オンボーディングとは?期待できる効果やプロセス、ポイントを紹介
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オンボーディングとは?期待できる効果やプロセス、ポイントを紹介

人材育成において、オンボーディングという考え方が注目されており、気になっている担当者も多いのではないでしょうか。新規で採用された社員の早期離職が課題となっているなかで、オンボーディングは社員が企業に定着するための対策の一つとして取り入れられています。
この記事では、近年浸透しつつあるオンボーディングについて説明し、オンボーディングによってもたらされる効果やプロセス、ポイントなどもご紹介します。

オンボーディングとは

オンボーディングとは、もともと英語で「飛行機や船に乗っている」という意味の形容詞「on-boarding」から派生した用語です。本来の意味では、飛行機や船に新たに乗り込んできた乗務員や乗客が機体や船内で慣れるように行うサポートを言います。

人事の領域におけるオンボーディングは、新しく企業に加わった社員がスムーズに組織に慣れて活躍できるように支援するプログラムのことです。企業では、新卒採用者を対象として新人研修やオリエンテーションを実施し、一定期間の間に集中的に研修を行うのが一般的です。しかしオンボーディングでは、新卒採用者に限らず、中途採用した若手社員や中堅社員、幹部社員に至るまで新たに企業に加わった幅広い層の人材を対象とし、継続的に行っていくプロセスとされています。

また、オンボーディングは新しく入社した社員に施すOJT(On the Job Training)とも異なります。OJTは実地で行う訓練であり、その職場での経験がない新人社員に対して実務を通して仕事を覚えてもらう研修方法です。実務に慣れた社員の指導のもと迅速に職務を学ぶことができるため、幅広い業種・職種で活用されています。一方、オンボーディングは目的が異なり、職場環境にいち早く慣れるためのサポート・フォローを行うプロセスです。

オンボーディングを実施することで期待できる効果

オンボーディングを新しく入ってきた社員に実施することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、オンボーディングの実施によって期待できる4つの効果をご紹介します。

新卒採用者の早期戦力化

オンボーディングを実施すると、新しく入社した社員が早い段階で職場環境に馴染むことができ、持っている能力を発揮しやすくなります。

慣れない環境では不安や心配を抱きやすく、自分の力を最大限に発揮することが困難です。オンボーディングを行うことで企業やチームに早期に打ち解け、新人社員でも戦力として働いてもらうことが期待できるでしょう。特に新卒採用者の場合は周囲の環境に慣れず緊張してしまうことが多いため、オンボーディングを導入すると効果的です。先輩社員や同期などの同僚とオンボーディングをきっかけとしてコミュニケーションを深められると、長期に渡って良好な関係を築きやすくなるでしょう。

新卒社員が環境にスムーズに慣れて職務で実力を発揮できると、企業への貢献を自分でも実感できます。やりがいを感じることでモチベーションの維持やキャリアアップへの意欲にもつながるでしょう。

離職防止

オンボーディングは入社後すぐに実施されることが多く、社員にとっては企業の第一印象を左右する要素です。企業や職場環境に良い印象を抱くと仕事でも満足しやすく、早期離職を防ぐことにもつながるでしょう。

企業にとって人材の採用活動は広告費や人件費などコストがかかります。また、採用してから人材を育てるためにかけるコストも大きく、社員の離職率が高いと生産性が悪くなります。効果的なオンボーディングを実施することによって社員の離職率を下げられ、採用活動を必要最低限に抑えてコストの削減にもつながるでしょう。

社員のエンゲージメント・モチベーションの向上

エンゲージメントとは、社員が抱く企業への信頼や愛着、貢献したい意欲などを示す言葉です。オンボーディングは入社して間もないうちから実施されるケースが多く、社員は早くから企業の職場環境について理解を深めることができます。企業活動や理念について共感するきっかけとなり、エンゲージメントの向上につながります。

