
内定者のチームビルディングを強化する!効果的な施策・プログラムを紹介
内定辞退や入社後の早期離職など、新入社員のさまざまな問題を防止したいと考えている人事担当者もいるのではないでしょうか。内定者に早く辞められてしまうと、採用リソースに余計な負担がかかるため、企業にとっては避けたい問題でしょう。特にコロナ禍に学生時代を過ごした学生は対面コミュニケーションの経験が比較的少ない場合があるため、特別な配慮が必要です。
本記事では、現代の内定者を取り巻く環境の特徴やチームビルディングの目的・効果、具体的な施策、注意点、おすすめのプログラムなど、内定者向けチームビルディングを解説します。内定者同士で交流を深められる施策を探している人事の方や新入社員研修担当の人事の方は、ぜひ参考にしてみてください。
現代の内定者を取り巻く環境

近年の内定者の大きな特徴として挙げられるのが、コロナ禍に学生生活を送っていた点です。内定者・新入社員の特性を理解するためには、コロナ禍での学生生活が彼らに及ぼした影響について知っておく必要があります。
まずは、現代の内定者を取り巻く環境の特徴と影響をみていきましょう。
コロナ禍での学生生活を送った人の特徴
コロナ禍での学生生活は、オンライン授業が多く、部活やサークルなどオフラインでの活動が制限されていました。SNSが主な交流の場となっていたので、近年の若者はオンライン上での交流を重視する傾向があります。
コロナ禍ではオフラインで他者との接し方や集団行動を学ぶ機会が減少した上、価値観や性格が合わない人との関係を簡単に断ち切れる環境だったため、オフラインでの人間関係構築に苦手意識を持つ方もいます。
また先輩・後輩のような縦のつながりも乏しく、年上とのコミュニケーションや接し方に不安を抱えている若手も珍しくありません。オフラインでのリアクションや会話のテンポ、間の取り方が、既存人材と異なると感じることがあるでしょう。
他方で、彼らはスマートフォンやSNSを駆使して生活してきたデジタルネイティブです。オンライン環境の利便性やタイパの高さを理解しており、コロナ禍よるリモート普及についてポジティブに捉えている一面もあります。そのため、仕事やコミュニケーションにおいても、効率性や快適性、柔軟性を重視しています。
社会人生活への影響
コロナ禍で学生生活を送った若者は、オンラインでの交流が多かったからこそ、リアルでのつながりを求めている傾向があります。
株式会社「学情」が2023年4月入社の新入社員を対象に行ったアンケートによると、入社式をオンラインではなく「リアル」で開催してほしいと答えた新社会人は約7割に上りました。また入社後の研修についても、8割がオフラインを希望しています。
※参考:20代の働き方研究所.「コロナ禍で学生生活を過ごしてきた新社会人が希望する「入社式」のスタイルは?「オンラインだと人間関係を築きにくい」など切実な声も」. https://re-katsu.jp/career/knowhow/job/column/detail/id=671 ,(参照2024-08-16).
オフラインを希望する理由については、「(オンラインだと)会社の雰囲気が分かりにくい」「(会社の人と実際に会って)会社の一員になった実感を得たい」「同期同士での交流を持ちたい」などの声が挙がっていました。オフライン重視の現代の若者も、内定者同士や企業との結び付きの重要性を理解していることが分かります。
リアルでのつながりを求めてはいるものの、先述の通り対面での交流・コミュニケーションには苦手意識があります。さらに、SNS上が主な居場所だった彼らは、上下関係よりも横のつながりが一般的なので、会社においてもオープンなコミュニケーションを好みます。よって、職場においては、自分の意見や気持ちを安心して発信・相談できる状態「心理的安全性」を構築し、近年の若者の特徴に併せたコミュニケーションを取ることが求められます。
内定者向けチームビルディングの目的・効果
コロナ禍に学生だった内定者を取り巻く環境や、彼らの考え方、特徴は、既存の人材・世代のものとは異なる点が多々あります。そのため採用時には、内定者向けのチームビルディングの実施が欠かせません。
内定者向けチームビルディングには、次のような目的・効果があります。
- 内定者同士の横のつながりを作る
- 社会人としてのマインドセットを行う
- 内定辞退を抑止する
コロナ禍に学生だった人材の採用を成功させるために、それぞれについて詳しくみていきましょう。
内定者同士の横のつながりを作る
内定者向けにチームビルディングを行う目的の一つが、同期同士での横のつながりを作ることです。コロナ禍の影響もあり、現代の内定者は他人とのコミュニケーションに不安を持っています。
