撤退する勇気
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撤退する勇気

エスプールを創業した年の話です。数億円の資金調達に成功した私たちは社員数が20名に満たないのに事業計画書に沿った急成長を見込んで高田馬場に250坪の広大なオフィスを借りました。意気揚々と新オフィスで働き始めた私たちでしたが、気合とは裏腹に売上が伸びないのです。日を追うごとに乖離していく予算と現状。一方で、多大な家賃と経費で毎月着々と減っていく現金残高。このペースで現金が減って行ったらあっという間に倒産です。

どうしたものかと困り果てた時、現在のエスプールの会長兼社長である浦上壮平さんが、「吉村、オフィスを移転しよう」と突然言い出したのです。目から鱗です。半年前に何千万円も払って手に入れたばかりのオフィス。VCや銀行、取引先等からもらったたくさんの胡蝶蘭。「事業計画通り、早期に上場してみせます!」と宣言した舌の根も乾かずうちに、突然、計画外のオフィス移転では関係各所に対して面目が立ちません。私は如何にして売り上げを増やすかだけを考えていたのでオフィスの移転案は頭の片隅にもありませんでした。「仕方がないよ。間違えちゃったんだから。『間違えちゃった。すんません!』って言えばいいよ。」と浦上さん。

あっという間に、便利な割に相対的に坪単価が安かった日本橋の70坪のオフィスへの移転を決めます。同時に私たちの広い高田馬場オフィスを居抜きで借りてくれる会社を探してきて、原状回復義務を免れると同時に敷金を満額返還してもらえる交渉を家主とまとめてきたのです。
公認会計士上がりで頭でっかちだった私は、浦上さんの決断力と撤退戦の鮮やかさに舌を巻きました。この時の経験はその後のホテルの再生やワークハピネスの経営において大いに役に立ちました。
この時の教訓。

  • 身の丈に合わせた経営をする。
  • 間違えたら恥も外聞もなく、即時に撤退する。

身の丈に合わせる潔さは私生活においても重要です。
ある日、社員が私に相談にきました。彼は離婚経験者。関西で離れて暮らす娘が東京の大学に合格した。ついては親らしく一緒に暮らして面倒を見たいのでもっと広い家に引っ越したいのだが、あいにく養育費等の支払いで手元が不如意。幾ばくかお金を貸してくれないか?との内容でした。
その時、私は言いました。「自分の力で何とかできないのなら無理をしないほうがいいですよ。娘さんに事情を話し、しばらくの間、我慢してもらえば良いのではないですか?身の丈に合わせて暮らしたほうが、かえって娘さんの教育に良いのでは?」彼はスッキリすっきりとした顔で帰っていきました。

  • 身の丈に合わせた経営(暮らし)をする。
  • 間違えたら恥も外聞もなく、即時に撤退する。

無茶は続きません。
「違うな」と思ったら恥も外聞もなく、撤退する勇気。
一度体験すると清々しくて癖になりますよ♪


株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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