【WORK HAPPINESSお悩み相談室】人と組織の課題をコンサルティング!第1回「管理職になりたくないリーダー(店長)が育たない」
対談インタビュー

【WORK HAPPINESSお悩み相談室】人と組織の課題をコンサルティング!第1回「管理職になりたくないリーダー(店長)が育たない」

組織で働いていると、「会社でいま何が起きているの?」「なぜこんな問題が発生しているの?」「こんな時どうすればいいの?」など、悩みや疑問を持つときがあるのではないでしょうか。そんな悩みや疑問を解決するためのヒントになるのがこの 「WORK HAPPINESS お悩み相談室」です。
「WORK HAPPINESS お悩み相談室」では実際のクライアント様のお悩みに、弊社人材開発&組織開発のスペシャリストである吉村慎吾によるご相談をさせていただきます。ブログでは皆さんの様々な人や組織に関するお悩みにお答えしていきたいと思います。

◆相談テーマ「現場をしきる店長&店長をマネジメントするスーパーバイザーの育成」


■業界:小売業(ドラックストア)
■従業員数:約3,000名(正社員約1500名)
■店舗数:約150店
■相談者:社長


相談テーマ「現場をしきる店長&店長をマネジメントするスーパーバイザーの育成」

■吉村:今回、人や会社についてお話をさせていただくお時間をいただきましたが、特にマネジメントについてのお悩みがあるとお聞きしました。そこで最初に御社の状況についてお伺いしてよろしいでしょうか?

●相談者:うちはドラッグストアなのですが、現場が好きでお客さんと接客することにはとても関心がある一方で、店長が人を管理するのができない、あるいは管理することに良い印象を持っていないんです。だから、店長はもちろん、その現場をしきるスーパーバイザーがなかなか育たないんです。

■吉村:最近は人に嫌われるのが嫌な人が多いんです。管理するということは、指示命令するということなんです。ご自身も管理されていた立場も長かったと思うので、それによって裏で陰口を叩かれることを耳にしていたりすることがあるので、自分が店長の立場に立ったときに、指示命令の仕方で嫌われるんじゃないかと気にしてしまうことが多いんですね。

●相談者:おっしゃるとおり、現場はお客さんと応対して、感謝されることが大好きなんです。管理職をやると、ときには厳しいことを言うこともあり、いい顔だけではいられないですよね。そのことにひるんでしまい、うまくいかず、スタッフと関係が悪くなることがよくあります。そもそも管理職をなるんじゃなかったと。また、管理職が長時間労働、残業の問題も出てきてしまう。

■吉村:それでも指示命令ができないという弊害ですよね。

●相談者:たしかに自分ですべて仕事を引き受けてしまうんですよね。本来なら店長以外のスタッフやアルバイトに仕事を任せることが必要なのですが、仕事を頼めないので、結局、本社からの仕事も自分でやるという悪循環になるんでしょうね。性格的にもいい人で、お客さんや部下受けはいいんですが、仕事を抱えてしまい、その板挟みのストレスがあって。

■吉村:それによってどんなことが現場で起きてしまっているのでしょうか?

●相談者:管理職を打診しても、「自分はいいです」と断られてしまう。たとえ、その管理職を受けても、自分は不得意だと思い込んでいるので、なかなか部下に適切な指示命令ができないんです。だからマネジメント層が増やせないんです。

リーダーはチームをリードしていく存在になる

リーダーはチームをリードしていく存在になる

■吉村:皆さんは大きな勘違いをしているところがあって、実は、管理したい人もいないし、管理されたい人もいないんです。管理職はリーダー。人は導かれたいんです。リーダーはリードしてあげる、そして導いてあげる存在なんです。現場の人は管理されたいのではなく、導かれたいんです。

管理されたい人はいなくても、導かれたい人はいるんです。あなたは管理する人ではなく、導く人なんですよというように、考え方を変える必要があるんです。

管理職というのは、軍隊のときの名残りですから、基本的に兵は自分の意志を持っていはいけなくて、上からの命令が隅々まで届かないというけないから、鉄道業から生まれたピラミッド型組織では事故のないように官僚組織が出来上がったんです。そのために指示命令、管理する人、される人に分かれたのです。

お客様に対するホスピタリティとか、突発事故が起きない場合は問題ないのですが、現代のようにお客様のニーズがどんどん変わるとか、様々な要望が現場でうまれるとかで、ピラミッド型組織は破たんしているんです。マニュアルに書ききれず、覚えきれない。だから、現場で考える人たちの集団を作っていかなければならないんです。

●相談者:店長からも「本社の指示が悪い」とか、「品揃えが悪い」とか、「立地が悪い」とか、そういう批判はくるのですが、リーダーとしてリードする感覚はないんですね。

リーダーはメンバーが働きやすい環境を作る

リーダーはメンバーが働きやすい環境を作る

■吉村:そうですね。現場のリーダーとして、働きやすい環境を作るのもリーダーの仕事です。リーダーがやるべきことは、

  • 現場の仲間たちに行き先(ビジョン)を示す・・・「こんな店を作ろうよ」と言い続ける
  • 仕組みを整える・・・良い店に必要な環境整備を行う(本社から約束をとりつける、品揃えを変える、働きやすいルールにするなど)
  • 一緒に参加させる・・・「一緒にやろうよ」とその環境にメンバーを巻き込んでいく決まったルールをみんなに守らせる、罰するという発想だと現場は楽しくないから、笑顔が減り、お客さんも離れていきます。