特に内定者が怖いと感じやすいのが、未知の人間との対人関係です。これまで慣れ親しんだ学生生活を終え、知らない人ばかりの環境に飛び込んでいく不安を解消できるよう、研修などでのチームビルディングを通じて内定者同士のコミュニティ作りを促進しましょう。
同期同士での横のつながりは入社前の不安を和らげるだけでなく、入社後に働き出してからも心強い味方になります。同期社員がお互いを支え合うとともに、切磋琢磨し合える関係を築ければ、モチベーション向上にも有効です。
社会人としてのマインドセットを行う
内定者には、チームビルディングを通じて、社会人としてのマインドセットを身に付けてもらう必要があります。マインドセットとは、人間の価値観や考え方や物事の見方を指す用語です。入社後、会社で業務をこなしていくためには、学生時代の心を卒業させるとともに、社会人として必要な思考法や言動を身に付けなければなりません。
学生時代までは、本人が自発的に動かなくても、親や先生から教えてもらえる環境でした。しかし社会人になると、受け身な姿勢では、仕事に必要な知識・スキルは身に付かず、周囲とも良好な人間関係を築けません。
入社前に内定者の段階で、研修や講習を実施してマインドセットを行うことで、社会人としての考え方や、会社の文化、ビジネスマナーが身に付きやすくなるでしょう。
内定辞退を抑止する
内定者のチームビルディングは、仕事や会社に対する未知への不安や恐怖を取り除き、内定辞退を抑止するのに効果的です。内定辞退が起きると、会社の人事計画に狂いや遅れが生じるとともに、新たな採用活動が必要になってしまいます。近年、内定辞退の大きな原因になっているのが、内定者の会社や仕事に対する不安感です。
株式会社ラーニングエージェンシーの調査によると、内定者の約8割が不安や心配な気持ちを抱えていると答えています。
※参考:ALL DIFFERENT株式会社.「【内定者意識調査】内定者の8割以上が「不安・心配」な気持ちを抱えている中、「期待感」は昨年よりも24.3pt増加!期待と不安が交差する結果に| ニュースリリース |人材育成・社員研修」. https://www.all-different.co.jp/topics/20221215 ,(参照2024-08-16).
入社前に仕事内容や会社の雰囲気・風土・会社からのサポートを知る機会を作れば、会社について多くの情報が得られ、安心感が生まれます。仕事や会社について理解を深めることで、新人の不安解消につながるでしょう。
また企業とのつながりが希薄化すると、就職先や仕事への興味は薄れてしまいます。入社前に研修やイベントを実施し、企業と関わる機会を設けることで、内定者のモチベーション・興味を維持できるでしょう。
内定者のチームビルディング強化に向けた具体的な施策

内定者向けのチームビルディングでは、単に研修を行うだけでなく、以下のような施策を盛り込んで実施すると効果的です。
- アイスブレイク
- 相互インタビュー
- アウトドア・レジャー型の懇親会
- ゲーム
内定者のチームビルディング強化に向けた具体的な施策を解説します。
アイスブレイク
研修や面談などで内定者の緊張をほぐし、お互いに話しやすい雰囲気を作るプログラムをアイスブレイクといいます。名前の通り、本番を前にしてアイス(氷)のような参加者の緊張をほぐして壊す(ブレイク)のが、アイスブレイクの役割です。
一般的なアイスブレイクには、世間話や他己紹介、○秒自己紹介など、さまざまな方法があります。最初に各自が声を出す機会を作ることで、その後も発言しやすくなり、コミュニケーションの質も向上するでしょう。
相互インタビュー
内定者同士がお互いにインタビューをし合うプログラムです。二人一組やチームを組んで、決められた時間内でできるだけ相手について多く知れるよう互いに質問を行います。インタビューが済んだ後は、同じグループの参加者に内容紹介を行います。最後にインタビュー内容を適切に報告できていたか、全員で評価し合いましょう。
お互いが大切にしている価値観や想いを共有・理解するのに有効で、他己紹介の一部としても利用できます。
アウトドア・レジャー型の懇親会
アウトドア・レジャー型の懇親会などのレクリエーション企画もチームビルディングには有効です。リラックスした雰囲気の中で楽しみながら自然とリアルでコミュニケーションが取れるため、内定者同士の相互理解を深め、結び付きを向上させるのにぴったりです。
親睦会の中で、業務で扱う商品・サービスや自社業界に関連するプログラムを取り入れれば、研修を通じて仕事や会社、業界全体に対する理解も深められるでしょう。
ゲーム
ゲームを通して、楽しみながらコミュニケーションを取り、内定者同士で自然に助け合う協力関係を構築できるプログラムです。チームビルディング向けには、謎解きゲームやボードゲームからドミノ倒しなど、さまざまなゲームから選択できます。