多くの企業では採用活動の段階で組織の価値観や考え方を共有する努力をしています。しかし、採用までの限られた時間内で全ての情報を伝えるのは困難です。そのため、企業文化を深く理解することなく現場に送り込まれてしまう新入社員も多く、結果的に馴染むことができずエンゲージメントが低下してしまうケースもあります。

オンボーディングを積極的に行い企業側からアプローチすることで、社員のエンゲージメントやモチベーションを高められます。新卒採用者だけでなく、中途採用者に対してもオンボーディングによるアプローチは効率的です。企業文化や業務の流れが把握でき、既存社員との距離感も縮められるでしょう。

組織力の向上

OJTなどの社員研修では、同じ部署内の先輩社員など限られたメンバーによって育成が行われるのが主流です。しかしオンボーディングでは、職種や所属部署に関わらず、多くの人と関わり合いながら研修が進められます。そのため、所属部署内の縦のつながりにとどまらず、部署を越えた横のつながりも深めることができるでしょう。

結果として組織全体で情報共有が活発になり、社員同士で助け合う機会が多くなります。オンボーディングがきっかけで、新入社員に限らず既存の社員も仲を深めることができ、組織の結束力が生まれることもメリットです。

オンボーディングのプロセス

オンボーディングは新入社員や既存社員、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。オンボーディングは従来の新人教育と比べて、広い範囲をカバーするのが特徴ですが、オンボーディングを効果的に導入するためには、プロセスを把握して策定する必要があります。ここでは、オンボーディングを効果的に進めるためのプロセスについて解説します。

目標を設定する

オンボーディングを導入するにあたり、企業としての目標を設定しておきましょう。自社が実施するオンボーディングによって、入社した社員に何を理解してもらい、どのようなミッションを与えて活躍してもらいたいかなどを設定します。

企業文化や価値観、考え方は企業ごとに異なります。また、そのうえで企業が求める理想の人材も異なるでしょう。オンボーディングとして取り扱うことのできるテーマは広範囲に渡りますが、研修の期間は限られています。テーマとして何を扱い伝えていくべきか、研修期間の終了後はどのようになっていて欲しいのかを教育担当者が整理して把握しておく必要があります。

オンボーディングで大切にされているのは、企業情報の提供や価値観の共有を通して環境に慣れてもらうという考え方です。実践で役に立つ業務知識も重要ですが、目先の見えやすい効果だけでなく、社員に企業の考え方に共感を抱いてもらえるようなテーマも忘れずに目標として取り入れましょう。

環境づくり

オンボーディングで密なコミュニケーションを取り効果的に情報のやり取りを行うためには、環境づくりも念入りに行う必要があります。新入社員をサポートするために、どのような環境を整備するのが最適なのかを見極める必要があるでしょう。

一対一で対応する1on1やメンター制度も効果的ですが、チャットツールや社内ポータルなどのITツールを利用するのもおすすめです。職種や職場環境に合わせて、新入社員が戸惑うことなく活用できるツールを整えておくと効果的でしょう。

オンボーディングは一定期間に集中して行う新人研修と異なり、新入社員が環境に慣れるまで継続的に行うプロセスです。所属部署での受け入れから研修後のフォローまで、長期に渡る環境の整備について検討しておく必要があります。

プランを作成する

オンボーディングは長期間継続的に行う必要があるため、入社当日から1週間、1ヶ月、半年後というように、それぞれのタイミングで達成すべき目標を決めながらプランを策定します。プランを組む際には、新入社員が抱えがちな悩みを想定したうえで、組織に対する課題や解決方法を盛り込んでおくとよいでしょう。

例えば、新しく入ったばかりの社員はチームの環境に馴染めないといった不安や、業務内容が多くて効率的に覚えられず自信を無くしてしまうなどの問題を抱えることが多くあるでしょう。中途社員の場合は、社内独自のルールや前職までで行ってきたこととの違いに悩んでいる可能性があります。このように、対象者に合わせて想定される課題と解決方法を挙げておきましょう。

