、シャンプーとかボディソープとか新製品を出すというのがイノベーションの1つなのです。例えばノンシリコン、最近出ているのはボタニカル(植物系)のものとか、やはりブームが出来つつある、そこに新しい市場を作っていけるか?最初の切り口をユニリーバが作れるのか?というのが1つのイノベーションです。そういう挑戦が出来るような会社になったらいいなという願望はあります。
イノベーションを起こすために、恐れがあったり、やりたいのにやれない、なぜなら・・という足枷になっているところがあるならば、制度や風土やプロセスなども、会社として変えていかなければいけないと思います。でも、たぶん一番大切なのは一人ひとりのマインドセットだと思います。
インタビュアー:そうですね、自分で止めている。
島田:失敗したくないとか、どうせ無理だとか、個人ではめてしまっている枠をいかに取るかというところが、関心があるところです。“枠じゃなくてワクワクを考えよう!”ということをいつも言っています。枠は1つだとワクだけど、枠が2つになったらワクワク!全然違うものになる。ワクワクしているとき、その人が持っている能力や可能性が最大限に発揮されます。だから「ワクワクする」ことだけ考えていようということです。もっともっと自分が、それこそハッピーになるとか、ワクワクしちゃうとかニコニコしちゃうとか、そういうことだけやっていればいいと心から思うのですが、それがなかなか難しいですよね。イノベーションは、そういう時に勝手に起こるものだと思います。
早稲田の入山先生は、知っている近くにある知識や知恵と、すごく遠くの知識・知恵がぶつかった時にイノベーションが起こるとおっしゃっていますよね。それを聞いた時に、色々な人と接するとか興味がなさそうなものでもやってみるとか、自分と遠いところに行ってみることはすごく大事なことだと改めて思ったんです。
その観点からいっても、今の働き方で働き続けていては何も生まれないと思いました。もっと夜は遊びに行くでもいいし、飲みに行くでもいいし、ご飯食べに行くでもいいし、週末違うことやってみるのもいいし、もう少し時間と心に余裕を持ってみて、何かやってみよう、何か違うことしてみようと思えることが大切。だから私は兼業、副業も全然OKだし、そこでのアイディアや人脈や繋がりが、本業の方に影響することも沢山ありますから。一人の能力を1社に縛るのではなく、そこら辺も自由になっていったら、イノベーションがもっと生まれてくると思っています。
インタビュアー:仕組みとしてはユニリーバは副業もOKだし、どんどん出て行ってやってくれということですか?
島田:すごくオープンに促進はしていないですけれど、もう少ししたらしっかり社員に伝える予定です。WAAもやってそれもやってとなると、社員も混乱してしまうので。あることをやったら、ある程度継続してそれをやっていく、ということを心掛けています。
インタビュアー:世の中変わっていきますね、そういう会社が増えていきますよね。皆気付いているんですよね。こういう大企業がどんどんそのような仕組みになっていくと新たな働き方をする人がどんどん増えていきますよね。
島田:たぶん肝は、外資系というよりも、いわゆる日本企業といわれるところなのではないですかね、そこが変わっていったら、もっと加速しますよね。日本企業は前例があるかないか?がすごく大きいですよね。前例がなければやらないし、前例が出来たらそれは異端だと言われ、でもそこは頑張っていると、少し追従していって2〜3割やると、もうこれがトレンドだ!となって、ガーっとなっていく。
インタビュアー:そうそう、そんな動きです。人によるのかもしれないですけど、本当は一番最初にそこをやるのが、それが一番楽しいと思いますけどね。
島田:そうですよね。ユニリーバでは通年採用にしてから、人によっては大学1、2年から内定出すようにしました。私からしたらようやくやれたという感じです。すごくありがたいことに色々話題にして頂いたら、文科省から電話がかかってきました。「ご説明に上がります」と。私としては超ウェルカムでした。そのときに、こちらの意図も全部伝えました。「99.999%賛同します」といっていただけたのですが、ガイドラインが・・といわれたので、ガイドラインは法律ではないし、規制できないですよね?だから止めません!とはっきり伝えしました。
