
「リーダーシップ研修」とは?目的・種類・効果・成功事例を徹底解説!
組織変革のカギを握るのがリーダーシップ研修です。企業では自律的に動けるリーダー、チームを巻き込む影響力を持つリーダーの育成が急務となっています。しかし、「そもそもリーダーシップとは何か?」「どんな研修をすれば効果的なのか?」「どの層にどう実施すべきか?」といった具体的な設計に悩む企業も多いのが現実です。
本記事では、リーダーシップ研修の基本的な考え方から、目的・種類・効果・導入のステップ、そして成功事例までを徹底解説しています。あなたの組織に最適な研修設計のヒントが、きっと見つかります。
リーダーシップ研修とは?
リーダーシップ研修は、組織をけん引する立場にあるマネージャー職や管理職の人材が、周囲を巻き込みながら成果向上に必要なスキルやマインドを習得する研修です。対象は新任リーダーから管理職、次世代経営層まで幅広く、それぞれの階層に応じた内容で実施されます。
次のようなスキルやマインドを体系的に学ぶのが一般的です。
- チームビルディング
- 問題解決力
- 意思決定力
- コミュニケーション力
近年では、対話を重視したコーチングや360度フィードバックなど、個々の成長を促すプログラムも取り入れられています。企業のビジョンや戦略に基づいて設計されたリーダーシップ研修は、組織全体の活性化や離職防止にもつながる重要な施策です。
そもそもリーダーシップとは何か
リーダーシップとは、組織やチームの目標達成に向けて、周囲の人々に影響を与えながら自発的な行動を引き出すスキルです。単なる指示や命令とは異なり、メンバーの共感や信頼を得て、主体的に動いてもらうことが重視されます。
リーダーシップとマネジメントとの違いは、以下の通りです。
リーダーシップ | マネジメント | |
目的 | ビジョンや方向性を示し、組織を導くこと | 組織の目標達成のために、手段や方法を計画・管理すること |
主な役割 | 組織やメンバーの自発的な行動を支援し、変革を促す | 現状を把握し、安定的に業務を遂行・管理する |
求められる場面 | 新規事業立ち上げ時、組織が停滞・機能不全に陥っているときなど | 組織の方向性が定まり、安定運用や成果の実現が必要なとき |
特に組織の停滞時や変革期には、マネジメントよりもリーダーシップが必要とされる傾向があります。近年では「リーダーシップは生まれつきの資質ではなく、研修や実践を通じて身につけられるもの」という考え方が一般的です。
なぜリーダーシップ研修が必要なのか
近年、リーダーシップ研修への注目が高まっている背景には、ビジネス環境の急速な変化があります。下記のような要因により、従来の一律的な指導では組織運営が困難になってきました。
- テクノロジーの進化
- ハイブリッドワークへの対応
- 多様な人材の共存
- 若手管理職の増加
特に価値観や働き方が異なるメンバーをまとめ上げるには、それぞれの特性に応じた柔軟なリーダーシップが必要です。組織における信頼関係を深め、社員のエンゲージメントを高めることで、生産性の向上にもつながるでしょう。
深刻な人材不足の時代においては、リーダーになれる人材を計画的に育てていくことが欠かせません。リーダーシップ研修は単なる知識の習得ではなく、受講者の行動や意識を変えるきっかけとなる育成手段です。
リーダーシップ研修の目的と効果
リーダーシップ研修は、組織の中核を担う人材を育成するために欠かせない施策です。具体的にどのような目的や効果があるのか、見ていきましょう。
リーダーシップ研修の主な研修目的
リーダーシップ研修の目的は多岐にわたりますが、共通して重要なのは「周囲を巻き込みながら成果を上げられる人材」の育成です。
- 主体性の醸成
- チームビルディングスキルの習得
- 問題解決力・意思決定力の強化
特に注目されているのが、メンバーの主体性を引き出すスキルです。近年は、指示を出すだけではなく、メンバー一人ひとりの性格や考え方を理解し、適切な声かけやフィードバックができるリーダーが求められています。業務の進行においては、成功も失敗も建設的に振り返り、メンバーの成長を支援する姿勢が欠かせません。
