
マインドセット研修とは?目的・内容・種類・実践例まで徹底解説【2025年最新版】
近年、急速に変化するビジネス環境の中で、成果を出す人材に共通するのが「マインドセット(思考の土台)」です。
スキルや知識だけでなく、“どのように考え、行動するか”を学ぶことが、成長と変革を支えるカギとなります。「マインドセット研修」は、社員一人ひとりが主体的に成長し、組織全体が前向きに変化するための教育プログラムです。
本記事では、マインドセット研修の目的・内容・種類・導入メリット・具体的なプログラム例までを網羅的に解説します。
マインドセットとは何か

「マインドセット(Mindset)」とは、物事の捉え方や考え方の“基盤”となる心の姿勢を指します。
同じ出来事でも「チャンス」と捉える人もいれば、「リスク」と感じる人もいます。これはスキルや経験以前に、“どのような思考習慣を持っているか”の違いから生まれるものです。
心理学者キャロル・S・ドゥエック(『Mindset』, 2006)によると、マインドセットは主に以下の2種類に分かれます。
- 固定的マインドセット(Fixed Mindset):失敗を恐れ、能力は変わらないと考える傾向
- 成長マインドセット(Growth Mindset):努力や学習によって能力は伸ばせると考える傾向
この「成長マインドセット」を持つことが、変化の激しいビジネス環境では特に重要です。
「マインドセット研修」とは?
「マインドセット研修」とは、社員が前向きな思考習慣を身につけ、自律的に成長・行動できるようにするための教育プログラムです。
単なる“やる気アップ”ではなく、思考のクセを可視化し、行動の源である価値観や信念を整える研修です。
主な目的は以下の通りです。
- 変化への柔軟性を高める(DX・グローバル化・組織変革に対応)
- 成長意欲を引き出し、学び続ける姿勢を醸成する
- チームとしての協働・リーダーシップを育てる
- 「自分事化」の意識を浸透させ、主体性を高める
マインドセット研修は、新入社員から管理職まで幅広い層に実施され、階層ごとにテーマが異なります。
たとえば、新入社員では「社会人としての意識変革」、管理職では「メンバーの育成と信頼構築」などが焦点になります。
研修を導入する背景・目的
企業がマインドセット研修を導入する背景には、急速な環境変化と価値観の多様化があります。
テクノロジーの進化、働き方の自由化、キャリア自律の時代において、「指示待ち」「受け身」では組織が機能しなくなっています。
そのため、企業がマインドセット研修を導入する主な目的は以下の通りです。
- 変化対応力の強化:不確実な時代に自ら考え行動できる人材を育てる
- 主体性と自律性の醸成:指示ではなく、自ら課題を見つけ解決する力を育む
- 組織文化の変革:トップダウン型から、共創・自発型への転換を促す
- エンゲージメントの向上:自分の仕事に意味を見出し、モチベーションを維持できる社員を増やす
結果として、マインドセット研修は単なる教育施策ではなく、組織変革の出発点として位置づけられています。
また、2025年は生成AIの浸透とハイブリッドワークの定着により、学習する組織づくりと実験・検証の文化を支えるマインドセット形成が一層重視されています。
マインドセット研修の主な内容・カリキュラム例
研修で扱う典型的なテーマ
マインドセット研修では、「思考のクセ」や「行動の前提」を見直すテーマが中心となります。
多くの研修で扱われるのは、以下のような内容です。
- 主体性の発揮:「指示を待つ」から「自ら動く」への転換
- ポジティブ思考とレジリエンス:失敗を恐れず、挑戦を続ける心の持ち方
- 目的意識・ビジョン形成:自分の仕事を“何のためにやるか”を再定義
- チーム貢献とコミュニケーション:他者理解と協働姿勢の強化
- 習慣化・セルフマネジメント:学びや行動を持続させる仕組みづくり
これらのテーマは、講義だけでなくワークショップやケーススタディ、ロールプレイなどの体験型プログラムとして実施されることが多く、理解と実践の両面を重視します。
階層別の内容(新入社員・管理職・営業職など)
マインドセット研修は、対象者の立場や経験に応じて内容が異なります。階層別に整理すると、以下のようになります。
| 対象層 | 主なテーマ | 狙い・目的 |
|---|---|---|
| 新入社員/若手社員 | 社会人基礎力・主体性・失敗からの学び | 学生から社会人への意識転換、自走型人材への成長 |
