CEO BLOG

やる気を削がない管理の仕組み。

多くの会社では100万円の設備の導入も100円のボールペンの購入も同じ決済ルートで管理職の承認と財務部門の確認が必要だったりします。コストを削減するため、犯罪者を作らないため、多大な管理コストを払っています。
その結果何が起きるか?
管理コスト以上に問題なのは現場の社員のやる気を削ぐ事です。経費使用の申請書類をつくって説明して承認を得る作業の手間を考えると、、、憂鬱になってきて、「まっ、止めとこう!」と、必要な挑戦をやめて安易な方向に軌道修正して逃げてしまうのです。


エスプールを創業した年の話です。月末、オフィスにいる営業パーソンの数が心なしか多い気がしました。
「なんで営業行かないの?」と聞くと、、「実は、交通費が無いんです。先週末に友人と呑んでお金を使ってしまって、、、」
まさか?の理由にびっくり!


前職が公認会計士で比較的高い報酬をもらっている友人しか知らなかった私は、20代の安月給の若手サラリーマンの現状を知って大いに反省しました。早速、1万円を貸してあげて、「これで営業いってこい!」と送り出しました。
毎月末、こんなことの繰り返し。
ところが貸したお金がいっこうに返ってこないのです!
これではサスティナブルではありません。


知恵を絞って出した解決策が、当時流通していてた交通費のプリペイドカードの現物支給。全員に交通費のプリペイドカードを現物支給し、使い切って管理部門に持ってくると新しいプリペイドカード渡すという方式です。
やがてまた問題発生しました。
通勤定期券の区間も会社から渡されたプリペイドカードを使って定期券代を節約する社員が出てきたのです。
何か、管理の仕組みが必要です。


営業は行動量が業績に直結します。交通費を懸念して行動量が減ったら本末転倒。交通費など気にせず、どんどん出かけて行って欲しい。だからといって、ノーチェックにして犯罪者が生まれやすくするのも会社として注意義務違反。些細な交通費のチェックに管理部門の人件費を割くのも本末転倒。必要経費は思う存分使えて、コストも少なく適切な内部チェックが行える妙案はないか?
考えて出てきたのが事後統計的チェック手法。


具体的には、営業パーソンにプリペイドカード2枚渡す。1枚を使い切ったら新しい1枚を渡す。と同時に営業パーソンの目の前で交換の日付を方眼紙のグラフに記載する。すると何故か”鈴木”さんだけ棒グラフが長くなるなんてことが起きます。その”鈴木”さんのプリペイドカードの裏面を見て乗車区間をチェックする。極めてアナログな事後統計的チェック手法。セットで、「通勤定期区間利用などの不正が発覚したら厳罰に処す」というアナウンスを出しました。
この手法で問題は全て解決。


100万円の設備導入には正規の決裁ルートが必要かもしれませんが、小額まで同じルートに乗せることは害の方が多いのです。
従業員を信頼して自由に経費を使ってもらい、のびのびと活動してもらう。
でも、最小の管理コストで犯罪者はつくらない。
そんな工夫が必要です。


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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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