チームビルディングスキルの習得も重要な研修目的のひとつです。メンバー間の信頼を育み、共通のビジョンを持たせることで、チーム全体の力を最大化できます。正しい目標設定や共有の方法を学べば、組織内のモチベーションにも良い影響を与えられるでしょう。
また、急速な市場変化に対応するには、状況を的確に見極め、チームを導く問題解決力と意思決定力も不可欠です。こうした思考や判断プロセスの習得により、日々の実務にも自信を持って臨めるリーダーへと成長していきます。
チームビルディングのプロセスを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
チームビルディングとは?効果や進め方、注意点を解説!【成功事例付き】
リーダーシップ研修で期待される効果
リーダーシップ研修で期待される効果は、主に次の3つです。
- 離職率の低下
- 組織の一体感向上
- 次世代リーダーの育成スピードアップ
リーダー候補となる若手社員が、自らの成長の機会を見出せずに早期退職した場合、組織として優秀なリーダー育成のチャンスを失います。研修を通じてスキルアップの場を提供することで、本人の成長意欲を高めるとともに、企業への定着率向上にもつながりやすいです。
また、研修でコミュニケーションスキルや指導力を強化すれば、リーダーがメンバーとの信頼関係を築きやすくなります。チーム全体の結束力が高まり、部署や組織をまたいだ一体感のある働き方が実現するでしょう。
リーダーを計画的に育成すると、次世代の幹部候補を早期に育てられる点もメリットです。属人的な指導や経験に頼らず、体系的なプログラムによってスキルを段階的に引き上げることが、スピーディかつ安定した人材育成につながります。将来を見据えた組織づくりの基盤として、リーダーシップ研修は今後ますます重要になる取り組みです。
研修対象者別|リーダーシップ研修の種類
リーダーシップ研修は、対象者の役職や経験に応じて内容が大きく異なります。ここでは新任リーダーから経営層まで、階層別に適した研修の種類と特徴を見ていきましょう。
新任リーダー・中堅社員向け研修
新任リーダーや中堅社員は、現場のプレイヤーからチームを導く立場へと役割が変わる重要な転換期にあります。この段階の研修は、「自分がやる」から「人を動かす」への意識改革を促すことを目的に受講します。
そのため、下記のような基本的なマネジメントスキルやコミュニケーションスキルを重視したプログラムを実施します。
- 目標の立て方
- 部下へのフィードバック方法
- 部下の評価・指導方法
- 業務の進捗管理
特に重要なのが、関係者との円滑なコミュニケーションスキルです。チームや他部署のメンバーと連携しながら業務を進める場面が増える中で、適切な情報共有や調整力が求められます。
中堅社員向けには、個人やチーム単位を超えて「組織全体の成果」を意識する視座の育成が必要です。チームを束ねるだけではなく、上位方針を理解し、メンバーに浸透させる力も求められます。役割の変化に応じた実践的なスキルを段階的に身につけられるよう、早い段階からの研修導入が効果的です。
管理職・マネージャー向け研修
管理職やマネージャーは、チームをまとめるだけではなく、企業の業績につながる成果を上げなければなりません。そのため、マネジメント研修では「戦略的な思考」と「部下育成」の両方を支えるスキルの習得を目的に受講します。
具体的には、下記の通り実践的なテーマが中心です。
- 業務プロセスの構築・改善
- 予算の管理
- 効率的なチーム運営
- 多様性のマネジメント(1on1ミーティング、キャリア自律支援など)
近年はリーダー個人の力量だけに頼らず、リーダーシップを発揮しやすい仕組みや環境づくりにも注目が集まっています。実際の現場で管理職やマネージャーがリーダーシップを発揮するには、部下の協力が欠かせません。そのため、心理的安全性を確保する1on1ミーティングや、キャリアの自律を支援する取り組みなど、部下の個性や能力を考慮したフォローが必要です。
研修では、個人を尊重しつつ成果を出すための具体的なマネジメント手法やケーススタディを通して、リーダー自身の成長を促します。
次世代経営層向けエグゼクティブ研修
