グローバル人事、うまくいっていますか?その課題と対策について
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グローバル人事、うまくいっていますか?その課題と対策について

グローバル化が進むなか、日本企業も次々と対応策を打ち出しているものの、世界の流れになかなか追いつかない現状も見られます。その戦略に大きな役割を担うグローバル人事について、現在の課題とその対策について考えてみましょう。

グローバル人事とは

グローバル人事とは、会社が国際的に活動するため、海外の現地社員も含めた人材の能力を生かし、業績・成果を上げるための人材戦略のことです。単に社員の英語研修をすればよいのではなく、採用から育成、評価に至るまで人事業務全般で関わり、グローバルな視野で施策を行う必要があります。

グローバル人事の主な役割は、世界をベースにした総合的な人事管理と海外拠点のサポートにあります。国内外の人事情報を一括し、グローバル人材の採用、能力開発、育成、評価を適切に行い、国際競争力を高めること。そして、海外の駐在社員や現地社員の異動、採用、育成、処遇や制度の構築などを通し、海外拠点の活動を支えることです。

私たちをとりまく社会環境は急速に変化しています。少子化による国内市場の縮小や人材不足を背景に、会社はますますグローバルな戦略を進める必要に迫られています。事実、現在日系企業が雇用する海外の現地社員の総数は、現地の日本人の社員数を大きく超えている状況です。

グローバル人事の課題

しかしながら、言葉や文化の違う人たちをひとつの組織にまとめ上げるのは並大抵なことではなく、課題が多いのが現状です。まずは何が課題となるのかを考えてみましょう。

グローバル人材の不足

2017年7月に総務省が公表した資料「グローバル人材育成の推進に関する政策評価」によると、グローバル人材を必要とする海外進出企業980社に対し調査を行った結果、約5割の企業がグローバル人材は増加傾向とするものの、依然、約7割の企業で海外事業に必要な人材が不足している状況が明らかになりました。

また、交換留学や語学留学などで日本人大学生の海外留学は増えているように見えるものの、その約8割が6カ月未満の短期留学(多くは1カ月未満)で、企業のニーズと合っていないことも分かりました。

曖昧な人事戦略

「いつまでに、誰を、どう配置するのか」といった具体的な計画が定められていなかったり、目的を「競合他社への対抗」といった、曖昧なものにしたりしている会社が多いのも現状です。また、遠く離れた海外拠点や、急に増やした子会社の動向を把握できていない、あるいは海外から帰国したあとのキャリアが見えないという問題もささやかれています。

問題が多様で複雑

グローバル化に伴って起こる問題は数多く、しかも多様です。違う国の文化や価値観が入り込むことで、これまでになかった業務上の問題が急激に多発し、対応に追われてしまうのが実情です。

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グローバル人事実現のための3つの対策

課題が分かると、その対策も次第に見えてくるかもしれません。対策のポイントは大きく分けて、以下の3つに集約できます。

  1. 理想の「グローバル人材像」の明確化
  2. 現地の見える化
  3. 人事戦略の見直しと再構築

では、一つひとつ見ていきましょう。

1. 理想の「グローバル人材像」の明確化

不足しているグローバル人材を確保、また育成するためには、どのような人材を採用し、どのような人材に育成するのか明確にする必要があります。語学力も大切ですが、例えば語学力の高い人を選んで海外に派遣したところ、現地でのマネジメントがまったくできなかったという話も聞かれます。

異国でビジネスを始めるためには、語学力だけでなく現地社員をまとめるマネジメント能力やコミュニケーション能力、新たな問題に直面したときの問題解決能力など多彩な能力が求められます。

こうした能力は、会社の業種や状況によって違うため、各社で理想のグローバル人材像を明確化していくことが重要になるのです。

グローバル人材の定義については、多くの個人や組織が言葉にしています。

ジャーナリストの池上彰氏は、2013年にJICA青年海外協力隊事務局が行った講演イベント「池上彰と考える『グローバル人材とは何か』」で、グローバル人材を「世界に通用する人間であると同時に、日本の良さも自覚した上で働くことのできる人材」と定義しています。(引用:池上彰と考える「グローバル人材とは何か」|独立行政法人国際協力機構)

また、前述の総務省による資料「グローバル人材育成の推進に関する政策評価」では「日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・ 積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材」を定義しています(引用:グローバル人材育成の推進に関する政策評価 | 総務省)。

2. 現地の見える化

現地の状況を把握していなければ、効果的な人事戦略も図れず、指示も的外れなものになるでしょう。まず、現地の状況を「見える化」することがポイントです。具体的には、グローバル化における業務内容の棚卸し作業や社員への定期的なヒアリング、アンケート調査の実施や効果的なITツールの採用など、それにかかるコストや労力を吟味して運営に反映させていくことです。

3. 人事戦略の見直しと再構築

曖昧な人事戦略を避けるために、人事戦略の見直しと再構築を行います。

しっかりした戦略を練るためには、根底の考えとなるグローバル人事理念を明確に打ち出し、方針を定めることが必要です。そうして考え抜いた人事理念にのっとり、短期・中期・長期的な計画を立てていきます。

またグローバル人事部を設置すること、その役割を再認識することも大切です。日々多くの課題や業務に追われていくなかで見失いがちな人事の使命を明確にし、強く意識することで、迅速かつ効果的な人事戦略を進めていけるはずです。

そして、投資した人材をその後のキャリアパスに活かすことです。海外での経験を帰国後の実務に役立てることができず、むしろ出世コースから外れるのではという不安が生まれるようでは、会社としても浪費に終わります。次へのロールモデルができ上がるように、人材資産を構築する仕組みづくりを行いましょう。

<参考>人の価値観を知るヒント

会社のグローバル展開において、実際に多くの現場担当者が直面するのは価値観の違いです。現地社員と日本人駐在員では仕事に注ぐ時間の割合の感覚も違うかもしれません。そこで最後に、人の価値観を知るヒントを紹介します。

米経済誌Forbesによると、その人の価値観を知るための質問法を、Facebookの採用担当者ロリ・ゴーラー氏が明かしています。ゴーラー氏が、採用面接で最大限の結果を引き出すためのたったひとつの質問として挙げたのは、「これまでの仕事のキャリアで最高の一日を挙げるとしたら、どんな日でしたか」というもの。大抵の人が自己のキャリアの重要な局面について熱く語り出すそうです。(参照:フェイスブックの採用担当者ロリ・ゴーラーが面接で聞く、たった一つの質問| Forbes JAPAN)

また、時間的な観点を探るには「好きな仕事に自分のどのくらいの時間を注ぐか?」という質問を行い、70%以上という答えなら良いサイン、それ以下は何らかの問題があると見ているそうです。

グローバル人事は、企業が国際競争に耐えるための重要な役割を担います。人事として取り組む担当者自身が、変化や多様性に対応する柔軟性や広い視点を持つことが大切です。


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ワークハピネス

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