約30年前、私は外資系の公認会計士事務所に入りました。入社初日に300ページ以上ある英語の書類を渡され「明日からの研修のマテリアルです。明日までに全部読んできてください」と言い渡されました。
英語なんて受験以外で勉強したことない私は青ざめました。
テレワーク時代の新卒の育て方
帰りの電車で同期に「俺、やってく自信ないな〜」とぼやいたら、「始まる前から自信ないなら辞めちゃいなよ」とつれない返事。
初めての監査現場は、外資系の証券会社でした。
初日に優秀そうな先輩から、「吉村さんはPaulに、Equity Cycleサイクルを聞いて、Flow Chartにして」との指示。理解できたのはPaulというのがおそらく外人の名前だということくらい。
たまらず辞書を引いていたら、「吉村さん、外資系の証券会社にアサインされているのは先週から知ってたよね。ここは君の学校じゃないから、辞書はしまってくれるかな」と先輩からの言葉。
また先輩に勇気を出して質問すると、「その程度の質問に答えると、君のためにならないから教えません。もっとレベルの高い質問なら答えます」と禅問答のような回答。
初日の仕事の終わりに、「仕事が終わっていないので、ちっと残って仕事を続けたいのですが?」とお願いすると、「一人で残ることはできません。君のタスクマネジメントのミスで周囲が迷惑しています。明日以降に取り返してください」と、ピシャリと却下。ヒャー😭。どうする絶体絶命の吉村青年。青年の行末はいかに・・・・
さて、みなさん、どうです、この新入社員の扱い方?
なんでも自己責任。人に頼らず自分で勉強する。どんな困難も工夫で乗り越えてなんとかする。自責指向、貢献指向、個人事業主マインドの自立したビジネスパーソンに育ちました。
この諸先輩方のおかげで、現在の私があります。 キャリアの自己責任原則が徹底している外資系、そしてバブル崩壊による業績の悪化という環境が、この「乱暴な育て方」を私に受け入れさせていたと思います。
同じ時期でも総合商社に就職した同期たちは、毎晩ラジオシティーやヴェルファーレといったディスコで何も考えず楽しそうに踊ってました(笑)。
外資系企業の「乱暴な育て方」と日系企業の「丁寧な育て方」どちらがよかったでしょうか?
30年後の結果は明らかです。日系企業で「丁寧な育て方」で守られてきた私の同期たちは、ほとんどリストラ対象です。仏教用語に「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」という言葉があります。
「丁寧な育て方」は一見「善」ですが実は「大悪」なのです。
「乱暴な育て方」は一見非情に見えますが「大善」なのです。
長引く売り手市場で新入社員は「私に何をしてくれるのですか?」と「俺様化」が激しいです。「人事部がちょっと厳しく指導して、新入社員がすぐ辞めてしまったり、心を病んでしまったら責任問題になるから」と新人をお客様扱いです。
コロナショックは、新人教育を「大善は非情に似たり」という正しい軌道に戻すチャンスです。コロナショックで人手不足問題は解消します。厳しく接して新人が辞めても、問題ありません。採りすぎだったのです。病みもしません。
戦時中の空襲警報の最中、防空壕では赤ちゃんも泣き止みました。生き残ることに必死な社会の空気が若者を強くします。
「乱暴な育て方」で、個人事業主マインドのたくましい日本人を育てましょう!
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。