
リーダーシップとは?定義・種類とリーダーの育成方法を解説!
時代や環境が変わっていく中で組織が成長をし続けるには、強い組織づくりが重要です。そのためには、社員一人ひとりがリーダーシップを身に付ける必要があります。それぞれがリーダーシップを発揮することで、組織のパフォーマンス向上や生産性を高めることが可能です。
本記事では企業の社員教育を担当している人事部の方などに向けて、仕事におけるリーダーシップの定義・種類や、社員のリーダーシップを育成する方法を解説します。強い組織をつくるために、組織・チームの求めるリーダーシップを育成していきましょう。
リーダーシップの定義
リーダーシップとは、組織の中で設定した目標達成に向け組織を導いていき、成果を出す能力のことを指します。メンバーの能力を最大限に引き出し、チームワークを維持した状態で組織の旗振り役を担う、指導者には必要な能力の一つです。
リーダーシップは先天的な能力ではなく、トレーニングをすることで後天的に身に付けられる能力だと考えられています。つまり、企業側が従業員のリーダーシップを高めることも可能ということです。
ドラッカーによる定義
有名なオーストリアの経営学者、ピーター・ドラッカーはリーダーシップの定義について自身の著書で次のように述べています。
| リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである |
また、次のようにも述べています。
| リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である |
つまりリーダーシップは、カリスマ性のような資質ではなく、あくまでも組織における「仕事」の一端であり、必要なのは人格を高めることだということです。メンバーの模範となり責任ある行動をすることで、強制しなくても信頼して自ら能動的に従う存在がいるのがリーダーであり、真のリーダーシップだとしています。
※出典:P.F. ドラッカー「プロフェッショナルの条件」.ダイヤモンド社, 2000年,
https://drucker.diamond.co.jp/works/detail/35.html ,(2000年6月)
リーダーシップとマネジメント能力の違い
リーダーシップに似た意味合いの言葉として「マネジメント能力」があります。どちらも組織の成果を上げるという点では方向性が同じです。
リーダーシップは目標達成に向けて組織を導いていく能力であるのに対して、マネジメント能力は組織のメンバーに目標を達成させるための有効な手段を考え、組織を管理する能力を意味します。
部長や課長、マネージャーといった役職がある立場には、リーダーシップ能力とマネジメント能力の両方が求められます。また一般社員のような役職がない立場の社員であっても、リーダーシップを持つことは、目標達成のために重要です。
リーダーシップとフォロワーシップの違い
リーダーシップと同様に「フォロワーシップ」もメンバー全員に求められる能力であり、組織運営に欠かせません。フォロワーシップとは、リーダーが示したビジョンに共感し、そのメンバーが主体的・積極的にリーダーや他メンバーをサポートして、目標達成に向けて貢献することを指します。
リーダーの示すビジョンや行動に誤りがあると感じた際には、立場に関わらず自分の考えや意見を述べたり、メンバーを健全な方向に導いたりすることで、で円滑な組織運営につながります。
リーダーシップとフォロワーシップが相互に影響し合うことが、組織のモチベーション維持や、組織の持続的な成長・発展にとって重要です。
リーダーに必要な能力
組織やメンバーの模範となるリーダーには、以下の能力が必要とされています。
- コミュニケーション能力
- 決断力
- 変化対応力(適応力)
- 指導力
- 目標設定力
- 誠実さ
- 精神力
- 課題解決力
中でも「コミュニケーション能力」は、メンバーそれぞれが働きやすく、能力を発揮しやすい環境をつくる上で重要です。メンバーに分かりやすく説明をしたり、メンバーの意見やアイデアを必要があれば取り入れたりすることで、彼らのモチベーションアップや信頼獲得につながります。
また決断力や誠実さなどその他の能力も、目標達成に組織やメンバーを導く上では、長けているべきスキルです。