| 中堅社員 | リーダーシップ・後輩育成・組織貢献 | 組織の中核としての自覚、視座の引き上げ |
| 管理職・リーダー層 | ビジョン共有・心理的安全性・エンゲージメント向上 | 部下を動かす「支援型マインド」への転換 |
| 営業職・フロント職 | 顧客志向・信頼構築・自己成長意識 | 数値目標を超えた価値提供・セルフブランド確立 |
| 専門職・クリエイティブ職 | 創造性発揮・メタ認知・柔軟思考 | 発想力を阻害する固定観念の打破、学習習慣化 |
このように、「階層×目的」に応じた設計を行うことで、組織全体のマインドチェンジを促進します。
特殊テーマ研修(グローバル/DX/グロースマインドセットなど)
近年では、環境変化に対応するためのテーマ特化型マインドセット研修も注目されています。
グローバルマインドセット研修
- 多文化理解・異文化コミュニケーション
- 英語力だけでなく、「文化の違いを受け入れる柔軟性」を育む
- 海外拠点との協働や国際プロジェクト推進に活用
DXマインドセット研修
- 「デジタル化=ツール導入」ではなく、業務の再設計を考える意識改革
- ITリテラシーやデータ活用への抵抗感をなくし、変化に挑む思考を養う
グロースマインドセット研修
- 成長マインドを軸に、失敗を学びの機会として捉える習慣を醸成
- 継続的学習(リスキリング・アップスキリング)を支える心理的基盤を整える
これらの特殊テーマ研修は、「スキルの前に、マインドの変革が必要」という時代のニーズを反映しています。
マインドセット研修の資料・ワークシート・フォローアップ
マインドセット研修では、「学んで終わり」ではなく「現場で使える化」を目的とした資料・ツール設計が重要です。
代表的な教材・サポート例は以下の通りです。
- 研修資料:心理学理論(ドゥエックのマインドセット理論、アドラー心理学、GROWモデルなど)を図解で整理
- ワークシート:「過去の成功体験・失敗体験の棚卸し」「理想の自分像シート」「価値観マップ」など自己理解を深める構成
- フォローアップ研修/面談:1〜3か月後に振り返りを実施し、行動定着を支援
- eラーニング・動画教材:短時間で繰り返し学べるオンデマンド学習形式
- 社内SNS・グループディスカッション:学びの共有と心理的安全性の醸成
研修後のフォローを組み込むことで、受講者の意識変革を一時的な感情変化から、持続的な行動変容へとつなげることができます。
マインドセット研修導入のメリット・効果

個人レベルで得られる効果
マインドセット研修は、受講者一人ひとりの「思考のOSをアップデートする」効果があります。単にスキルを教える研修ではなく、「どのように仕事へ向き合うか」という根本的な姿勢を変える点が特徴です。
主な効果は以下の通りです。
- 主体性・自律性の向上
自分で課題を発見し、行動を起こす力が高まります。「言われたからやる」から「自分で考えて動く」へ。 - レジリエンス(折れない心)の強化
失敗や逆境を「成長の糧」として捉えられるようになり、困難への対応力が向上します。 - 自己理解と価値観の明確化
自分が大切にしたい価値観を整理することで、キャリアビジョンや行動方針が明確になります。 - ポジティブな思考習慣の定着
物事を前向きに捉える癖がつき、ストレス耐性や人間関係の柔軟性が高まります。 - 学習意欲・成長意識の継続
「まだ伸びる」「もっとできる」という成長マインドが芽生え、自己研鑽が習慣化します。
このように、マインドセット研修はキャリアの転換点や新たな挑戦の前段階で特に高い効果を発揮します。
組織レベルでの効果
組織にとっても、マインドセット研修は単なる教育投資ではなく、文化づくり・組織変革の起点として重要な役割を果たします。
主な効果は以下の通りです。
- エンゲージメントの向上
社員が自らの仕事に目的意識を持ち、会社への共感や貢献意欲が高まります。 - 離職率の低下・定着率向上
「やらされ感」から「自分の成長につながる仕事」という意識に変化し、モチベーションが持続します。 - チームワーク・心理的安全性の醸成
相互理解と信頼関係が深まり、意見を出し合いやすい職場風土が生まれます。 - 変化対応力・イノベーション創出の促進
新しい取り組みに前向きに挑戦する姿勢が組織全体に広がり、イノベーションが生まれやすくなります。 - マネジメント力の底上げ
管理職が「支配型」から「支援型」へとマインドを転換することで、メンバーの成長が加速します。
結果として、個人の意識改革がチームの成果向上へと連鎖し、企業全体のパフォーマンスが向上します。