でもこういう企業が出てきて、悪利用するところがやはり出てくるから、と言うのです。分かるのですが、出てこない前から出てくるって、それもどうなのだろうと思って。結局皆そこに心配があるわけです。出て来たらその時に対応すれば良いではないかと私は思ってしまう。その対応こそ共に考えればいいことだと。こういう話をして、もっと企業と国が連携して出来ることがたくさんあると思うのです。それをやった上で、どうにもこれのおかげで世の中が駄目になっているのであれば、最後は止めます、と。止めるのは一番最後です。
インタビュアー:でもその最後に至ることが実際無いですよね。
島田:無いです。お帰りになられるときは“ハッピーになりました”って言ってくださいました。
インタビュアー:ルールは本当に外せない必要最低限だけでよくて、それ以外はどちらかというと、ルールを作るより人のリテラシーを上げる方に労力を使うほうが絶対いいですよね。
島田:そう私も思っているし、ユニリーバも社長がはっきり言っています。守らなければならないことは2つだけで、1つは、法律。もう1つはユニリーバの企業原則で、賄賂をもらわないとか、適正な価格でとか、人として当たり前のことだけです。それ以外のことは何やってもいい。でも、そう言っているのになぜ日本人はやらないのだ?と社長はいつも言っています。
社長も就任から3年が経ち、日本人の良さも本当によく分かってくれている。彼の存在はすごく大きいです。うちのリーガルのヘッドも心強くて“戦うリーガル”、守りに入らないのです。計算したcalculated riskをきちんと取ってくれる。「less rules, more principles」要するにルールは少なくてよくて、リテラシーがきちんと一人ひとりの中にあれば、ルールなんか作らなくたってよい。彼はよくそう言っています。例え話で「バナナはおやつですか?」と聞いてくる人がいるでしょうと。バナナの話は日本人の話としてリーガルのヘッドが言うことですけど、私も毎回笑ってしまう。自分で考えろ!そこを考えないから、結局自分で決めない。日本人がもうすこし「自分で考える」ようになればいいなと思っています。やはり、色々なことを決めすぎ、ガイドライン作りすぎだと思うのです。
インタビュアー:管理部門系はそれが仕事だと思ってしまうのですよね。
島田:目的と手段が入れ替わってしまっている。何のためにするのか?が抜けて、それをすることが目的になってしまっていることが多いと思うのです。もちろんやっている人は一生懸命で悪気は無い。でも、誰かが何かちょっとした問いかけをすることで、場が変わることがあると思うのです。「これってなんのためにやっているんだっけ」、「これってベストなやり方だっけ」と。日本人は考える力が一番あると私は思っているのです。労働生産性が低いと言われているけれども、そんなことは絶対になく、やはりやり方だと思います。
インタビュアー:良いテーマがあると日本人はそこを追求する能力はすごいじゃないですか、そのテーマが今設定されていないだけなのではないか?と思いますね。
島田:弊社の社長が「日本人のexecutionは本当にすごい!ピカイチだ。でもそれがbad strategy, good executionだと最悪な結果になる。良い戦略をよく実施するここがすごく大事だ」ということをよく言っています。
働き方改革とは“人の生き方を変えること”次代の企業経営の鍵は“社員一人ひとりの人生を支援すること”
インタビュアー:島田さんが、人事の仕事、仕事の在り方を変える考えを発信されていますよね。それに本当に共感しますね。人事の仕事はどうしても管理するとか過去を振り返る仕事が多い。そうではなく、それこそ社員がワクワクする為にどうするかをひたすら考えている、日本企業の人事がそうなっていけば、もっともっと世の中が変わっていくと思います。
島田:そう思います。人事の仕事に誇りを持てていない人が多いのかなと感じています。どちらかというと皆に文句言われる仕事だとか、上から来たものをやらなければならない仕事だとか。本当は、これ程面白い仕事ない!人事から元気になれば会社が変わるし、会社が変われば社会が変わるから、だから人事を変えたいと私は思っています。
インタビュアー:今、時代の色々な転換期が来ていますよね。まさに人事がこれからより力を発揮していく時代だと思います。そもそも一人ひとりの多様性と生き方が尊重される時代、企業の事業戦略を考えるのももちろん重要ですが、社員一人ひとりが自分というものを知り、自分はどのような生き方をしたいのかを深く考え、自分で決めていくことがスタートラインにならないと、次の時代の経営は難しいと思うのです。?