次世代経営層向けのリーダーシップ研修では、現場を動かす力だけでなく、経営全体を俯瞰して、戦略的に意思決定できる力を養うことが重要です。単に部下をマネジメントするのではなく、「組織をどう変えるか」「未来をどう描くか」といった視点が求められます。
まず、研修では明確なビジョンを構築し、それを自分の言葉で語る力を強化するのが一般的です。組織の方向性を示してメンバーの共感を得ることで、自然と行動を引き出すリーダー像を目指します。短期的な業務改善ではなく、長期的に組織を変革へと導く「変革型リーダー」としての素養も身につけます。
加えて、現代の経営者にはグローバルな視野が欠かせません。海外の価値観や商習慣を理解し、異文化の中でも信頼を築けるリーダーが必要です。研修では国際ビジネスの事例や、異文化対応のフレームワークを活用して、多様性の中でのリーダーシップ発揮を学びます。経営判断に必要な「軸」や「価値観」を見つめ直して、変化に強い次世代経営層を育成しましょう。
研修内容・プログラム例(4つの代表的手法)
リーダーシップ研修にはさまざまな手法があるため、目的や対象者に応じて手法を選ぶことが重要です。ここでは代表的な4つの研修手法と、それぞれのプログラム例を紹介します。
①体験型ワークショップ
体験型ワークショップは、受講者が自らの頭と体を使って学ぶ「実践重視」の研修スタイルです。ロールプレイやグループワークを通じて、課題に主体的に向き合いながら学びを深めます。実際の職場に近い状況を疑似体験することで、行動の背景にある意図や反応を実感できるのが特徴です。
プログラム例 | 内容 |
部下の自己効力感を上げる | 部下の成功の褒め方や、ロールモデルとなる方法を学ぶ部下のお手本になる言動ができているか確認する |
部下を指導する | 仕事の目的や期待することを伝え、モチベーションアップを図る方法を学ぶ部下や後輩とコミュニケーションをとり、うまく動いてもらうよう指導する |
体験型ワークショップは、若手〜中堅社員に対して当事者意識を促したい場合や、チーム力の強化を目的とする企業に向いています。
②ケーススタディ・ディスカッション
実業務を想定した事例をもとに、受講者が自ら考えて、対話しながら意思決定や課題解決力を高めていくのが、ケーススタディ・ディスカッションです。リーダー層には、「現場で直面する複雑な問題にどう対応すべきか?」という思考力と判断力の養成が欠かせません。
ケーススタディ・ディスカッションでは、次のようなプログラムを通して必要な力を育成します。
プログラム例 | 内容 |
リーダーとしての判断力を養う | 実際の現場で起こりうるケース(部下の不調やチーム内の対立など)をテーマに、グループで対策を考える各グループの意見を発表・共有し、多様な判断軸やアプローチ方法を学ぶ |
リーダーとしての意思決定を考える | ジレンマのあるテーマで意見交換を行う(「上層部の方針と現場の意見がぶつかったときどうするか?」など)自身の価値観やリーダーとしてのスタンスを言語化し、他者との違いを理解する |
ケーススタディ・ディスカッションでは「現場ですぐに使える知識」を得られるため、実務に直結した研修を求める企業に適した研修でしょう。
③360度フィードバック
360度フィードバックは、リーダーが自分の強みや課題を客観的に認識して、行動を変えるための評価手法です。
上司・同僚・部下といった複数の立場からの意見を集めることで、自分では気づけない行動パターンや影響を可視化できます。リーダー自身の内省を促し、共感力や信頼構築といった人間性にも深くアプローチできる点が特徴です。
プログラム例 | 内容 |
自分のリーダーシップ傾向を客観視する | ・部下や上司から得たフィードバックをもとに、リーダーとしての強みや改善点を把握する ・結果をグループ内で共有し、他者との比較から気づきを深める |
フィードバックをもとに成長目標を設定する | ・フィードバックをもとに、自分の行動をどう変えていくかを内省する ・「何を・いつまでに・どう変えるか」という行動目標を設定し、実行計画に落とし込む |
ただし、受講者にフィードバックを受け止める姿勢がなければ、学びにはつながりません。事前に評価の意義や活用方法を説明し、評価者にも安心して回答してもらえる仕組みを作りましょう。