導入時によくある課題・留意点
マインドセット研修は効果が大きい一方で、導入や運用の段階でいくつかの注意点もあります。
- 「一過性」で終わらせない設計が必要
研修単体ではなく、事前課題・フォローアップ・上司面談などを組み合わせ、行動定着の仕組み化が重要です。 - 上層部・現場の理解不足
経営層や管理職が「マインド研修=精神論」と誤解していると、効果が半減します。目的共有と社内浸透が不可欠です。 - 効果測定が曖昧になりやすい
スキル研修と異なり成果が数値化しづらいため、行動変化や風土変化の指標を明確に設定しておく必要があります。 - 受講者の抵抗感への対応
「また研修か」「意味があるのか」といった受け身の姿勢をなくすため、事前に目的や意義を丁寧に説明することが大切です。 - 講師・設計の質が成果を左右する
理論に偏らず、実体験や現場課題に即したプログラムを設計できる講師・コンサルタントの選定が重要です。
マインドセット研修対象・活用シーン(状況別)
社会人向け
社会人向けのマインドセット研修では、「成長し続けるビジネスパーソン」をテーマに、キャリア自律や変化対応力を強化します。
経験を重ねるにつれて固定観念が形成されやすいため、思考の柔軟性を取り戻すことが主な目的です。
主な内容としては、以下が挙げられます。
- 現状打破のための「思考の再構築」
- 社会人としての使命感・価値提供意識の明確化
- 上司・同僚・後輩との関係性改善と信頼形成
- 組織貢献と個人のキャリア成長を両立させるマインド醸成
キャリアの中堅期に差し掛かる社員にとって、「惰性から自発へ」切り替える重要なきっかけとなります。
新入社員・内定者向け
新入社員や内定者向けのマインドセット研修は、「学生から社会人への意識転換」を目的とします。
特に、知識やスキルよりも先に「仕事への姿勢」「組織で働く心構え」を整えることが重要です。
主なカリキュラム例:
- 社会人基礎力(報連相・責任感・チーム貢献)
- 失敗を恐れず挑戦する「成長マインド」形成
- 自分の強み・価値観の棚卸し
- 職場での学び方・フィードバックの受け方
- 配属後に行動へ移すためのワークシート設計
この段階で前向きなマインドを育むことは、早期離職防止や定着率向上にも直結します。
営業職向け
営業職に対するマインドセット研修では、成果を生み出す思考習慣の再設計が焦点となります。
売上・数値プレッシャーの中で「自責・他責」のバランスを見直し、顧客志向のマインドを磨くことが狙いです。
主な内容例:
- 「数字のための営業」から「価値提供の営業」への転換
- 失敗を恐れず挑戦するレジリエンス強化
- 顧客との信頼関係構築における誠実な姿勢
- チーム営業における役割意識と助け合い文化
- 自己効力感(自分はできるという確信)の育成
これにより、「やらされ営業」から「自ら仕掛ける営業」へと変化し、モチベーションと成果の両立を実現します。
管理職・リーダー向け
管理職・リーダー層向けのマインドセット研修は、「成果を出す上司」から「人を育てる上司」への転換を目的とします。
マネジメント層が旧来の指示型から脱却し、心理的安全性を重視する支援型リーダーシップを身につけることが求められます。
主な内容:
- 部下の自律を促す「支援型マインド」
- 共感力とフィードバック力の強化
- チームの心理的安全性を高める対話スキル
- ビジョン共有・組織文化づくりの重要性
- 自身のメンタルマネジメント・セルフケア
管理職層のマインド転換が進むことで、組織全体のエンゲージメントと成果創出が加速します。
グローバル人材・DX時代対応向け
グローバル化・DX化が進む現代では、「変化を受け入れ、学び続ける姿勢」が全ての職種に求められています。
この分野のマインドセット研修では、文化・技術・働き方の多様性に対応するための意識変革を促します。
グローバル人材向け
- 異文化理解・多様性受容のトレーニング
- 国籍・価値観の違いを越えたチーム協働
- グローバルコミュニケーションにおけるマインド整備
DX時代対応向け
- 「デジタル化=自分事」として捉える意識づけ
- テクノロジー変化に対する抵抗感の解消
- データ思考・クリエイティブ思考を融合した発想訓練
このような研修を通じて、社員は「変化を恐れず、変化を創る人材」へと進化します。
研修企画・設計のポイント
目的・対象・ゴールの明確化
マインドセット研修を設計する第一歩は、「なぜ」「誰に」「どのような変化を起こしたいのか」を明確にすることです。