メンバー全員にリーダーシップが必要な理由
リーダーシップは、リーダーのみが持つべき能力だと思われがちですが、実は組織を構成するメンバー全員が持つべき能力です。メンバーそれぞれがリーダーシップを身に付けることで、組織にもよい影響をもたらします。
一人ひとりのリーダーシップが高まると、それぞれのメンバーが主体的に行動できるようになり、意思決定に関わる機会が増えることでより高いモチベーションを維持できます。組織としても多くのアイデアやスキルが出るため、全体の視野が広がり、新たな成果が生まれることもあるでしょう。組織の団結力がさらに高まり、より高い目標の設定・達成につながるのです。
そのためにも、企業はメンバーそれぞれの個性や才能を見つけて育成していく必要があります。
基本のリーダーシップの種類

リーダーシップは目に見えないため、具体的な定義づけが難しいです。長年にわたり検討を重ねられてきたうちに、その概念や理論は、時代と共に変化してきました。
ここでは、これまで歴史の中で採用されてきたリーダーシップ理論を紹介していきます。
クルト・レヴィンが提唱した3つのリーダーシップ・スタイル
「社会心理学の父」とも呼ばれるアメリカの心理学者、クルト・レヴィンは、3つのリーダーシップ・スタイルを提唱しました。
リーダーシップが周りに与える影響という観点で分けられた、専制型・民主型・放任型というスタイルをそれぞれ紹介します。
専制型リーダーシップ
専制型リーダーシップとは、組織の細かいところまでリーダーが指示・命令を出してコントロールするスタイルです。20世紀前半のビジネスシーンで多く見られました。
専制型リーダーシップではメンバーの意見をほとんど聴かないため、現代では受け入れられにくいスタイルとされています。確かに、未熟で不安定な組織や、短期的な成功を目指す組織の場合は効果的なスタイルといえるかも知れません。しかし長期的に見ると、メンバーはリーダーの指示に従うだけで主体的に動く必要がないため、成長につながりにくい傾向にあります。
民主型リーダーシップ
民主型リーダーシップとは、リーダーが指示・命令を出しますが、メンバーとの対話を重視して意見をくみ取りながら方針を決めるスタイルです。トップダウンばかりではなく、メンバーの意見も取り入れながら方針を決めるため、現代に受け入れられやすいです。
専制型リーダーシップに比べると、短期的には成果が出にくいといわれています。しかし長期的に見るとメンバー同士やリーダーとの信頼関係が生まれ、全体のモチベーションも向上するでしょう。チームワークによる成果が出やすく、人材育成にも効果的だとされています。
放任型リーダーシップ
放任型リーダーシップとは、リーダーがほとんど関与せず、メンバーに意思決定や作業に関する内容の判断を任せるスタイルです。専任型リーダーシップとは対極的です。
メンバーそれぞれの知識・技術レベルが高い専門集団・研究機関では効果的なスタイルだとされています。
一方、メンバーの知識・技術レベルが高くない集団の場合、メンバーの士気が下がってしまう傾向が高く、生産性が下がり成果を出しにくいです。人材育成にも向いていないスタイルだといわれています。
ダニエル・ゴールマンが提唱した6つのリーダーシップ・スタイル
こころの知能指数を提唱し、著書は世界的ベストセラーにもなったアメリカの心理学者であるダニエル・ゴーマンは、「EQ型リーダーシップ」と呼ばれる6つのリーダーシップ・スタイルを提唱しました。
「感情」という観点からビジョン型・コーチング型・調整型・仲良し型・実力型・指示命令型に分けられた6つのスタイルを紹介します。
ビジョン型リーダーシップ
ビジョン型リーダーシップは、ブレない信念や価値観を提示して組織をまとめ、正しい方向へ導く前向きなスタイルです。組織全体で目標を設定するため、帰属意識が高まりやすく、変革期のような新しいビジョンを必要とする場面で活躍します。
リーダーの能力・経験によっては、メンバーが付いてこないこともありますが、6つの中では最も総合力の高いスタイルとされています。
コーチング型リーダーシップ
コーチング型リーダーシップは、メンバーの価値観を尊重し、相手の性格や特性を活かして組織をまとめるスタイルです。対話を通じて、リーダーが各メンバーのことを深く理解していなければ実現しません。