④コーチング/メンタリング
リーダー一人ひとりの成長を支える「対話型支援」の研修手法が、コーチングとメンタリングです。近年は画一的な指導ではなく、本人の内省を促すスタイルが重視されている傾向にあります。コーチングとメンタリングの特徴は下記の通りです。
- コーチング:コーチが受講者と対話する中で、目標達成に向けて主体的に行動できるようサポートする手法
- メンタリング:指導者が被指導者の精神面やキャリアを支援し、より良い人材に育成する手法
プログラム例 | 内容 |
部下の自発性を引き出すコーチング | 傾聴・質問・承認といったコーチングの基本スキルを学ぶ実際の部下との対話を想定し、成長を促す声かけや質問の仕方を体験する |
メンターとしての関わり方を学ぶ | メンタリングとコーチングの違いを理解し、キャリアや感情面のサポート方法を学ぶ後輩や若手社員と信頼関係を築くための、対話のポイントを学ぶ |
いずれも継続的な関係性構築が必要なため、信頼できる相手とのマッチングが重要です。コーチの実績をよく調べ、場合によっては事前に本人と会って、適性や相性を確認しましょう。
下記の記事では、コーチングとティーチングの違いやメリットについて解説しています。
コーチングとは?ティーチングとの違いやビジネスでの効果的な使い分けを解説
オンライン対応型のリーダーシップ研修
リモートワークが浸透する中、場所に縛られずに実施できるオンライン型リーダーシップ研修が注目されています。ハイブリッドワークにおける課題や、オンライン研修の具体的なメリットを見ていきましょう。
ハイブリッドワーク時代の課題
ハイブリッドワークが広がる中、対面とは異なる新たなマネジメント課題が浮き彫りになっています。
- 社員の状況が分からない
- 勤務時間を管理しにくい
- 公平な人事評価がしにくい
従来はオフィス内で顔を合わせながら進めていた業務も、リモート環境では相手の状況が見えません。従来はオフィスで黙々と作業する様子を見れば「順調に進んでいる」と判断できましたが、リモートワークでは進捗の遅れに気づけないリスクがあります。
また、公平な人事評価も課題となっています。出社している社員の方が評価されやすい傾向がある場合、リモートワークのモチベーションが下がりかねません。
このような背景から、ハイブリッド環境に適したリーダーシップの習得が急務となっています。
オンライン研修のメリットと成功の秘訣
オンライン型のリーダーシップ研修は、時間や場所にとらわれずに実施できる点が大きな魅力です。受講者が全国各地に分散していても一斉に研修を受講し、移動コストや会場準備といった負担を大幅に軽減できます。
また、次のようなオンライン研修と専用ツールの併用により、学習効果の向上が期待できる点もメリットです。
- 動画配信機能:研修内容を繰り返し視聴できるため、学びが定着しやすい
- チャット機能:研修中の質問がしやすくなり、受講者の理解を深められる
- 学習管理機能:受講者の進捗や理解度を把握でき、研修後のフォローにも役立つ
ツールの活用と目的に応じた設計を行えば、オンラインでも質の高い人材育成が可能となります。
研修導入時のステップと設計のポイント
リーダーシップ研修を成功させるには、目的や対象に応じた適切な設計と運用が欠かせません。導入前の準備から効果測定までのステップを具体的に解説します。
ステップ1:課題把握と現状分析
リーダーシップ研修の第一歩は、自社の課題を把握することです。具体的な課題がないまま研修を企画しても、現場の実態に合わない内容になり効果が得られません。具体的には、次のような方法で定性データを収集しましょう。
- 社内アンケート
- 社員との面談
- 現場責任者へのヒアリング
上記を行うことで、次のような課題が見えてきます。
- 若手リーダーが部下育成に自信を持てていない
- 現場リーダー間でマネジメントスキルに差がある
1つめの「若手リーダーが部下育成に自信を持てていない」ことが課題なら、「育成に関する知識やスキルが不足しており、行動に結びつきにくくなっている」といった分析ができます。
課題を正確に把握した上で、研修の目的を明確にすれば、対象者の選定やカリキュラム設計がスムーズに進みやすいです。