目的が曖昧なまま進めてしまうと、効果測定や現場定着が難しくなります。
設計時に押さえるべき3つの視点:
- 目的(Why)
・組織課題の解決(例:主体性不足・離職率改善・風土改革)
・社員の意識転換(例:挑戦・変化への対応・キャリア自律) - 対象(Who)
・階層別(新入社員/中堅/管理職)
・職種別(営業・技術・本部系など) - ゴール(What)
・研修後に“どのような行動変容”を見せてほしいかを具体化
(例:「自ら課題提案ができるようになる」「部下と1on1を実践する」など)
この3点を明文化しておくことで、研修内容・講師・評価方法を一貫した設計にできます。
マインドセット定着のための工夫
マインドセット研修は、「一度きりの感情変化」ではなく「行動習慣の変化」を目指すことが重要です。
そのためには、受講後のフォロー体制や実践支援を組み込む必要があります。
効果を定着させる主な工夫例:
- 事前課題:自分の課題意識を言語化し、研修内容との接続を意識させる
- ワークショップ形式:対話や体験を通じて“自分ごと化”を促す
- フォローアップ面談:1〜3か月後に上司と振り返りを実施し、行動継続を支援
- 行動宣言シートの活用:研修での学びを「明日からやること」として可視化
- 社内コミュニティ運営:Slackや社内SNSで学びを共有・フィードバック
こうした施策を組み合わせることで、受講者が研修を「現場で活かす仕組み」を構築できます。
資料・プログラム準備
効果的なマインドセット研修を実現するには、教材の質と構成の一貫性が欠かせません。
理論と実践をバランスよく組み合わせることが、理解と行動変容の鍵になります。
主な準備項目:
- 研修スライド・資料:心理学理論(ドゥエックの成長マインドセット理論、EQ理論、GROWモデルなど)を簡潔に整理
- ワークシート:自己理解を深める「価値観マップ」や「理想の自分像シート」など
- ケーススタディ:実際の職場シーン(報連相・チーム連携・顧客対応)を題材にディスカッション
- 講師スクリプト・タイムライン:進行管理とワークの一体化を図る構成
- 受講者ガイドブック:研修後の実践・復習をサポートするテキスト形式
特にマインドセット研修は「言葉の解釈」が人によって異なるため、ビジュアルやストーリー性を持った資料設計が効果的です。
測定・評価・改善サイクル
マインドセット研修の成果を最大化するには、「実施して終わり」ではなく、継続的なPDCAサイクルが不可欠です。
感情面・行動面の双方から効果を測定することで、改善点を具体的に把握できます。
主な評価指標
| 評価軸 | 指標例 | 測定タイミング |
|---|---|---|
| 理解度 | 研修アンケート・テスト | 研修直後 |
| 行動変容 | 上司評価・自己チェック・行動宣言の実行率 | 1〜3か月後 |
| 組織影響 | エンゲージメントスコア・離職率・人事評価データ | 半年〜1年後 |
改善の流れ
- 受講後アンケートの分析:研修満足度だけでなく、「何が現場で役立ったか」を抽出
- 管理職ヒアリング:部下の行動変化を観察し、組織的な課題をフィードバック
- 次回カリキュラムへの反映:対象層・目的に応じてプログラムを最適化
このような評価設計を通じて、マインドセット研修は単発イベントではなく、組織文化を醸成する継続的施策へと発展します。
よくある研修プログラム例ケース
新入社員向けプログラム例
目的:社会人としての意識転換と成長マインドの醸成
新入社員向けのマインドセット研修は、「学生気分からの脱却」と「主体的な行動習慣の形成」がテーマです。
早期離職の防止や、自己成長への意欲づけを狙いとして実施されます。
プログラム構成例(1日~2日間)
| 時間帯 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 午前 | オリエンテーション/マインドセットとは | 社会人意識の定義・意識変革の必要性理解 |
| 午前後半 | 自己理解ワーク(価値観・強み分析) | 自分の行動特性・モチベーション要因を理解 |
| 午後 | ケーススタディ「主体性とは何か」 | 受け身思考から自律行動への転換 |
| 午後後半 | 成長マインドを育てるワーク(GROWモデル活用) | 失敗を恐れず挑戦する姿勢を醸成 |
| 終了時 | 行動宣言・フォローアップシート記入 | 習慣化と上司との共有を促進 |
特徴ポイント:
- 座学よりもワーク中心で「体感的に学ぶ」構成
- 上司・先輩とのフォロー面談を組み合わせると効果定着率が高い
