逆境に負けない心のつくり方 レジリエンスを鍛えるためには?
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逆境に負けない心のつくり方 レジリエンスを鍛えるためには?

レジリエンスという言葉をご存じですか? レジリエンスとは、日本語では「復元力」とも訳され、逆境に負けない精神力のことをいいます。ビジネスの場でも、このレジリエンスが重視されるようになってきました。この記事では、「逆境に強い」人材となるための、レジリエンスを鍛える方法を紹介します。

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レジリエンスとは逆境に負けない力

壁にぶつかったり、障害が現れたりしたときに、そのストレスや困難に適応する精神力のことレジリエンスといいます。日本でレジリエンスという言葉が注目され始めたのは、2011年の東日本大震災です。政府は自然災害に立ち向かうための「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)計画」を推進しました。また、震災後の世界経済フォーラム(ダボス会議)でも、グローバル経済のレジリエンスがテーマに挙がりました。

そして現在、レジリエンスは研究や経済活動だけでなく、人材育成の観点でも重要視され始めています。

レジリエンスはなぜ必要か

では、なぜ人材育成の場においてレジリエンスが必要なのでしょうか?

それは、レジリエンスが「ストレスにうまく対処する」方法のひとつだからです。仕事をしていくなかで成果を挙げるには、ある程度の逆境やストレスは避けて通れません。仕事の量や大きさによっては、かなりのプレッシャーがかかる場合もあるでしょう。また、転職や転勤などで新しい環境に慣れる間も、無意識に精神的なストレスを受けています。

落ち込みやネガティブな状態から早く回復し対処できる力は、グローバル化が進み変化の早い社会に適応するためのアドバンテージとなるのです。

心の折れやすい人と折れにくい人の違いとは

「ポジティブな人」「ネガティブな人」という言い方がありますが、落ち込みやすさには個人差があります。埼玉学園大学の小玉正博教授が行っている、落ち込みやすい人の特徴を調べる実験によると、困難な課題に対し「結果に一喜一憂する人」と「自分の力を過小評価している人」に、心が折れやすく、課題をすぐ諦めてしまう傾向が見られたそうです。

一方、課題を諦めなかった人は「困難な状況でも成長や前進をしている」と捉える傾向にあるということも判明しました。

レジリエンスは鍛えられるのか

「もともと落ち込みやすい人は、レジリエンスを持てないのではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし、性格の個人差があっても、レジリエンスはトレーニングにより鍛えることができます。

レジリエンスを高めるメリット

トレーニングの前に、まずレジリエンスを高めるメリットを再確認しましょう。大きなメリットは、ストレスに対処するための思考が身に付き、精神状態がより安定することです。思い悩んでつらい思いをする時間を減らし、自己効力感を高め、ポジティブ思考に少しずつ変えていくことができます。

ビジネスにおいて、ミスしたことを引きずらずに気持ちを切り替え、自信を持って取り組んでいく姿勢を育むことができるでしょう。

レジリエンスを鍛えるプロセス

レジリエンスを鍛えるプロセスには、大きく分けて2つの段階があります。

1つ目「ネガティブな感情の悪循環から抜け出すこと」2つ目「そのあとの立ち直りを図ること」です。まず、ネガティブな思考を断ち切らないことには、立ち直ることはできません。最初の段階で、自分の内にあるネガティブな感情を見つめ、対処することがポイントです。

実際のトレーニングに必要な技術

では、この2段階のプロセスをさらに細分化して、具体的なトレーニング法を見ていきましょう。

ネガティブな感情の解放

第1段階であるネガティブな感情の悪循環から抜け出すために、「感情のラベリング」「気晴らし」によってネガティブな感情を解放します。

自分の中に生まれた感情に、名前をつけてラベリングしてみましょう。状況によって、ネガティブな感情にもいくつかのタイプがあることに気付くはずです。どのようなときに、どのような感情が生まれるのかという自分の思考パターンを整理してみましょう。頭の中だけで考えるのが難しい場合は、人と話してラベリングを進めるのも良い方法です。

