最近、頻繁にメディアで目にするようになったメタバース。
昨年の10月にFacebookのマークザッカーバーグCEOが突然、社名を”Meta”に変えると宣言してからにわかにメタバースに対する注目が高まりました。
GAFAMの一角を占めるテックジャイアントのFacebookが”メタバース”に社運をかけるとは。
メタバースが世界を変えるほどの巨大なインパクトを持っている証かもしれません。
今日は、メタバースとは何なのか?
そしてメタバースがメジャーとなった世界では何が起きるのか?
ここを考察してみたいと思います。
メタバースとは何か?
メタバースとは簡潔に言えば、私たちが今、食事をしたり排泄をする、このリアルワールドに対して、デジタル上に存在するもう一つの世界のことです。
1番わかりやすい事例は、一時ブームになった「セカンドライフ」。
2003年に登場し、このセカンドライフの仮想世界の中で人々は土地を買って住み、イベントに参加、ショッピング等を楽しみました。しかし、当時のPCの処理速度や操作性が問題となり、住民は思うように増えませんでした。
あれから、約20年。通信速度もコンピューターの処理能力も桁違いに向上し、安価で操作性も高いVRヘッドセット、そしてwithコロナでオンライン慣れした人々等があいまって、メタバースは夜明け前を向かえました。
私たちが知っている最も身近なメタバースはNintendo Switchの「あつもり(あつまれどうぶつの森)」でしょう。
仮想世界の中でアバター姿で自分の理想の家や遊び場をつくり、友達を招いて遊ぶ。
この「あつ森」で行われていることがもっと多彩で大規模となっていくのが未来のメタバースの世界です。
「あつ森」をアニメ風景に近い形にしたのが”VRChat”です。
ユーザーは、女子高生やマッチョマン等のアバターでこの仮想世界を自由に飛び回って人々会話を楽しみます。
創作意欲の高い人は、自由に「ワールド」と呼ばれる仮想空間を作ることができます。
沖縄の古民家、西洋の大聖堂、空中に浮かぶ要塞等々、何でもあります。
自分の好みのアバター姿でワールドを歩き回り、様々な人々と会話を交わし、時にはお酒を飲んだり、ダンスしたり。
”VRChat”の世界でアバター姿で出会ってリアルワールドで結婚した事例も続々。
リアルワールドでは消極的な性格の人が、自分の理想とするアバター姿では積極的になることが多いみたいです。
お互いに外見は仮想なわけですから、本当の意味での心と心の会話が進むのかもしれません。
そして、なんでもできる本格的なメタバースを目指しているのが”The Sandbox”。
この仮想世界の中では、土地やアバター、アイテム等、あらゆるものが売買できます。
デジタルで、アバターや服を作って、人に売る、遊園地やゲーム場を作って、入場料を取って遊んでもらう等、”The Sandbox”の中で、実際にお金を稼ぐことができるのです。
この、デジタルアイテムの売買に信頼性や安心感を与えているのがNFT(非代替性トークン)です。
デジタル資産の所有者の識別をブロックチェーン技術によって保全しています。
メタバースで何ができるのか?
リアルの食事と排泄以外、何でもできると言えるでしょう。
Facebook改め”Meta”が提供している”Horizon Workrooms”というメタバースは、リアルとほぼ同じ風景の会議が行えます。会議室のテーブルを10人が取り囲むと、遠くの人の声は小さく、近くの人の声は大きく聞こえます。VRのヘッドセットについてるカメラが捉えて、自分の手の動きがそのまま仮想現実の世界でも実現します。ホワイトボードに文字を書いたり、、ジャンケンもできます。テレワークのデメリットとしてよく挙げられる、ホワイトボードを使った自由なブレインストーミングができないという問題も、このメタバースで解決です。
デジタルアイテムを作って、売買して、お金を稼いで、ゲームして、イベントに参加して、恋愛して等々、リアルワールドでできることはほぼ全てメタバースでできちゃっているのです。
さらに、メタバースはリアルよりもすごいことができます。
それは、偉大なクリエイションです。
建築家が自分の思い描いた理想の建造物をつくりたいと願っても、実際には土地や資金といった壁に阻まれます。
彫刻家も、その作品は設置場所やサイズの制約を受けます。
ところが、メタバースの世界であれば自分の努力だけで、夢想物が創造可能なのです。
レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロといった、資金の出し手であるパトロンに運よく恵まれた一部の天才だけが、リアルワールドに作品を残して来ました。
メタバースの世界では、才能ある全ての人々が運に左右されずに自分の作品を創造することが可能なのです。
しかも、極端に少ない炭素量で。
メタバースで私たちの生活はどのように変わるのか?