島田:本当にそうですよね。まさに岩波さんがおっしゃった「生き方を自分で決める」ということが、私はこの働き方改革の意味だと思っています。「働き方改革とは生き方を変えること」というチャートを作ってお話ししています。国を上げて、働き方を改革しようと言っていて、すごいチャンスではないですか!どうしようかなと言っている場合ではなくて、こんなチャンスなかなかないのだから、やる人からワクワクしてやってもらわないと。
インタビュアー:先ほどのアンケートの話でも、社内でもそういうものに「きた!」と思ってどんどんやる人もいますよね!?
島田:いますいます。一方で、WAAの活動に反対したり、何か上手くいかないことをフィードバックしてくる方もいるのも事実です。でも、そうなる理由がある。だから、どうしてそう思うのかを問うていく必要があると思います。それは制度だけではなく、1対1で対話し続けていくことが大事だと思います。
そういう意味で、改革を進める側のマインドセットがとても大事だと思うのです。やりたいと思っても、最初は反対や冷たい目線を感じると、やはり落ち込むことが多い。だから、やる側のレジリエンスというか、マインドセットが大切で、きちんとサポーターがいるとか、一人でも味方がいるとか、そういう感覚を持っていくことも大切です。
インタビュアー:おっしゃるとおりですね。社内にサポーターがいたほうが良いし、社外でも組織の枠を超えて横で繋がり、エネルギーを流しあうと、お互いに勇気づけあいながら進めていけると思います。最近よく言っているのが、変態ネットワークだという話をしていて、組織に何人かは必ず変態がいると、その変態たちが組織を超えて横でつながりエネルギーを流し合い、お互い勇気づけ合うんだと。
島田:そういう意味では、そういう存在が私も社外にたくさんいます。今、思い浮かぶ顔がいっぱいあります。この人達は確実に世界を変えていく人達。彼らと一緒にいると私も元気を貰えるし、アイディアの出方や実行のスピードが早い。やはり、社外のコミュニティやネットワークは大切です。WAAに共感する人で作っているTeamWAA!というコミュニティがあり、今660人くらいになり、月に1回、100-130人ちょっとでの参加者と働き方に関するテーマを議論したり、アウトプットしたり、私達から変えていこう!という活動をやっています。
結局悩んでいることは皆同じなのだということが分かったりすると、すごく安心感、仲間感が高まりまますね。共感しあった後、「ではどうする?」という思考になる。そこが分かれ目ですよね。愚痴を言ってもいいし、文句を言っても構わないけれど、「ではどうする?」と考えられるかどうか?ですよね。
インタビュアー:変態という表現がいいかどうかは置いておいて、今はあえて変態という言葉を使いますが、そういう人々は「ではどうする?」に当たり前のように突き進んで行動してしまう。そうでないと、愚痴を言い合って共感のみで安心して終わってしまう。?
島田:そういう人達がどんな体験をしてきたのかを調べてみたらどうですか?共通点があるとか。それは面白いかも。
インタビュアー:いつも、私がこの人変態だなと思う人に「元からこうなのですか?」と聞いたところ、何人かはわかりやすく転機があった人はいますけれども、大体は元からそういう生き方をされている方が実は多いですよね。?
島田:そういう意味では、親の影響は絶対に大きいです。あとやはり、人生を変えたというか、楔をうってくれた先生達がいるとか、恩師と言えるメンターがいるとか、あるいは事件やイベントかもしれないけれど、やはりそういうのはそれぞれあると思うのです。
この間、親に関するインタビューを受けたのです。そのときに、やはり感謝が大きいと感じました。考え方や接し方、自由にやらせてもらえていたなと。一番印象に残っているのが、「悲しいこととか嫌なことは、次の良いことの為にある」その教えは今でも私の中に強く残っていますね。
インタビュアー:すごく同感です。人生はボラティリティーの幅だと思っていて、落ち込んだと思っていることもすごく楽しかったことも、何もかも全部幅の大きさは人生の楽しみそのものなので触れ幅の大きさが人生の楽しみですよね。何もないことは、とてもつまらない。こっちに行く為には、この幅は下がったら、上がるし、上がったら下がる時もある。何か起こった時に次はこう来たか!という感じになってくると、人生が楽しく進んでいるような感じになってくる。人生は認識次第なので、そういう感覚が何となく親や恩師から伝わってきたり、教えてくれたり、何かの事件でそれを感じたり、というのはあるのかもしれないですよね。