実施する際は、メンバーが協力して目標を達成するタイプのルールを持ったゲームを選ぶと、チームワーク向上に効果的です。
内定者のチームビルディングプログラムを選択・設計するときの注意点
内定者向けにチームビルディングプログラムを選択・設計する際には、科学的に全員が漏れなく参加できるよう計算されたゲームやプログラムを選ぶのが重要です。
気が合う人と話すだけで終わってしまうプログラムでは、特定のグループができてしまい、内定者全員での信頼関係や人間関係を築く効果が薄くなりかねません。仲が良い人とだけ話して、他の人とは言葉を交わさない飲み会をイメージすると分かりやすいでしょう。
またメンバーの役割が明確でないプログラムは、入り込めず参加感のないまま終わってしまう人が出てくる可能性も高くなってしまいます。活動内容を決める際は、共通の目的やゴールが設定されていて戦略性があり、全員が主体性を持って行動でき、一体感を生めるプログラムを選択しましょう。
内定者のチームビルディングにおすすめプログラム2選
最後は、内定者向けチームビルディングの中でも効果的な2つのプログラムについて紹介します。どのような内定者向けチームビルディングを取り入れようか悩んでいる企業担当者の方は、ぜひご検討ください。
The Big Picture
「The Big Picture」は、チーム全員で協力しながら一枚の大きな絵を完成させるプログラムです。「The Big Picture」で作成するのはただの絵画ではなく、会社やチームのビジョンを反映させたオリジナルデザインのイラストになっています。そのため、プログラムを通じてチームワークを高めるだけでなく、目指すべき方向(ビジョン)についても理解を促せます。
「The Big Picture」では、一枚の絵画をいくつものブロックに分割して作成していきます。始めは全体像が見えずに不明瞭で、さまざまなルールや仕掛けを乗り越えて完成を目指さなければなりません。そして自分の担当ブロックだけでなく、チーム全体で協力しながら進めていくことが必要です。
「The Big Picture」は、組織のビジョンを共有しながら、チームのコミュニケーションや一体感を促進するのにぴったりです。このゲームを導入すれば、参加者は楽しく周囲との距離感を縮められるでしょう。対面はもちろん、オンラインでも実施可能なメリットもあります。
Beat the Box
「Beat the Box」は、チームで協力して創造性を駆使しながら謎を解いていく、対面ゲーム型のプログラムです。用意されたボックスの中にある暗号をチーム全員で力を合わせて解き明かしていきます。暗号は、全員が知恵を出して協力し合わないとクリアできないようになっています。
また必要な解読ツールを利用するためには、他のチームとも協力しなければなりません。ゲームを進める上で、チーム内で自然とコミュニケーションが取れるだけでなく、他チームとも協力するため、仕事での部署を越えた協力体制も疑似体験できるようになっています。
対面とオンラインのどちらでも実施しやすく、暗号の内容は企業や研修内容に合わせてカスタマイズも可能です。チームビルディングの中でも、特にコミュニケーション促進におすすめのプログラムといえます。
まとめ
現代の内定者は、コロナ禍に学生生活を送っていた関係から、対面のコミュニケーションを苦手とする傾向があります。入社時に不安を抱えているケースもあるため、事前に研修などを通じてチームビルディングを行うことが有効です。内定者同士の横のつながりを作って不安を解消し、社会人としてのマインドセットを身に付ければ、内定辞退を抑制する効果も期待できるでしょう。
チームビルディングを強化するための施策として、アイスブレイクやインタビューの他、さまざまなゲームを取り入れるのもおすすめです。
株式会社ワークハピネスでは、内定者のチームビルディングに適したさまざまなプログラムを提供している他、内定者向けチームビルディング体験セミナーも実施しています。自社の内定者向けにチームビルディングを強化する施策を検討されている方は、ぜひご利用ください。

人材アウトソーシングのベンチャー企業㈱エスプール(ワークハピネスの親会社)の創立3年目に新卒にて入社。新規現場、プロジェクトの立ち上げから不採算支店を売上日本一の支店に再生するなど、同社の株式上場に貢献してきた。
多数のプロジェクトを通じ、多くのスタッフと携わる中で「人間の無限の可能性」を知り、「人の強みを活かすマネジメント」を広めるべく、2006年よりワークハピネスに参画。
中小企業を中心とした人材開発、組織風土変革コンサルティングPJを推進している。





















