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必死なら必ず食える

前回、「食えなんだら食うな」というすごいタイトルの本の紹介をしました。禅の修行僧は毎日早暁から街で托鉢して一握りの米を頂き、それがその日の食事となります。托鉢が不調ならばその日は食べられません。私もこれと同じ体験をしたことがあります。


30代前半、経営者として駆け出しの頃、ある社員の強い勧めで過酷なことで有名な三泊四日の人間力研修に参加したのです。 山奥での合宿研修。3日目のお題は、「街に出て仕事をして、報酬として1000円をもらってきないさい」です。


研修参加者数百名が4人1チームに分かれて昼から街に一斉に飛び出します。私のチームは公認会計士でベンチャー企業経営者の私をリーダーに、引きこもりだったという20代のパチンコ店勤務の女性、農薬販売会社の40代の独身中年営業、20代なのに見事に太鼓腹のメーカーの保守担当の若者。数百人が一斉に街に飛び出しているので、マーケットは荒れ放題。何百件も飛び込んで「お仕事ください!」と叫ぶのですが、やんわり断られたり、「ふざけんな!仕事の邪魔だ!」と怒鳴られたり。全く成功の兆しが見えません。


夕方になって空腹と疲労で焦りもピーク。出発前に携帯電話も財布も取り上げられているので、1000円もらえなかったら本当にご飯が食べられないのです。生きるためにはお店や事務所に飛び込み続けるしかありません。
「もう君たちで10組目なんだよね。仕事の邪魔だからほんとにやめてくれないかな。」なんて言われてもこちらも必死なので「そこを何とか、、、便所掃除でもどぶさらいでも何でもしますから、、、、」と粘るのですが最後は、「警察呼ぶぞ!」と怒鳴られて、、しずしずと退散。


夜も8時となり、雪が降り出しました。商店街は真っ暗です。でもやり続けるしかありません。お店を諦め、街ゆく人にすがってお願いするも、気味悪がられて足早で逃げられる始末。


ついに深夜12時を回りました。疲労と空腹で無言で力なく歩く4人。その時、遠くにシャッターの隙間から漏れ出る光を発見しました。みんなで走って向かいました。花屋さんでした。リーダーの私は雪降る地面に這いつくばり、少し開いたシャッターに顔を近づけ大声で、「仕事をください。朝から何も食べてないんです。何でもやりますから1000円いただけませんでしょうか!」と叫びました。すると中から、「こんな夜中にうるさいんだよ!病気の母親が寝てるんだ!ふざけんなお前ら!」と男性の怒鳴り声。私は声のトーンを落としてそれでも必死に頼みました。


シャッターがガラガラと開いて鬼の形相の初老の男性が現れました。私は「殴られるかも」と身構えました。すると目の前の男性のその鬼の形相がみるみる緩んで目から今にも涙がこぼれそうな顔に変わったのです。何が起きたんだろうと思って男性の視線の先を追って振り返ると、残りの3人が雪の中、道路に土下座をついて涙を流しながら必死でお願いしていたのです。恥も外聞もありません。私も気づいたら土下座していました。


男性は、「わかったよ。仕事をしていきな。」と言って私たち4人をシャッターの中に招き入れ、花を束ねていく簡単な仕事をくれました。暖かいお茶とお団子も振る舞ってくれました。今日1日の話をしました。花屋の店主は話を聴きながら「今日は良いものを見せてもらった、、」と言って泣いていました。もちろん1000円もくれました。


この体験から多くを学びました。リーダーの私が頑張らねば!と思いあがっていたのですが、結局仲間に助けられました。助けられた私たちが、助けてくれた人から感謝されたり。学びが多すぎて書ききれないのですが、私の人生で1番の土台となった学びは、
「必死になれば必ず食える」ということです。


とても長い1日でした。辛かったけどとても良い思い出です。深夜に食べたお弁当のなんとおいしかったことか。生きていて本当に良かった!と思いました。
私は人間の強さを信じています。空腹で追い詰められると人間はすごいエネルギーを発揮します。
皆さんの中にも必ずその生命のエネルギーが宿っています。
何があっても大丈夫です。
ご安心を。


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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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