オーセンティック・リーダーシップとは?必要な理由や能力を紹介
トレンド情報

オーセンティック・リーダーシップとは?必要な理由や能力を紹介

新しいものが出ては消えていく変化の激しい現代においては、ビジネススタイルの多様性・柔軟性が重要です。そしてそれに伴い人材も新たな価値観が求められます。そんな昨今、注目されているのがオーセンティック・リーダーシップです。

企業としてオーセンティック・リーダーシップに取り組むことにはさまざまなメリットがあります。本記事ではオーセンティック・リーダーシップの概要や必要な能力を解説します。ぜひ参考にしてみてください。

オーセンティック・リーダーシップとは

オーセンティック・リーダーシップとは

オーセンティック・リーダーシップとは自分自身の価値観や信念に正直になりながら、リーダーシップを発揮することです。

かつては組織の一員として人を動かす能力やまとめる能力などを持った人物が選ばれる傾向にありました。しかし変化の激しい近年は、オーセンティック・リーダーシップの重要性が注目されています。

オーセンティックとは日本語で「本物の・確実な・真正な」といった意味です。つまり換言すればオーセンティック・リーダーシップとは「自分らしさを活かしたリーダーシップ」といえます。

この考え方は米国メドトロニック社元CEOのビル・ジョージ氏により提唱されたものです。同氏は自身の著書「ミッション・リーダーシップ」で「CEOには倫理観や道徳観が必要である」と述べています。これは今までのリーダーの概念と大きく異なります。

ここからはオーセンティック・リーダーシップが持つ5つの特徴について詳しく紹介します。

特徴1:目的

オーセンティック・リーダーシップの特徴の一つとして、自らの目的を明確に理解していることが挙げられます。リーダーシップを発揮するためには自分の役割を把握し、自分自身を尊重して信じることが求められます。

特徴2:価値観

2つ目はしっかりした価値観・倫理観に基づいて行動することができるという点です。外部の意見などに影響されずに自らが正しいと思う・信じている信念を貫き通し何があってもぶれない姿勢に、人はついていきます。

特徴3:真心

3つ目は真心を込めてメンバーをリードすることです。

自分の考え・思いを正直にぶつけて同時に相手を尊重し、時には自分の弱みも隠さずに共有します。誠心誠意全力で人をリードして、自分らしさを大切にすることができる人がオーセンティック・リーダーシップを持ちます。

特徴4:人間関係

オーセンティック・リーダーシップ力がある人は、継続的でしっかりした人間関係を作ることができます。自分らしさを大切にするのはリーダーだけでなくそのチームメンバー全員です。自分らしさを認め合い互いを尊重することで強固な人間関係を築いていきます。

特徴5:自己規律

チームをまとめるには規律を守ることが重要です。そのためにはまず自らを律し自分自身をマニピュレーションする能力が求められます。オーセンティック・リーダーシップ力を発揮する人は自分の内面と向き合い、常に成長し前進する姿勢を持っています。

オーセンティック・リーダーシップが注目される理由とは

なぜ今オーセンティック・リーダーシップが注目されているのでしょうか。

現在私たちはVUCA(ヴーカ)と呼ばれる時代に生きていると言われています。VUCAとは「Volatility(不安定)Uncertainly(不確定)・Complexity(複雑)・Ambiguity(あいまい)」を表す造語です。

昨今直面している新型コロナウイルス(COVID-19)の問題によって世界は大きく変化していますが、それこそまさにその最たる例といえるでしょう。そのような予測不能な時代の変化に柔軟に対応できる能力が、社会・企業そして個人にも求められます。

そしてそれに伴いリーダーに求められる能力もかつてのものと変化しています。今までのような過去の習慣を正しいと判断して突き進むリーダーでは、企業が時代の変化についていけなくなる可能性も出てくるでしょう。

新しい時代に求められるのは、変化に自由自在に対応できる柔軟性です。またかつてのようにチームに所属するメンバーはリーダーについていくだけでなく、それぞれが個性を発揮し主体的に行動する必要があります。

こうした状況に対応できるのがオーセンティック・リーダーシップです。今は生き方が多様化し、それぞれの個性が求められる時代です。だからこそ自分らしさを活かしながら、メンバー全員でさまざまな情報を察知しながら目標に向かって進んでいくオーセンティック・リーダーシップが重要視されています。

リーダーシップ論の変遷

リーダーシップ論は「リーダーのカリスマ性が求められた時代」「権威が求められた時代」「部下へのサポート力が求められた時代」など、これまで時代の流れと共にリーダーシップ論は変化してきました。

そしてそういった流れから派生したのがオーセンティック・リーダーシップといえるでしょう。ここではオーセンティック・リーダーシップ以外のリーダーシップの種類を簡単に紹介します。

サーバントリーダーシップ

サーバントとは英語で「召使・使用人」を意味しています。つまりサーバントリーダーシップとは部下に対して奉仕し、その後部下をサポートしながら組織を運営していくというスタイルです。サーバントリーダーシップは支援型のリーダーシップといえるでしょう。

トランスフォーマーリーダーシップ

トランスフォームとは英語「変化させる・変形させる」という意味です。トランスフォーマーリーダーシップとは自分自身を適宜変化させることでチーム全体を変化させ、成長を促し活性化させるリーダーシップです。

クロスボーダーリーダーシップ

人と人にある壁を超えてそれぞれの違いを認め相手を尊重しあう環境を生み出すのがクロスボーダーリーダーシップです。ダイバーシティが認められる現代において必要なリーダーシップです。オーセンティック・リーダーシップはこの要素を含んでいます。