ステップ2:目標設計とプログラム選定
現状を分析した後は、研修の目標設計とプログラム選定に進みましょう。ここで役立つのが、目標設定を効果的に行えるフレームワーク「SMARTの法則」です。
- S(Specific:具体的である)
- M(Measurable:測定できる)
- A(Achievable:達成できる)
- R(Related:関連性がある)
- T(Time-bound:期限がある)
具体的には、「2ヶ月以内に参加者全員が、コーチングの基本スキルを用いた1on1面談を2回以上実施し、面談内容を報告・振り返りできるようになる」といった目標が一例です。内容が具体的かつ測定可能であり、現場業務との関連性も明確になります。
次に、対象者の職位や経験に応じて適切なプログラムを選びましょう。今回の例のような「若手リーダー」が対象の場合、「リーダー向けコーチングスキル基礎研修」などのプログラムが適しています。
また、研修形式も重要です。集合研修では、他部署との交流やディスカッションが活発に行われるメリットがあります。一方、オンライン研修やeラーニングは自分のペースで学習でき、遠隔地の社員にも対応可能です。目的や現場の状況に合わせて、最適な形式を選択してみてください。
ステップ3:運用と効果測定
研修後はアンケートやレポートを通じて、受講者の反応と理解度を把握しましょう。レポートの方が何をどれくらい学んだかを深く振り返れるほか、上司や研修担当者によるフィードバックにも役立ちます。
研修を受けた社員にインタビューを行えば、「実際にどんな気づきがあったのか?」といった定性的な情報も得られます。
また、職場での行動変容を可視化することも重要です。受講者の上司・同僚・部下などから研修前後に評価を集め、その変化を定点観測することで、研修効果を見える化できます。行動変容を観察する際は、次のように観察項目を定めておくと、評価のばらつきを防ぎやすいです。
- 1on1の頻度・質が向上しているか
- 部下へのフィードバックが明確になっているか
- 会議でのファシリテーションが改善されたか
以上の情報をもとに、次回の研修企画や社内制度の改善につなげていきましょう。
成功している企業のリーダーシップ研修事例(3選)
リーダー育成において成果をあげている企業は、課題の見極めから効果測定までを戦略的に行っています。3社の成功事例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
事例①:トヨタ自動車 – OJTとメンタリングの融合
トヨタ自動車では「人材育成の基本は業務を通じたOJT」という方針のもと、配属前の1年間で複数部署のOJTを経験させる制度を設けています。実務に即したスキルや判断力を身につける機会が多いため、新人社員も早い段階から現場の空気や組織の役割を理解しやすくなっているのが特徴です。
通信講座やeラーニングなどでオフライン・オンライン教育を組み合わせつつ、日々の悩みや不安を気軽に相談できるメンター制度も整っています。実際に社員からは、「失敗を恐れずにやってみればいいよ、というメンターの言葉に何度も励まされた」という声も寄せられました。
こうした多角的なサポート体制が、新人の挑戦意欲を高め、即戦力のリーダー育成につながっています。
事例②:楽天 – グローバルリーダー育成プログラム
楽天は2017年から採用・育成制度を全面的に見直し、従業員一人ひとりが自律的にキャリアを築ける環境づくりを進めています。その中核をなすのが「グローバルリーダー育成」です。優秀な若手社員に対して、ビジネススクールへの留学支援や、早い段階での昇進といった育成プログラムを行っています。
特徴的なのは、制度導入前に以下を実施し、現状の課題を明確にした上で育成の仕組みを設計している点です。
- 従業員インタビュー
- 組織・人材データの分析
- 人事スタッフ全員との面談
社内の人事業務もグローバルに展開されており、多様なバックグラウンドを持つ社員と協働しながら、柔軟性やリーダーシップを身につけられる環境があります。
事例③:千葉銀行 – 全社員対象のリーダー育成文化