営業職向けプログラム例
目的:成果を生み出す思考習慣と顧客志向の強化
営業職向け研修では、売上数字に直結する“思考の使い方”を見直し、「売る」から「価値を届ける」への意識変革を目指します。
プログラム構成例(半日~1日)
| 時間帯 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 午前 | 営業成果とマインドの関係 | 成果に影響する心理的要因を理解 |
| 午前後半 | 「固定思考 vs 成長思考」ケーススタディ | 思考の違いが成果に与える影響を体感 |
| 午後 | 顧客視点ワーク「相手の成功を設計する」 | 顧客志向・信頼構築のマインド強化 |
| 午後後半 | 売上停滞期のセルフマネジメント演習 | メンタル維持と自己効力感向上 |
| 終了時 | 成長行動プランの作成 | 翌日からの実践目標設定 |
特徴ポイント:
- 数値成果を“再現できる思考”に落とし込む
- 競争意識から共創意識へ切り替えるグループ討議が有効
管理職向けプログラム例
目的:支援型リーダーシップと部下育成マインドの確立
管理職・リーダー層向けのマインドセット研修では、「自分が動く」から「人を動かす」への意識転換が重要です。
リーダーのマインドが変わることで、組織全体の行動文化が変わります。
プログラム構成例(1日~2日間)
| 時間帯 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 午前 | 組織の成果を左右するリーダーマインドとは | 指示型→支援型へのパラダイム転換 |
| 午前後半 | 部下育成ケーススタディ(1on1対話) | 共感・傾聴・信頼構築を実践 |
| 午後 | チーム心理的安全性ワーク | メンバーが安心して挑戦できる環境づくり |
| 午後後半 | 自己リーダーシップの棚卸し | 自身の強みと課題を整理・行動計画化 |
| 終了時 | 行動宣言/マネジメント実行シート | チーム内実践に落とし込む仕組み化 |
特徴ポイント:
- 理論(心理的安全性・サーバントリーダーシップ)+実践演習を融合
- 上司・部下双方への360度フィードバックを活用すると定着率が高まる
グロースマインドセット/グローバルマインドセット研修の例
目的:変化に挑み続ける柔軟性・多様性対応力の強化
近年注目されているのが、「グロースマインドセット研修」および「グローバルマインドセット研修」です。
どちらも、「変化を恐れず、学び続ける人材」育成を目的としています。
グロースマインドセット研修プログラム例
| 時間帯 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 午前 | 成長思考の基礎(キャロル・S・ドゥエック理論) | 成長できる人の特徴を理解 |
| 午前後半 | 失敗体験から学ぶワーク | “失敗=成長機会”の視点転換 |
| 午後 | リスキリング・継続学習設計ワーク | 学びを継続させる仕組みづくり |
| 終了時 | 自己成長マップ作成 | 学習と挑戦のロードマップ可視化 |
グローバルマインドセット研修プログラム例
| 時間帯 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 午前 | 異文化理解とバイアス認識 | 無意識の偏見を知り、多様性受容を促進 |
| 午前後半 | 異文化シミュレーションワーク | 他国の価値観・意思決定スタイルを体験 |
| 午後 | グローバルコミュニケーション演習 | 多国籍チームでの協働力強化 |
| 終了時 | 行動計画・自己振り返り | 国際プロジェクトへの応用を明確化 |
特徴ポイント:
- “学習する組織”を前提に、変化に強い人材育成を狙う
- DX時代・海外展開・異文化協働に不可欠な要素
マインドセット研修導入時の資料・チェックリスト
研修企画時のチェックリスト
マインドセット研修を効果的に運用するためには、「準備段階での設計精度」が成果を左右します。
以下のチェックリストをもとに、目的・対象・実施体制を明確化しましょう。
🔹 研修企画チェックリスト
| 項目 | 内容 | 確認 |
|---|---|---|
| 目的設定 | 組織課題・人材課題と紐づいているか | □ |
| 対象層の明確化 | 新入社員/中堅/管理職など階層別に設計されているか | □ |
| ゴール設定 | 「どんな行動変容を期待するか」が明文化されているか | □ |