このスタイルにおいてリーダーは、メンバーにフィードバックを行うことで自身の能力や弱点を理解してもらい、各人の能力に合った仕事を割り当てることで長期的な能力向上を図ります。仕事に対するモチベーションが高いメンバーがいる場合、特に効果のあるスタイルです。
調整型リーダーシップ
調整型リーダーシップは、メンバーの対話を重視し広く意見を取り入れることで、チーム全体の方向性を決めるスタイルです。新しいアイデアの発掘に有効で、アイデアの採用によって発案したメンバーのモチベーションを上げられます。消極的なメンバーにとって、発言しやすい雰囲気の組織をつくることも可能です。
ただし結論が出にくいことで、メンバー内で衝突が起きる可能性もあります。
仲良し型リーダーシップ
仲良し型リーダーシップは、リーダーもメンバーと同じ目線でコミュニケーションを取るスタイルです。良好なコミュニケーションや人間関係を築くことを重視するため、メンバーが働きやすい環境を実現できます。長期的な目標達成に有効なスタイルといえます。
信頼関係の構築・修復には効果的ですが、目標達成が後回しになりやすい傾向にある点には注意が必要です。他のスタイルと併用するのが望ましいです。
実力型リーダーシップ
実力型リーダーシップは、リーダー自身の高いスキル・実績で組織をまとめ、牽引していくスタイルです。リーダー自身が実践することでお手本となり、目標に取り組みやすい環境をつくります。
メンバー全員が優秀、かつ、モチベーションが高い場合に効果が期待できます。一方で、「目標を達成しなければならない」というプレッシャーや、信頼関係の低下が問題となる可能性もあります。
指示命令型リーダーシップ
指示命令型リーダーシップは、リーダーの強制的な指示・命令で組織をまとめるスタイルです。メンバーの主体性を育てることができないため、人材育成には向いていないとされています。
しかし、災害時・危機的状況の回避のような一時的な成果を出すには有効です。通常の組織運営では、組織文化や組織そのものの崩壊につながるリスクがあるため、他のスタイルと使い分けることが有効です。
三隅二不二によって提唱されたPM理論
「PM理論」とは、元九州大学教授である三隅二不二によって提唱されました。
リーダーに必要な要素をパフォーマンス(P)とメンテナンス(M)の2つに分類。そこからさらに強弱も加えたPM・Pm・pM・pmの4つに分類した理論です。
PM型リーダーシップ
PM型は、PとMがともに高く維持されている、理想的なリーダーシップスタイルです。目標を達成する能力も集団を維持する能力も高いため、組織内では重要な人物とされています。
目標達成のための進捗管理や指示・指導をしながら、メンバーサポートも行うため、PM型リーダーの下で働くメンバーは目標達成に向けた意欲が高く、働きやすさも実感していることが多いです。
Pm型リーダーシップ
Pm型は、MよりもPを重視するため目標達成能力は高い反面、人間関係への気配りが足りないとされています。
目標達成に向けた進捗管理や指示・指導は的確なのに対し、メンバーに気を配ることができず、トップダウンのような体制になることも。それによって生じるメンバー同士のトラブルや、メンバーから不信感が組織のモチベーション低下にがります。
pM型リーダーシップ
pM型は、PよりもMを重視するため組織内の人間関係を良好に保ち、人望もありますが、目標達成能力は低いとされています。メンバーのモチベーションを高めることはできるものの、目標達成の計画力やマネジメント力は低い状態です。
目標設定・進捗管理・指示・指導に長けた補佐役を設置するなど、成果を上げるための対策を講じる必要があります。
pm型リーダーシップ
pm型は、PもMも弱く、目標を達成する力も集団を維持する能力も低い消極的なリーダーシップスタイルです。リーダーとしては未熟で、不向きなタイプだといえます。仕事に対する関心も低く、人望もあまりありません。組織内における存在意義が見出せない状態です。
目標達成能力と集団維持能力の両方を鍛え、強化する必要があります。
ハーシィとブランチャードによって提唱されたSL理論
「SL理論」は、アメリカの行動学者であるポール・ハーシィと、作家で起業家のケネス・ブランチャードが1977年に提唱しました。メンバーの成熟度を4つに分け、それに合わせたリーダーシップの型を選びます。