●相談者:最初は和気あいあいとやっていたが、組織が大きくなったら、徐々にルールや内部統制などを整備しなければならないと、外からの声もあったので、組織図通りの方がスムーズかと思っていましたが、現場と本部の板挟みで店長が苦しんでいたのかもしれませんね。

■吉村:小売業はお客さんに接するビジネスなので、笑顔で楽しそうに働いているお店でモノを買いたいし、来たいと思うんですよね。CSはESから生まれる。小売業はESをあげることが鉄則。満足しているスタッフにお客さんが吸い寄せられて、そして満足してリピートしてくれる。

●相談者:お客さんのために歯を食いしばってやることが大事だと思ったのですが。

■吉村:無理は続かないです。楽しくなければ続かない。ホスピタリティ産業の成功の王道は楽しい職場づくり。楽しくなければ続かない。楽しくなければ辞めてしまう。辞めてしまったら、ノウハウが失われてしまう。リーダーの仕事は楽しい職場づくりなんです。

現場やリーダーに創意工夫できる自由度を与える

現場やリーダーに創意工夫できる自由度を与える

●相談者:どうやってそういうリーダーは育つのでしょうか?

■吉村:お客さんに感謝されて、楽しくてうれしくて、現場を離れたくないという体験はみんなある。ただ、管理職になると色々とやらないといけない。そこでいろんな問題によって、ルールが増えていった。ある程度の自由度を与えた方が、従業員を主体として、お客様の接点をつくっていく。

例えば、ひまわりが咲いていて、そこに集まってくる。そのひまわりが「従業員」。ひまわりは良い土壌と水を上げ続けなければひまわりは咲かないんですね。ひまわりに引き寄せられて、お客さんが集まる。土壌を作るのが会社ですし、リーダーである店長です。水をあげ続ける(店舗の顧客の喜びの声を共有する)ことで、A店の良いところをB店でも創意工夫して頑張ろうとなる。

●相談者:他の店から学ぼうというのはなかったですね。

リーダーはボランティア団体のリーダーである

■吉村:いい店にしたいと思ったら、他店から勉強し、良い取り組みは共有していく。その良い取り組みを全社で共有することが一つの手ですね。そういう意味では、これからの小売業のリーダーは人手不足になっていくので、ボランティア団体のリーダーの気持ちでやった方がいいですね。ボランティア団体だと明日も来てもらうために一人ひとりに関わろうとしまますから。

●相談者:管理職だから指示命令しなければならないとか、きついことを言わなければならないとか、そっちに関心を向けているから苦しくなるんですね。

■吉村:店長やスーパーバイザーは「リーダー」であり、「サーヴァント(使用人)」です。現場に奉仕することで、笑顔にあふれる店になっていくのです。それがリーダーにとっても、すばらしい体験になり、すばらしい成長になるのです。

●相談者:本社から現場に対する研修なども見直す必要がありそうですね。

■吉村:管理職なのかリーダーなのか、従業員の満足をふやしていくリーダーがお客様の笑顔を増やしていくと考え方を変えていくのが必要かもしませんね。

●相談者:お話をお伺いして、自社の課題だけではなく、良い点など、いろいろなことに気づくことができました。ありがとうございました。

ワークハピネスお悩み相談室では、人や組織に関する皆様のお悩みや疑問を 募集しています。ぜひ、悩み事など、気軽にお寄せください!

株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村 慎吾

世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて公認会計士として活躍し、世界最年少マネージャー記録を更新。上場審査官として世界初の日米同時株式公開という金融業界のイノベーションを起こす。
2000年、企業変革支援アウトソーサーである株式会社エスプールを創業。100年の伝統ある老舗ホテルを1年でV字回復させ、栽培農業を活用した障がい者雇用支援サービスを立ち上げるなど、サービス業界にも数々のイノベーションを起こす。同社2006年2月に株式上場。
2006年、組織・人材開発コンサルティングサービスを行う株式会社ワークハピネスを設立。人材と組織の変革によって、大企業からのイノベーションの創出を支援を行う。年間、数十の事業立ち上げを支援。
同時に多数のベンチャー企業の育成や事業戦略コンサルティングを手がける等、ベンチャーの育成にも豊富な実績を有する。著書『イノベーターズ~革新的価値創造者たち~』は、日経新聞ビジネス書ランキング1位、図書館協会選定図書に選ばれ、多数の企業で「次世代幹部育成の課題図書」として扱われている。
 
著書:イノベーターズ~革新的価値創造者たち~、日本流イノベーション、AI時代に輝く経営の教科書

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