CEO BLOG

2021.02.03

テレワークで必要となるコミュニケーション・デザイン

緊急事態宣言再発令の下、多くの会社が苦しみ工夫しながらテレワークを行なっています。「IT環境が整っていない」、「自宅がテレワーク仕様になっていない」等の物理環境の問題は大部解決してきたのですが、新たにマネージメント上の問題が見えてきました。

多くの会社が共通で抱えている問題は以下の二つです。

1 ポンコツ・マネージャー下の社員が苦しんでいる

2 部門間の横の連携が悪くなった

まず、「ポンコツ・マネージャー下の社員が苦しんでいる」問題ですが、どんな時でも上司がポンコツだと部下は苦しみます。

・人の感情に配慮しない

・欠点や課題ばかりを指摘する

・理不尽に仕事を振る

・セクハラする

・パワハラする等々

ところがこのポンコツ上司問題、オフィスワーク時代にはあまり問題となっていませんでした。

というのは、オフィスワークにおいては、上司以外の同僚や先輩たちにインフォーマルなコミュニケーションを取れる機会が多かったので、悩める社員は一人で問題を抱えて苦しまずに済んでいたのです。

タバコ部屋や休憩室、ランチタイムに同僚や他部門の先輩などにそのポンコツ上司への不満や悩みを相談することができました。

ところがテレワークでは上司と部下の縦のコミュニケーションが中心です。ポンコツ上司に苦しめられている部下は、一人で問題を抱え、苦しみ、モチベーションを下げていきます。

そして、「部門間の横の連携が悪くなった」問題。これもオフィスの休憩室、タバコ部屋、ランチタイム、仕事終わりの呑みニケーション等が消滅したことによって露呈した問題です。

テレワークによって他部門の同僚と偶発的に接触して情報交換する機会が消滅したので、部門長は会社の他部門の情報が不足しがちなのです。

実は、オフィスワークにおいては、休憩室、ランチタイム、呑ミニケーション等のカジュアルでインフォーマルなコミュニケーションの場が、様々な問題解決や部門関連系の良い潤滑油となっていたのです。

テレワークではこのような偶発的でインフォーマルなコミュニケーションの場は期待できません。

では、どうすれば良いのか?

答えは、計画的なコミュニケーション機会のデザインです。

コミュニケーション・デザインにおいて指針となるのがMITのダニエル・キム教授が提唱している「成功循環モデル」です。

(成功循環モデルの図)

チームの業績向上はチーム・メンバー間の「関係性」を良くすることから始まります。

チーム・メンバー間の「関係の質」が良くなる、つまり、共通目標を持ってお互いを良く知り合い、「相互信頼」が生まれると、心理的安全性がもたらされて「思考の質」が良くなります。仲間と共有したゴールを達成するために、メンバー個々人が「挑戦的」で「創造的」になり、また、自分のエゴ捨てた「協力的」な思考・行動が増えます。すると自然に「結果の質」も向上します。

「関係の質」の向上は、「チーム内」と横の「チーム間」、そして全社という多階層で必要となってきます。

「関係の質」の向上、具体的には何から始めれば良いのか?

スタートはチームビルディングイベントです。

仕事を離れたテーマでチームメンバーで共同作業を行うことによって全人格的側面でお互いを知り合うことが重要となります。

例えば、みんなでバーベキューパーティーをやったとします。

すると仕事では頼りなかった若手のA君がテキパキと薪を割って火をおこす頼もしい姿を見て感心したり、仕事ができる上司が玉ねぎ切りで苦戦して涙を流す姿に「ほっこり」します。みんなで笑い、焼けた肉を食べて「おいしいね!」と感動すれば、仲間に対する「親近感」が増します。この「親近感」が仕事での「挑戦」や「協力」のモチベーションとなります。

