テレワークになって、多くの会社で人事部から「部下との1on1ミーティングをやってください!」との指示が出ています。
毎日顔をあわせている甘えで、オフィスワーク時代におろそかにしてきた、”1on1ミーティング”。テレワークでいきなり「やれ!」と言われても不慣れな上司は戸惑い、zoom越しに気まずい雰囲気が流れます。
そんなわけで、今日は、”1on1ミーティング”の極意をお伝えします。
テレワークで上司が取るべきあり方とは
”1on1ミーティング”の主要な目的は、MBO面談や仕事の進捗確認ではなく、「部下の成長支援」です。そこで最重要となるのが、上司の部下に対する「あり方」です。
「あり方」が正しければ「どう進めるか?」「何を話すか?」なんて何も知る必要はありません。第一声に「最近どう?」と発声して、あとは黙ってうなずいているだけで万事うまくいきます。上司が取るべき「あり方」とは?
それは「スポンサーシップ」です。
スポンサーシップの「あり方」を言葉にすると、「できるあなたも好き。できないあなたも好き。そしてあなたはあなたが思っている以上の人だと私は知っていますよ」です。
これは、親が2歳までの子供に対して抱く感情に近いと言われています。親にとって2歳までの我が子は、無限の可能性に溢れて見えます。「将来、どんな素晴らしい人間に成長するのか?楽しみだな♪」と毎日想像を膨らませています。
子供のやることなすこと、失敗、成功、その全てがただただ愛おしい。大好きなアイドルがやることは、どんな結果であれ微笑ましく眺められますよね?
ところが3歳になると、他の子供との比較が始まります。「うちの子は周囲に比べて足が遅いな」「うちの子は周囲に比べて言葉を覚えるのが遅いな」親は我が子の無限の可能性を信じられなくなります。
「せめて人並みになって欲しい!」と思い、「あなたは何で〇〇ができないの?〇〇ちゃんはできるんだからあなたも頑張りなさい!」と叱咤激励を始めます。やがて子供は自己のセルフイメージが小さくなり、自信を失い、大きな夢を抱いて挑戦することをやめます。
人はコンフォートゾーンから飛び出して、ちょっとおっかない挑戦をして成長していきます。セルフイメージが小さい人間は、コンフォートゾーンから飛び出すのが怖くなり成長のチャンスを失います。
多くの上司も、部下に対してこの親の様な態度を取っています。無意識に部下を誰かと比較して、「君は○○が課題だな」「もっと頑張ろう!」と不足部分の指摘=ギャップアプローチをします。すると、部下はセルフイメージが小さくなり、必要な挑戦を躊躇する様になります。
部下の成長支援が目的の”1on1ミーティング”で、上司が心がけることは部下のセルフイメージを大きくしてあげて挑戦心を養うことです。
上司から「できるあなたも好き。できないあなたも好き。そしてあなたはあなたが思っている以上の人だと私は知っていますよ」というメッセージを受け取った時、部下はコンフォートゾーンを飛びだして挑戦に向います。
一番大事なのは「上司の眼差し」です。
「最近どう?」と聞いて部下が「調子はまあまあです」と答える。その時に「絶好調じゃないのか」と、しかめっ面をすれば話は盛り上がりません。大好きなアイドルの話を聴くように、ニコニコ顔で楽しそうに聴けば、話は盛り上がっていきます。
「君はすごいことを成し遂げる人だと私は知っているから」とスポンサーシップのメッセージを胸に部下の熱烈なファンだと思って話を聴くのです。「うん、うん」とうなずき、たまに「それで・・」と促せば、部下はスラスラと自分の今の状況を話してくれます。
やがて部下は、「私の課題は○○なので次に○○に挑戦します!」と自分の課題と挑戦テーマまで勝手に話しはじめます。上司はただ「あなたはすごい。これからも次々と挑戦して限りなく成長していく姿が目に浮かぶよ」という眼差しでうなずくだけです。
最後に上司は「私に何か手伝えることはあるかな?」と訊いて”1on1ミーティング”終了。ポイントは「大好きなアイドルの話を聴く」ようにすることです。
上司の皆さん、さっそく試してみてください。違った未来がやってきますよ。
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。