島田:どの人にもそれは必ずあるはずで、それに気づくかどうかもすごく大事なポイントなのかなと思って。生まれる境遇も違うし、人それぞれだけれども、どの人にもチャンスは必ずあると思っています。それに気づくかどうかが大事なポイントです。何回逃したから、もう来ないというのではなく、神様は絶対見ている!だから絶対に諦めない!と、どこかのタイミングでそう考えられるようになると、うまく流れを作れると思うのです。
なによりも強く思うのは、そのベースとなるものは、すべてのことへの感謝の念や、人に対しての本当の意味での愛だと私は思っています。「えっ精神論?」と言われるかもしれませんが、そうではありません。やはり見ていて豊かに過ごせている方、成功している方は、精神領域の大切さを分かっていらっしゃるんです。ある会社の社長さんがすごく素晴らしい人だと数名から聞いていたのですが、雑誌でその方のインタビュー記事を拝読しました。“氣”の話をしていらして、こういう方になると、そういう感覚で物事を捉えられているんだなと、私としてはとても納得しました。
「精神論」とか「スピリチュアル」とかって、皆ラベルを貼るのだけれども、人間は全員がスピリチュアルな存在で、それに感謝できるかどうかでいろんなことが違ってくるのだと思うのです。そこがビジネスの世界だと、論理、戦略や、理路整然としていることがフォーカスされすぎになってしまう。私自身、「論理的でない」とか「訳分からない」、「バカ」って何回言われたか分からない。バカではなくてユカです、私の名前ユカですから、とか言ったり(笑)。その頃から、感情や感覚、右脳・直感を重んじることも大事だと思っていました。今、やっとそういう時代になりつつある気がしています。だからウキウキしています。
インタビュアー:昔は、「数字で示せ」でおしまいだったのが、最近はそうでもなくなってきましたよね。
島田:私はHappyが全てだと思います。どんな状態でも自分が幸せ、Happyだと思えるかどうか?幸せの定義はそれぞれが自分で決める。ただ、自分が幸せかどうかにも気づいていない人が多すぎる。そこを変えられたらいいなと思います。
インタビュアー:ワークハピネスには「ワクワク冒険島」という研修があるのですが、本当に大事にしているのは、「あなたが心から本当にワクワクすることを見つけること、そしてそれを追求して生きること」ということを伝えています。自分が何にワクワクするか、ということが分かっている人は結果として大変なことが起きているように見えても、幸せ度は高くパフォーマンスも高いんです。それがわかっていない人は比較の中での幸せを求めてしまっていることが多く、安定して生きているように見えても実は幸せ度が低い。
でも、7年くらい前は「ワクワク冒険島」と言っても、企業で決裁が通らなかったのです。名前変えてもらっていいですかとか言われたりして・・。でもそのメッセージを支持して頂ける方々に支えられて今があります。それがここ数年で、「『ワクワク冒険島』・『ワークハピネス』って良い名前ですね」って言われるようになりました。世の中の変化をそこからも感じます。冒頭の話で島田さんが仰っていたとおり、ワクワクしながら働いて業績が落ちていなければ、それはすごい効果だと私も思います。今まで、色々な会社と話していて、ワクワクしながら働いている人の割合が少なすぎると感じますから。
島田:私も世の中で色々議論されていることよりも、もっとシンプルなことだと思うのです。シンプルなものに真実があるというか。“楽しい”と“楽”が同じ漢字であるのにも意味があると思います。もっと楽に今の成果を出しても良いのに、“楽”したらいけないような、修行とか修羅場とかいう言葉が皆好きですよね?私も昔はそういうところがあったと思うのですが、私も過去、NLP(Neuro Linguistic Programing<神経言語プログラミング>)のワークで自分と対話しながら、自分の中にどういうbelief(価値観・既成概念)があるのか見ていく中で、「頑張る・忙しい」は私の中ですごく大事な言葉・価値観だったことに気づきました。
「頑張っている、忙しい私!」と自己満足している感じが心地良かった。でもそれを意識して向き合った時、その価値観に縛られることがなくなりました、今は「頑張る・忙しい」という言葉は使わなくなりました。こういうふうに自分を見ていく研修も取り入れています。響く人には響いていますね。
インタビュアー:ちなみにNLPにはどういうきっかけで行かれたんですか?
島田:私がNLPを受講したのは「命を輝かすNLP」という言葉にピンときて、あっこれいいわ!と思ったことから。直感的に。全部直感です。私は原始人ですかね?(笑)?