ネガティブな感情はとてもしつこく、なかなか消えてくれないという特徴があります。そのため、気晴らしの行為によってネガティブな感情から意識をそらす必要があります。エクササイズやスポーツなど体を動かす運動、好きな音楽を鑑賞、演奏すること、瞑想や散歩などゆっくりと呼吸する機会を設けること、紙に自分の思いを書き出すことなどが効果的です。

思い込みに対処する

上記の内容を行っても、まだネガティブな感情がある場合、このしつこい感情は自分の「思い込み」から生まれている可能性があります。次は、この思い込みに対処していきましょう。

過去の体験により、思考に刷り込まれたネガティブな思い込みを、意識的に解放していくのです。そのために、自分の思考の癖を見極めていきます。他人に嫉妬したり憤慨したりする感情を引き起こす「白黒つける思考」や、「自分は人より劣っている」と考える「卑下思考」、羞恥心や罪悪感を起こす「自責思考」、恐れや不安をもたらす「不安思考」などです。

こうした思考を、現在の状況と照らし合わせて分析していきます、これらの思考が実際の状況と関係ない場合は、「現実的な証拠がない」として追放します。思考が理にかなっていて「証拠がある」場合は、それを受け入れます。自分を責めるのではなく、「これも自分の一部なのだ」と受容するのです。

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レジリエンスマッスルを鍛える

ネガティブな感情から抜け出せたら、第2段階に移ります。立ち直る力は、レジリエンスマッスルを鍛えることで強化できます。レジリエンスマッスルは、以下の4つの働きかけで鍛えることができます。

  1. 自己効力感を身に付ける
  2. 自分の強みを理解して生かす。自己理解する
  3. 心の支えをつくる
  4. 感謝の感情を高める

1の自己効力感とは、困難な課題でも自分なら達成できるという自信のことです。これを身に付けるには、小さな成功体験を積み上げていくこと、お手本となるロールモデルを見つけること、人からの励まし、高揚感を高めるムードが効果的だとされています。最初の2つは自身で行えますが、あとの2つは他人との関わり合いのなかで生まれるものです。ムードを高めるために、積極的に人に声を掛けて励ますことで、自分も励ましの言葉を受けられるようになっていくかもしれません。

2は、まず自分の強みを客観的に発見することが必要です。自分の強みを分析するテストにはさまざまなものがあります。米・VIA研究所の「VIA-IS」のような、オンライン上のツールを使って自分の強みを把握してみましょう。そして、その強みを実際に活用してみるのです。

また強みだけではなく、前述で触れたような自分の感情にも目を向け受け入れることで、自分をうまくコントロールできるようになります。

3は、支えとなるサポーターの存在をつくることです。サポーターは5人以上いるのが望ましく、家族や親せきなどの身内だけでなく、友人や同僚、またコンサルタントや弁護士、医療カウンセラーに頼るのも有効です。自分の悩みを気軽に相談できる関係を築いてください。

4は、日ごろから感謝の念を持つよう心掛けることです。ポジティブな感情は、ネガティブな感情を帳消しにする効果があります。人からサポートしてもらったときや良い機会を得られたときなど、積極的に感謝の念を持ってみましょう。ネガティブな感情が湧いた瞬間に感謝することは難しいですが、日常的に感謝することを意識していると、打たれ強さが徐々に備わってきます。

生活習慣も見直そう

上記の方法に加えて、基本の生活習慣も見直してみましょう。体調が優れないと、気分も落ち込みやすくなってしまいます。適度な運動をしたり、エレベーターを使わず階段を使ったりするなど、意識的に体を動かし、暴飲暴食は避け、栄養バランスの取れた食事をとりましょう。早寝早起きをして朝日を浴びる、睡眠の質を上げるなども取り入れたいところです。

レジリエンスはトレーニングを繰り返すことで徐々に鍛えられていきます。レジリエンスについてよく理解し、逆境に陥ったら意識的にトレーニングを行い、折れにくい心をつくっていきましょう。

この記事を書いた人この記事を書いた人

ワークハピネス

株式会社ワークハピネス

「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」をミッションに、人材開発、組織開発、事業創造支援を主に行うコンサルティングファーム。人の意識を変え、行動を変え、組織を変えることに強みを持つ。

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