メンバーの成熟度は、縦軸を仕事志向、横軸を人間志向の強さとする4象限のマトリックスを形成し、教示的・説得的・参加的・委任的に分類します。
教示的リーダーシップ
成熟度の低い新入社員を対象とするのが教示的リーダーシップです。人間関係よりも、仕事の達成度を優先するスタイルをいいます。
業務内容を具体的に細かく指示を出しますが、サポートはあまりせず、メンバー本人が自分で仕事を達成するのを見守ります。成熟度の低いメンバーの経験値を増やして成長を促すことを目的としています。
説得的リーダーシップ
説得的リーダーシップは、説得的リーダーシップは、新入社員よりも少し成長した若手社員を対象とします。意欲はあるけど何をすればよいのか分からないメンバーに有効で、一方的に指示を出すのではなく、説明して同意を得ながら目標達成を目指します。
教示的リーダーシップと同様にメンバーに対して細かな指示や説明が必要な上、さらに綿密なコミュニケーションを要するスタイルです。
参加的リーダーシップ
参加的リーダーシップは、スキルは持っているけどまだ活かしきれておらず自信がないメンバーに対して有効なスタイルです。自信を持って取り組めるように後押しをします。
目標を達成するよりも、人間関係を重視したコミュニケーションを取ります。仕事に対する指示ではなく、自立につながるポイントを伝えるなどして、高まったモチベーションを落とさないよう注意が必要です。
委任的リーダーシップ
リーダーが細かく指示を出すのではなく、意思決定や課題解決を含む成果や責任をメンバーに委ねるのが委任的リーダーシップです。すでに自立しているベテラン社員を対象とします。
教示的・説得的・参加的が上司からのアプローチが主なのに対して、委任的は部下からのコミュニケーションが多くなる傾向にあります。社員の自由度を優先し、のびのびと仕事ができる環境を整えることが重要です。
最新のリーダーシップの種類
時代の変化と共に、従来のリーダーシップ理論を踏まえた新しいリーダーシップ理論が登場しています。最新のリーダーシップ理論には次の5つが挙げられます。
- トランザクショナルリーダーシップ
- トランスフォーメーションリーダーシップ
- サーバントリーダーシップ
- オーセンティックリーダーシップ
- シェアドリーダーシップ
こちらも一つずつ確認していきましょう。
入山章栄が提唱したトランザクショナルリーダーシップ
入山章栄が自身の著書「世界標準の経営理論」の中で提唱したのが「トランザクショナルリーダーシップ」です。取引するという意味を持つ、トランザクションが語源となっています。リーダーの持つ価値観や考え方に沿って組織を牽引するスタイルです。
このスタイルでは部下のことをよく観察し、意思を尊重した上で、心理的な取引・交換を重視して信頼関係を築きます。そこからメンバーそれぞれが主体性を持って行動することで、個々の特性を生かすことや多様性に対応することが狙いです。
またこのスタイルでは発生した成果に対して正当な報酬を与えたり、成果を上げている部下には直接的な指示を避けたりする傾向にあります。部下に「上司から評価をしてもらえている」「仕事を任せてもらえている」という意識を持たせることで、さらなる成果を望めます。
入山章栄が提唱したトランスフォーメーションリーダーシップ
「トランスフォーメーションリーダーシップ」も入山章栄が提唱したスタイルで、よくトランザクショナルリーダーシップと比較されます。
トランスフォーメーションリーダーシップは、カリスマ・知的刺激・個人重視という3つの資質から構成されます。リーダーの持つ組織・業務に関するビジョンをメンバーと共有することで、メンバーのモチベーションを上げることを重視したリーダーシップです。メンバーそれぞれがリーダーの共有したビジョンに向かい、組織やチーム全体で協力して取り組む環境をつくることを目指します。
トランザクショナルリーダーシップとは役割を補い合う関係にあるため、この2つを組み合わせることで、より効果的にチームを導くことが可能です。
ロバート・K・グリーンリーフが提唱したサーバントリーダーシップ
メンバーを奉仕・支援することで信頼関係を築き、目標達成を目指すのが哲学者のロバート・K・グリーンリーフが提唱した「サーバントリーダーシップ」です。
