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学習する組織とは?考え方や3本の柱、5つのディシプリンを解説

経営者やマネジメント層が実践する組織運営の取り組みの一つに、「学習する組織」があります。変化が激しい現代において組織が生き残るためには、組織の人々が管理されて動くのではなく、自ら考えて意見し合いながら動くことが大切です。

この記事では、学習する組織の定義や概要、学習する組織の実践で抑えておくべき考え方と5つのディシプリン(学習領域)について解説します。組織における学習例や学習の取り入れ方も紹介するため、自社に活用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

学習する組織とは

学習する組織は、ハーバード大学教授クリス・アージリスによって1970年代に提唱された言葉です。その後、1990年にマサチューセッツ工科大学の経営学者であるピーター・センゲが出版した本で改めて概念が提唱され、広く知られるようになりました。

学習する組織の概要は、下記の通りです。

・学習と成長の意欲がある人にチャンスを与える

・自ら学び進化する自己組織化を目指す

従来の組織運営は、経営者やマネジメント層が組織を管理するスタイルが基本でした。一方、学習する組織は、組織内の人々が自ら考えて意見し合いながら成長するスタイルです。

学習する組織の実践による主なメリットは、次の4つです。

・パフォーマンスの向上と維持

・従業員の自発的な成長

・従業員エンゲージメントの向上

・変化が激しい現代への対応力の向上

自発性・柔軟性・適応性を高められる学習する組織は、変化に強い組織を目指す経営者やマネジメント層にとって重要な取り組みであると言えます。

学習する組織の3本の柱

学習する組織の3本の柱

組織の学習能力を支えるためには、視野の拡大や視座の転換を図れるように組織と個人が必要な能力を身に付けなければなりません。組織と個人に求められる能力は、下記の3つです。

・志の育成

・複雑性の理解

・共創的な会話の展開

3つの能力は、学習する組織の実現に欠かせない大事な柱です。理想的な学習する組織を作るために、それぞれの能力をバランスよく伸ばしましょう。

ここでは、学習する組織の3本の柱について詳しく解説します。

志の育成

学習する組織の実現に向けて求められる能力の一つが志の育成です。志を育てるには、従業員一人ひとりが自分の望むビジョンを描き、実現に向けて進むことが大切です。他人に進むべき道を決めてもらうのではなく、自分で考えながら選んで進む力を育みましょう。

思い描いたビジョンに向かって変化を続けることで、一人ひとりが自律的に仕事を進められるようになります。

複雑性の理解

学習する組織に求められる2つ目の能力が、複雑性の理解です。

明確なビジョンを描けても、実現方法や解決すべき問題を正しく把握できなければ実現は困難です。物事のさまざまなつながりやシステムを理解するには、それらの背景や特徴を正しく処理する必要があります。特に、クリアすべき問題に影響を及ぼしている要素や利害関係は、正しい把握と分析が必須です。

多方向から物事を見る広い視点を持ち、絡み合ったシステムの全体像と作用を理解することで、組織が目指すビジョンを実現しやすくなります。

共創的な会話の展開

組織の学習には、共創的な会話を展開する能力が必要です。共創的な会話とは、異なる立場の人が協力して物事を創り出すための会話を意味します。

組織内では、自分の考えだけでなく立場が異なる人の意見にも耳を傾けて話し合うことが重要です。共創的な会話の展開により、自分の理解と他者の理解を比較したり重ね合わせたりできます。

学習する組織の実現には、3本の柱のバランスが重要です。3つの能力をバランスよく伸ばし、学習する組織の実現を目指しましょう。

学習する組織に必要な5つのディシプリン(学習領域)

学習する組織には、それぞれの柱ごとにディシプリン(学習領域)があります。3本の柱を伸ばすためのディシプリンは、下記の5つです。

志の育成・自己マスタリー(自己実現) ・共有ビジョン
複雑性の理解・システム思考
共創的な会話の展開・メンタルモデル ・チーム学習

ここからは、5つのディシプリンについて具体的に解説します。

自己マスタリー(自己実現)

自己マスタリー(自己実現)は、志の育成に関わるディシプリンです。

自己マスタリーとは、思い描くビジョンと現実のギャップを埋めるための継続的学習を意味します。学習する組織のベースであり、組織が成長し変わるために欠かせない部分です。

自己マスタリーのポイントは、次の通りです。

・自分に大事なことや必要なことを常に明確にする

・ビジョンと現実を比べて学習を続ける

ビジョンと現実を比べることで起こる創造的緊張(クリエイティブ・テンション)は、自己マスタリーを高めることにつながります。

共有ビジョン

共有ビジョンは、自己マスタリー(自己実現)と同様に志の育成に関わるディシプリンです。

自己マスタリーは個人が持つビジョンがベースとなります。一方、共有ビジョンは組織全体が共有するビジョンです。従業員一人ひとりが同じ方向に向かって進むには、目標・価値観・使命などの浸透が求められます。