| カリキュラム構成 | 講義・ワーク・共有のバランスが取れているか | □ |
| 講師・ファシリテーター | 組織文化や階層特性を理解している人材か | □ |
| 実施形式 | 対面/オンライン/ハイブリッドなど形式を最適化しているか | □ |
| 事前課題 | 自己分析・目標設定などを研修前に提出できる仕組みがあるか | □ |
| 評価指標 | アンケート・上司評価・行動チェックなどの定量化設計があるか | □ |
| フォローアップ計画 | 1〜3か月後の振り返り・面談・再受講の流れがあるか | □ |
このチェックリストを活用することで、「感覚的な企画」から「成果の出る企画」へ設計をアップグレードできます。
受講者資料・ワークシート例
マインドセット研修では、受講者自身が考え・気づき・行動を整理できる資料設計が鍵となります。
資料は「理解 → 内省 → 実践」の3段階を意識して構成しましょう。
🔹 代表的な受講者用資料例
| 種類 | 内容・目的 |
|---|---|
| 研修スライド | マインドセット理論(固定・成長思考)や心理学的背景を図解で説明 |
| 自己分析シート | 自分の強み・弱み・価値観・信念を整理するワーク(例:価値観マップ) |
| ケーススタディ資料 | 職場でよくある課題(報連相・後輩指導・営業失敗)を題材にグループ討議 |
| 行動宣言シート | 「明日から変えること」「1週間以内に実行すること」を具体化する目標設定フォーム |
| 振り返りシート | 研修後1か月以内に自己評価・成果・課題を記入し、上司や人事に共有 |
特に、ワークシートは「書くこと」そのものが思考整理のプロセスになります。
講義中心ではなく、“自分の言葉で内省する時間”を十分に確保する設計が効果的です。
フォローアップ資料のポイント
マインドセット研修は、「やって終わり」ではなく「続けることで変わる」タイプの研修です。
そのため、フォローアップ資料の設計と配布タイミングが極めて重要です。
🔹 主なフォローアップ資料・ツール
| 種類 | 内容・目的 |
|---|---|
| フォローアップシート | 研修後1〜3か月後に「実践できたこと/課題」を記入し、上司・人事と共有 |
| チェックリスト式振り返り票 | 「挑戦した回数」「失敗から学んだ経験」など定量項目でセルフ評価 |
| 上司向け面談ガイド | 部下への声かけ例・フィードバック質問リストをまとめた支援資料 |
| eEラーニング・動画教材 | 5〜10分の復習動画で理解を定着(例:「成長マインド再確認編」など) |
| 社内共有テンプレート | 成果報告やチーム学び共有のためのスライドテンプレート |
フォローアップ成功のポイント:
- フォローアップは「1回ではなく、複数回」設計する
- 上司・人事・本人の三位一体で振り返る仕組みを作る
- 学びを“日常の習慣”に落とし込むチェックリズム(週次・月次)を設定する
これにより、マインドセット研修は単発イベントではなく、組織文化の浸透プロセスへと昇華します。
マインドセット研修で変わる組織と個人
マインドセット研修は、単なる研修プログラムではなく、「人と組織の成長を根底から支える仕組み」です。
環境変化が激しい現代においては、スキルや知識以上に「どのように考え、行動するか」という内面の在り方が成果を左右します。
この研修を通じて社員一人ひとりが
- 「できない」ではなく「どうすればできるか」と考え、
- 失敗を恐れず挑戦を重ね、
- 自分の役割と成長に主体的に向き合うようになることで、
組織全体が前向きで柔軟な文化へと変化していきます。
また、管理職やリーダー層においては、部下を“動かす”のではなく“支える”マインドへの転換が進み、チーム全体の心理的安全性とエンゲージメントが高まります。
結果として、「人が育つ組織」から「人が自ら育つ組織」へと進化していくのです。
マインドセット研修は、一度の実施で完結するものではありません。
事前準備・実施・フォローアップを丁寧に積み重ねることで、学びが習慣となり、行動が文化へと変わります。
“変化を恐れず、成長を楽しむ組織”をつくる第一歩として、マインドセット研修を戦略的に活用していきましょう。


大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。
医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。
