サーバントリーダーシップを実践するためには、以下9つの特性が求められます。
- 傾聴
- 癒し
- 気づき
- 説得
- 概念化
- 先見力
- 執事役
- 成長
- コミュニティ
サーバントリーダーシップでは、従来のようなメンバーを牽引するスタイルとは異なり、メンバーが能力を発揮し成果を出せるように支援することを重視しています。メンバーとの信頼関係を築き、特性や主体性を引き出すことで、彼らのパフォーマンスや生産性の向上が期待できます。
また上司が組織を支配しないことでメンバーは発言がしやすくなるため、コミュニケーションが取りやすくなり、組織内の関係性が良好になる点も大きな特徴です。一方でこのスタイルにはメンバーの主体性が求められるため、主体性のないメンバーがいる場合は機能しません。
ビル・ジョージが提唱したオーセンティックリーダーシップ
元ハーバード大学教授のビル・ジョージが提唱した「オーセンティックリーダーシップ」は、リーダー自身の価値観や倫理観を重視して、リーダーらしいリーダーシップを発揮するスタイルです。オーセンティックリーダーシップには目的・価値観・真心・人間関係の構築・自己啓発といった5つの特性が求められます。
リーダーが本音でメンバーと向き合うことで信頼関係を構築し、メンバーの能力をどのように発揮できるのかを考えて行動できるのが特徴です。
オーセンティックリーダーシップが注目されるのは、不安定・不確定・複雑・あいまいから成る「VUCA時代」に対応できるためだといわれています。トップダウン型の組織よりも、メンバーそれぞれの個性や能力を活かした多様性のある組織となり、VUCA時代を乗り越えられるスタイルだと期待されています。
【内部リンク設置】
オーセンティックリーダーシップ
https://workhappiness.co.jp/blog/trend/authentic-leadership/
シェアドリーダーシップ
「シェアドリーダーシップ」とは、組織やチームのメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮し、リーダーの役割を全体で共有している状態のことを指します。シェアドリーダーシップには、特定の提唱者はいません。
メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮することで全体に責任感が生まれ、主体性が高まり、パフォーマンスの向上が期待されます。組織全体で考えさまざまな視点から意見を出し合うことで、緊急時でも迅速かつ柔軟な判断ができるという点も特徴です。
シェアドリーダーシップ型の組織では、リーダーが決断を下すわけではなくメンバーとの協力と相互作用が重視されるため、各人のコミュニケーション能力が重要です。定期的なミーティングで情報共有を行うことで、組織の目的の共有や意思決定が可能になります。
リーダーシップの育て方

経営環境が大きく変化する中で生き残り、組織の生産性を高めるために、企業は社員のリーダーシップ育成に力を注ぐことが重要です。
最後に、社員のリーダーシップを育てる方法について解説します。
- 自社にマッチするリーダー像を設定する
- 日常的に意思決定する機会を与える
- コミュニケーション能力を高める
- 会社全体で中長期的に取り組む
- リーダーシップ研修を実施する
社員一人ひとりのリーダーシップを高め、組織的により高い目標達成を目指しましょう。
自社にマッチするリーダー像を設定する
リーダーシップ理論・スタイルは、今回紹介したもの以外にもかなりの数があります。設定するリーダー像によって、組織やチームのあり方は変わります。
組織や目標ごとに「自社がどのようなリーダーを必要としているのか」「何を望むのか」「どのような目標があるのか」を具体的に設定することが重要です。
具体的な設定がない場合、部下は目指すべき目標が分からずモチベーションが下がってしまうため、企業が求める人材がなかなか育ちません。役職がある社員自らがロールモデルとなることで、組織やチーム全体が理想とするリーダーシップ像をイメージしやすくなります。
日常的に意思決定する機会を与える
