第四次産業革命は今?
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第四次産業革命は今?

コロナ禍となって3年目の春がやってきます。

コロナ騒動がいつ収束するのかが多くのビジネスパーソンにとっての懸念でしょう。

私たちがコロナ対応に追われて汲々としてる現在も、第四次産業革命は世界で粛々と進行しています。

今日は、世界で進行中の第四次産業革命の今を俯瞰してみたいと思います。

第四次産業革命の中核技術は、AI、ロボット、ドローン、IoT、3Dプリンター等です。

その中でも発展著しいのはAI。

2012年、カナダのトロント大学でディープラーニングという発明が生まれてからAIの飛躍的な発展が始まりました。

そしてこのディープラーニングを使って、グーグル傘下のディープマインド社がコンピューターで猫を判別できたところから世界の注目が始まります。

AIの中核はディープラーニングのアルゴリズムです。このアルゴリズムに大量のデータを学習させることによってAIは育っていきます。

半導体の集積度が2年で倍増するといムーアの法則が続く今、AIは大量のビックデータを食べてスクスクと育っています。

AIに期待される最大級のテーマである自動運転ですが、報道によれば昨年の11月、中国インターネット大手の百度(バイドゥ)によって北京で自動運転タクシーの運行が始まりました。

自動運転タクシーの運行を最初に始めたのは2018年、米国アルファベット傘下のWaymo(ウェイモ)によるものでしでしたが、それはアリゾナ州フェニックスの郊外での話。

今回、大都市である北京で自動運転タクシーの商業サービスがスタートしたことは画期的な転換点です。

ほぼ時を同じくして、米国のWaymoも大都市であるサンフランシスコで自動運転タクシーサービスを開始しました。

今後も、世界での覇権を狙って米国のWaymoと中国の百度との熾烈な競争が続くでしょう。

自動運転タクシーの商用化もスタートした今、第四次産業革命が世界でどこまで進んでいるのか?大変興味深いです。

もう始まっている、各産業の変化

もう始まっている、各産業の変化

第四次産業革命によって農業はどのように変わったのか?

AIの進歩は農業の生産性を飛躍的に向上させています。

米国の農場は広大です。人間の眼だけで広大な畑の現状を時事刻々と性格に把握するのは不可能。

この課題をドローンが解決してくれました。

農場にカメラ付きのドローンを飛ばして、刻々と変化する畑の現状を把握。

画像を解析することによってAIが農薬を散布する適切なタイミング、肥料の量、そして収穫のタイミングを教えてくれます。

農薬や肥料の散布でもドローンが活躍。

収穫作業等で活躍するのはAIが自律制御する無人トラクターです。

AIを活用することによって農業生産効率は数十%向上することが期待されています。

人口増大、気候変動で食糧危機が予測される未来。AIがこの危機を乗り越える一助となりそうです。

漁業でもドローンとAIの活躍は始まっています。

ドローンが飛んで魚群を探索し、AIによる自動運航の漁船がこの魚群を追いかけます。

カツオの一本釣りの自動化も始まっています。

ノルウェーのサーモンの養殖会社では、給餌の自動化はもちろん、AIを使った画像診断で、個体を識別し、病気にかかった個体を隔離することまで行っています。

次に第二次産業です。

AIとロボットを活用した省人化や無人化が最も進んでいたのは工業製品を大量生産する製造現場でしたが、コロナ禍による非接触ニーズの高まりの中で、されに遠隔モニタリングも進展しました。

さらに、アパレルや自動車等の嗜好品に関しては、顧客の要望に応じたカスタム製品を量産工場で廉価に生産するマスカスタマイゼーションも進展しています。

今後は、家電等においても自分好みにカスタマイズした贅沢な一品をお安く手にできる時代となるでしょう。

最後に第三次産業。

自動運転タクシーの登場に象徴されるように、サービス業の多くでも無人化が進んでいます。

物流業界においても、倉庫の無人化はもとより、限定された地域でのラストワインマイル配送車の無人化、ドローンによる配送等が始まっています。

自動運転が社会に広く浸透することは、慢性的人手不足の物流業界に取っては大きな助けとなるはずです。

コロナ禍の中、中国の広州には完全無人のレストランも登場しました。

今までも、調理や配膳にロボットが活躍するレストランはありましが材料等の準備には人手が必要でした。

このレストランは、セントラルキッチンからの物流と材料の装填までの全てを完全無人化しているとのこと。

コロナ禍による非接触ニーズの高まりを受け、人間が調理するよりも清潔とのイメージで大人気だとか。

2016年、Amazon Goが登場し、棚から商品をつかんで自分のカバンに入れると自動でショッピングカートに追加されて決済される、そのJust Walk Out Technologyに多くの人が驚きました。

この無人コンビニも非接触ニーズを受けて拡大中です。

Just Walk Out Technologyを支えるのもAIを搭載したカメラです。

カメラが個人を特定し、手に取った商品を識別して課金します。

無人コンビニの普及に関して最強なのは中国です。

中国は監視国家です。その膨大な人民を街に配置された数億台のカメラが監視しています。

信号無視等の交通違反をした人の顔画像が交差点の巨大モニターで晒される等の慣行まであります。

誰が、どこで、何をしていたのか?等のプライバシーが当局に捕捉されるという不気味な側面がある一方、犯罪が激減している等のメリットも多く、多くの人民が現状を容認しています。

日本では入退室等の認証に指紋等が使われることが多いですが、中国では顔認証が一般的。

無人コンビニの入り口で顔認証で個人が識別されれば、入り口でスマホを掲げてQRコードを読み込ませる等の手間も不要。

これが最もスムーズなJust Walk Out 体験です。

AI開発のトップランナーは米国です。

ところが近年、AI関連の特許取得数で中国が米国を抜いてトップとなりました。

AIを育てるためには大量のデータが必要です。

この点で14億の人口を抱え、個人情報保護を配慮しなくてよい中国の環境は圧倒的に有利です。

第四次産業革命を成し遂げた国が飛躍的に生産性を向上させて繁栄します。

第一次産業革命の中核技術である蒸気機関をいち早く社会実装した英国は、世界の工場となって当時のGDPの半分を生み出し、大英帝国となりました。

日本は、第四次産業革命の波に乗って再び繁栄できるでしょうか?

状況はかなり厳しいです。

個人情報等のプライバシー保護にも敏感でマイナンバーカードの活用も全く進まない日本社会で、AIを育てる大量のデータを収集するのは困難でしょう。

タクシー業界の既得権益保護のためにライドシェアサービスでさえ導入が不可能な現状。

失敗を許容しない国民性の中では、様々な実証実験をすすめるだけでも非常なる困難が予想されます。

自動運転の実証実験を進めるなかで人身事故が起きたら?

ドローンが民家に墜落したら?

いずれも、大げさな報道等で批判が巻き起こることが予想されます。

日本は、過去30年間、GDPを全く成長させませんでした。

凄まじい横ばい力です。

日本人の既得権益保護力と変化抵抗力は世界一です。

第四次産業革命の大波はやがて必ず日本に到着します。

黒船が来航したら発狂して大変革し、あっさりちょんまげを切ってしまえる日本人。

その節操のなさに私は希望を持っています。


株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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