オーセンティック・リーダーシップを導入するメリット

オーセンティック・リーダーシップを導入することでどのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

コンプライアンスを強化できる

まず一つ目にコンプライアンスの強化が期待できます。コンプライアンスとは「法令順守」を意味していますが、企業におけるコンプライアンスには法令だけでなく「就業規則」「企業倫理」「社会規範」も含まれます。

「コンプライアンスに対する知識がない」「ノルマが過剰」「防止する仕組みがない」などチームに欠陥があるとコンプライアンス違反が発生してしまう可能性も拭えません。自己を律し高い倫理観を持つオーセンティック・リーダーシップを用いることで、チーム・社内にコンプライアンスに対する意識を高めることができます。

社員同士のコミュニケーションが円滑になる

自分らしさを尊重しそれを活かすのがオーセンティック・リーダーシップです。それは同時に自分自身でなく、チームメンバーそれぞれの個性も尊重するということでもあります。つまりオーセンティック・リーダーシップでは、周囲の人との関係性を大切にする能力が求められるということです。

オーセンティック・リーダーシップによって良好な人間関係が構築されると、社員同士のコミュニケーションが円滑になります。コミュニケーションが円滑になることで、情報や意見の交換がスムーズになり組織全体のパフォーマンスの向上につながります。

社員のエンゲージメントが向上する

社員のエンゲージメント向上が期待できます。エンゲージメントとは英語で「婚約」「誓約」「約束」「契約」などを意味する単語です。ビジネス・企業におけるエンゲージメントは社内のチームメンバー・従業員との関係性やクライアント・エンドユーザーとのつながりを指します。

先にオーセンティック・リーダーシップの特徴の一つに「真心を込めて人をリードする要素がある」と述べました。この真心を持ったリーダーシップが社員の下につく部下のモチベーションを向上させることにつながり、結果として社員エンゲージメント向上を促します。

オーセンティック・リーダーシップに必要な能力とは

オーセンティック・リーダーシップに必要な能力とは

オーセンティック・リーダーシップは主に「自己認識力」「行動力」「モチベーションを維持する力」「非認知能力」「ヴァルネラビリティ」の5つの能力が求められます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

自己認識力

自己認識力とは自分の「性格・望み・強み・弱み・特技・欠点」などを分析し、自分を認識する能力です。自己認識力を持つことで自分自身を客観的に判断し、自分らしさを活かしながらリーダーシップを発揮することができます。

自分自身を分析する方法として「今までの経験からどのような考えを持つようになったのか」「自分が変わったと思えるターニングポイントはいつか」「壁にぶつかったときどのように乗り越えたか」などを自問自答するのが有効です。

行動力

いつの時代もリーダーシップを発揮するには、誰よりも行動力が重要です。それはオーセンティック・リーダーシップにおいても同様です。リーダーが行動することで周囲の人に影響を与えられます。リーダーとなる社員に「まずは自分から動く」という認識を持ってもらうことが大切です。

モチベーションを維持する力

チームのモチベーションはリーダーのモチベーションに多大な影響を受けます。事が順調に運ばないことは日常茶飯事です。そうしたときにリーダーのモチベーションが低ければチームの士気も落ちてしまいます。リーダーがモチベーションを高く維持することでチームの士気も高まりやすくなります。

企業としてはリーダーが志を高く持てるよう、しっかりサポートすることが重要です。

非認知能力

非認知能力とは「意欲・協調性・粘り強さ・忍耐力・計画性・自制心・創造性・コミュニケーション力」など、学力などやテストのスコアでは測定できない個人の能力を指します。

非認知能力は1人で学習できるものではなく他人の気持ちを読んだり、相手の気持ちに共感したりして養われます。また成功や挫折・試行錯誤を繰り返して培われるものです。同時に非認知能力を高めるには、相手の個性を尊重することが重要です。

ヴァルネラビリティ

ヴァルネラビリティ(vulnerability)とは英語で「弱み・脆弱性」という意味です。かつてのリーダーシップは権威があり常に強いイメージが求められていました。しかしオーセンティック・リーダーシップでは自分の弱さを見せ、そしてそれを認められることが重要です。自分らしさを尊重するということは自分の弱みもさらけ出すということです。

リーダー自身が自分の弱みを見せることでチームメンバーも親しみを感じ、自己を開示するようになります。

それぞれがオープンになることで個人の距離が近づき、チームメンバー同士でお互いに弱みを支え合う環境作りにつながります。

まとめ

新型コロナの感染拡大は完全に世界の常識を変えてしまいました。時代の変化を促進させたと言っても過言ではありません。そして今後も予想以上に激しい時代の変化に対応していくことが求められるでしょう。そのような時代において求められるのが、今回紹介したオーセンティック・リーダーシップです。

ワークハピネスでは、そんな時代を乗り切ることができる人材を育てるための人材育成トレーニングサービスを提供しています。リーダーシップ開発プログラム、人間力を強化するマネジメント研修など豊富な種類の研修サービスを用意。また社員のエンゲージメントを高められる管理職・マネジャーの育成の他、若手社員研修・管理職研修にも対応しています。

新しい時代を乗り切るための組織作りを目指している企業の方はぜひワークハピネスにご相談ください。

株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

藤岡 征太郎

大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。

医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。

人材・組織開発に携わる方必見!サービス資料や、お役立ち資料をダウンロードはこちら
ONLINE セミナーダイジェスト 人気のセミナーを3分程度の無料動画にまとめダイジェスト版をご用意致しました。セミナー受講の参考に、ぜひご覧ください。SEE ALL DIGEST MOVIE

INDEX

サービス資料・お役立ち情報満載!

資料ダウンロード

まずはお気軽にご相談ください!

フォームから問い合わせる