プランの見直し・実行

オンボーディングのプランを作成したら、人事担当者と管理職だけではなく、オンボーディングに関わるすべてのメンバーと共有しておきます。新入社員と年齢の近い社員や同じ業務をしている社員がプランのズレや問題点について気づく可能性もあるでしょう。さまざまな立場から意見を交換し、最適なプランを作り上げるのが理想的です。

プランが決定したらオンボーディングを実行します。始めのうちはうまく効果を感じられなかったり計画通りに回らなかったりすることが多いでしょう。課題を見つけた場合はそれぞれが記録し、フォローアップしながら改善を重ねていくことが重要です。

振り返り・改善

オンボーディングを実施するフェーズに入ったら、プランであらかじめ決めておいたタイミングで振り返りを行います。オンボーディングの対象者である新入社員本人のフィードバックや管理者・先輩社員の意見も反映させながら振り返り、課題があれば改善していきます。

オンボーディングを実施する際に意識するポイント

オンボーディングを初めて導入する企業や、実施しているけれどもっと効果を上げたいと考えている企業も多いでしょう。ここからは、オンボーディングを実施する際に意識したいポイントをご紹介します。

事前準備を徹底する

オンボーディングは、社員が入社して初出社する日に合わせて体制を整えておくのがポイントです。企業側で事前準備ができていないと、新入社員が戸惑い第一印象がネガティブなものになってしまう可能性もあります。初日から良い印象を持ち環境に慣れてもらうために、事前準備を徹底しておきましょう。

人間関係が良好になるためにフォローする

新入社員が戸惑いやすいポイントの一つに、人間関係の構築があります。所属部署内の関係性、関係部署など、社員の性格や立場も考慮してオンボーディングの運営者がフォローしていくと効果的です。メンター制度の導入やランチ会の実施など、人間関係が良好になるような工夫を取り入れてみましょう。

期待値をすり合わせておく

新入社員と受け入れ側がお互いに期待値を共有しておくことで、理想とギャップが生まれることを防ぐことができます。相互に求めている姿やあるべき姿を確認し、期待値をすり合わせておくのが早期離職の防止においても効果的です。

【まとめ】

オンボーディングを実施すると、新入社員がいち早く職場環境に慣れて即戦力となってくれたり、離職防止やエンゲージメントの向上をもたらしたりするなど社員と企業の双方に嬉しいメリットがあります。オンボーディングによって企業活動や考え方を深く理解することができるため、新入社員にとっても中途採用者にとっても効果的です。

企業で導入する際には、事前準備の徹底やプランの作成、フォローアップによる改善を入念に行いましょう。オンボーディングにはさまざまな効果がありますが、どのような効果を期待しているのか、実際に効果が出ているのかを確認し、想定と異なる場合はオンボーディングの内容自体を見直す必要があります。

ワークハピネスでは、新入社員のオンボーディングを後押しする「PEAK PAFORMANCE ONLINE」プログラムをご用意しております。オンラインアクティビティを通して関係性を深め、仕事への姿勢やコミュニケーションについてあらためて学べます。社内のオンボーディングにお困りの方はぜひ一度ご相談ください。


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ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

嶺田賢

大学卒業後、上場派遣会社に入社し、その後、教育系子会社のエスプール総合研究所(現:ワークハピネス)へ。各種サーベイなどの設計・開発、人事制度構築、理念浸透などのコンサルティングを経て、教育周りの企画提案を主な業務とする法人営業を担当。関西地域で大手上場企業の新規開拓をメインに携わり、お客様の理念体系、今後の戦略に沿った、「人の育成」「仕組みの整備」を体系的に提案することを得意としている。

2019年からマーケティングチームの立ち上げに責任者として関与。デジタルの力を活用して、会社の売れる仕組みづくりを構築している。

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