千葉銀行では管理職を対象とした育成にとどまらず、全社員を経営人材候補とした育成文化を構築しています。背景には「組織の多様化に対応し、部下の主体性を引き出せるリーダーを社内で増やしたい」という課題がありました。そこで3つの階層ごとに異なる研修を設計し、2023年度から本格的に実施しています。
なかでも注目すべきは、第3階層に位置づけられる30代中堅層向けの「新事業立案研修」です。半年かけてチームで新規事業を考案し、最後には役員へプレゼンを行う構成になっており、参加者の思考力・提案力・伝達力を総合的に鍛えます。研修で提案されたアイデアの一部は、実際の事業立ち上げに向けて検討しているとのことです。
最上位層には「ビジョン策定研修」を導入するなど、階層ごとの課題に応じた取り組みがなされており、経営視座を持った人材の育成を進めています。
リーダーシップ研修に関するよくある質問
ここからは、リーダーシップ研修についてよくある質問を紹介します。
Q. リーダーシップは後天的に身につきますか?
リーダーシップは、経験やトレーニングを通じて後天的に身につけられる力です。下記を繰り返すことで、リーダーとしての自覚とスキルが自然と育まれるでしょう。
- コミュニケーション能力の強化
- チームビルディングの演習
- 問題解決力を磨くトレーニング
生まれ持った資質よりも、学習と実践の積み重ねが欠かせません。
Q. リーダーシップ研修は何回受ければ効果が出る?
1回の研修で全てのスキルを習得するのは難しいため、複数回に分けて継続的に学びましょう。以下を意識すると受講者のモチベーションを維持しやすいです。
- 「前回の研修からどれくらい成長したか?」を振り返る
- 次回の研修に向けた目標を設定する
繰り返し研修を行えば、実務に活かしながら段階的に力をつけられます。複数回の実施により、受講者一人ひとりの変化や習熟度を把握しやすくなるのもメリットです。
もし「何回研修を提供しても、人材育成がうまくいかない」とお悩みの場合は、こちらの記事をご一読ください。
人材育成がうまくいかない3つの原因とは?
Q. 自社で実施すべき?外部に委託すべき?
研修を内製するか外部に委託するかは、自社のリソースや専門性の有無によって判断しましょう。
自社に研修のノウハウがない場合は、専門講師による外部研修がおすすめです。外部の視点を取り入れることで、新たな気づきが生まれる利点もあります。一方、自社で講師を務めれば、現場に即した内容で進められ、講師の育成にもつながるでしょう。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、研修の目的や体制に合わせて選択することが大切です。
リーダーシップ研修で組織を変える第一歩を
リーダーシップ研修は、単なるスキル習得の場ではなく、組織全体の成長と変革を促す重要な取り組みです。現代のビジネス環境は、変化のスピードが速く、従業員の価値観も多様化しています。こうした時代においては、管理職やリーダー層に求められる役割も高度化しており、経験や勘だけに頼る育成では不十分です。組織として戦略的に「どのようなリーダーを育てたいのか」を明確にし、その目的に合った研修を設計・実施する必要があります。
まずは自社の課題を明確にして現状分析した上で、研修目標を設定しましょう。重要なのは、一過性の研修で終わらせるのではなく、日常の業務や評価制度と連動させ、継続的な学びの仕組みを作ることです。自社に合うリーダーシップ研修の導入が、組織の文化を育みつつ、人材の定着や活躍につながる第一歩になるでしょう。
リーダーシップ研修をお探しの企業は、弊社(ワークハピネス株式会社)の体験型研修を利用してみませんか?社内のサイロ化を打破するゲーム型研修から、自分らしいマネージャー像を探し求める人間力強化研修まで、リーダーシップ開発の機会をご用意しています。オンラインで実施可能なものもあります。気になる方はぜひ以下から詳細をご覧ください。

大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。
医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。