メタバースの世界が拡大すれば、生活のほぼ全ての時間がメタバースで過ごす人が出てきます。
メタバースの中でデジタルアイテムやゲームをつくって、売って、時には転売して稼ぎ、同時に他の人々がつくったエンタメを楽しみ、恋愛もする。
彼、彼女に取っての人生のリアルはメタバースの中にある。そんな人が増えていくでしょう。
そんな暮らし方人間らしくない!
世界中にそんな人が増えたら世の中はおかしくなってしまう!
もし、そんなふうに考えるのであれば、それはあなたがリアルで活躍できている証拠かもしれません。
リアルの世界で、差別、格差、偏見等に苦しんでいる。
オタクと言われて、異性からモテない。
性同一性障害抱えていて、生きづらい。
身体に障害を抱えていて、自由に外出できない。
そんな、現在のリアルワールドの社会構造や規範に馴染めない人がいます。
そんな苦しみを抱える人々もメタバースの世界では理想の姿で、理想のワールドを構築して、多様な人々とバリア無く交わることができます。
最近は、ブレイン・コンピューター・インターフェイスの研究も進んでいます。故ホーキング博士のように、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)に苦しみ、意思疎通もままならない人もメタバースの世界ならば、自由に飛び回って、人々と交流し、お金を稼いで自尊心を満たすことができます。
そう考えると、メタバースは格差、差別、偏見等のない、究極のダイバーシティーが実現している理想郷かもしれません。
リアルワールドで活躍できない、差別、格差、偏見等に苦しむ人々が大量にメタバースに移住していく未来もありえます。
そこでは、リアルワールドでのコンプレックスから解放された理想のライフが待っています。
あらゆる設定を自分で変えられるメタバースでストレスを抱える必要はないのです。
マッチョに憧れる人は、マッチョなアバターで大らかな性格で暮らす。
毎日インスタばかりを見ていて、「痩せなきゃ!」という強迫観念に押しつぶされそうな少女は理想の体型で堂々とワールドを闊歩する。
外見は男性だけど、心が女性ならば、理想的な女性の姿で美しいものを愛でる。
リアルでは心配性で保守的だった人も、メタバースでは大胆で勇敢に振る舞う。
逆に、リアルで挑戦疲れした人が、メタバースでまったりゆったり生きる。
メタバースを生きることによって、心のバランスを取り戻し、リアルワールドが前よりも少し快適になる。
人々のストレスが減ってリアルワールドが少し平和になるかもしれません。
メタバースは希望の光?
メタバースには国境がありません。
様々な国の様々な人々がメタバースのシンプルなルールのもとで対等に交わります。
今、メタバースの世界は英語が主流ですが、やがてはAI自動翻訳によって、言葉のバリアは無くなります。
世界中の人々が国籍、人種、宗教、外見等の偏見なく、大規模にフラットに交流したら?
差別、格差、気候変動、米中新冷戦等々、理想とはほど遠いリアルワールドの暗い問題もメタバースでフラットにディスカッションできたら?
民衆の力で、リアルワールドを変える世界規模の巨大なムーブメントを起こせるかもしれません。
メタバースは世界の問題を解決する希望の光?
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。