共有ビジョンのポイントは、次の通りです。

・組織が目指す形を明確にする

・自分たちが理想とするあり方を共有する

ただし、ビジョンの共有は押し付けや服従ではありません。個人が持つビジョンに重きを置きつつ、組織全体のビジョン共有を促すことが理想です。

システム思考

さまざまな問題や課題を本質的に解決するには、システム思考が重要です。複数のデータを取ることで、システムを解明しパターンから解決のヒントを見つけられます。

システム思考で目指すべきポイントは、次の通りです。

・物事を点ではなく線で考える

・相互作用に注目する

・物事を全体的に見る

・本質的な問題や課題に着手する

システム思考は、複雑性の理解に大きく影響します。目先の問題解決を図るのではなく、複雑なシステム全体に目を向けて改善策を探ることを意識しましょう。

メンタルモデル

メンタルモデルとは、個人や組織内が無意識的に抱いている固定概念です。人々はメンタルモデルに沿って物事を捉えたり行動したりしていると言えます。

メンタルモデルが個人の思い込みや間違った認識である場合、組織改革のためには変化と改善が必要です。

メンタルモデルで意識すべきポイントは、次の通りです。

・自身の言動や考え方を振り返る

・思い込みや間違った認識を改善する

・メンタルモデルを共有し自覚する

メンタルモデルは無意識的に評価や判断に作用する場合があります。変化が激しい現代で組織が生き残るためには、従業員の心の奥底にあるイメージや概念を良い方向に変えて行くことが一つの課題です。

チーム学習

チーム学習は、共創的な会話の展開に大きく関わるディシプリンです。チーム学習では、ビジョン共有をしながらメンバー同士で学習を深めます。

チーム学習では、次のポイントを意識しましょう。

・組織に関わる人々で対話する

・意見交換やディスカッションで学習を深める

優れた能力を持つ個人がそれぞれに学習したからといって、必ずしも良い結果につながるわけではありません。大切なポイントは、従業員一人ひとりがメンタルモデルを意識し、ビジョンを共有して学習することです。

組織の学習レベル

組織の学習レベルには、下記の2つがあります。

・シングルループ学習(低次学習)

・ダブルループ学習(高次学習)

効率良く組織を成長させるには、組織の現状や求める効果に合わせて2つの学習レベルを使い分けることがポイントです。

ここでは、具体例を挙げながらシングルループ学習とダブルループ学習の特徴について解説します。

シングルループ学習(低次学習)

シングルループ学習は、既にある価値観や枠組みの中で行う学習です。行動に伴う結果から改善点を探し出しながら学習を続けます。

例えば「テレアポをしたがアポは取れなかった」という場合、「テレアポ=行動」「アポが取れなかった=結果」です。シングルループ学習では、アポが取れなかった理由や改善策を考えて次に活かすことが求められます。

業務がルーティン化している場合や組織の成長が安定期の場合に用いられることが多い学習方法です。

ダブルループ学習(高次学習)

ダブルループ学習は、既にある価値観や枠組みを取り除いて行う学習です。これまでの前提にとらわれずに行動自体を見直すことで変化・変革を目指します。

例えば、「テレアポをしたがアポは取れなかった」という場合、ダブルループ学習ではWebマーケティングなどこれまでとは違った営業スタイルを検討します。「営業=プッシュ型」という前提から脱却し、新たな営業スタイルの導入を考えることで問題解決を目指すことが特徴です。

時代に合った組織運営を目指す場合は、変化・改革につながるダブルループ学習が適しています。

組織にダブルループ学習を取り入れる方法

組織にダブルループ学習を取り入れる方法

実際に組織にダブルループ学習を取り入れるためにおすすめな方法として、以下の3つを紹介します。

高い基準の目標を設定する

ダブルループ学習では、目標値を通常の2~10倍に設定します。少し頑張れば越えられる目標値では、既にある価値観や枠組みを超えた行動にはつながりません。改善では達成できない目標値を設定することが、大きな変化や抜本的な改革を行うポイントです。

目標のブレインストーミングを行う

ブレインストリーミングは、自由に意見したりアイデアを提供したりすることです。目標のブレインストーミングは、目標の目的や必要性が明確になるだけでなく、クリエイティブな発想を導き出すことにもつながります。

外部研修などで視野を広げる

思考の枠組みから抜け出すには、外部研修で視野を広げて新しい知識に触れることが重要です。新しい知識を得ることや刺激を受けることは、複雑性の理解や共創的な会話の展開にも役立ちます。

高い基準の目標設定と目標のブレインストーミングは、社内ですぐに実施が可能です。外部研修への参加を検討する場合は、セミナーや研修会に特化したコンサルティング会社に相談してみましょう。

まとめ

学習する組織には、志の育成・複雑性の理解・共創的な会話の展開という3本の柱があります。3本の柱をバランスよく伸ばすためには、5つのディシプリンに沿って学習を行うことがポイントです。

そして、組織の学習レベルには、シングルループ学習とダブルループ学習の2つがあります。変化や改革を目指す場合は、ダブルループ学習が効果的です。

ワークハピネスでは、組織の変化をサポートするサービスを提供しています。組織の状態診断や研修会の開催も行っているため、学習する組織の活用を考えている方は、ぜひ問い合わせてみましょう。

この記事を書いた人この記事を書いた人

藤岡 征太郎

大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。

医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、セールス&マーケティング本部長。

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