欧米では、研修予算と同額がチームビルディング・イベントに割かれている会社もあります。

欧米企業は、人種や宗教も様々、中途入社も多いため、お互いをよく知り合うためのチームビルディング・イベントは必須なのです。

・数百人で巨大な絵を描く

・数百人で楽器を演奏する

・ダンボールで車を作って競争する等々

チームビルディング体験には様々な趣向を凝らしています。

コロナ禍でテレワーク中の現在は、オンライン・ゲームなどを活用してチームビルディング・イベントを行なっています。

仲間に対する「親近感」が社内における助け合いや協力の基盤となります。

例えばワークハピネスでは困ったことを何でも相談できる電子掲示板があり、誰かが「困っています!誰か助けてくれませんか!」と書き込むと、およそ数時間以内に誰かが助けてくれます。

新入社員研修をオンラインで実施した報告書、誰かお持ちじゃありませんか?

メーカーでの経営理念浸透コンサルティングの事例をできる限り多く求めています!

マイクロラーニングの企画書、誰か提案済みな人いませんか?

といった仲間からの「ヘルプ!」の声に対して、みんな自分の仕事を止めて協力するのです。

「ヘルプ!掲示板」を用意すれば「協力」が生まれるわけではありません。

日頃のチームビルディングに対する投資があって、仲間に対する「親近感」があるから、「協力」したくなるのです。

「マイクロラーニングの企画書」を1から作ったら大変な時間と労力が必要です。

ノウハウやナレッジをデータベースとして構築するという施策もVUCAな世界では遅すぎます。

誰かの頭の中にある暗黙知を瞬時に共有できる企業カルチャーが競争力となります。

また「つぶやき掲示板」という自分の「洞察」をつぶやく電子掲示板もあります。ここでは、最近感じるクライアントやマーケットの変化やSNS等でキャッチした面白いニュース、そこから得られた自分なりの「洞察」が共有されます。これも仲間に対する自発的な「貢献」意欲から書き込まれていきます。

定期的に「茶話会(さわかい)」と呼ばれる「オンライン雑談会」も社内の同志によって催されています。

話したいことがある人、仲間の話を聞きたいと思う人はこの会に集まり、ランダムに組み合わされた2人1組で、1時間近く対話をします。この時、聴く側にだけ次のルールがあります。

良い、悪い、などの評価は禁止。ただ受け止める。

心理的安全性を担保することが本心の吐露による「相互信頼」につながります。

「関係の質」を良くするためには、様々にコミュニケーション機会をデザインする必要があるのですが、その全ての土台となるのがチームビルディングによる仲間への「親近感」です。

さて、チームビルディングによる仲間への「親近感」の土台があるとするなら、

1 ポンコツ・マネージャー下の社員が苦しんでいる

2 部門間の横の連携が悪くなった

という、この二つの問題に対して効果的なコミュニケーション機会のデザインも機能しそうです。

まず、「ポンコツ・マネージャー下の社員が苦しんでいる」という問題に関しては、

・人事部が主体となって定期的に社員の話を聴く

・部門を超えたオンライン雑談会を開催する

等のコミュニケーション機会が有効でしょう。

また、「部門間の横の連携が悪くなった」に関しては、次のような施策を段階的に設けると良いでしょう。

1 特に目的を設けない、「部門長雑談会」のようなカジュアルなコミュニケーション機会を設ける

2 部門を超えた「有用情報共有」の電子掲示板を立ち上げる

3 部門を超えた「協力依頼」の電子掲示板を立ち上げる

社内の情報共有やコラボレーションを促すために、他社がやっている施策をそのまま導入しても成果は出ません。

コミュニケーション機会のデザインが意図通りに機能するには、地道なチームビルディング活動による「親近感」と「相互信頼」の土台が必要なのです。


WorkHappinessでは、大きく変化する時代の中での組織づくりをサポートしています。テレワークを活用する職場の人と組織の生産性向上のための支援を行うサービスの提供や、『組織を変える』ために必要なお役立ち情報の発信、人事・人材育成部門向けのセミナーを行っています。是非チェックしてみてください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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