インタビュアー:むしろニュータイプ?(笑)。この先の感性を持った人という感覚なのかなという気もします。やはり人類ってスパイラルアップしていくので、原始人と言ったら昔に戻った気がしますが、原始人の方が直感や感性は絶対良い感じですよね。
島田:絶対そうですよ。だって、自然の中にいくことの大切さを最近特に感じますね。日本中の大自然の中にWi-Fiだけセットして欲しいです。そうしたら自然の中でどこでも仕事ができる。WAAは、もちろんWork from Anywhere,Anytimeの略なのだけれども、嬉しい驚きの“わあ!”という意味と、この活動が“ワーっ”と広まっていって欲しい想いを込めてWAAにしています。有給取るのも大事ですけれど、弊社は夏休み取っている間に仕事を1分でもしたらちゃんと申請してもらっています。だから有給を取らなくても、2〜3か月、色々なところを転々としながら、仕事をして、旅行して。この地域の地方再生プロジェクトを少し手伝ってから仕事しようか?とか、地域のお祭りを盛り上げてから仕事に戻るとか。何かそういうのが出来ても良いのではないかと思っています。
この間JALさんが「ワーケーション」=ワーク&バケーションを取り入れたとおっしゃっていましたが、おお、これWAAもどきじゃんと思って。私勝手に「WAAエフェクト」と言っているのですけれど、これもまさしくWAAエフェクトかなと思っています。
インタビュアー:私も個人的には色々なところで働きたいんです。この日は徳島で働いて、またどこかに飛んで、バケーションと仕事が合わさったような形で、また戻ってきて東京で仕事をする。そういう話をしていることでエネルギーって世の中に広まっていくと思っています。話をしている中で、何かそこにインスピレーションを感じた人が行動を起こして行く。結果としてはそれがシンクロニシティではないけど、同時多発的に起こり始める。想像していろんな人と話をして、具体的なイメージを描いているとそれが実現に近づいていく。
島田:本当にそうだと思います。TeamWAA!で毎月100人単位で夢の話や、皆で協力すればできることの話をしているのですが、私はそれがすごいパワーを生み出していると感じています。少しずつその人達が変化し始めて、それが周りも伝わって周りも変わっていく。そうすると自分が変わったからなのに、よく、「島田さん!こんなことが起きて、会社がこんな風に変わってきた!」とおっしゃる方がいるのですが、「いやいや、それはあなたが変わったからですよ!」とお伝えしています。
私としてはこれが喜びです。これを私は“タンポポ作戦”と呼んでいます。私にはいくつかの作戦があるのですが、その1つがタンポポ作戦です。私がフーっと吹くと、タンポポの綿毛である皆さんが各自の所に降りて行って、そこで花を咲かせる。今度花が咲いたら、今度は皆さん自身がフーっと吹いて、周囲の綿毛を飛ばして行く。そうしたらすごい広がりますよね!
インタビュアー:これから時代は島田さんのタンポポ作戦のように一人ひとりの活動で変わっていくだろうと思います。同じ志、同じ意図の人達が勝手に自然に集まる感じです。またそこから誰かと繋がっていく。このつながりって面白いし、生きているって楽しいと感じられる。 そういう流れを掴むと、結果として常に色々なものが上手く前向きに進んでいく。「わぁー大変!こんなこと起きちゃった」ということも、後から考えてみると意味のあることだったいう話になることが結果として多い。その連続ですね。そうなると、人生って楽しいなって思いますよね。
島田:良いことしか起きないと感じる。良いことってそもそも個人の解釈ですよね。起きていることの事実に対して、それが良いか悪いか判断するのは私たち自身。起きていることは全部その人にとって意味があるとか、意義があることが起きていると思えたら、すべてが良いことになる。
インタビュアー:先程の「周りの人が変わった!」もこれですよね。周りの人が変わったのではなく、その方の世界の認識が変わったからという話ですよね。
島田:そうですね。嬉しいですよね、そういうのって。もともと、私達人間は「あるのにない」「ないのにある」と思い込んでいることが多いと感じています。本当は自由があるのに、自由がないと思っている。能力がないと思っているけど、本当は能力がある。こういうふうに勝手に自分で自分を縛っている。「ない・ある」が逆になっていることが多いなと思ったんですよね。
インタビュアー:そこに気づくだけでも全然見える世界が違う。自分にいろいろ「ある」ことに気付けないと、「ない」ものを手に入れるために「〜しなければならない」が増えますよね。