上司がメンバーに仕事を任せず、トップダウンで権限を委譲しないということは、部下自らが意思決定をする機会を逃すことになります。結果として成長の妨げや、組織全体の生産性低下にもつながります。
組織全体のリーダーシップを高めるには、社員が状況に応じた対応を考え、自ら意思決定をする機会をつくることが必要です。若手社員にも小さな成功体験を持たせることで主体性が生まれ、仕事に対するモチベーションの低下を防げます。
またリーダーシップを発揮する機会(チャレンジする機会)を与えることは、心理的安全性の確保にもつながります。部下が最大限の能力を発揮できるよう、日常的に意思決定する機会を与えたり意見を求めたりすることが重要です。
コミュニケーション能力を高める
意思疎通・協調性・自己表現力はリーダーには欠かせない能力です。近年は特に、コミュニケーション能力が低いリーダーには、メンバーが付いて来ないという傾向が顕著に表れてきています。またコミュニケーション能力を高めることは、社内の円滑なコミュニケーション、良好な人間関係の構築、生産性の向上につながります。
コミュニケーション能力を高めるには、結論から伝えるPREP法を用いた「伝える力」や、相槌・ミラーリングを行う「聞く力」を鍛える方法があります。その他、コミュニケーション研修、1on1ミーティング、メンター制度、ブラザーシスター制度を活用するのも効果的です。
会社全体で中長期的に取り組む
リーダーシップはすぐに育つものではないため、中長期的な計画を立てて実践することが必要です。短期間で済ませようとして急速な発達を促すと、かえって成長が止まってしまうこともあります。発達心理学では「ピアジェ効果」と呼ばれています。
またリーダーがリーダーシップ育成に対するプレッシャーを抱えすぎないために、リーダーを孤立させないことが重要です。
リーダーの負担に配慮しつつ社員のリーダーシップを高めるには、リーダー、人事部、一部のチームだけでなく、組織全体の協力や雰囲気づくり、上司からのフィードバックが必要になります。また人事評価制度や教育制度など、人材育成に関する制度面の見直しも欠かせません。
中長期的に小さな成功体験を継続して持たせ、リーダー・メンバー両方のモチベーション低下を防ぎましょう。
リーダーシップ研修を実施する
リーダーシップ研修とは、リーダーとしての知識・能力を身に付けるための研修のことです。国内企業の需要が高まっている研修の一つとされています。
リーダーシップ研修では参加者の現在のポジションに合わせた内容が必要であり、管理職、中間管理職、次世代リーダーに向けて行われるのが一般的です。彼らがリーダーシップ研修を受けることで、組織やチームメンバーの能力や特性をうまく引き出すことが可能になります。
社内研修、社外研修、オンライン研修といった選択肢があるため、自社の環境や求めるリーダーシップ像に合った方法で実施しましょう。
まとめ
組織をより強くするためには、社員一人ひとりのリーダーシップを育成することが重要です。社内全体のサポートや環境を整え、中長期的な計画を立てた上で実践しましょう。
社員のリーダーシップを引き出すためには、ワークハピネスの人間力強化研修「マネジメントクエスト」がおすすめです。ワークハピネスでは、“リーダーシップ”を「自分の意志によって、周りによい影響を与えるあり方」と定義しています。新入社員から経営者まで、全ての人がリーダーシップを発揮する存在だと考えています。
組織の中のリーダーシップは、会社組織と社員(個人)の理念が重なり合うところを見出すことで育まれます。自社にマッチしたリーダーシップを持つ人材を育成し、組織力のアップを目指しましょう。
リーダーシップ研修の導入をご検討の際は、ぜひワークハピネスにご相談ください。貴社の課題に、一緒に取り組んでいきましょう。

人材アウトソーシングのベンチャー企業㈱エスプール(ワークハピネスの親会社)の創立3年目に新卒にて入社。新規現場、プロジェクトの立ち上げから不採算支店を売上日本一の支店に再生するなど、同社の株式上場に貢献してきた。
多数のプロジェクトを通じ、多くのスタッフと携わる中で「人間の無限の可能性」を知り、「人の強みを活かすマネジメント」を広めるべく、2006年よりワークハピネスに参画。
中小企業を中心とした人材開発、組織風土変革コンサルティングPJを推進している。





