島田:すごく私も思うことがあるのだけれど、やっぱり「〜しなければならない」っていうのが、日本は特に強いと思います。例えば、困っている人がいたら助けなければならない。これは良いことなのですけれど、自分が助けられていない、満たされていないという気持ちがあるのに、人を助けようとすると、疲れて疲弊する一方ですよね。自分をケアするというのがいけないだとか我儘だとか、そうではない。人は本来、わがまま、あるがままだから自分をケアすることがよいことなのです。やっぱり言葉の解釈をすこし変えるだけで、すごく気が楽になる人が多い。それこそ、教育現場でそういうことが伝えられたらいいと思っています。
インタビュアー:ユニリーバでは高校生インターンを活動としてやっているのですよね。素敵な取り組みです。
島田:本当は中学生でも良いと思っているのです。やはり社内でも抵抗もありましたよ。ワークロードが増える、仕事が増えるという。だったら、それが一番ミニマムにするようにすればいい!まずはスモールスタートでビックにしていけばいい!活動の意図といろんな実現の道筋を周囲にサポートしてもらって実現しました。20名以上が参加してくれました。
また、“ユニリーバ・フューチャー・リーダーズ・プログラム365通年採用”がなぜ“365日”としているかというと、通年で採用しているということよりも、自分のキャリアや人生を365日考えようというメッセージを込めたからなのです。大学1・2年生への内定出しも、内定を出すことが目的なのではなく、少しでも早く社会を知ることで、人生は色々あり長い、だからどうやってデザインするのか?世界は広いぞ!ということを知ってもらうことが目的なのです。だから、私たちは、中高生対象にしたスクールもやっています。学校とか家庭外のところで企業が出来ることっていっぱいありますよね。目的を説明したら、文科省の人も理解してくれました。
インタビュアー:私たちも政府機関の人と話をする機会があるのですが、一人ひとりと話すとすごく共感して頂ける方々が多い。総論になると急に保守的になりますけど。?。
島田:最高ですよ日本人は。本当に。
次世代リーダーへの願い
「自分に枠をつくらず、自分らしい人生を楽しんでほしい」
インタビュアー:最後に、次世代のリーダたちへ、何かメッセージをお願いできますか。
島田:自分を知るということを早ければ早いうちに意識することですかね。でも、自分を知ろうと思う時って転機だと思うんです。だから、目の前のことを一所懸命楽しむということをやっていたら、必ず自分を知るタイミングが訪れると思います。頑張るのではなく一所懸命って、私は良い言葉だと思っていて。リーダーが目の前のことを心を込めて楽しくやるとか、リーダー自身が楽しく生きているとか。そうすれば周囲の人達もきっとそうなっていくと思います。
そうなると、もしかすると、次世代のリーダーへというメッセージすら必要なくなってくるのかもしれないですね。世代の垣根がなくなってくると思いますし。例えば、9歳の子から学べる事もいっぱいある。年齢ではないなと。私たちよりも意識や感度の高い子がどんどん生まれてきている感じがしますしね。
インタビュアー:本当にそうですね。そういう意味では放っておいても世の中は良くなるなと私もどこかで思っています。そういう流れになってきていると感じます。
島田:この流れの変化のきっかけって3.11ですかね。
インタビュアー:そこで多くの人の感覚が結構変わりましたもんね。本当に大切なものは何かとか自然に考えた。そして、実際に電気消してみたり、色々なことを節約してみた時に、別になくてもたいして変わらないじゃんっていう感覚がありましたよね。あってもいいけど本質じゃないんだって。
島田:命を落とされた方が沢山いらっしゃるけれど、それを絶対に無駄にしてはいけない。そういう意味では次世代リーダーに対しては、これをこうしてくださいとか、こうして欲しいというよりも、自分らしく人生を楽しむということ。あえて願いを言うのなら、自分の枠を作らないで欲しいなと。枠を自分ではめないで欲しいなということです。
自分だけが突き抜けていたりとか、とび抜けていることを、何か周りと違うといけないと感じて抑えてしまうことってありますよね。皆で足並みをそろえるとか、目立たないようにするとか。勿体ないなと思います。世の中の流れもチャンスが訪れている。だからこそ、ガンガン突き抜けていただきたいと思います。そんな皆さんを見ている人は絶対いるし、繋がっていけるサポーターが絶対にいますから!
インタビュアー:はい。共にそういう人と繋がってプラスのエネルギーを増幅させていきましょう!本日は有難うございました。
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